【ダイジェスト版】「助けてノノえもん!」シーズン1〜3 作:春画屋@二次創作R18
あとはエピローグでシーズン2完結です。
「————っ!」
突然、脳を貫いた激痛。そして、「
「思い出した……「本当の
そう、俺は忘れていた。
俺がノノミに情けない声で頼めば、「じゃじゃ〜ん! これで解決です☆」と何かを出して助けてくれる。同じように、便利屋のアルが「な、何ですってー!」と顔芸を披露し、ムツキがケラケラ笑い、カヨコがため息をついてオチがつく。『ブルーアーカイブ』の世界観と『俺』の世界観はよく似ている——そう思っていた。実際、そうかも知れない。
でも、
「先生! 一気に思い出してはいけません! あなたの中には、危険な記憶がたくさん封印されているんです! 思い出した瞬間、それこそ世界の全てが変わってしまうような……!」
「『エデン条約編』……『最終編』……何で忘れていた……? 本当の……——」
「それは……『メインストーリー』は、けっして「本当の物語」ではないんです! ゆっくり……ゆっくり思い出してください。先生がちゃんと受け止められるよう、ゆっくりと……」
——そうだ。俺の記憶の中で欠落していた、vol.3以降のストーリーが、どれもショッキングなものだとしても、元はプレイヤーとして一度は読んだ話だ。いきなりキツいネタバレを食らったようなものだと考えれば、落ち着いて一つ一つを順番に、ストーリーを読み直すように思い出していけば、そこまでのものじゃない……はずだ。無害なものから……『補修授業部』……『トリニティ』……『ティーパーティー』……『SRT特殊学園』、それに……。
アロナに言われた通り、俺は劇物を扱うように注意深く、俺の記憶に眠る
その設定が明かされたのはいつだ? 俺の記憶の中にはなかった……なら、vol.3あたりか?*1 そりゃ、ガチの死人が出てもおかしくないような「世界観」が前提なら、ストーリーのジャンルだってコメディからまるっきり別のものに変わってもおかしくない。くそ、そんなことまで忘れていたなんて……。
記憶の中から掘り起こしたキーワードの意味を、正確に理解してはいけない。頭の中に浮かんでくる、『メインストーリー』に起きる悲劇的なイベントを、嫌でも
それらの単語の一つでもはっきり認識した瞬間、「「ブルーアーカイブの物語」の世界観は、本来、「死」や「殺人」という概念を許容するものであり、そうでなければならない」と感じてしまい、俺が望んで維持してきた、
『*イローを破*する爆*』、『巡*ミサ*ル』、『トリ*ティの*切り者』、『名も*き神々の*女』、『虚*のサン*トゥム』、『神*が、*怖へ反*』、『*彩の*導者』……。*2。
苦手だったとか、メインストーリーをちゃんと読んでいなかったとか、そんなレベルの話じゃない。ブルアカをプレイしていて、対策委員会編やゲーム開発部編までしか覚えていないうえ、それもうろ覚えで、なんてありえるか? ネットやSNSで評判になった、ブルアカを名作と言わせしめたストーリーの転換点——『エデン条約編』と、それ以降のストーリーを、プレイヤーの俺が
いくら俺が適当だからって、『アロナの出席簿』のことや『シッテムの箱』とは何なのか、そんな常識的なことまでうろ覚えなんて、ありえるか? 普通のブルアカのプレイヤーならそれだけで、「何だこいつ」と呆れてしまうような、バカバカしい「主人公」——『俺』だ——の
急激に流れ込んできた記憶、そして、いきなり明かされた真実で、頭がパンク状態になる。
「俺がこれを全部はっきり思い出したら、
——「知らない」ままなら、「思い出さない」ままなら、何も起きず、こんな風に俺の「世界観」は壊れなかっただろう。きっと、何かの形で俺が元の世界に帰ってしまうまでの間、ずっと維持されていたはずだ。そう、俺が
「先生……私はもう大丈夫です! もう泣きません! だから先生は、つらかったら元の世界に帰っていいんです! 先生がこの世界を「嫌な世界」だと感じてしまう前に! 自分のせいで、そんな世界にしてしまう……そんな風に思ってしまう前に、もっと楽な形で! 今なら……」
