※この作品はR-18です。

真剣で肉欲に溺れなさい!S 覇王ルート【完結】   作:寝坊助

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ハーレムメンバーを二人追加します





二人はメイド 前編

 

 

 

 

 

「……と、言うわけでだ。お前達には清楚の護衛、そして項羽の監視として川神学園に編入してもらうよ」

 

「了解いたしました」

 

「了解でっす」

 

 ———九鬼家極東本部。

 従者部隊序列二位、武士道プラン最高責任者マープルからの指令が、二人の従者に下された。

 先日起きた項羽暴走の件から、清楚の護衛について大いに検討が行われた。よって、後方で待機していた李とステイシーの二人を、水城ユウと同じように清楚の近くで護衛させる、と言う形に決定されのである。

 あずみとヒューム同様に、生徒として編入させる。だがこれは、護衛というよりも監視といった面が強い。

 

「知っての通りだがね。例えお前達が何百人かかろうが、項羽には絶対に勝てない。だからもしあの娘がまた暴れ出すようなことがあったら、即九鬼家に連絡すること。いいね?」

 

 百人だの、絶対だの……一々余計なんだっつーの。心の中でステイシー・コナーは愚痴る。

 普通に計画を説明すればいいものを、彼女の言葉にはいちいち棘のある……。そんな不満の感情は、口に出さずともしっかりと星の本棚に伝わっていた。

 ふんっ……と鼻を鳴らすマープル。若者に対する偏見は平常運転に、ソファーへ寄りかかった。

 

「そして水城ボーイを中心としたスリーマンセルで、ヒュームとクラウディオが到着するまで持ち堪えること。これがお前達の役目さね」

 

「もし暴れたらっつっても、大人しいもんですよ?あたしらが出張る必要ありますかね?」

 

 ちょっとした対抗心か、それとも意地悪か。ステイシーはマープルが提示した計画に異議を唱える。

 隣の李が、ちょっとステイシー……。と咎めるも、どこ吹く顔でその目は序列二位へと向けられていた。

 確かに、あの騒動から項羽は一度も表に出てきていない。なにごともなく、清楚はこれまで通り学園生活を行なっている。

 ここ最近、また暴走したら……。と身構えていた者達も、拍子抜けして肩の力を抜き始めている。

 こう言った報告書から、護衛見直しの会議でも、従者を派遣するのは大袈裟ではないか?という意見も出たほどだ。

 しかし、マープルは違和感に気づいていた。

 

「清楚の……。項羽の動きが大人しすぎる」

 

 空気が変わる。捻くれた年長者特有の高慢ちきさから、真剣な顔持ちで身を前に出した。

 眼光から伝わる、護衛補充の重要性を説く姿勢には、さしものステイシーも身を引き締めざるおえなかった。

 

「一時だが、あの制御不能ぶりを私は味わった。だから今の大人しい項羽には、どうしても違和感を感じてならないのさ」

 

 二十五歳で発表するというのも、その面が大きい。項羽の思考の大半は暴に振り切っているため、十分な教養を身につけるべきというのが、当初の決まりだったのだ。

 故に、今の状態は寧ろ不気味といえよう。

 何か、大きな災いの前兆とすら思える。

 いや、もしかしたら既に起きているのかもしれない。……だからこそ、マープルは護衛と監視の他に、もう一つの指令を言い渡した。

 

「水城ボーイにあらいざらい吐かせな。方法は何をやっても構わないよ。恐らく、項羽の変化の原因はあのボーイが握っている」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「って、言ってたけどよぉ〜。考えすぎじゃね?」

 

「警戒するに越したことはありませんよ、ステイシー。それに、何事もなければそれでいいじゃありませんか」

 

「つってもな〜。年下に探りを入れるってのも、性に合わねぇっつーかーなんつーかー」

 

「……なんの話しているんですか?」

 

「んん!な、なんでもねぇよなんでも!」

 

 首を傾げてくるユウに、二人のメイドは平静を装う。

 何が何やら……。同じく葉桜清楚の護衛を任された青年は落ち着きがなく、そわそわとあたりを見渡していた。

 普段の逞しさはどこへやら。初めて訪れた場所に身構える様は年相応で、微笑ましさを感じさせた。

 

「んな、緊張するこたぁねぇよ。それよりほれぇ、注文頼めや。今回はお姉さん達の奢りだぜ?」

 

