※この作品はR-18です。

ベクトル付与で異世界最強~ホロメンハーレムしながら学生性活   作:とも667

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 あれからどうなったのか、ご覧下さい。


第二話 え、あいつってそんなに強かったの?

ユウマはフブキに対して、気さくに挨拶をしてみせたが……フブキは困惑していた。自分を浮かせて、ベルシリカすら倒せるあの能力は、一体何なのか。どうして、そんなにも冷静でいられるのか。もっともそれを聞いたところで、本人すら真実を知らないのだが。とりあえずフブキは、助けてもらったお礼を言うことにした。

 

「ご、ご丁寧にありがとうございます。私、白上フブキです」

 

「白上フブキさん……なるほど。そういえば、どうして付け耳と尻尾を付けてるんですか? そういう趣味?」

 

「えっ、獣人を知らない……?」

 

 ユウマはそう言われて、まずい発言だったと後悔した。この世界は『魔王』のような、ファンタジー作品によく居る悪人がいる世界だ。獣と人が合体したような人がいても不思議ではない……ユウマは、必死に言い訳を考える。

 

「いやいや、冗談ですよ冗談!! すみません、寒い冗談言っちゃって」

 

「そ、そうですよね。大丈夫です、気にしてませんので」

 

「ありがとうございます、白上さんは優しいですね」

 

 ユウマは本心からフブキを褒めた。フブキは顔を赤くしながら、しっぽを揺らして笑っている。

 

「や、優しいなんてそんな……じゃなくて!! 聞きたいことがあって……」

 

「なんでしょうか?」

 

「どうして、あなたは……そんなに冷静なんですか?」

 

 そう尋ねられて、ユウマは全く考えていなかったところへの不意打ちで動揺する。

 

「俺が、冷静……?」

 

「バイト先なんですよね? それが壊されてても、あなたは全然慌てていなかった。ベルシリカが強いことは、見た目からわかるだろうし……それが怒っているという極限状態でも、何の焦りも見えなかった。戦闘未経験の一般人だとは思えないんです」

 

「……あいつ、そんなに強かったのか」

 

 ユウマは『ベクトル付与』を利用して、ベルシリカを一方的に撃破してしまったので、魔王軍の恐ろしさを理解していなかった。しかし、それを知っているフブキからすれば、疑問でしかない。かくいうユウマ本人も、今になって自分の冷静さに疑問を持つ。ユウマはしばらく考えて……原因を突き止めた。

 

「何かあるなら、教えてほしいんです。あなたは、何者なんですか?」

 

「あぁ、わかった。死んだと思ったらいきなり蘇ったから、感覚麻痺しちゃってるんだな」

 

「えっ?」

 

 フブキは、ユウマの言ったことの意味がわからなかった。この世界でも、一度死んだ者を生者として甦らせる方法は存在しない。それなのに目の前の男は、平然と自分が蘇生したことを言ってみせた。困惑して当然だろう。ユウマも言ってしまったあとに、自分の言ったことに気づく。自分の世界でもそんなことは有り得ないが、この世界でも有り得ないということに。

 

「い……いや、違うんです!! 冗談ですよ!! 自分でもよくわからなくて、言い訳を考えてたら……変なことを言っちゃいました!!」

 

「言い訳……そんな苦しい言い訳を言っちゃうなんて、変な人」

 

「すみません、寒い冗談ばかり言ってしまって……あはははは」

 

 どうにか誤魔化したユウマだったが、ユウマは心の中で反省していた。この世界でも、自分の身に起こったことは怪奇極まりないことだ。これからは言わないようにすることを、ユウマは決意した。

 

「まぁ、わからないならしょうがないですね……あっ、それともう一つ!!」

 

「僕に答えられることなら……」

 

「その力は一体? 魔法や妖術にしては、威力が強いし……」

 

 そう言われて、ユウマは言うより見せた方が早いと判断して、『説明書』を取り出した。

 

「それに関してもよくわからないんですが、詳細はここに書いてありました」

 

「えっ、説明書……? 『ベクトル付与』って……えっ、そんなこともできるの!?」

 

「実際できたので、本当だと思います」

 

 ユウマは今度こそ事実を口にする。しかし、フブキはユウマに関しての疑問がますます膨らんだようだ。

 

「よくわからないですけど……とにかく、ありがとうございました!! おかげで助かりました!!」

 