「私からもお願いします! 先生の精神はこの平和な『ブルーアーカイブ』の世界に慣れきっているんです! 一度にそんなに多くの情報には、精神が耐えきれないんです! 心が閉ざされてしまう前に、この世界をいい思い出として持ち帰れる内に、「元の世界」に戻ってください! 後のことは、本当に心配ないんです! 『シッテムの箱』を持った『
よほど苦しそうにしているのだろう、アロナとノノミが取り乱している。
——なぜ俺は『トリニティ』との縁が極端に薄かった? なぜ俺は『黒服』と友人になれた? ノノミが出してくれた『
俺はようやく理解した。
『連邦生徒会長』がいたから何も問題は起きず、治安も悪化せずにすんだ。ノノミが助けてくれるから身の安全は保証され、「大人のカード」を使う必要もない。そのおかげで、ストーリーを重視するプレイヤーからは異端に見えるかも知れない、
俺はキヴォトスでの平和な生活と、ノノミたち一人一人のことを考えていれば良かった。周りの危険から
そして、そんな世界を……
「お前たちが、俺の居心地のいい世界を、壊れないように守ってくれていたのか……。世界に新しい因果や「
「先生……!」
ノノミは、ここまで俺に「教えない」ことを徹底する必要はなかったはずだ。俺は望むだけこの世界にいてよかったし、帰っても良かった。いつでも元の生活に戻ってよかったし、あとのことを心配する必要もなかった。『俺』は本当に、
——そんな風に、全部『お前』がお
ノノミが俺に何も教えずにきた理由が、やっと分かった。ノノミは他の何よりも、俺にこのことを教えることで「俺が望む世界」が壊れてしまうことや、そのことで俺が苦しむのを嫌がっていたんだ。だからノノミは、俺がこんな事情までは「知らない」ままで、あるいは、「知る」にしてもこんな風に俺が苦しんだりしないようにして、いつか安全に『現実世界』へ送り返すつもりだったんだ。「ノノミのために、ずっとこの世界にいる」——俺がそんな選択をする可能性を見落としてしまったにせよ、自分なりに俺のことを考えて。
「ぐっ……!」
激しい頭痛だけでなく、身体に何とも言えない——肌の表面だけが「ズレ」て分離する感覚とでも言おうか——違和感を感じ始めた。運が悪ければ、『現実世界』と『ブルーアーカイブ世界』の両側に引っ張られて、『俺』という存在そのものが引き裂かれてしまいそうな、そんな嫌な感じがする。おそらく、こんなヤバい状況のために「強制帰還」ってものがある。ということは、いざとなったら、無理せずそれに身を任せれば、比較的安全に『現実世界』に帰れるはずだ。なら、ギリギリまで出来ることをする……。
——よく考えろ。俺は何のためにこの話を聞くことにした? ノノミが泣いているのを、何とかしてやりたかったからだ。こんな風に、余計に泣かせるためじゃない。こんな別れ方をするためじゃない。なら、まだ帰るわけにはいかない……!
アロナが何か叫んでいる。
「先生! 「本当のブルーアーカイブ」や『メインストーリー』を意識しすぎてはいけません! 落ち着いて聞いてください!
何の話だ? お前、いちいち説明の仕方が
「そして、その「決められた道」をたどるためには『シッテムの箱』が必要不可欠なんです! 戦闘指揮の手段というだけではなく、『現実世界』からプレイヤーが「先生」として擬似的に操り、『カフェ』や『スケジュール』、『ガチャ』などの機能を使って、『ブルーアーカイブ世界』に因果を生み出し、自分なりの「生徒」との出会いや物語——「分岐した道」を作るための機能、それが『シッテムの箱』なんです*4。そして同時に、『メインストーリー』という
『メインストーリー』とか『シッテムの箱』が何だってんだ。俺が今考えてることなんて一つだけなんだから、もう余計な話はやめてくれ! 俺が今一番に考えなきゃいけないことはそれじゃない。それは目の前にあるんだ……!
