※この作品はR-18です。

【ダイジェスト版】「助けてノノえもん!」シーズン1〜3   作:春画屋@二次創作R18

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1ー4:それはこの物語の『本質』あるいは『はじまり』[★90]

 

 ——アビドス高等学校。

 

「それでは、皆さん。私と先生はお先に失礼します~☆」

「すまんな、みんな。俺たちは買い物があるから……」

 

 対策委員会の他のメンバーには少し申し訳ないのだが、これから俺はノノミを連れて、二人っきりで買い物に行くことになっている。うん、二(・)人(・)っ(・)き(・)り(・)で。……ノノミがあまりに俺にベッタリなので、周りとうまくいっているのかが少し心配だ。まあ、俺なんかよりよっぽど——対策委員会の仲間たちに対しては尚更(なおさら)——、気配りの出来るノノミがいいって言うんだから、いいんだろう。

 

 そんなわけで俺は今、現役女子高生の彼女と下校デートに行く前に、その彼女が友達に「ごめんね、今日は〜」なんて謝っている……そういう現場に居る気持ちだ。気持ちっていうか、ほぼそのままの状況だ。

 

「うへ~、お熱いね、お二人さん。いかにも青春って感じで、おじさん眩(まぶ)しくて二人を見れないよ~」

 

 いや、青春って年じゃないから恥ずかしいんだがな? 普通に。

 

「ホシノ先輩はちょっと老成しすぎっていうか……私たちとほとんど年齢変わらないじゃないですか……」

 

 俺もアヤネの言う通り、おじさん(ホシノ)はもうちょい女子高生らしくした方がいいと思う。……が、まあ、あれはあれでいいんだろう。管轄外のことに口を出してはいけない。

 

「まあ、存分にイチャイチャしてくるといいわよ! こうやってみんなが帰りに『柴関(しばせき)ラーメン』に行けるのも、私のバイト先が完全復旧したのも、みんなノノミ先輩のおかげだし!」

「あれは、おじさんもビックリだったよ〜。まさか、柴関ラーメンの店舗が一瞬で復活しちゃうとはね〜」

「そうそう! ノノミ先輩カッコよかったなあ! 華麗に、「じゃじゃ〜ん☆ 『アットイウマニ・ナオシチャウ』〜!」なーんて、ゲヘナの便利屋に爆破されて跡形もなくなってた店舗がまさかの大復活! 大将も、これで万全の接客が出来る! って、張り切ってたし!」

 

 毎度、ノノミがどこかから持ってくる胡散臭(うさんくさ)い道具、何を狙ってんのか知らないが、製造元はネーミングセンスをどうにかした方がいいと思う。今からでも担当者を変えるとか。

 

 それにしても最近のセリカは、ノノミがどんなとんでもないものを出しても動じなくなったというか、憧(あこが)れてすらいるように見える。「じゃじゃ〜ん☆」とかノリノリで真似してるし。あいつ、ああいうどっから見ても99%詐欺だろ、みたいなもの好きそうだし。いや、ノノミのは残り1%として。とにかく、他所(よそ)で騙されなきゃいいが。……アヤネももうこのノリに慣れてきちゃったか? ま、みんな楽しそうで結構。

 

 キヴォトスでの生活は相変わらず、特に何か起きることもなく、いたって平和なものだ。ゲヘナやミレニアム、他の学校からもシャーレ所属の子が増えてきたので、仕事の量は増えつつあるが、大した内容ではない。事務仕事に、連邦生徒会への報告や申請、モモカから押し付……もとい依頼された仕事など。あとは、いろんな部活の手伝いや生徒に会うために各学園に出向いたり。その程度だ。『シャーレの先生』というのは結構気楽な仕事らしい。

 

 大きなことといえば、カイザーコーポレーションなる企業とちょっと揉めたことぐらいで、それもすぐ解決してしまった。一応、実際に動いたのは俺だが、うちの連邦生徒会長さんのご威光があれば大抵のことはかたがついてしまう*1。どっちかというと、何で今まで放置してたんだって話だ。アビドスの借金問題も、最近知り合って仲良くなった友人が何とかしてくれたので、ほぼ解決してしまった。

 

 なお、一応俺は「先生」のはずなのだが、全く尊敬されていない。まあ、特に活躍してないからな。アビドスの件も、どっちも俺が威張(いば)るような話じゃないし。あとはミレニアムのゲーム開発部をちょっと手伝ったぐらいか。あっちでも遊び相手としか認識されてないようだが、そのぐらいの方が気楽でいい。

 

 そんなわけで、女子高生たちがきゃいきゃい騒いでいるのを、ぼーっと見ながらノノミを待つ。

 

 と、

 

「……何? シロコ」

 

 輪に加わっていなかったシロコが、何か言いたげにこっちを見ていた。こいつもなあ、本人はいたって楽しそうなんだが……。

 

「ん、何でもない」

 

 ……怖い。あの無機質な目、変わらぬ表情、目的のためなら他の一切を捨ててでも遂行しそうなあの目……。怖い。

 

「先生」

「……何だ?」

「ん、夜の一人歩きには気をつけて」

「ふらふら無防備に出歩いてると、男を逆レイプするようなヤバい女に襲われるとか?」

「そんなところ」

 

 平然と肯定しやがった。それお前だよな? お前が俺を無理矢理犯すつもりで言ってるんだよな? あああ……! もう次こそは、俺の貞操が危ない気がする!

