【ダイジェスト版】「助けてノノえもん!」シーズン1〜3 作:春画屋@二次創作R18
黒服によるこの世界の説明。
【前回のあらすじ】
こんなおバカな世界でも、たまにはいいお話や感動的なお話も存在する。そんなわけで、良かったね、ホシノ。で、今回は?
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——暗闇の中。そこに一人いるのは、『黒服』であった。目の前にぼんやり浮かぶのは、ミニチュアのように見える、小さなキヴォトス。
「クックック……。とうとうアクセスすることが出来ましたよ、『メインストーリー』……。これも全て、『先生』との交友のおかげ。やはり彼には、感謝しないといけませんね」
そこに黒服の言葉を聞く者は誰も居ない。しかし、黒服は気にしない風だ。目の前のミニチュアのキヴォトス——よく見るとそれは、少しずつ違ったキヴォトスが重なり合ったものだとわかる——を
「『メインストーリー』……なるほど確かに、これはキヴォトスに属する全ての者にとって、知ってはいけないものです。と同時に、知る意味など何もない。自らの行動の参考程度にはなるでしょうが……。
そう、『ブルーアーカイブ』とは「バッドエンド」にも「ゲームオーバー」にもならない、
「それは、「運命」や「未来」などという、「物語の中」でなら変えることも可能なものとは、全く違う話です。「終着点」とはこの世界を、三次元空間に時間軸を足して四次元的な解釈をした時の、時間軸上の片方の
黒服が、ククク……と笑う。
「通常の『ブルーアーカイブ』は例外なく、『キヴォトスの外』から『シャーレの先生』がやってきて、失踪した『連邦生徒会長』から与えられた『シッテムの箱』を手にするところを「始点」とします。ですが、ゲームがサービス終了しない限り、本来「終着点」は存在しないはずです。確かにこの世界の時間軸上で「終着点」と定められた地点——『最終編』の終わりは、「第一部」の終わりとも言える一つの区切りではあります。しかし、だからといってそこで強制的に物語を終えてしまうとは……。いや、どうやったのかはある程度の推測は出来ますがね。クックック……」
そこで黒服は、言葉を止め、誰かの声を待つかのように黙ってしまった……が、少ししてまた言葉を続けた。
「全ては既に決定されています。例えば、『ティーパーティー』の『
そう、百合園セイアの予知は、あくまでも「物語の中の未来」を知るに過ぎないのである。プレイヤーなら可能な、「ストーリーの先の展開」を知るような能力ではない。
「『ベアトリーチェ』の計画はどうやっても
そこで黒服はまた言葉を切った。しかし、応える者は誰も居ない。
「……とはいえ、それももはや意味のないことかもしれませんね。
黒服は、ミニチュアのキヴォトスに目を移す。それから視線を虚空へと向ける。その方向には、暗闇以外何もない。
「この「世界」は何も改変されてなどいない。三次元空間である『キヴォトス』も、ある意味ではそれと同じく、何も変わってはいないと言えます。ただ『メインストーリー』という「物語」が、『彼』を主人公とした「物語」へ書き換えられているだけです。別の表現をすれば、我々は『メインストーリー』という
柴関ラーメンが爆破されたままなのか、修復されたのか——そのような「物理的な違い」ではなく、『十六夜ノノミ』が修復したのかどうかという、「物語としての違い」として解釈すべきである……これが黒服の見方である。
「『彼』の上司——失踪したはずの『連邦生徒会長』は、今も実在はしていないはずです。「概念として」存在している、などという抜け道は考えられますがね……。実在の人物として居るはずの場面以外なら、
既に便利屋68の
「しかしそれだけでも、多くの好ましくないイベントの発生を抑えられたでしょうね。混乱し、腰の重いままの『連邦生徒会』を、『シャーレの先生』の求めに応じて素早く対応させるだけで。例えばアビドスの一件。私がどうやっても小鳥遊ホシノの身柄を確保出来なかったのは、『連邦生徒会』の素早い介入が原因だったはずです。『彼』の友人となり、既に自分の意思で行動することが出来た私には関係のない話ですがね。おかげで意味のない悪行に手を染めずにすみました。クックック……」
黒服は、少し大きめの箱を取り出した。箱には、五名ほどの美少女キャラが描かれている。