「いや、注文しろって言われても……」

 

 ステイシーに差し出されたメニューを手に取るも、表情はぎこちなく引き攣っていくばかり。

 それもそのはず。そこに書かれているのは料理でもジュースでもない、いわゆる大人の飲み物というやつだからだ。

 酒。アルコールの含まれた飲み物の名前が、所狭しと羅列されている。

 ビールやウイスキー、カクテルにワインなど……。若者からしてみると異次元すぎる品々が並び、お年頃である彼はどう答えていいかわからずじまい。

 

「俺未成年なんですけど……」

 

 と、その目は忙しなく。メニューから周囲の店内へと向けられる。

 ここは、川神の繁華街のとあるバーだ。

 シックで落ち着いた雰囲気の店内では、既にサラリーマンと思しき男達が洒落た飲み物を飲みながら談笑している。

 所々でジャズが流れており、時折演奏者と客のデュエットも聞こえてくる。中々にいい店じゃないか、と初見の客なら満足にそう思う内装だ。

 だが、大人の店であることを忘れてはいけない。普通はそんな場所に未成年の学生がいていいはずがないのだが……。

 

「知っとるわんなもん!お前が頼むのはこっち」

 

 ユウの手元にあるメニュー表を取り上げ、裏側を見せつける。

 そこには……。ビールやサワーなどの酒の名前は一切なく、代わりに川神水を取り扱ったドリンク一覧が記載されていた。

 どんな手を使ってもいいと言われたが、若者に酒を勧めるのは流石に不味い。よって、ノンアルコールも扱っているバーを選択した。

 九鬼に無茶振りされている者同士、今夜は大いに飲み明かそうという同僚からの粋な計らいを装って。

 

「ストレート、ロック、水割り、ソーダ割り……。お湯割りにジュース割り……と、川神水にも色んな飲み方があるんですね」

 

「川神生まれの川神育ちなのに、川神水を飲んだことがないのですか?」

 

 意外そうに瞼を開ける李。その隣でステイシーも、たしかになー、と同調する。

 それに対し、ユウは苦笑いで返すしかなかった。

 

「ガキの頃、酔っ払いの師範代にしつこく絡まれたんで……。こういうのは避けてたんです」

 

「ファーック!そりゃ損してるぜお前!若けぇんだからもっと娯楽に飛び込みゃいンだよ。マスター!こいつに川神水カクテル一杯!あたしからの奢りだ!」

 

 注文を伝え、厨房へ消えていったマスターの背を見送り、話は再開する。バーの雰囲気とステイシーの言葉が余程効いたのか、ユウの表情には薄らと影が差していた。

 

「なんか、ありがとうございます。誘ってくれて……。最近、ちょっと参ってて……」

 

「おーおー、やっとまともにガキのツラ見せやがったな。そういうのは溜め込まずに、飲んで吐き出すのが心の健康の秘訣だぜ?」

 

「飲み過ぎで身体が不健康にならないように」

 

「飲み過ぎぐらいで丁度いいんだよ、これぐらいのガキは。……で?何があったんだ?全部打ち明けてみな、ドーンとこの胸で受け止めてやるぜ?」

 

「はは……全部はちょっと……」

 

 流石に……と口籠る。

 一杯も飲んでいない状態では、やはり全てを吐き出すには足りないらしい。しかし、マープルからは絶対吐かせな!と命を受けているのだ。

 話してもらわねば困る。

 

(……結構ガード硬えな)

 

(けれど、これで確信しました。ユウのこの焦燥ぶり……。確実に項羽関連で何かが起きています)

 

(ロック!そうと分かりゃあ、ベロンベロンに酔わせて全部吐き出させてやるぜ!)

