※この作品はR-18です。

ベクトル付与で異世界最強~ホロメンハーレムしながら学生性活   作:とも667

11 / 11
第11話 差別解消大作戦

ミオから真実を聞かされた三人が、驚愕する。しかし唯一、ユウマだけは察しがついていたようだ。

 

「そんな……じゃあ、あの時の彼らの言ってたことは……」

 

「うん。全部、本当のことだよ」

 

「白上が子供の頃から、あのお話はあったんだよ? そんなに前から、鬼人の皆さんは……」

 

 罪悪感に苛まれるフブキ。それを見たユウマがすぐにフォローを入れた。

 

「フブキ、気にするな。隠蔽されてたんだから、真実なんて知りようがない。俺だって、今の今までわからなかったしな」

 

「ユウマくん……ありがとう」

 

「歩きながら話そっか。あなた達には、教えても良さそうだし」

 

 あやめがそう言って、みんなを手招きし……自分達に何が起こったのかを話し始める。

 

「きっかけはある日、鬼人の女の子が酔った貴族に絡まれたことだった。その子は弱くて、貴族に引っ張られて連れていかれそうになってたの」

 

「迷惑な酔っ払いだな……」

 

「そこに他でもない、あやめちゃんが通りかかった。あやめちゃんはその子を貴族から引き離して、その子を庇ったの」

 

 だが、それが良い結果を生まなかったのは……この現状が物語っている通りだ。

 

「だけど、上手くいかなかったんですよね?」

 

「うん……そいつは逆上して、腰に差していた短刀を抜いて、あやめちゃんを襲ったの」

 

「そんなの、酷いよ……それだけで殺そうとするなんて……」

 

 あくあがそう言ったのを聞いて、あやめが更に続ける。

 

「余はその刀を受け流して、弾き飛ばそうとした。そこで偶然……貴族に刀が当たって、そいつが怪我をした」

 

「……それで、更に怒りを強めたんですね」

 

「そう。貴族の男は、あやめちゃんが帯刀してきたのをいいことに、罪をあやめちゃんに擦り付けて……隣にいたその子も、共犯者に仕立てあげた」

 

 濡れ衣を着せられてしまった二人。だが、それだけでは貴族の理不尽な怒りは収まらなかった。

 

「そんな、自分のせいなのに……卑怯だよ!!」

 

「そこからその貴族は、お金とコネで鬼人全体に悪いイメージを植え付けた。その一端が『人斬り鬼とお侍様』だよ。余達鬼人は、森の奥に隠れ住む他なくなった……」

 

「……ということは、この先に鬼人の住んでる村があるんですか?」

 

 ユウマがそう言うと、二人が暗い顔で頷く。

 

「うん……言うよりも実際に見た方が早い。村までもうすぐだしね」

 

「えっ……ここが、そうなの?」

 

「そうだよ、フブキ。これが……今の鬼人が強いられている、生活だ」

 

 そこにあったのは、雨風をギリギリ凌げるだけの簡素な家の集まりだった。空腹に喘ぐ人達の声が、あちこちから聞こえてくる。

 

「お腹、すいたよぉ……」

 

「大丈夫よ、もうすぐお嬢様が取ってきてくれるはず!!」

 

「あぁ……お嬢だ!! お嬢が帰ってきたぞ!!」

 

 あやめを見て、その場にいた全員が駆け寄ってくる。しかし、その内の一人がユウマ達に気づいた。

 

「よ、余所者か!? ここに何をしに来た!?」

 

「まっ、待って!! あてぃし達は……!!」

 

「大丈夫だよ、みんな。この人達は、余とミオを助けてくれたんだ」

 

 あやめの説明で、刀を抜いていた鬼人達が刃を収める。ユウマはそこで、気になっていたことを聞いた。

 

「……数がやけに少ない気がするが」

 

「『人斬り鬼』とされてから、鬼人はかなりの人数が殺されてしまった。今残ってるのは、たったこれだけ……元々、子供ができにくい種族だからね」

 

「そんな、それじゃもう……残ってる道は……」

 

 鬼人の数は、たった数十人程度だ。子供はほぼおらず、壮年の者が多い印象だ。遠くない未来に鬼人が全滅することを察して、AZKiが悲しそうに言った。

 

「だから、最近は昨日みたいな人達が増えてるの。これで最後なら、人間に一矢報いてから死にたいって……余の励ましも、もう気休めにもならない……」

 

「みんな。これが今日の食料だよ、一人一人配るからね」

 