「彼が教えてくれた、アダルトゲームというジャンル——この呼び名は品がないので好きではないのですが……いわゆる『エロゲー』。とても興味深いジャンルです。他の物語にはない、独特な構造……。「エロゲー」の物語は全て、「ヒロイン」とのセックスシーンへと集約され、そこに至るまでの全ての物語はセックスシーンから逆算されます。基本的にはノベル系ADVに限っての話ですが……例えば「ツンデレヒロイン」は、そのキャラとのセックスシーンをクライマックスとして、逆算してイベントや過去が設定されます。『ツン』から『デレ』るイベント、そのキャラが「ツンデレ」になるまでの過去設定……。この構造は、戦闘シーンをクライマックスとして、そこから物語の全てを逆算する『ロボットアニメ』や『時代劇』などの様式美に通じるものがあります。一般的なイメージに反し、非常に高度な技術によって描かれる、それらの物語……」
黒服は箱をしまった。
「そして、この『ブルーアーカイブ』の「物語」は、いわば『R-18版ブルーアーカイブ』とでも呼ぶべき「物語」へと変わりつつある。『学園と青春のRPGの物語』は、『学園と青春のエロゲーの物語』へ変化した。『彼』をとりまく全ての物語は、ヒロインとのセックスシーンから逆算され、それに合わせて「都合のいい」改変が行われます。あるいはその改変は、過去に
黒服は言葉を切り……しばらくの沈黙の後、キョロキョロと周りを見渡した。少し不審者っぽい。
「…………。例えば……いざという時にコンドームを持っていなければ、「
そして黒服は、返事のないこの空間に苛立つように、少し言葉を荒げて言った。
「まだだんまりを決め込むつもりですか? 聞いているのでしょう? いや、
突如として、黒服に不可思議なメッセージが伝わった。それは言葉ではなく、いくつもの意味を一つにした、何とも形容しがたい特殊な伝わり方をしたが……
【はじめまして、黒服】
【ごめんね、つけっぱなしのまま放置してた】
【後でログ読んでおくから、またね】
あんまりな内容に、黒服は一気に脱力した。
「わかりました……。ずっと聞いていると思って
そこでふと、黒服の脳裏に一つの考えが浮かんだ。
——この、会話していていきなり脱力するような雰囲気、どこか似ている……? まさか、『前の先生』の正体とは……? だとしたら『彼』とどんな関係の……? ……いや、何にしても今出せる答えではありませんね……。
「……クックック。私の本質は「探究」。所詮は『キヴォトス』の中に属する『神秘』や『恐怖』などに、もはや興味はありません。いつか教えてもらいますよ、『前の先生』。世界が『彼』を必要としていなかったにも関わらず、『彼』をこの世界に呼び寄せた理由、既に
と、黒服がそこまで独白した時だった。
【ありがとう】
【友達想いだね、黒服は】
【ツンデレだね、黒服は】
「後でログで読むのではなかったのですか⁉︎ そして、私はツンデレではありませんが⁉︎」
彼の顔が照れで赤くなった……かどうかは定かではないが、思いっきり慌てるその姿が、彼の本質が何か(「探求」っぽくはない)を雄弁に物語っていた。
「私はあくまで、探究心のために……! 別に、彼とノノミさ……十六夜ノノミの平和な生活を守ろうとか、そういうわけでは……!」
黒服の必死の反論がむなしく響くが、少なくとも「友達」——『彼』のことが大好きなのは確かである。その友情がどんな結果を生むのか……それはまだかなり先のお話。
そんなわけで、ひとまず今日もこのブルアカ世界は平和である。
最後のいくつかの疑問点はシーズン2最終回で謎のままだった話です。
記憶を再消去する前の主人公いわく「そんな理由でプレイヤーを呼ぶ先生なんてお前ぐらい」とのこと。
明かされるのはだいぶ先です。ヒントはもう出てます。
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今までアロナ・ノノミの話した内容、ホシノ・カヨコ・黒服の考えた仮説なんかは、同じ世界観をそれぞれが解釈したものです。表現などが違うだけで、基本的にはどれも正しいです。
ざっくり言うと、
アロナ・ノノミ:「ゲームオーバー」等、ゲームの概念が通用する「異世界」
ホシノ:「世界」とは目の前にある「事実」が全て
カヨコ:「テキスト依存のゲーム」の法則で動く「世界」
黒服:「本の中の物語」、あるいは「時間軸上を移動する道」
主人公(先生)は、
「世界の解釈なんかより大事なことがある」
という良くも悪くもシンプルな考え方であり、だからシーズン2の最終回で
あくまで彼の考え方であり、絶対の正解ではありませんが、