 

 そう、これが李とステイシーの狙いだった。

 マープルが睨んだ、項羽の違和感の正体を水城ユウが握っているという確信。ただ聞くだけでは、口を割らないだろうという判断だ。

 よって、酔わせて全て吐かせる。……正直、古典的でかなり強引な作戦だが、飲み慣れていないと分かれば後は簡単だ。

 酔いが覚める隙を与えず、二人のペースでじゃんじゃん川神水を飲ませていく。

 場の雰囲気もあって、酔っ払えば愚痴と一緒に真実の一つや二つポロッと吐き出てくるだろう。

 そしてタイミングよく注文のカクテルが完成し、早速作戦への舵を取った。

 

「お待たせいたしました。スクリュードライバー、川神水バージョンでございます」

 

「ほら、グィーっていけ!グィー!」

 

「じゃあ、いただきます……」

 

 そんな大人達の思惑も露知らず、ユウは促されるまま大人のご厚意に甘える。

 手に持ったグラスを口元へと運んでいき、グイッ……と一気に飲み干す。グラスいっぱいに満たされていた川神水は一瞬で空になり、テーブルへと添えられた。

 初めてにしては中々に豪快。その飲みっぷりに、大人達はおお……。と感嘆の声を漏らす。

 

「いける口ですね」

 

「へぇ〜、ロックな飲みっぷりじゃねぇの。で?どうよ初の川神水の味は?」

 

「あぁ、なんつーか……不思議な味ですね。想像してたのより、飲みやすくて嫌いじゃない」

 

 初めて飲んだ川神水の味。

 飲むと身体が暖かくなり、妙に心地いい。癖がある感じもするが、飲めなくはないというのが、ユウの感想だった。

 ほぅ……。一息吐く青年の顔に、火照りが見え出す。ノンアルコールではあるが、場で酔えるという効果は彼にもしっかりと現れていた。

 目はトロンと垂れ、緊張に張った肩も解れていく。全体的に力が抜け、目に見えてるリラックス姿勢に、思わず二人のメイドは魅入られる。

 

(……なぁ、知ってはいたけどよ。こいつ、ロックな顔してるよな?)

 

(普段がストイックな武人ですから。緩んだ姿はどこかギャップを感じますね……)

 

(あ〜あ、任務じゃなけりゃあな〜。こいつとは打算抜きで普通に飲みたかったぜ)

 

(今回だけですよ、ステイシー。今はお酒に乗じて、ユウから全てを聞き出すんです)

 

(わーってるよ)

 

 長年コンビを組んできたからこその妙技。視線だけで会話をし、お互いに心の中で溜め息を吐く。

 ちゃんとした目的があるとはいえ、未成年を酔わせて吐かせようとすることに、多少の抵抗があるのも事実だ。

 が、だからといって任務を蔑ろには出来ない。しっかりと職務を全うするべく、彼女らもその身にアルコールを注いでいく。

 

「うーっし!今日はロックに飲みまくるぜぇ!マスター、じゃんじゃん酒持ってこい!」

 

 ジョッキで運ばれてきたのは、歴とした酒。

 年下に負けない勢いで、大人達も豪快に呷る。

 そこからは怒涛だった。ユウを酔わせるために川神水を飲ませる。そして飲み終わる前に次の川神水を用意する……。その繰り返しだ。

 

 酒の力というのは、バカにできないものだ。

 特に、バーという特殊な環境下なら尚のこと……。酒の魔力は人の口を軽くし、理性を溶かす。

 ただ日常における愚痴の発散のはずが、その副産物として有益な情報を溢してしまうことだってある。それを狙って、浴びるほどに酒を飲ませ続けた。

 

 ーーー ーーーーーー ーーー 一時間後。

 

 結論から言おう。水城ユウを酔わせるための作戦は、大成功に終わった。顔はほんのり赤くなり、呼吸も不規則に乱れ始めている。

 そろそろ頃合いか……。二人は視線でタイミングを見計らい、まず最初にステイシーが声をかけた。

 唐突だったにも関わらず、ユウはすんなり質問を受け入れる姿勢をとる。どうやらかなり酔いが回っているようだ。

 並々と注がれたグラスを煽り、ものの数秒で空にする。大人になったら、相当な酒豪に化けることだろう。そう思わせるほどに、惚れ惚れする飲みっぷりを披露する。

 そして、酔っ払いの口からポツポツと言葉が漏れる。マープルからの指示通り、項羽の異変について話し始めたのだ……。

 

 

 

「だぁ〜からぁ〜、もうホントどぉにかしてほしいんですよぉ。あいつらまいにちまいにちおれをよびらしてぇ、せっくすようきゅうしてきてぇ。もぅみがもたねーのなんのぉ」

 

 ふむふむ……。

 

「しかもちんこひとじちにされるしぃ、こんなのだれにもうちあけられねぇしぃ〜……。そこへさらにまるぎっても、こじませんせぇも、やばまでくわわってぇ……ぬぁ〜にがおとこのみりょくだよぢくぢょう!」

 

 なるほど、なるほど……?