 

 ていうか、次で何回目だ⁉︎ 俺が一人で行動してる時に限って現れては、何だかんだ理由をつけて押し倒してきやがって……! 今までは奇跡的に無事だったが! 前回とうとうズボンを脱がされ、危うく大事なものまでポロンしそうになった時は、舌を噛(か)もうかと思ったわ!

 

「アビドスではよくあることだから……多分誰も気にかけないし、助けてくれない」

 

 ねえよ! そんなのがよくあるとか、どんな街だよアビドス! 完全に風評被害だろそれ!

 

「あと、そういうことする人間は、事前に万全の準備をして、万全の計画を立てて、絶対に邪魔の入らないようにするはずだから、もし襲われたら早めに観念した方がいい」

「それ、やろうとしてるのお前だよな⁉︎」

「ん」

 

 とうとう言葉に出してツッコんだ俺に、シロコは力強く頷(うなず)いた。頷くなよ!

 

「先生、シロコちゃんと仲良いね〜。おじさん嬉しいよ」

「仲良くないが⁉︎」

 

 女子高生(俺)が連続レイプ魔(シロコ)に話しかけられてるようなもんだぞ⁉︎ 笑えねーよ! 「銀行を襲うよりよっぽどいいよね」ですむ話じゃないぞ⁉︎ 銀行を襲われても困るけど!

 

「ん。もう少しで先生と私の親密度が上がる」

「あのな、無理矢理そういうことすると好感度はむしろ下がるんだぞ?」

「わかってる。男女の仲は肉体関係を結んでからって聞いた」

 

 どこの誰だ、んなこと吹き込んだのは。いい加減ノノミに直に訴えて、何かしらシロコに対抗できるだけの物騒な物でも、出してもらった方がいいかもしれん。まあ、シロコに関してもこんな感じなので、楽しそうではある。俺の貞操に問題さえなければ(そこが問題なんだが)平和だ。

 

 と、「せんせー☆」とノノミがじゃれついてきた。アヤネやセリカと盛り上がっていたのは終わったらしい。

 

「それでは先生、行きましょう☆」

「おう。んじゃまず、ショッピングモールから行くか」

「はい!」

 

 そんな俺たち二人を、アヤネ、セリカ、シロコ(も一応)が、行ってらっしゃ~い、と見送ってくれる。

 

「うへ、先生、逮捕だけはされないようにね~」

「あの……おじさん、あんま怖いこと言わないでくんない?」

「ごめん、ごめん。……先生、「あの時」言ったこと、いつも忘れないで」

「ああ、わかってる」

 

 ——難しいことを考えるの、苦手なんだよなあ。そう思って、俺は楽しい楽しいノノミとのデートに頭を切り替えることにした。

 

 

------------------------

 

 

 ——数日前。

 

 俺は夜の学校におじさん——小鳥遊(たかなし)ホシノに呼び出されていた。彼女はいつになく真剣な表情をしている。いや、張り詰めた、と言った方がいいかもしれない。あんまりこんな表情は見たことがない。

 

「……話って何? おじさん」

「それなんだけどさ。……先生って私のこと、前(・)か(・)ら(・)そ(・)う(・)い(・)う(・)風(・)に(・)呼(・)ん(・)で(・)た(・)っ(・)け(・)?」

「え? ……ああ、『おじさん』っての嫌だったか? じゃあ、『ホシノ』って呼んだ方が——」

 

 と、そこで気がついた。そういえば、ブルアカの『先生』はホシノのことを何て呼んでいたっけ? 攻略サイトでもSNSなんかでも、みんな『おじさん』呼びしてたから、つい本人にもそう呼んでた。——って、え?

 

「……「前から」?」

「そう。先生はいつか話してくれたよね。自分は、『前(・)の(・)先(・)生(・)』じゃない、って。つまり、『先生』が『今の先生』になる前の話。先生は、『前の先生』とは違うところから来た、って。いまだに皆んなはそれを信じていないけど——」

 

 そう。俺は——おそらくは、だが——本来の意味で『キヴォトスの外』からやってきた『先生』ではない。

 

 俺はあくまで、もっと上位の世界である(というのは、あくまで俺の認識だが)、『現実世界』でスマホゲームとしての『ブルーアーカイブ』をプレイしていたそれだけの、ただの一プレイヤーに過ぎない。ガチャが出ないと言っては運営を恨み、ことあるごとに詫び石を要求し、たまに運営に苦情のお便りを送っていただけの、ただの一プレイヤーだ。うん、今になって運営には、めんどくせえプレイヤーだなって目をつけられてたかもしれないって思ったけど。

 

 だがしかし、包み隠さずそれを言っても、ノノミはもちろん、どの生徒も「先生、前は~」「前より〜」と、まるで俺がずっと『前の先生』と同一人物であり、その雰囲気がちょっと変わったようにしか言わない。全く話を信じてくれない。しかしこの言い方からすると、おじ……ホシノは……?