「助かったようで何よりです。それでは……うぐっ」

 

「あぁっ!? 大丈夫ですか!? やっぱりどこかに怪我をして……」

 

 ──グゥゥゥゥ。

 

 フブキの心配を他所に、ユウマの腹の虫が鳴く。そこで座り込んだユウマが、下を向きながら言った。

 

「……腹減ったぁぁ」

 

 

 

 場所は変わって、ファミリーレストランにて。ユウマは、注文したミックスグリルセットとポテトフライを、胃に詰め込んでいた。フォークで突き刺されたソーセージがユウマの歯に噛み砕かれて、詰まっていた肉汁を口の中で爆発させる。

 

「いや、まさか奢ってくれるなんて思ってもみませんでした。助かりましたよ、あのままだったら野垂れ死にしてたかも」

 

「いえいえ、命を救ってもらったんですから……遠慮しないでください。それにしても、まさか同じ学園の生徒だったなんて……」

 

「白上さんも、ホロライブ学園の生徒だったんですね。世界って意外と狭いや」

 

 そう言いつつ、ユウマは食べ進める手を緩めない。超空腹なユウマにとって、人の奢りだろうと遠慮してなどいられないのだ。そこでフブキは、落ち着いて思い出したことを少し赤くなりながら口にする。

 

「そ、そういえば……ベルシリカに言ってた、白上を助けてくれた理由って……」

 

「あぁ、アレですか。もちろん本心ですよ、可愛い子がいなくなるのは世界の損失で、それを殺すなら見逃せない。あと、みんなのためにあいつに立ち向かった、あなたの優しさへの称賛。全部僕が思ってることです」

 

「そ、そうなんだ、白上が可愛いから……」

 

 フブキは、正直満更でもない気分だった。命の恩人に自分の可愛さと、優しさを褒められているのは。照れるフブキを見ているユウマは、とても眼福であった。

 

「……ごちそうさまでした!!」

 

「あっ、食べ終わったんですね」

 

「ありがとうございました、白上さん」

 

 ユウマは改めて、フブキにお礼を言った。

 

「本当にいいんです、助けてもらいましたし。お会計は済ませておきますので、あとは任せてください」

 

「次は僕に是非奢らせてくださいね」

 

「ふふふ、楽しみにしてますね」

 

 しばらく談笑した後、二人はそれぞれの帰路についた。ユウマは暗い道を帰りながら、これからのことを考えている……

 

「……この世界には、俺の常識が通用しない部分が山のようにある。さっきのファミレスでも、ドラゴンの爪を香辛料にしてるとか、ミノタウロスの肉のステーキだとか書いてあったし……」

 

 獣人がいること、魔王軍がいること。ユウマは全てにおいて、全く常識がなかった。バイトもしなければならないが……まず、ユウマに必要なのは。

 

「勉強しないとな」

 

 そう思ってユウマは、家に帰ってネットの無料動画で勉強をし始めた。

 

『この世界の種族はそれぞれ、人間、魔族、獣人、妖精、天使、鬼人、機人、竜人がいます』

 

「多いなぁ……そんなにいるのか」

 

『種族間によって得意なことも異なります。たとえば、獣人は獣特有の素早さや察知能力を持っており、魔族や天使は基本的に魔法が得意です』

 

 しばらく種族についての勉強をした後、次は基本的な歴史についてを勉強し始める。

 

『旧暦20XX年、時空の歪みによる『次元融合』が発生しました。それにより、あらゆる次元で大災害が発生。全ての種族が大打撃を受けました。これを『多次元大厄災』といいます』

 

「なるほどな……」

 

『しばらくして、全ての次元の代表が話し合いを行い、『多次元講和条約』を結びました。それと同時に専門家達が次元の歪みを観測して、できる限りの対処をする『次元管理局』が設立されました。ここからが『新暦』となります』

 

 その前は、普通の世界だったのだろう。そう考えて、ユウマは現代に近いこの現状に納得した。

 

「他の世界だと、他の世界の文化があるんだろうな……白上さんは、どこの世界から来たのかな」

 

『しかし、しばらくしてそれに反抗する者達が、魔界に集結。『魔王軍』を名乗り、大規模なテロ行為を始めました。これを『第一次人魔戦争』といいます』

 

「魔王軍? ということは、奴らが出てきたのは二度目なのか」

 