 

「おとこなんていくらでもいンだからぁ、おれいがいのやつとヤレばいいじゃんかぁ、ったくやってらんねぇ〜!」

 

 ははぁ、要するに……。

 

「「思ったよりとんでもないことになってた⁉︎」」

 

 静かなる夜のバーに、二つの驚愕の声が轟く。

女にはわからない男心。この男が今、とんでもない心境で生活していたのを暴露され……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ステイシーは空いた口が塞がらず、李にいたってはいつものポーカーフェイスは何処へやら。

 顔全体は冷や汗に塗れ、雷にでも打たれたように硬直している。

 想像以上なんてレベルではない。

 真実は、誰も想像しようのない領域にあったようだ。酔った勢いのままユウに全てを話させた結果、予想を遥かに上回る酷い状況に、どう受け止めればいいのか。

 悲惨、惨劇、不幸……。悲劇のオンパレードを耳にしてしまった。その答えとして、ステイシーはテーブルをバンッと叩いて吠える。

 

「ちょっと待て!つまり何だ?あたしらの目の届かないところで、実は項羽は清楚と何度も入れ替わってたのか⁉︎」

 

「そーれすよぉ?あぇ?しらなかったんれすかぁ?」

 

「初耳だファック!!!」

 

「それでは、あなたと川神百代の二人がかりで項羽を鎮めだという話は……?」

 

「あ〜、それうそうそ。なっさけないことにぃ〜、おれらそろってまけちゃったんですよぉ〜」

 

「そして、武神は覇王の軍門に降ったと……」

 

「ハーレム計画ってなんだ⁉︎そのハーレムの中に、猟犬まで入ってんのか⁉︎」

 

「びっくりですよね〜。一人だけれもちーとなのにぃ〜、こんなんどーしょーもねーよー」

 

 頭が痛い。激しい頭痛がする。

 これは決して、酔いのせいではない。

 浴びるほど飲んだことによる酩酊は、彼の口から語られた情報によってすっかり覚めてしまった。

 項羽と清楚は何度も入れ替わっていた。

 武神は覇王の軍門に降った……。

 そして、ハーレム計画ってなんだ⁉︎

 こんなカオスがあっていいのかと、ステイシーは混乱に頭を抱えるしかない。李も何も言えず、特大のため息を吐いて肩を落とした。

 これはもう、どこから突っ込めばいいのかすらわからない。というか、これをどう報告すればいいのだろう?

 

「おいヤベーぞ李!項羽の謀略なんざ!下手したら護衛のあたしらもクビ飛ぶぞ!」

 

「落ち着いてくださいステイシー。寧ろこれは好機と捉えるべきです。今この時点で知れて良かった。あのまま放置していたら、取り返しのつかい事になっていましたよ」

 

「そりゃそうか……。しっかしこいつも難儀だな〜。逆レイプされて、ペニス人質とか……」

 

 想像を絶する酷さだ。

 下手したら心を病んでしまいかねないが、それに陥っていないのは水城ユウ自身の強靭な精神力故だろう。

 そんなイカれた思想を持つ項羽に、清楚までもがノリノリで結託している事実。これがなによりも衝撃的であった。

 普段の彼女を知る者達から見れば、マープルでさえ絶対にあり得ないと懐疑することだろう。

 理解しがたいにも程がある。しかし、ユウのこの弱りきった姿。武神とも互角にやり会える実力者がここまで追い詰められている様を見せられては、信じる他ない。

 

「覇王と武神が手を組んだのですから、責めに責められませんね。というか、ユウは被害者です」

 

「となると、先輩として解放してやらにゃあな。うしッ、早速報告だ!覇王のハーレム計画なんざ阻止だ阻止」

 

「その前に彼を介抱しましょう。潰れています」

 

「んじゃあ、近くのホテルでいいだろ。あたしやあずみがよく酔い潰れた時に使ってるやつ」

 

 こうして、酒盛りは終わった。

 二人は酔い潰れたユウを介抱し、バーから連れ出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 







「ガキの頃、酔っ払いの師範代にしつこく絡まれたんで……。こういうのは避けてたんです」

いったい何堂何部さんなんだ?



ユウはめっちゃ酒に弱いです
酒癖も最悪です


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