「ですが、
アロナの話を聞こうにも、痛みで集中出来ない。しかし、何の話かは大雑把になら分かる。
「ノノミさんやこの世界そのものが、『シッテムの箱』に代わり、「ご都合主義」という、あなたのための「力」となりました。あなたは正当に与えられた「力」を使い、望まない事象を回避し、自分の望む「道」を作り上げてきました。それは、『メインストーリー』という、もともと「用意されていただけの道」とは違って当たり前なんです。
「だから何だ⁉︎ 何が言いたいのかわからん! 一言で言えーっ!」
頭痛が酷い。さらに、違和感だけじゃなく、身体が熱くなってきた。火照り、そして、いつか——いつだろう——感じたようなかすかな浮遊感。多分……『現実世界』へと強制送還させられかけてるんだ。俺は不法滞在してる外国人かよ。
「ですから、あなたは——」
「先生は、ちゃんと『シャーレの先生』でした! だから、苦しいのにそんなに無理をして、
アロナの言葉を遮って、ノノミがそれを引き継いだ。まったく……! 何のことはない、やっぱり二人して「帰れ」って言ってるんじゃねーか。俺がいてもいなくてもいいってのは、よーく分かった。俺じゃなくても、『シッテムの箱』を持った『
しかしなあ、自由自由と口では言いながら、無理矢理追い返そうとすんなよ。だったらいっそ、「意地張ってないで、とっとと帰れ」とでも言って、クビにでもすりゃいいんだ——
「——あー! 頭痛ぇ!」
「先生⁉︎」
ゴスッ、と派手な音を立てて、俺は頭を打ちつけ、そのままテーブルに突っ伏した。ひたいに感じた新しい痛みで、いくらか頭痛がまぎれる。
「せ、先生は……そうやって、一度自分が何かしなきゃいけないと思うと、すぐ無理をして……。いくら私がダメだって言っても聞かなくて……。やっぱり、教えてはいけなかった……」
ノノミが泣きながらそう言うのが聞こえる。
——そういう話じゃないんだって。別に、ノノミが思ってるほど義務感とか使命感なんて感じてないよ。どっちの世界にいてもいい、なんて言われたら大して迷わないし、何か事情があるならそれでいいって人間だ。他に何も理由がなければな。
俺、ブルアカはとにかくキャラが好きでやってただけで、生徒同士でガチで争ったり裏切ったり、憎み合ったり、そんな嫌なもんをゲームじゃなく生で見たら、確かにそんな世界は嫌になっちまうかも知れねえ。壊れた「世界観」のままで『シッテムの箱』がなければ、それこそ死ぬかもしんねえ。
——でも今は、そんなの全部どうでもいい! まずやることが目の前にあるんだ! 他のことはその後だ!
俺は、気合いを入れて、精一杯の声で叫ぶ。
「——今なら安全に帰れても、『俺』がいなくても
「え……? せ、先生……私……?」
はぁ。大声を出したら、頭が少しスッキリした。まったく、こっちの言い分を聞けよ。この二人は……。
「あたた……。俺は、この世界がどうとか責任がどうとか、一言も言ってないだろ……。そもそも、ノノミが言えないことがあってつらそうだから、何でも打ち明けてくれ、って話だっただろ? 俺が元の世界に帰るとか、そういう話じゃなくて。あー、自業自得みたいなもんとはいえ、世界丸ごとの壮大な話を、
「は……はい。先生こそ……大丈夫……?」
実はあんまり大丈夫じゃない。しかし、少し驚いたような顔のノノミを見ると、力が
「じゃ、あとは予定通り記憶をもう一度消せば、一緒にいられるな」
「えっ……一緒に……? で、でも、それだといろいろと問題が……」
「問題があるかは、今から判断する。まずは一度、俺の記憶を消去して、話を聞く直前の状態まで戻す。そうすれば、壊れかかった「世界観」は、元の状態と同じものとして出来上がるはずだ。そうしたら、後はそれを維持して、今までと同じように予定通りの
「ど、どうでしょう……? アロナちゃん」
「は、はい、おそらくはそれで……」
「それで許してくれる」というより、俺がそうするのを望んでるんだろう。多分、それで合ってる。さっきから、どうも思考パターンが読めるというか、だいたい分かる気がするんだよな……、『あいつ』の考えてることって。
一人一人の気持ちを大切に……なんて考え方の割には、どこかドライで達観した部分がある。一つの「事実」に、いくらでも解釈のしようのある、複数の意味や目的を持たせようとする。信用出来る誰かに自由に動いてもらい、自分はそれを見守りながら