 ユウマは魔王軍について、真剣に耳を傾ける。当然だ、さっき戦ったばかりなのだから。

 

『多数の犠牲者を出しましたが、最終的に一人の勇気ある人間が、仲間を集めて魔王軍を打倒しました。彼らは勇者と呼ばれ、とても慕われました』

 

「勇者か……それなら、次の勇者は俺なのか?」

 

『しかし、それからも魔王の模倣犯は後を断ちませんでした。時には、魔王を甦らせようとする者すらいます』

 

 ユウマはそこで理解した。『魔王軍』が、初代魔王の後追いテロリストであることを。それからしばらく勉強して、ある程度の知識を身につけたユウマは、勉強を取りやめる。

 

「とりあえず、これで常識的な会話ができるだろう……もうこんな時間か。そろそろ寝よう」

 

 そう言ってユウマは、風呂に入って歯を磨き、布団に入った。

 

「さて、明日からまたバイト探そう……」

 

 ユウマは明日のことを考えながら、眠りに落ちた。

 

 

 

 次の日からユウマは、またバイトを探し始め……辿り着いたのは、昼飯が出るタイプの工事現場の仕事。これなら、ご飯も食べられるからだ。しかし……肉体労働が楽なはずもない。

 

「おい、新人!! 遅いぞ!!」

 

「も、申し訳ありません……」

 

「新人くん、こっち手伝ってくれー」

 

「はーい!!」

 

 そう簡単に金が稼げるわけもなく、ユウマはかなり疲れていた。そんな時、ユウマはひとついいことを思いつく。

 

「……『ベクトル付与』、使えないかな」

 

 これから運ぶことになる鉄骨に、ユウマが上への軽いベクトルを与える。するとユウマが思った通り、鉄骨が軽くなっていた。あとはそれを肩に乗せて、規定の場所に運んでいくだけだ。

 

「これなら楽だな……」

 

「よいしょ、よいしょ……」

 

「ついでだ。あの人のやつも……」

 

 仕事仲間が運んでいる物にも、軽い上へのベクトルを与えた。すると、仕事仲間の足取りが軽くなる。

 

「おぉっ、なんだ!? 荷物が軽く……」

 

「お待たせしました、主任」

 

「少しは慣れてきたか? いい足取りになってきたな」

 

 本当は能力を使っているのだが、そこは秘密だ。ユウマはそれから夜まで、時間いっぱい働いた。

 

「お疲れさん。今日の給料だ、取っとけ」

 

「ありがとうございました!!」

 

「いい働きぶりだったよ、明日もよろしく」

 

 近くのベンチに座って、お金を数えるユウマ。かなり入っている……

 

「これだけあれば、食っていけそうだな……」

 

 ユウマは笑ってそう言ってみせる。足腰も鍛えられるし、一石二鳥だ。

 

「さて……ご飯の材料買って帰るか」

 

 そう言ってユウマは、帰りにスーパーマーケットで材料を買ってから帰った。

 

「ふぅ。そういえば、白上さんは元気にしてるかな」

 

 ご飯を食べ終わったユウマが、ふと呟く。それから、学校の説明を見た。

 

「学校が始まるまであと28日か……バイトがない日に、どう過ごすかだな」

 

 しばらく考えて……ユウマは方針を決めた。

 

「よし、余った時間は勉強しよう。学校っていうくらいだからな。学業はつまり勉強だ、強さだけじゃ渡ってはいけんだろう」

 

 そう呟いてユウマは、また無料のネット動画で勉強を始めた。バイトをしながら、勉強をして過ごす。そして学校に行く一日前……

 

「さて……中々逞しくなれたな、ベクトル与えて軽くはしていても、持って歩くことまではどうにもならん」

 

 ユウマは腕も足も、ある程度筋肉がついていた。そして、この世界の知識も。

 

「あとは、俺の力がどの程度通用するかだな」

 

 『ベクトル付与』のポテンシャルを、ユウマは未だに理解できていなかった。なので、今日だけは能力の理解に費やすことにしていたのだ。まずはどこまでの物なら動かせるのか。家にあった車を見て、ベクトルを与えてみる。

 

「……浮け」

 

 ──フワァァ……

 

 ユウマがそう言って、浮くベクトルを与えた。すると本当にプカプカと自動車が浮く。

 

「どうやら、重さとかには制限がないらしいな……」

 

 ──ガコン。

 

 車を戻して、次の実験。ユウマは、自分を手鏡で見てみた。そして……自分自身に、上方へのベクトルを与える。

 

「浮けるか?」

 

 そう呟くと……ユウマは、本当に空に浮き上がった。

 

「おお、いけるんだな……よし、学園の下見だ。前へのベクトルを……」

 

 手鏡で自分を見ながら、ユウマは自分の体に前方へのベクトルを与えてみる。すると、ユウマはすごいスピードで前方に飛んでいった。しかし……

 

 ──ブァァァァァッ!!!