「ありがとうございます、大神さん!!」

 

 ユウマ達は鬼人の現状を見て、貴族への怒りと悲しみを募らせる。どうして、彼らがこんな目に遭うのかと。

 

「こんなの酷すぎる……!! ミオ、私達も協力するよ!! 協力して、そいつを……!!」

 

「フブキ、貴族を倒してもどうにかなる問題じゃないと思うぞ。今回は、幽世全体に差別意識が根付いてるからな」

 

「そんな、ユウマくん……どうして諦めたようなこと言うの!? ユウマくんらしくないよ!!」

 

 不満の声を上げるフブキとあくあ。しかしユウマも、諦めるつもりは毛頭なかった。

 

「早とちりするな、俺だって諦めたわけじゃないさ。大神さん、百鬼さん……あなた達も諦めてないんでしょ?」

 

「毎年、お祭りの時期は仮面を被って、鬼の角を隠してお祭りに行くんだ。でも、年々規制が酷くなってきてて……今年はミオと余だけで行ったの」

 

「そして、みんながお祭りに行けるように……貴族から証拠を取ってきて、真実を明らかにするのが目的なの。でも、そんな時にあいつは……魔王軍を雇って、鬼人を潰しにかかってきた」

 

 ユウマはそれを聞いて、魔王軍は自分が何とかできることを伝える。

 

「魔王軍に関しては、僕がなんとかします。もう三人倒してるので、奴らの相手は慣れてますよ」

 

「わかった、そっちは任せる。じゃあ、余とミオは貴族の家に行かないとね」

 

「そういえば、気になってたんですけど……その『貴族』って誰なんですか?」

 

 AZKiの質問に対して、ミオが答える。

 

「やったのは黒木家の現当主の祖父。そこから、家族ぐるみで隠蔽を続けてる」

 

「黒木家……白上、そこに行ったことあるかも!!」

 

「えっ、フブキってそんなすごい家系だったのか!?」

 

 ユウマは本気で驚いた。まさかフブキがそんな貴族だとは思わなかったから。

 

「言ってませんでしたね。白上って、実は幽世ではちょっと有名な貴族の家系なんですよ!!」

 

「そうだったんだ、知らなかったよ……」

 

「じゃあ、そっちはフブキにやってもらうことになるな。決行日は?」

 

 ユウマが尋ねると、あやめがそれに答える。

 

「みんなはもう限界に近づいてる。遅くても明後日には実行したいな」

 

「よし、じゃあ百鬼さんはみんなにその旨を伝えてあげてくれ。生きる希望になるだろうからな……明日は百鬼さんと大神さんも、フブキと一緒に侵入を頼む。フブキ、案内は任せるぞ」

 

「わかった、任せといてください!!」

 

 そこでAZKiとあくあが、自分達の仕事を聞く。

 

「ユウマくん、あてぃし達はどうしたらいい?」

 

「二人には二人の仕事がある。俺に作戦があるんだ……鬼人の皆さんにも協力してもらいたい。百鬼さん、頼めるか?」

 

「いいけど……どうするの?」

 

 ユウマはあやめに聞かれて、笑みを浮かべてから言った。

 

「貴族の悪行をバラすなら、人が多い方がいいだろ? 作戦はこうだ……」

 

「……なるほど、それで人を集めるんだね!!」

 

「あぁ、AZKiが頼りだ。頼めるか?」

 

「わかった、ユウマくんの頼みなら!!」

 

 ユウマはそれから、あくあにも作戦を伝える。

 

「あくあは人前に出るの、苦手だろ? だから、裏方を頼みたい……こんな感じでな」

 

「あ、それならできるかも……!!」

 

「建てるのは簡素なものでいい、使うのは一回だけだからな」

 

 ユウマはあやめにもそれを伝達して、あやめに鬼人全員に伝達をしてもらう。

 

「みんな、聞いて!! 鬼人への差別を解消出来るかもしれない方法が見つかったの!!」

 

「なんだって!? 本当なのか、お嬢!?」

 

「うん、だからみんなにも協力して欲しいの!! みんなでお祭りに行けるように!!」

 

「「おぉぉぉぉぉー!!!」」

 

 一筋の希望が見えて、全員の士気が一気に上がる。そして、ユウマは建設場所の見当もついていた。

 

「場所はここ、鬼人の村の入口……!! 情報を全員に知らせたら、村の惨状を見せる!! それで更に説得力を増強できるはずだ!!」

 