 

「信じてくれんの?」

「前から疑問には思っていたんだよ。それが今日、確信に変わった」

「確信に?」

「そう。でも不思議と今でも、先生は最初からずっと「先生」だった気がするし、そこに違和感は感じない。むしろ、そこで違和感を感じないことこそが、最大の疑問だと思ってしまうほどにね。だから私は、『柴関ラーメン』は壊れたままじゃなきゃいけないんじゃないか、って思った。きっと本来は直すべきものじゃなかったんだ」

「直すべきものじゃなかった……?」

「柴関ラーメンのことだけじゃない。この結末は、あまりにも出来すぎている。アビドスが抱える問題はほぼ全て解決、これからは昔みたいな、楽しく賑やかな毎日が戻ってくる。柴関ラーメンは元通り、敵対していた便利屋68(べんりやシックスティーエイト)も仲良く食べに来る。それどころかゲヘナ風紀委員会をはじめ、あらゆる敵対組織とも仲直り。今後、本格的な紛争が起きることも予想されない。こんなに都合の良すぎるハッピーエンドってあるかな?」

「都合の……」

「もちろん、それが悪いって言ってるんじゃないんだよ。ただ、今言ったように「都合が良すぎる」っていうのは、別の話だ。だからまずは、私のこの推論が正しいかを考えよう。それは、先生——『今の先生』が『ブルーアーカイブ』と呼ぶそのスマホゲームの世界から、完全に外の世界から来たと仮定すればある程度説明がつく。『キヴォトスの外』なんて表現ではない、もっと上位の世界から、なら」

「…………」

「仮にこの世界を、先生の言う『ブルーアーカイブ』というゲームの中の世界だとしようか。だとすれば、「プレイヤー」の視点からなら「ゲームの中」の世界を改変するぐらいのことは、おそらく可能だと思う。「ご都合主義」を積み重ねて、「都合の良すぎる」ハッピーエンドに導(みちび)くことぐらいはね。もちろん、そのための手段が先生のいた世界に存在するとしたら、だけど」

「…………」

「そして、改変をもたらしているのは間違いなく、先生とノノミちゃん——いつからか、先生の「望み」を何でも叶える、不思議な力を持った道具を出せるようになった『十六夜(いざよい)ノノミ』だということ。柴関ラーメンの店舗も、先生が「望んだ」から修復された。ノノミちゃんによってね。他にもきっとたくさんある。もしかしたら、私たちの知らない改変すらあるかもしれない。そしてそういった超常的な現象を、私たちが疑問をほとんど持たずに受け入れているのも、何らかの認識阻害の影響を受けて、そ(・)う(・)い(・)う(・)も(・)の(・)だ(・)と思い込まされているのかも。そうして、この世界は先生の「望む」形に改変されたとしたら——本当はアビドスのこの結末には、もっと違う形があったんじゃないかな。例えば、違う形のハッピーエンドや、ほろ苦いビターエンド……」

「…………」

「ただ、これはあくまで手に入る情報を整理した上で考えた、ただの推測でしかない。だからこそ、この世界の改変の中心にいる人物であり、『ブルーアーカイブ』の外の世界から来たっていう、先生に聞いてみたかったんだ。先生はどう思う?」

「…………」

 

 俺は、ずっと黙って話を聞いていた。そして、躊躇(ためら)いながらもやっと口を開いた。

 

「——俺は……。俺はそろそろ家に帰って飯食ってオナニーしてシャワー浴びて寝たい。ダメか?」

「…………」

「そんな目で見ないでくれ。俺だってオナニストじゃないから一人ですると虚しくはなるんだ」

「いや、そうじゃなくてね? 先生……」

 

 若干凹(へこ)むぐらいきつい目つきで睨(にら)まれた。いや、本気で言ったんじゃなくて、ちょっと笑いを取って場を和ませようと思っただけなんだが……。

 

 しかし、それはそうとマジで帰っちゃダメかな。話がよくわかんねえ。半分以上は聞いてなかったから、何を怒られてんのかわかんねえ。ノノミ、助けて。

 

「……よくわかんないんだが、俺が柴関ラーメンでトッピングに味玉と炙(あぶ)りチャーシューつけたいって言ったら、屋台じゃできないって大将に言われたじゃん? んで、俺が泣きそうな顔してたらノノミが店直してくれたじゃん? あれがまずかったの? んじゃ、次から注意するからさあ」

「いや先生、そうじゃない……。ああ、うん。炙りチャーシュー美味しかったね……そだね……」

「だろ?」

 

