ーー……3つの王国から成る大陸があった。
そこには人間の王国とエルフの国が存在する王国であり、両国は互いに争わないように均衡を保って暮らしていた。
1つは人間の治める西の国、クルシャ王国。
もう1つはエルフが治める東の国、アグラリエル王国。
両国とも女王が玉座についており、その女王2人の腹の探りあいでバランスを保っている。
しかし、そんな両国を虎視眈々と狙う国があった。
それが魔族が治める北の国であり、その力は人間とエルフの両国が手を取り合わなければ太刀打ちできない物である。
しかし、現魔王軍の女王であるデルキゼル=オ=ガグルマは基本的に享楽的で穏やか……悪く言えば飲んだくれであり、本人はただ単に世襲で継いだだけの地位であり、それほど魔王としてのポジションにこだわっていない。
そんな彼女に1人の人物が面会をしていた。
「“本当”の王位正統継承者?」
「その人物と私を魔王軍に加えて頂きたい。」
デルキゼルにそう言うのは、仮面で顔を隠した女性であり、彼女は今の人間の女王ではなく真の王位正統継承者がいると話してきたのだ。
そんな彼女を冷たく見下ろしている魔王軍の最高幹部であるベルドナ=モーデルハイドは、冷たく言い放つ。
「本当の王位正統継承者などどうでもいい。我々はこの大陸を手に入れる為に動かなければならないのだ。人間の下らん戯言に「これが証拠だ。」?なんだその卵は?」
女性が見せたのは、毒々しい色合いをした卵であった。
「マスィールの卵……聞いたことくらいはあると思うが?」
「あぁ、先代魔王が使ってた魔力に反応する卵ね?
けど、何で貴女がそれを?」
「本当の王位正統継承者が現れた時、この卵をその者に渡す様に先代の王より賜った。
この卵は先代の王とその魔王に友誼があったという証明になる。力を貸してもらいたい。」
「良いわよ♪」
「陛下!?なぜそんな安請け合いを!?」
「だって、マスフィールの卵なんて見せられたら信じざるおえないでしょ?
それに嘘言ってるようには見えないし、良いかなぁって。」
「はぁ~〜〜〜〜〜〜………。」
飲んだくれの主のだらけた答えに、ベルドナは頭を抱え盛大に大きなため息を漏らす。
そんな様子を見ていた女性は内心、『この軍大丈夫か?』と思考するのであったが、魔王からの了承を貰った事で、彼女は早速自身が仕えるべき主を迎える為に魔王軍の城を出て、主の下へと向かうのであった……。
◆◆◆
???Side
「よいしょっと、ふぅ……。今日の晩御飯は熊肉と鹿肉かな。」
私は今、森で仕留めたばかりの熊と鹿、そして採れたての野菜を担いで家へと向かって歩いている。
今は冬なので基本的に食料は蓄えておくのだが、今回ばかりはガッツリと食べたい気分だったので丁度いい。
私はクルシャ王国の領地にある貧民窟の1画で暮らしており、初めは母と2人で慎ましく暮らしていたが、母は私が10歳の頃に病で無くなり、遺体は山の中に埋めた。
母はかつてクルシャ王国の騎士団長であり、父の顔は知らないがその関係は知らないが、私は幼い頃から母に剣の稽古をつけてもらっていて、その上で狩りなども教わっていた。
しかし母は父に対していい感情を抱いていなかった様で、夜にたまたま起きた時に寝室で泣いているのが聞こえたのを覚えている。
それに私の体には本来付いているはずの無い
その事で貧民窟でも気味悪がられていたが、今更気にしては居ないので、関係はないか。
「ふぅ……疲れた。さてと、今日は熊肉のソテーでも作って、あとは軽くサラダでも作るかな。」
家に着くと、熊を降ろして即座に毛皮や内臓の処理をしていき、食べられるようにお湯を沸かしてから熊肉の調理に掛かる。
熊は臭いが食べ応えが有って、鹿や兎よりも栄養が蓄えられているので、重宝しているし熊肉はあっさりしていて太りにくい。
「よし、やりますかね。」
そうして熊肉と鹿肉の調理を始めた。
まずは熊肉は食べやすい大きさに切り、熊は赤身よりも脂身が美味しいので脂身もスライスする。
鍋に脂身と赤身の肉を入れて、こんがりするまで焼き、最後に調味料で味を調えたらサラダを添えて完成だ。
付け合わせのパンとスープを並べて、食事の用意をする。
「さてと、出来上がったし食べますか。頂きます。」
フォークで熊肉を刺して食べる。
うん、ピリッとしながらもじんわり熊肉の旨味が滲み出してきて、かなり旨いな。脂身と赤身の両方食べるとさっぱりしている。
鹿肉も歯ごたえがしっかりしていて、とても美味しい。
「ふぅ。食べた食べた。さてと、皿を片付け……ん?」
気配を感じ、玄関の方を見ると……そこには仮面とローブを身に纏った女性が立っていた。
「やっと見つけました……。」
その女性は私の下まで来ると、片膝をついて騎士が王にするような体勢となり、そんなモノを目の前で見せられた私は頭が思考がついてこなかった。
「え?なに?なに!?」
「お迎えにあがりました……次代の正統なる女王、クレス様。」
その人は私の名を呼んで、しかも、正統なる女王といったのだったが、私はただただ混乱するばかりであった……。
次回、翡翠の少女の血筋!
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