試合当日。
ついにクラス対抗戦の日がやってきた。
第二アリーナ第一試合、一夏対鈴音。
観客席は満席、王我も2組のクラスメイトに囲まれて座っている。
もちろん両サイドは愛莉とノクト。
それと今日は少しメンツが違った。
3組のフーカとリンネ、4組のスレッタとチュチュとニカ、そして1組のセシリアと布仏本音が近くに座っていた。
本音とは初対面だがアリーナに向かう途中で会い、一緒に見ることになった。
「ガオガオとお話できてうれしいよ~」
間延びした口調でサイズの合っていない制服の裾をヒラヒラさせる。
「ガオガオ?」
愛莉が疑問を口にする。
「うん。天道王我だからガオガオ。テンテンかガオガオか迷ったけどガオガオの方が強そうだから~」
えへへ、と笑顔を浮かべる本音。
「それにしても意外やな。王我君なら試合見にきいひんと思ってたのに」
はやてが後ろの席から声をかける。
「中国の代表候補生がどの程度のものなのか見ておきたくてな」
王我の視線がステージで一夏と向かい合う鈴音に向けられている。
鈴音の専用機『
呼び方だけだとドラゴンボールの願いを叶えてくれる奴を思い浮かべてしまいそうだ。
第三世代で機体のカラーは赤みがかった黒、右手には大型の青龍刀『双天牙月』2本が連結した状態で握られている。
両者、5メートル距離を空けた状態で向かい合う。
「一夏、今謝るなら少し暗い、痛めつけるレベルを下げてあげるわよ」
「雀の涙くらいだろ。そんなのいらねぇよ。全力で来い」
勝負で手を抜かれるのが嫌いな一夏が言い返す。
そして、試合開始のブザーが鳴り響き両者が同時に動き出した。
ガキンッ!
鈴音の初撃を一夏が弾かれながらも防ぐ。
「ふ~ん。初撃を防ぐなんてやるじゃない。けど…」
鈴音が『青竜刀』をバトンのように振り回しながら斬り込んできて、一夏は攻撃をさばくので精一杯だ。
「(まずい…このままじゃ消耗戦になるだけだ。一度距離を取って…)」
「甘い!」
後退しようとする一夏の隙を逃さず、『甲龍』の肩のアーマーが開いて光った次の瞬間、一夏は吹っ飛ばされた。
「今のはジャブだからね」
鈴音が不敵な笑みを浮かべる。
ドンッ!
「ぐあっ!」
目に見えない何かで吹っ飛ばされて地面に打ち付けられた。
「あれは…」
観客席のフェイトが呟く。
「衝撃砲ですね。空間自体に圧力をかけて砲身を生成、余剰で生じる衝撃自体を砲弾化して撃ち出す第三世代型兵器です」
愛莉が解説している時も戦闘は継続していた。
「よく躱すじゃない。衝撃砲『龍咆』は砲身も砲弾も目に見えないのが特徴なのに」
鈴音が得意気に躱し続ける一夏に話す。
『龍咆』は斜角制限がなく上下前後左右どこでも撃つことができる。
一夏は『雪片弐型』を握りしめてその能力を改めて思い出す。
『雪片』には相手のバリアー残量に関係なく本体に直接ダメージを与える特殊能力がある。
すると相手はISの絶対防御が発動してシールドエネルギーを大幅に消費される。
千冬がISの世界大会『モンド·グロッソ』で優勝できたのもこの能力によるものが理由でもある。
しかし、『雪片』にはあるデメリットがある。
特殊能力を使用する際、自身のシールドエネルギーを攻撃力に変換している。
つまり諸刃の剣なのだ。
それを扱いきれるだけのスキルは今の一夏にはまだない。
故に気持ちだけは負けられない。
「鈴」
「なによ?」
「本気でいくからな」
一夏の真剣な眼差しに鈴音が押される。
「な、なによ…そんなこと…当たり前じゃない…と、とにかく!格の違いっていうのを見せてあげるわよ!」
鈴音は『青竜刀』を一回転させて構え直す。
一夏は『龍咆』を発射される前に加速体勢に入る。
『
スラスターにエネルギーを溜めてから加速するIS操縦者のスキルの1つ。
「うおおおっ!」
一夏が雄叫びを上げて突撃したその時、
ズドオオオオンッ!
鈴音に刃が届く直前で轟音が鳴り響いた。
鈴音の『龍咆』とは比べ物にならない衝撃だ。
中央で煙が上がっていて、何かがアリーナの遮断シールドを貫通して入ってきたようだ。
「な、なんだ?何が起こって…」
《一夏、試合は中止よ!すぐにピットに戻って!》
混乱する一夏に鈴音が操縦者同士の通信、
その時、ISが中央に熱源を感知した。
それだけではない。
アリーナの遮断シールドの穴からさらに14機の所属不明のISが侵入して合計15機となった。
「やれやれ…では対応するとするか」
王我が首を鳴らして立ち上がった。