 うん、脂身の割合もいいし、表面の炙り方も絶妙な、素晴らしいチャーシューだった。ノノミが「野菜も取らなきゃダメですよ〜☆」ってタンメンの具を(あーんして)くれたけど、あれも美味しかった。いいハッピーエンドじゃないか? 俺の望んだ(らしい)『柴関ラーメン物語』。

 

「変わるにしても、いい方向に変わるんなら別にいいんじゃないの?」

「私もそう思うよ。みんなが幸せになれるなら、それに越したことはない。ただ、少しだけ心配なんだ。この世界が本来あるべき姿ではなく、徐々に改変されているとしたら、これからこの世界はどう変わっていくのか。先生はどう思う?」

「…………」

 

 この世界が(どういう理屈かわからんが)俺にとって都合のいい世界に改変され、今後もそれが続く……? もしそうなったらこの世界は……

 

「……この世界はきっと、俺がノノミと毎日のように中出しセックスしながら、いろんな女の子に手を出すエロゲーみたいな世界になると思う……」

 

 いい加減、真面目に喋(しゃべ)れって怒られそうな気がする。でも、自分でも酷すぎる結論だと思うが、そこはマジでそんな感じになる気がする。というか、既にそうなりつつある気がする。

 

「あ、やっぱそう思う? なら、いいや」

 

 いいんかい。

 

「先生を見ていれば、大それたことを望むようなタイプじゃないのは分かるし、ノノミちゃんだってそんな望みは叶えないでしょ? 何かあるとしても、せいぜい女の子とエッチしたいなあ、ってぐらいで、それだって嫌がる子に無理矢理したりはしないだろうし」

「そりゃまあ」

 

 そりゃそうだ。しかし、自分が言ったとはいえ、即答でこの世界が俺のせいでエロゲーみたいな世界になるってのに同意されるとちょっと凹むな……。

 

「あのさ、自分で言っておいて何だけど、俺ってそんなにエッチなことしか考えていない、ダメな大人に見える? 実際、ほぼその通りなんだけどさ」

「いや、実は私が最初に疑問を持ったのはそこなんだよ」

「え? そこ?」

「私の知っている『前の先生』は、胸を揉(も)みしだいてアヤネちゃんを泣かせるような人じゃない」

「ちょっと待って下さい、ホシノさん。そこは本当に故意でやったのではなく……いや、いいです」

「事実として言ってるだけだから、別に謝らなくてもいいんだけどね」

 

 女の子を泣かせた時点で、対策委員会内で有罪なのは確定しているので、この件についてはもう諦(あきら)めることにした。

 

「セリカちゃんのおっぱいを生で揉(も)みしだいたって聞いた時は流石にそれはまずくない? って思ったし」

「知ってたんすか」

「そりゃ知ってるよ。ノノミちゃんも怒ってたし」

 

 生でおっぱい揉んだだけでこんな感じか……。ホシノの耳には入っていないようだが、結局セリカとエッチしちゃったのを知られたらものすごく怒られそうだな。まあ、あれは保護者(ノノミ)同伴とかいう、わけのわからん状況だったが……。

 

「あとシャーレに出入りしてる他の女の子とも何かやらかしてそうだし」

「ノーコメント」

 

 実はエッチしてしまったのだが、その話は誰がどこまで知ってるんだろう。その日帰宅したら(施錠(せじょう)してあったはずなのに)何故かノノミがいて、「今日はどんな手段を使っても会いに来なくてはいけない気がしたので!」などと軽くホラーなことを言っていたのだが、あれは一応バレてはいないんだろうか。

 

 で、誰とエッチしてしまったかというと、『ミレニアムサイエンススクール』の『セミナー』の会計担当かつ、最初期の頃からシャーレに在籍している、早瀬(はやせ)ユウカ。そのむちっとした太ももの魅力に負け、土下座して触らせてくれと頼み込んだところ、何やかんやあって最後までエッチ(しかも割とマニアックなプレイ)してしまい、「ま、またしたいと言うなら、考えてあげなくもないのですが!」とツンデレ気味に言われたので、つい「やったー! ユウカ(の太もも)大好き!」などと反射的に返してしまったりと……。

 

 どちらも向こうに押し切られたような形とはいえ、セリカの話といいユウカの話といい、本当にダメな奴だな、俺は。やったー、じゃないよ。ノノミがやきもちをやきそうなので、一応それ以外は真面目に生活しているつもりなのだが。俺はそのつもりなのだが。

 

「便利屋68の女の子たちとも仲良さそうにしてたし」

「俺もあの辺とは、いずれ何か起きないか心配にはなりました」

「ゲヘナの風紀委員会の人たちとも面識があるみたいだったよね」

「正直、あの風紀委員会はむしろ風紀乱してそうなのばっかに見えて怖いです」

「シロコちゃんには向こうから押し倒されてそうだし」

「ああ、それはまだ大丈夫だ」

「え、嘘、マジで?」

「まあ、俺の貞操が奪われるのもそろそろ時間の問題かなって最近思ってるが」

「でも、まだだったんだ。良かったね」

 

 シロコがマジでヤベーってのは、おじさんにもそう認識されてるんだな……。犯されててもおかしくないと思ってるなら、おじさんからも何か言って欲しいんだが。

 

 そんなわけで、何かされそうな雰囲気の時は、こちらが逃げている。シロコにしても便利屋にしても風紀委員会にしても、「こいつとエッチしたい!」なんて現時点では(全くとは言わないが)そこまで思ってないんだが、何しろ相手は、身体能力でこっちが勝てるはずのない、キヴォトス人。万が一、向こうがその気になったら、力づくで犯される。全力で逆レイプしてきそうなシロコほど危険なのは、流石に他にはいないと思うが。まあ、ノノミを決定的に怒らせなければ俺は何でもいいんだけど……ん?