「あとは上手くいくかどうかだね……」

 

「上手くいかせてみせるさ……俺に任せておけ」

 

 ユウマはそう言って、自信満々の笑みを浮かべてみせた。

 

 

 

 そして、二日後。昨日街中に貼り付けておいたポスターのおかげで、人々が鬼人が建てた大きなステージの前に集まっていた。

 

「なぁ、歌姫のAZKiが来るってホントかな!?」

 

「こんなところでゲリラライブするとはな、パスポート持っててよかったぜ!!」

 

「13時から開催か……くぅー、待ちきれない!!」

 

 歌姫AZKiのネームバリューで人を集めて、人を集める。まず、これが作戦のひとつ……そしてフブキとユウマ達は、貴族の家へと来ていた。そしてユウマが、フブキ達に能力を使う。

 

「三人は浮いて窓から入れ、たぶん入れる場所があるはずだ。ダメそうだったら、俺が破壊する」

 

「わかりました、任せてください!!」

 

「みんなのためにも、絶対に手に入れる……!!」

 

 あやめとフブキとミオが、ユウマの与えたベクトルで浮き上がる。ユウマ自身も浮き上がって、鍵の開いている窓を探す。

 

「……あ、ここ開いてる!!」

 

「よし、ここから入ってくれ。俺は魔王軍が来ないように見てるから」

 

「お願いね、上村くん」

 

 三人が窓を開けて、その中に入っていく。そこでユウマは、三人の浮遊ベクトルを解除する。そして自分も屋敷の前に降りて、目の前を見た。

 

「……いるんだろ? 出てこい」

 

「見つかったか……やはり厄介だな、上村ユウマ」

 

「褒め言葉として受け取っておくよ、バーゲストさん」

 

 そこに来たのは、バーゲストだった。ユウマを見て、バーゲスト率いる狼の軍団がユウマを睨みつける。

 

「今度こそ貴様を殺してみせる……!! 覚悟するがいい!!」

 

「前にボロ負けして、イライラしてるらしいな。今回はリベンジできるといいな?」

 

「舐めた口を聞きおって!! 死ねぇぇぇ!!!」

 

 全方向から、バーゲスト達が襲いかかってくる。しかしユウマも、その対策はしてあった。

 

 ──ズバァァァッ!!

 

「がぁぁぁぁ!? な、なんだと!? これは……刀か!?」

 

「鬼人さん達が持ってた刀を借りた。今までは、そこの木の裏に隠しておいたんだ」

 

「くっ、くそぉぉっ……!! 舐めるなよ、まだまだいるんだ!!!」

 

 ユウマの周りに、たくさんの刀が飛び回っている。それらがバーゲストを切り裂いて、どんどん倒していく。ベクトルを自在に操り、ユウマの見えない後方を刀がカバーしている。

 

「このぉぉぉっ!!」

 

「忘れてないか? 刀を動かしてても、俺は動けるんだ」

 

 ──ジャシュシュッ!!

 

「ぐぎゃあぁぁぁぁ!?」

 

 前方はユウマの放つ水の刃があるので、前方も後方も隙がない。つまり、単純な物量攻めを得意とするバーゲストにとっては天敵だ。

 

「どうした、俺の対策くらいしてきたんじゃないのか?」

 

「くっ、くそぉぉぉっ!! このために百匹は用意してきたのにッ……!!」

 

「……どうやら、対策が対策にならなかったようだな」

 

 バーゲストは自分の得意な物量戦で、ユウマを追い詰めるつもりだった。しかし、ユウマは全く疲れていない。一方、何度も肉体を殺されているバーゲストは既に満身創痍だ。

 

「かかってこい。それとも、もう在庫が無いのか?」

 

「ぬぅぅぅぅ……!! 貴様だけは咬み殺すッ!!!」

 

「やってみろ、できるならな」

 

 ユウマとバーゲストが戦っている中、フブキとあやめとミオは……屋敷の内部で、警備を掻い潜りながら歩いていた。

 

「確か、こっちのはずだよ!!」

 

「詳しいんだね、フブキ……」

 

「彼が何かを取ってきた時は、こっちから出てきたからね。多分、部屋はこっちだと思う」

 

 フブキ達はどんどん先に進んでいく。そして、一際大きな鍵付きの部屋に辿り着いた。

 

「多分ここだよね……でも、鍵がついてるよ」

 

「扉を壊すしかないかな?」

 

「余に任せて、できるだけ音が出ない方法で壊すから」

 

