今年も宜しくお願いします。
「え?あの、えっと、ごめん……色々言いたいことがありすぎるんだけど、貴女は誰?ていうか、次代の……なんて言った?」
人間の王国、クルシャ王国の貧民窟で暮らしていた少女クレスは、突然現れた女性と彼女の言葉に混乱した。
突然現れた知らない人物から次代の正統なる女王と言われれば、誰でも混乱する。
「これは失礼しました。私の名はクザハ、貴女をお迎えにあがりました。……ここはまもなく戦場となります。手早く支度をして出立の用意を。」
「は!?せ、戦場って……!?何を言って!?ちょっと!説明してくれないかな!!?」
謎の女性クザハにそう言われて、クレスはある程度必要なモノを慌ててかき集めて貧民窟を抜け出し、その後、貧民窟には魔王軍の軍勢が襲撃を仕掛けた事で、貧民窟は戦場と化して大勢の民が殺されたのであった。
その頃、クレスはクザハと共に山の中にある洞窟にて休んでおり、クザハから自身の血筋について知らされていた。
「ここまでで宜しいかと。」
「……クザハさん、さっきの話って冗談ですよね?
私、貧民窟に住んでるただの民ですよ?
それが……何で女王なんですか。
今の女王はクルシャですよ?」
「クレス様、貴女様は真に正統なる女王の血筋でございます。貴女の父上は生前、女王タマンナを輿入れした王によって滅ぼされたこの大陸の王の血筋であり、女王です。」
「それが分からないんですよ。担ごうとかしてませんか?」
「……私の父は貴女の父、即ちこの国の王だった方に大変お世話になりました。私は貴女に仕え、貴女には女王となってもらいたい。
そして何より、貴女には女王としてこの大陸を手に入れる権利があります。」
「権利って言ったって……私には母から教わった剣術以外何もないんだよ。それなのに。」
「それならば私に当てがあります。それに、貴女様の母君から教わった剣術を鍛えれば、貴女様は今のクルシャの王女よりも強くなると確信しております。」
クザハは懐から毒々しい色合いをした卵、マスフィールの卵を取り出して、クレスに選択を迫る。
「この卵を取り、王となる道を進むか。それとも異なる道を進むか。」
「……。」
クレスは目の前に出されたマスフィールの卵とクザハを交互に見ると、生まれた時から今日までの事を思い返していた……。
◆◆◆
クレスSide
「王となるか、違う道か……。」
クザハさんから毒々しい色合いの卵を向けられて、私はどうするか悩んでいた。
これまでの生活は、はっきり言って楽ではなかったし、母を亡くしてからは1人で暮らしていて、その中で母をからかう輩もいたし。
狩りでも最初は獲物を捕られそうになったり、犯されそうにもなって泣きそうになったこともあった……けれども、それがいきなり王なんて、はっきり言って怪しいにも程がある。
でも、それでも本当に変われるっていうのなら、私は王様になってかわってみたい!
「……正直王様っていうのは分からないけど、それでもなれるっていうのなら王様になって何かをやってみたい。」
私はクザハさんから卵を受け取って割ると、中身を飲み込んだ。
「その覚悟、受け取りました……次代を進む新たな女王よ。では、力を蓄えるため、北の地に私の協力者の下へ向かいましょう。」
私はクザハさんに連れられて、その協力者というのがいるという北の地へと向かって歩いていくことにしたのであった……。
次回、魔王との邂逅
この作品は短編でも可ですか?
-
はい
-
いいえ