 

「どしたの、先生?」

「いや、こんな時間にモモトークが……。誰からだ?」

 

 ……確認したところ、アコからだった。『今からすぐこちらに来てください』とのこと。『嫌だ』と返信しておいた。おじさんならともかく、こんな夜中に呼び出してきて何するつもりだ、あの女。

 

「大丈夫? 先生」

「大丈夫、大丈夫。大丈夫なようにしておいた……何だよもう」

 

 またメッセージが来たと思ったら、案の定アコだった。何かキレていたので、『五月蝿(うるさ)い』と返しておいた。……他にも未読があるな。誰だこれ。……うん? これは……。

 

「大丈夫?」

「いや……うん、まあ……。返事は後でいいや」

 

 チナツからだった。うかつな返信をするととんでもない地雷を踏みそうなので、後でゆっくり考えて返事しよう……。『前の先生』がどんな付き合いしてたんだか、毎回やけに親密なメッセージがくるんだよな……。

 

 とりあえず、ゲヘナ風紀委員会のところに行く時は気をつけた方が良さそうだ。やはり危ない。

 

 そういえば、こっちからも聞きたいことがあるな。聞いてみるか。

 

「なあ、おじさんは『前の先生』のことを覚えてんの? 俺とは別人だって確信はあるみたいだけど」

「いや、みんなはもちろん、私も『今の先生』と『前の先生』を認識レベルで区別することは出来ていないんだ。何しろ見た目から何から全く同じで、服のセンスや細かい仕草(しぐさ)まで一緒だからね。少なくとも、そ(・)の(・)よ(・)う(・)に(・)見(・)え(・)る(・)*2。先生の言うことを信じて、こんな話をしている自分がどうかしてるとすら思うんだ。でも、間違いなく『前の先生』と『今の先生』は別人だと疑うだけの根拠が私にはあるんだよ。これはおそらく、先生が自分がこの『ブルーアーカイブ』の世界に来た、と認識する前の私たちの記憶なんだと思うけど……先生、聞いてる?」

「聞いてる、聞いてる。前野先生が妊娠レベルで……何だっけ」

「あのさ、そっちから聞いておいて、もしかして眠いの? 何なの、前野先生が妊娠って」

「ごめん、眠い」

 

 おじさんの話、難しい上に長いんだもん……。悪いとは思うけど、こっちはちょっと聞いてみただけなのに。そして眠い。自慢じゃないけど、俺は学校の授業では最前列の席で教師の目の前で居眠りしてた人間だぞ。もうやだ、帰りたい。今こそノノミに都合よく出てきて欲しい。

 

「とりあえず、出来れば話はわかりやすくコンパクトにお願いしたい」

「じゃあ、あの時私がこう言ったの覚えてる?」

「あの時……?」

「そう、あの時私は——」

 

 ——そうか、思い出した。あれは確か、ブルアカの『メインストーリーVol.1 対策委員会編』で、アビドスの教室で借金返済計画を話し合っていた時のことだ。学校の借金を返済するための計画を会議していた時、スクールアイドルがどうとかいう案が出た(ノノミの案だった気がする)。その時、ホシノがアイドルやったらウケるんじゃないかとか、そんな話になった時だ。確かにホシノはこう言った。

 

『うへ~、こんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない』

 

 そのセリフを見て、よし、俺はおじさん管轄外だし、セーフだ、セーフ! と思ったのを思い出した。その事実を告げると、ホシノは「『今の先生』はそう認識してるんだね、なるほど」と、えらくあっさりしたリアクションで、言葉を続けた。

 

「——その時『前の先生』は、私のことをめっちゃ性的な目で見てきて怖かった。ぶっちゃけ身の危険を感じた」

「ちょっと待て。それは相当ヤバい奴じゃないのか」

 

 いやマジで、『前の先生』何してんだよ。

 

「うへへ、ごめんごめん。ちょっと話は盛ったけどさ、先生は私に全くそういったものを感じてないよね? それも失礼な話だとは思うんだけど」

「そこで区別しちゃっていいんだろうか」

 

 俺はしょうがないとして、『前の先生』も酷い印象を持たれてんな。

 