 

「むぉわあぁがががっ!?」

 

 ユウマは風圧で顔がすごいことになっていた。ユウマは急いで、目の前の空気に逸れていくベクトルを与える。

 

「ふぅ……風圧のことは考えてなかったな。ここが学校だな?」

 

 ベクトルを解除し、下へのベクトルでゆっくりと降り立つ。ユウマの学園への第一印象は……

 

「……デカい」

 

 ユウマの想像の1.5倍ほど大きい。恐らくは『バトルロワイヤル』のフィールドにもなるからなのだろうが、それにしても大きかった。

 

「それにしても……空気もいけるんだな、この能力」

 

 新しい発見をしながら、ユウマはスーパーに立ち寄る。明日のための『武器』をひとつ買うためだ。それは水である。

 

「あの時、ベルシリカには相当効いてたしな。効果なしってことはないだろう」

 

 それから、武器屋にも立ち寄る。買ったのはシンプルに、盾と銃と短剣の三つだ。

 

「とりあえずこれで行ってみよう。無理そうなら、また考える」

 

 ユウマはそう言って、それを鞄に詰めたあと……予め衝撃を受け流すベクトルを与えてから、飛んで帰った。

 

「……よし。あとは明日に備えて休もう」

 

 そう言って、ユウマは家に入ってテレビをつけた。すると……

 

『怪奇! ホロシティに謎の飛行物体!?』

 

「……人通りの少ないところを通るべきだったか」

 

 考え無しに飛んでみたことを、少しだけ後悔したユウマであった。そして次の日、ユウマは反省して飛ばずに歩いて登校した。

 

「さてと、間に合ったな。相変わらずデカい学園だ」

 

 ユウマはそう言いながら、学園内に入っていく。そして自分のクラスを見つけ、そこに入った。

 

「1-2か……こういう表記は変わらないんだな」

 

「……あれ!? もしかして、上村さんですか!?」

 

「ん? あっ、白上さん。こんにちは、元気そうでなにより」

 

 ユウマの席は幸いにも、フブキの隣だった。ユウマはフブキの隣に座って笑う。

 

「そちらこそ!! あの後お変わりないですか?」

 

「いえ、全く。白上さんに恐れをなしたんでしょうか」

 

「いやいや、恐れをなすなら上村さんですよ!! だってベルシリカを倒したんですから!!」

 

 そう聞こえたクラスの全員がザワつき始める。

 

「まさか、あいつがそうなのか……?」

 

「ウソだろ、とてもそんな奴に見えねぇぞ」

 

「でも、あいつはともかく……あの人が嘘つくようには見えないぞ」

 

 ベルシリカが何者かに撃破されたことは、全国的に報道されていた。しかし、それをやったのが何者なのかは誰も分からない状態だったのだ。

 

「あ、言ったらまずかったかな……」

 

「別に悪いこと言ったわけじゃないですし、いいですよ。隠してたわけでもないし」

 

「だけどよ、そんな奴が普通に入学してくるか……?」

 

 ユウマは信じてもらえても、信じてもらえなくても、どちらでも構わなかった。貪欲に人気を求めているわけでもないが、必死に隠してまで平凡な暮らしを求めているわけでもない。しかしそこで、一人の男子生徒が声を上げた。

 

「そんなわけねぇだろ、俺は信じねぇぞ!!」

 

「あ、高杉くんに目つけられた……」

 

「おいお前、上村だったかァ?」

 

 高杉と呼ばれた男が、ユウマに突っかかっていく。

 

「なんでしょう」

 

「お前、適当なホラ吹いて人気になろうって魂胆だろ? みみっちいんだよ!!」

 

「申し訳ありません」

 