 そう言ってから、あやめは二人に周囲を任せて刀を抜いた。その刀に、青い炎を纏わせる。

 

「あやめちゃんの得意な『妖炎』……あれで溶かすつもりみたい」

 

 ──シュウゥゥゥ……

 

「……よし、これで開いたはず!!」

 

 ──ギィィィィ……

 

「じゃあ、入ろうか。この中にきっとあるはずだよ」

 

 そこは、高級そうな家具や物がたくさん置かれた部屋だった。ファイルにまとめられた紙束や、ノートなどを手早く確認していく。

 

「これじゃない……次はこれだね」

 

「あ、これ使えるんじゃない!? 鬼人を陥れた時のことが書いてあるみたいだよ!!」

 

「ナイス、フブキ!!」

 

 フブキが、ファイルから紙を一枚破って取る。更にあやめが、有力な証拠品を見つけた。

 

「あ、これ……魔王軍と取引した時の契約書?」

 

「よし、それも持っていこう!!」

 

「他にもあると思うし、もっと探そう!!」

 

 みんなが、証拠品を探すのに集中している中……後ろから音もなく近づく者がいた。血煙となって近づき……フブキの後ろで実体化する。

 

「あっ、これも使えそう!!」

 

「隙あり、死ね!! 白上フブキッ!!」

 

「えっ……!?」

 

 いきなり風魔法を撃ち込まれて、フブキは対抗しきれない。風の刃がフブキの首を跳ねようと、容赦なく迫る……しかし。

 

 ──ボンッ。

 

「なっ……なにぃぃぃ!?」

 

「えっ、魔法が……弾かれた? どうして?」

 

「これはッ……空気の塊か!? 何故、どうしてこんなものが……まさか、上村ユウマ!?」

 

 そう、ユウマはこのような事態を想定しておき……予め、空気の塊をみんなの背中側に設置しておいたのだ。

 

「ここまでわかってたってこと……!? あの人は、一体……」

 

「とにかく、ある程度は回収できた!! 行こう!!」

 

「待て、貴様ら!! くそぉっ、背中側では攻撃が当たらん……!!」

 

「窓から飛び降りよう、きっとユウマくんなら……!!」

 

 そしてみんなは、窓を開けて……そこから飛び降りた。一方、その頃ユウマは……バーゲストを後がない状態まで追い詰めていた。

 

「ここで終わりだな、バーゲスト」

 

「くっ、くそっ……畜生ッ!! 私を倒したところで奴らは助からん!! 残念だったなぁ!?」

 

「……なるほどな。陽動作戦だったってわけか」

 

 ユウマが納得したように言う。ボロボロのバーゲストは、ユウマを嘲笑いながら言った。

 

「そうだ!! お前を倒せなくとも、奴らなら殺せるからなぁ!! 大切なものを守れなかった苦しみを味わうがいいさ!!」

 

「ユウマくんっ!!!」

 

「……来たみたいだな」

 

「なんだって!? バートリーはどうした!?」

 

 窓から飛び降りた三人を、ユウマがベクトルでゆっくり着地させる。後から、悔しそうな顔をしたバートリーが出てきた。

 

「何の対策もしてないと思ったか? 甘すぎるんだよ」

 

「取ってきたよ、あとは……!!」

 

「くそっ、畜生……がっ!!」

 

 ──ズバァァァッ!!

 

 ユウマはバーゲストにトドメを刺して、バートリーに向き直る。

 

「残念だったな。お前らの作戦は失敗だぜ」

 

「かくなる上は……!! この場で貴様ら全員を殺すまで!! 覚悟しろ!!!」

 

「覚悟するのはお前だよ」

 

 そう言ってユウマは、刀の群れをバートリーに向かって飛ばす。しかし、バートリーも簡単には当たってくれない。体を蝙蝠に変えて、攻撃を避けていく。

 

「そんなものには当たるか!! お返しだ、『イフリート』!!」

 

 ──ゴォォォォッ!!!

 

「あっ、刀が弾かれて……ユウマくん!?」

 

「うぉりゃあぁぁっ!!」

 

 なんとユウマは、バートリーが炎魔法を放ったのを見てから……剣に写った自分を見て、自分自身を射出した。炎で目の前が隠れたバートリーに、ユウマが剣を突き立てる。

 

「なっ……ぐっはぁぁぁ!?」

 

 ──ズシュウッ!!