「まあ、正直俺は、前世(?)でもおじさんのエロ画像は集めてなかったんで」

「あのさ、さっきからスルーしてたんだけど、そこ、私は怒った方がいいところなの? かなり失礼なこと言われてる気がするんだけど。何? 興味ないってこと?」

「いや……自分のスケベ画像を俺がいっぱい持ってると思ったら嫌でしょ……?」

「そもそも聞きたいんだけど、先生のいた世界って私たちのいかがわしい姿の画像がそんなに出回ってんの? ヤバくない?」

「ヤバくない、ヤバくない。ブルアカの二次ガイドラインとか、確かかなり緩(ゆる)いから。おそらく多分」

「ガイド……?」

 

 どことは言わないが、権利がよくわからないところは大変だな、と思う。でもエロが禁止されると、着衣とか太ももとか濡れ透けとか、日本人が新たな性癖を開拓できるのはいいことだと思う。

 

「俺とはだいぶ違う奴がいたらしいのは分かった。で、よく印象が変わったって言われるんだが、そいつってどんな奴だった? おじさんから見て」

「いい先生だったよ。書類仕事は苦手だったけど、生徒のためなら身の危険も顧(かえり)みず、迷わず戦闘の指揮を取ってくれたし」

「……おう」

 

 書類仕事の話はともかく、何だか責められてるような気になるのは被害妄想だろうか。俺、怖いからノノミから貰ったスキチケで戦闘スキップしまくってるし、まともに指揮とったことないんだよな……。おじさんの表情を見りゃ、嫌味を言ってるわけじゃないんだろうけど。

 

「それに生徒に平等で、優しかった。特殊な性癖は持ってそうだったけど」

「特殊な性癖持ちですか……。それ、女の子にちょっかい出そうとかしなかったの?」

「少なくとも、そういうタイプではなかったかな……。ニヤニヤしながら妄想してるんじゃないかなーって思って見てたけど」

「それ、実は一番危険なタイプなんじゃないのか……」

「まあ、実害はなさそうだったからねえ。誰も気にしてなかったし」

 

 完全に偏見なんだが、そういうのはオープンな変態よりダメなやつじゃなかろうか。大丈夫かよ、そいつ。

 

 改めて、今までに他の生徒から聞いた『前の先生』のイメージを思い出す。

 

 セリカの場合。

「以前はここまでダメな人じゃなかった——」

 

 ユウカの場合。

「以前より事務作業めちゃくちゃ速く——」

「私はま(・)だ(・)先生の赤ちゃんを産むほどの覚悟は出来ていないのにっっっ!」

 

 ノノミの場合。

「いつ先生とそういうことになるかわかりませんから(フェラチオの)勉強しました☆」

 

 後に行くほど危ない評価が出てくるんだが、完全にやべー奴なんじゃないのか、そいつ……。まあ、言ってるのがユウカとノノミだけに、あの二人の方がやべーだけの可能性も高いが……。

 

「しかし、そういうのが実際にいたとすると、いろいろ微妙な気持ちになるな……」

「別に気にしなくていいんじゃないの? 今の話を整理してみると、何だか実在してたのかすら怪しい存在みたいだし」

「めっちゃ、生々しい話ばっかり出てこなかったか? 実在しなかったとするには」

「それ言ったら、先生の行動も大概じゃない」

「ごもっとも」

 

 確かに他人のことを言えた義理ではない。

 

「実は、自分で言っておいてなんだけど、何か薄っぺらい感じがするんだよね。今言ったような、強烈なエピソード以外の印象が」

「薄っぺらい? ……って、何?」

「優しい、勇敢、具体的なエピソードなしで、そういう印象になっちゃうっていうか……だから、あなたとはっきり区別がつかないんだよね。指揮の話なんかはともかく、先生だって優しいといえば優しそうに見えるじゃない。セリカちゃんなんか、よくそう言ってるよ?」

「そんなこと言ってんの?」

 

 どこでそんな判断をしてるんだ。そんな、特別何かしたわけじゃないだろうに……もしかして、エッチしちゃった時の話か? そんなこと言ってたけど。やめてよ、そんな話を周りにするの。

 

「私たち、少なくともアビドスの五人にとってはもう、あくまであなたが基準なんだよ。今と比べてどうだったか、『今の先生』であるあなたと比べて、『前の先生』がどうだったか。今現在、あなたが「先生」であることを否定するものは何も何もないんでしょ? あなたの言う「先生」が何なのか、いまいちよく分からないんだけど、シャーレでは問題なく仕事してるっていうし、私たちもアビドスへの支援やその他に関して、何か問題があるとは思っていない」

「そうなんだよねえ」

 

 というか、シャーレの顧問の「先生」としてはむしろ、俺の方が能力は上みたいだし。周りはみんな「前より仕事が速くなった」と言っている。失礼ながら、個人的には『前の先生』が遅かったんじゃないの? と思っている。少なくとも、「シャーレのお仕事」をする人、という意味では問題なくこなしている。そりゃそうなんだが。

 