 高杉はユウマにいちゃもんをつけているが、ユウマは相手にせず、適当に流している。これでも社会人なので、受け流し方はわかっているのだ。高杉はそれを聞いて気分を良くしたのか、嫌な笑みでユウマを見下した。

 

「ヘッ……案外理解が早いなぁ、褒めてやるよ!!」

 

「ちょっと、やめてください!! 白上の言ってることは嘘じゃありません!!」

 

「白上さん。いいですよ、僕のことは」

 

 ユウマはそう言って、フブキを諭したが……フブキは命の恩人を馬鹿にされた上、真実の功績すら否定され、一方的に笑われているのだ。まだ受け流し方を理解していないフブキは、耐えることができなかった。

 

「おい、白上ィ。俺が誰だかわかってんのか? 俺様はなぁ、高杉コーポの一人息子だぜ? それに歯向かうのがどういうことか、わかるよなァ?」

 

「いいえ、わかりません!! 私の命の恩人を、あなたにそんな風に言われたくない!!」

 

「チッ……温情かけてやってんのに、随分生意気だな。ただの獣人の癖に……」

 

 高杉の気分が急転直下し、一気に奈落の底に落ちた。青筋を浮かべながら、口でへの字を作っている。

 

「あなただって、お金持ちなだけのただの人間じゃないですか!!」

 

「さっきから言わせておけば……!! 一回痛い目見ないとわかんねぇみたいだな!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁ!!」

 

 怒った高杉に恐怖した生徒が、一目散に逃げてゆく。だが、当のフブキは全く引く様子がない。高杉はそれに怒りを募らせて、拳に魔力の光を宿らせた。

 

「喰らえ、パワーストライク!!」

 

「……そこまでだ」

 

「なに!? 俺の拳が……うぉぉぉ!?」

 

 ユウマは腕にベクトルを付与し、腕一本で高杉の拳を逸らしてみせた。受け流された拳の勢いのまま、高杉は地面に仰向けに倒れ込む。

 

「俺のことなら構わんが、可愛い子にそんなことをするのはいただけないな」

 

「テメェ、調子に乗るなよ……!?」

 

「こっちの台詞だ。親の功績だけで、自分が偉いと思うなよ」

 

 高杉は更に怒りを募らせ、もう一撃振りかぶる。

 

「このクソッタレがぁぁ!! ……ん!?」

 

「二度目は撃たせない。予備動作が大きすぎるんだよ」

 

「は、離せ!! このクソッタレ!!」

 

 掴まれた腕を解放しようと高杉が腕を振り回したが、ユウマは高杉の腕を握る手に圧力をかけているので、絶対に離れない。

 

「離さない。お前が殴るのをやめるまではな」

 

「くっ、くそぉぉ……!! 畜生ッ!! わかったよ、やめればいいんだろ!?」

 

「それでいい」

 

 ユウマが手を離す。高杉の握られていた腕の部分に、くっきりと手の跡がついていた。負け惜しみを言いながら、高杉が席に戻った。

 

「覚えとけよ、畜生……!!」

 

「バトロワでは期待しとくぞ」

 

「……ごめんなさい、上村さん。余計なお世話でしたね」

 

 フブキは、自分の感情的な行いを恥じた。フブキは、自分だけなら殴られても、別によかった。しかし結果として、ユウマの手を煩わせることとなっていた。

 

「まぁ、歯に衣着せぬ言い方をするなら……そうですね。ああいう時は、適当に気分良くさせて放っておくのがいいんですよ」

 

「はい……ごめんなさい。白上は、やっぱりダメなやつだ」

 

「だけど……その、仲間を思う気持ちはいいと思いますよ。だから、そんなに自分を責めないでください」

 

 ユウマはそう言って、フブキのフォローをする。フブキは下を向き、震えた声で言った。

 

「ありがとう……ございます」

 

「あと、ユウマでいいですよ。上村さんなんて、なんか堅苦しくていけない」

 

「……じゃあ、私もフブキでいいです」

 

 二人は一悶着ありながらも、友情を築いたのだった。

 

「それじゃよろしくな、フブキ」

 

「はい、ユウマくん……!!」

 

「みんないるな? よし、まずは挨拶だ」

 

 そこで先生が来て、クラス全員がそちらに向き直る。ユウマの学園生活が、ここから始まる。





 学園生活、スタートです。

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