 

「あ、当たった!!」

 

「これで終わりだ」

 

 そこでユウマは、刺さった剣の柄を叩く。すると剣が虹色に光って……バートリーの体中に、おびただしい量の深い噛み跡が刻まれる。

 

 ──ブシュウゥゥゥッ!!!

 

「ぐぎゃあぁぁぁぁッ!?!?」

 

「えっ、それって……AZKiちゃんの剣!?」

 

「後ろから来たバーゲストの牙は、これで受けてたのさ。木を隠すなら森の中……刃を隠すなら刃の中だ」

 

 体中を噛みちぎられては、流石にバートリーも耐えられない。

 

「魔王様、申し、訳……ありま、せん……ぐはっ」

 

「よし。早く行くぞ、みんな待ってるだろうしな」

 

「うん、行こう!!」

 

 一方その頃、ライブ会場は……AZKiの歌で熱狂していた。

 

「~♪」

 

「「うぉぉぉぉぉー!! AZKiー!!」」

 

「確か、このあたりで……えいっ!!」

 

 AZKiの歌に合わせて、あくあが裏から水魔法を使う。すると……

 

 ──プシュウゥゥゥ……

 

「おぉ、噴水が上がった!!」

 

「綺麗だな、撮っとこう!!」

 

「ゲリラライブなのに、豪華だなぁ!!」

 

 映像がネットに上がることで、ネット上の注目度も上がる。そして、そこでユウマ達が来た。

 

「みんな集まってるみたいだよ!!」

 

「よし、今だ!! みんな、集めてきたものを出してくれ!!」

 

「うんっ!!」

 

 その紙や、日記の重要なページのみを破って、ユウマが手に持つ。そして……紙吹雪のように、それを観客席へとベクトルで飛ばす。

 

「おぉ、紙が飛んできたぞ!!」

 

「拾え拾え、レアだぞ!!」

 

「ん? なんだこれ……なんか書いてないか?」

 

 拾った人たちがそれに気づく。そこでAZKiが、歌うのを中断して言った。

 

「みんな、聞いてください!! それは……鬼人の皆さんを陥れた、黒木家のものなの!!」

 

「黒木家ってあの黒木家か?」

 

「あ、契約書にも書いてある……ホントなのか?」

 

 観客席が一斉にざわつき始めた。そこでユウマは、最後の仕上げに入る。

 

「今だ、鬼人の皆さん!! ステージを壊して!!」

 

「「うぉぉぉぉーっ!!!」」

 

「うわっ、なんだなんだ!?」

 

 ステージからAZKiが降りると……最初から骨組みもユルユルだったステージは、鬼人達に簡単に壊されてしまった。AZKiもそれをわかっていたので、踊ることはせずに歌うだけに留めていた。

 

「……なんだ、このボロボロの村?」

 

「これが鬼人が追いやられた村だ。人斬り鬼も、お侍様もいない……悪いのは黒木家なんだよ!!」

 

「そ、そうだったの!?」

 

「えぇぇぇ、マジかよ!?」

 

 会場が一気にザワつく。そして、当事者のあやめがそこに続けて言った。

 

「余達鬼人は、特別扱いなんて望まない。ただ、普通の幽世の人間として生きたいだけです!!!」

 

「そうだ、俺達は人間なんだ!!」

 

「俺達を受け入れてくれ!!」

 

 それに気づいた人達が、証拠品を見てから言う。

 

「黒木家って、そんなに悪い奴らだったのか……」

 

「ネットにも上げとこう……」

 

「みんな、わかってくれたの……?」

 

 あやめがそう言って、ミオとユウマが言う。

 

「うん。しばらくしたら、きっと結果が出るはずだよ」

 

「よく頑張ったと思います。あとは、ゆっくりと休んでください」

 

「そっか……そうなんだね……!!」

 

 鬼人達も作戦が成功したことに、とても喜んでいる。

 

「やったぞ、鬼人は救われたんだぁぁ!!」

 

「全く、白上達だけじゃなくて……種族一つ丸ごと救っちゃうなんて。白上も鼻が高いです!!」

 

「そうしないと、百鬼さんが救われなかったからな」

 

 ユウマはそう言って、みんなの喜ぶ様子を眺める。

 

「歌ってって言われた時は、ビックリしたけど……上手くいったね!! 流石だよ!!」

 

「ごしゅじん、あてぃし……上手くできたかな?」

 

「うん、二人もありがとう。みんなのおかげだ」

 

 ユウマ達はこうして、鬼人の差別問題を見事に解決したのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。