「でもさ、実在したとすれば、そっちの「先生」の方がいいとかないの? 何かの形で、今もどっかにいるかもよ?」

「さっきも言ったけど、私はそこには興味ないからね。その先生のことだって、私たちは連邦生徒会長直轄の「シャーレ」から来たってことぐらいしか知らないし、今の先生と大して変わらない。戦闘の指揮の話だって……先生、指揮を取る気になったら、何か特別なことって出来るの?」

「そこなんだよなあ。仮に俺がやみくもに指示を出したとして、それで戦闘が有利になったりする? 『前の先生』の時はどうだったの?」

「それが、私たちにも分からないんだよねえ。何しろ当時は、何もかもそ(・)う(・)い(・)う(・)も(・)の(・)だと思って、意識したことはなかったし*3。今にして思えば、先生みたいに安全なところにいてくれた方が、かばう必要だってないし安心でしょ? なら、戦闘の指揮なんて取る必要あったっけ? って」

「やっぱり、そうなの?」

「もっと言えば、今も「先生っていうのは、ノノミちゃんに守られながら安全なところにいるもの」だ、そ(・)う(・)い(・)う(・)も(・)の(・)だ、に置き換わっているのかも知れない。それを考えはじめたらキリがないけど」

「だろうなあ」

 

 だからと言って戦闘指揮なんてしなくていいや、ってこともないんだろうけど。

 

「それに必要性も感じない。もしかしたら『あなた』という存在が何か大きな改変を引き起こして、それがいい方向に働いているのかも知れない。『シャーレの先生』の戦術指揮に何か不思議な力があるとすれば、その代わりとして機能してね。何しろ、ここのところ不自然なくらい何(・)も(・)起(・)き(・)な(・)い(・)世の中になったから」

「あ、そうなの?」

 

 思っていたよりキヴォトスの生活で命の危険を感じないのは、そういうことなのかも知れない。ブルアカで見ている限りだとキヴォトスは、どれだけドンパチやっても平気なギャグ時空みたいな世界だし*4、もともとこの程度かと思っていた。

 

「ちょっと前までは、何でだかよく知らないけどキヴォトス全体の治安が悪化してたんだけどね。その反動かも——」

「まあ、ヘイローがある以上、死人も絶対出ないしなあ」

「——……。死人が出ない? そう思うの?」

「え? 俺、何か悪いこと言った? ああ、「先生」は別か。キヴォトスの人間じゃないから」

「……ま、そういう例外はあるってことだね。ノノミちゃんがいるとは言え、気をつけてよ?」

 

 一瞬、ホシノの雰囲気がナイフのように鋭くなった。そこまでまずいことを言っただろうか。

 

「まあ、いろいろ気になったり、不安になるのは分かるよ。私もあなたも知らないような話が、他にもどれだけあるか分からないからね。でも、今のノノミちゃんが好きなのは間違いなく先生、あなただよ。誰が見たって、それは間違いない。あれだけベタ惚れなんだから、先生も本望でしょ」

「そりゃもう……」

 

 何しろ、避妊しようとすると怒られるぐらいなんで、あれは俺に対してではなく、俺との間に出来る赤ちゃんへの愛なんじゃないかと怖くなるんで……。何であんなに子供を作る気満々なんだ。ノノミの頭の中には、子供を作る=正妻という方程式でもあるんだろうか。

 

「それにきっと、ノノミちゃんとの間が上手くいっている間は、先生が望むような、エッチでバカバカしいことばかり起きる、でも平和で楽しい世界が続くような気がするんだ。それこそ、みんなが安心して柴関ラーメンに行けるような、ね。だから、頑張ってほしいな。……まあ、ちょっとぐらい自分を犠牲にする覚悟はして欲しいけど」

「要するに、浮気とかしてノノミに捨てられるなってことだよな?」

「うへ〜、無粋な言い方しちゃうと、まあそういうことかな?」

「だよね」

 

 おじさんが興味があるのは、これからのことだけ、か。前向きというか、おじさんらしいというか。おじさんの推測が当たっているのかどうかは分からないが、少なくとも俺がノノミと上手くいっているうちはこの世界も、おかしな方向にはいかないだろう、と。

 

 …………

 

 上手くいかなかった場合を、いろいろ想像してみた。

 

・何か深刻なことをやらかした場合。

「お仕置きですよ〜☆ 全弾発射〜♣︎(実弾)」→死ぬ

 

・誰か孕(はら)ませた場合

「待て! こいつは悪くない! いや、多少は悪いけど、子供は悪くな……がはっ!(庇う)」→死ぬ

 

・ユウカあたりが孕んだ場合

「先生、一緒に死んでください!(刺される)」→死ぬ

 

 よーし、この世界がどうなるかは知らないが、その場合確実に俺は死んでるな! ……いや、マジで洒落ンなんねえ。

 

「だからさ、私からもお願いするよ。ノノミちゃんを大事にしてあげてね、って。うへ、何かこの言い方照れるね」

「大丈夫だよ。俺も、俺のノノミへの愛情は本物だって自信があるから」

 

 俺がそう言うと、おじさんは親指を立てて、俺に笑いかけてくれた。

 

 