柔軟な対応が可能だが、消極的な分、後手に回りがちで決め手に欠ける。そんな欠点まで含めた上で、個人的には
他にもいくつか、まだ分からないことはある。何で俺がここに来ることになったのか、『前の先生』ってのが何者で今どこにいるのか、何でノノミが「力」を持つ者なのか、などだ。しかし、「知らない」ことがかなり重要だと分かった今、これ以上は聞かないことにする。言ってないことには何か理由もあるだろうし、何より今は時間がない。必要以上に『メインストーリー』の内容を思い出したりする前に、早く頭の中を以前の状態まで戻さないと。
それと今までの俺に、どんな「ご都合主義」が用意されていたのかの確認だ。記憶をもう一度消して「世界観」を戻した後、それでどれだけ乗り切れそうなのか。
「アロナ……じゃないんだっけ? まあいいや。『エデン条約編』とか『最終編』にあたる事件って、回避しないとまだ起きる可能性があるのか?」
「い、いえ、Vol.1『対策委員会編』が強制的に終了して以降、そもそも明確な区切りはなくなっています! 前提とする状況は元のままですが、概念としての『連邦生徒会長』が配置され、『エデン条約』は問題なく、
「概念上ぉ? 何だそりゃ」
ともあれ、ゲヘナとトリニティに関しては対策は打ってあるようだし、あまり問題はないだろう。ただ、トリニティも含め、『ゲマトリア』や「悪い大人」ってのがキヴォトスにはいろいろいるはずだ。その辺は、「場」を用意するにしたって、出来れば排除したい……待てよ、『ゲマトリア』? その一人って、俺の「友達」の……
「また、本来は想定されていなかった「協力者」が『ゲマトリア』内に存在します! その方のおかげで、不確定要素として
そいつだ。ありがとう、黒服くん。また何か協力してくれてんのね。
「その「協力者」って、エロゲー大好きな不審者みたいな奴じゃないか?」
「は? エ、エロ……?」
「いや、何でもない。『黒服』のことだろ? あいつが最近会議で揉めてるって、やっぱ『マエストロ』とか『デカルコマニー』とかが相手だったのかな」
何のことはない、いろいろ反対されて話が進まないとかいつも
でも、俺が付き合ってきた、ブルアカの黒服とはかけ離れた、間が抜けていて、情けなくってエロゲー好きで……まあ、俺と付き合うにはちょうどいい「黒づくめのあいつ」は、わざわざ意味もなく俺のことを「友人」なんて呼ぶ性格じゃない。なら、「友人」として協力してくれている……そう思うことにしよう。
それに、裏にはBETAだの戦術機だの、死と隣り合わせの世界観が隠されている、危なっかしい王道学園ラブコメの、あのエロゲーの名作。ちょうどそれと同じような構造をした、
「『黒服』……あいつが『対策委員会編』でホシノの……えーっと、
「それは……」
少し言葉を
——お前が言っていた、「
「『黒服』さんと先生が知り合ったことで、後の展開がかなりやりやすくなったのは事実ですが、それは結果的にです。そのために出会うタイミングを早めたわけではありません……」
「んじゃ何でだろう?」
「その状況をデザインした『先生』にならわかるかもしれませんが……。あっ、そうだ! あなたが、「大人」も含め、この世界の全員と仲良くしたい、そう願っていたから、っていうのはどうでしょう!」
「おお、よし、それでいいや!」
「……うんうん! みんな仲良くが一番ですね☆」
理由なんてどうせ決まったものはないだろうし、それでいい。この世界の全員と仲良く、なんてのは多分無理だけどな。そんなのは、今までの人生でいくらでも実感している。元の世界に帰っても、顔も見たくない奴らなんていくらでもいる。
それでも、状況が変われば仲良くできる奴もいる。少なくとも、利害の変化によっては争わないですむ相手もいる。そこを落としどころに、努力することも出来る。カヨコやアコ、ヒナ、言う機会があった連中には、そんな考え方を教えてある。エデン条約が特に問題なく締結されるなら、あとは本人たちがトリニティとうまくやってくれれば……そんな風に思う。あまり直接口出しはしたくない。