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「? 先生、どうなさったんですか? 考え事でも……?」

「いや、何。おじ……ホシノはすごいなって思って」

「ホシノ先輩ですか?」

 

 ノノミと腕を組んでショッピングモールを歩きながら、俺はあの夜の会話を思い出して、ある意味で感動していた。世界がエロゲーになるとか、変態がどうとか、あのひっでえ会話を綺麗にまとめられるんだからすげえよ、おじさん。汚れたダメな大人には眩しくて正視できねえよ。

 

 最後に、「ていうか俺が好きなのはノノミっていうか、主に(ノノミの)おっぱいなんだけど」とか、ふざけたことを付け足して台無しにしなくて良かったと思う。

 

「それにしても、良かったですね☆ 先生のお目当てのゲームも買えましたし」

「うん。これは年齢制限ないやつだから、ノノミにカードで買ってもらえたし。「女の子にマッサージするだけのゲーム」はこの世界でも配信停止なのは悲しいが……。何が引っ掛かったんだろう」

 

 キヴォトスなら審査通ったんじゃないかと、一縷(いちる)の望みを託してダウンロード販売に接続してみたんだが、やはりなかった。まあ、家庭用ゲーム機のエッチなゲームのジャンルを、「実用」とか言って売るような会社だしな……。

 

「先生、帰ったら後で一緒に何かやりましょう☆ 私、麻雀のゲームやってみたいです!」

「ああ、そうだな……」

 

 脱衣麻雀は、この世界でも何回も謎の光の入れ方を修正させられたり、全部セット入りと単品版で細かく変えさせられたりしているんだろうか。どうやっても最終的に乳首が解禁されるわけじゃないとはいえ、どちらの世界も世知辛(せちがら)い。

 

「それでは、あとはカフェでお茶したら、先生のお部屋に帰りましょう☆」

「そうだな。……あ、悪い。荷物持ってやるよ」

「そんな! 悪いですよ。買った物の大半は、私のものや対策委員会のみんなのためのものですのに……」

 

 その「みんなのためのもの」という言葉を聞いて、無邪気に笑うノノミを見て、今更ながらに思う。

 

 ——ノノミは、俺とデートなんていってもみんなのこともいつも忘れない、いい子なんだよな、やっぱり。

 

 ノノミが俺とどんな関係になろうと、周りとうまくいかなくなったりするわけがない。だったら、おじさんには悪いけど、自分の気持ちを決めるのに大層な理由なんていらない気がする。

 

 ノノミが俺を好きだと言ってくれるなら、きっと俺も同じだけノノミを好きになる。もしかしたら、本当にノノミに子供が出来てしまっても何も後悔しないぐらいに。……まあ、「妊娠したから結婚して下さい☆」と面と向かって言われたら、やっぱり後悔するかも知れないが、そこは許してもらおう。

 

「俺が持ちたいんだから、持たせてほしいんだけど、ダメかね?」

「……はい! そういうことでしたら! でもその代わり、私は先生と手を繋ぎたいです☆ いいですよね?」

 

 はしゃぐノノミから荷物を受け取り、空いている方の手を繋いでやる。ノノミは本当に嬉しそうな顔をしていた。

 そんなわけで、俺とノノミは買い物が終わった後俺の部屋に行き、夕飯を作ってもらい、二人でそれを食べた後でめちゃくちゃセックスしたわけだが、それはまた別のお話——

 

「あのっ、先生……」

「ん? どした?」

 

 

 

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 ずっと後になって、思い出したことがある。

 

「——た(・)い(・)で(・)す(・)か(・)?」

 

 あの言葉、あの時もノノミは言ってたんだな。

 

 『彼』の自由意思を尊重して、いてくれた時間に感謝して、引きとめず、安全に送り返す……。『俺』が『お前』だったら同じように、そんな堅苦しいことを言うのかね? 意外と言うのかもな。

 

 じゃあ、『お前』が『俺』だったらノノミに似たようなことを言ったか? 俺は、何も考えずに答えたんだが……相手が誰だって、お前は言わなさそうだよな。

 

 ——ノノミがいて欲しいと思うなら、ずっといる、なんて。

 

 

 

*1:
実際には、連邦生徒会長ありきの話ではあるが、報告書の作成・提出から連邦生徒会への要請まで全て主人公が行っているので、そこまであっさりした話でもない。本人がズレているのである。

*2:
ホシノは、主人公がこの世界に来てノノミを見て、一目で「本物のノノミだ」と認識したことと、自分たちが主人公を見て「先生」だと認識したことは、おそらく同じだと考えている

*3:
シャーレの先生の指揮にどれだけ超常的な力があったとしても、「先生の指揮だしね」で済ませてきたということ。現在の「ノノミちゃんの出すものだしね」でな(・)ぜ(・)か(・)済んでしまう状態とほぼ同じ。

*4:
ブルアカのメインストーリー、特にエデン条約編以降を読んでいれば、必ずしもそうではないのはご存知の通り。主人公がなぜこのように考えているかは、シーズン2の終盤にて明らかになる。

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