しかし、友だちってのはいいもんだって再確認したな。もし元の世界に戻ったら、エロゲー繋がりの連中でも集めて、飲み会でもやるか。出来れば『黒服』——あいつも連れていって紹介してやりたいもんだ。「素質がある」とか「エロゲー沼へようこそ」とか言って歓迎されそう。
「でも『黒服』さんに関しては自発的に動いている分、それも不確定要素にもなり得るのですが……。あっ、いえ、先生がとっても信頼しているのはわかるのですが!」
「そこまで頼り切ってるわけじゃないよ。ただ、イレギュラーの心強い味方が出来たな、ってだけ。他にも何人か、そういうのはいるし」
「先生はいつも、すぐ他人を信用してしまいますよね。周りが心配になるぐらい……。そうして、本当に
「そんなに、いつもか? ノノミが知ってる範囲で、そこまで酷かったかなあ……」
「
「そうか? まあ、そう思ってたなら、ノノミも黙っているのはつらかっただろう。でも、分かってるよな? 俺はお前に騙されてないし、裏切られてもいない。お前はただ、俺やみんなにとって言わない方がいいことを言わなかっただけだ。それで、言わずにいるのがつらくなって、俺を頼った。それだけだ」
「はい! 今度こそ、先生を信じて、その時が来るまで秘密を守ります! それでも、どうしてもつらくなったら、先生を頼ります!」
「そうそう。多少のことは大目に見るから、頼ってね」
……なんて、ちょっと甘いだろうか。まあ、誰かに怒られたら俺が怒られよう。それに、正直なことを言えば少し怖い。一度こういうことがあったから、というよりも、ノノミがあまりに優等生だから、また抱え込んでしまうのではないか、俺を頼ってくれないのではないか、それが怖い。何しろ、ただの「主人公」と「一ヒロイン」じゃない。
男女の仲ってのは、たやすく壊れてしまう。多分それは、俺の経験上ってだけのことじゃない。どこでもそうだ。俺だけじゃなく、ノノミももうそれを知っている。壊れやすいものと知っていれば、余計に疑心暗鬼になって自壊してしまう。本当に大事なものほど信じるのは難しい。失うのが怖いからこそ、冷静な判断が出来なくなってしまう。
それでも、失いたくなければ何度でも信じるしかないのだろう。信じようとして、足りない分は自分を信じよう。次に何かあっても、こうやって自分が何とかすればいいと。そもそも、どんな重荷を抱えていようと、ノノミはまだ子供で、俺は「大人」なんだから。
「んで、アロナ……じゃなくて『手乗りアロナちゃん』だっけ? お前と、『先生』——『前の先生』もいる。ノノミもいる。だから、さっきの話とかブルアカの知識とかをもう一度消しちゃった後のことは、お前らに任せちゃって大丈夫だよな?」
「はい! 任せてください!」
「一番心配なのは俺なんだよなあ。何も知らなくたってお前らの指示には従うだろうけど、こんな深刻な話だと、一度きれいに全部忘れちゃったって、ちょっと何かあったら悩みそうな気がするんだよな。意外と細かいことを気にする方だから」
「大丈夫ですよ☆ 先生の良くないところは全部知ってますから、私が
「そうそう。ノノミはどんなご都合主義の道具を出してくれるより、そういうのが一番頼りになるんだ」
そう。俺に関しては、ノノミがついていてくれりゃあ平気だろう。というより、ノノミがいないと意味がないんだ。俺は本当に、この世界にそこまで執着はないんだから。状況に応じて『現実世界』に帰ることになっても、そこで迷うことはないだろうし、ちょうどいい。俺にとって「こっち」と「あっち」が何か違うとしたら、それはノノミと一緒にいられる世界かどうかでしかない。こんなヤバい
「よし! じゃあ、この話は終わり! あとは俺の記憶を消すだけ!」
「じゃじゃ〜ん! 『絶対確実記憶破壊ハンマー』! あとは私にお任せです☆」
「必要以上に痛そうなやつ! あと消すだけで、完全に破壊はしちゃダメだろ⁉︎」
「大丈夫です、先生♪ 優しくしますから……♡」
俺とノノミの掛け合いを、取り残されたアロナ……もとい『手乗りアロナちゃん』が見つめる。
「あはは……何だか、私の入る余地はなさそうですね……。でもこれで、めでたしめでたし、です!」
そう。俺が頼めば、ノノミがとんでもない物を出してくれて、強引に解決してしまって、周りが「あはは……」と苦笑する。まだしばらくは、そんなオチのつき方でいい。「ご都合主義」で
→エピローグへ続く——