直葉とたっぷり楽しんで寝かせた後、王我は全裸のままラボにいた。
勃起していたペニスは既に通常サイズ(それでも平均より大きいが)に戻っている。
「アイ、アルベール·デュノアの公式写真を出してくれ」
《了解しました》
モニターにデュノア社の社長のアルベール·デュノアが公式のイベントや式典に出席した時の画像が出てきた。
「…やはりか」
王我は画像を全て確認して納得した。
どの画像にもシャルルが映っていないのだ。
デュノアという名前で専用機持ちで男子、アルベールの息子か血縁者ならば何かしら公式の場に出席していないのはおかしい。
《病院の出生記録を調べることもできますが?》
「やめておけ」
それは犯罪だ。
アイが痕跡を残すようなヘマはしないだろうがここでリスクを侵す必要はない。
「それに…」
そこまで考えてから王我は、
「寝るか」
王我は直葉と同じベッドで寝ることにした。
翌朝、先に起きた直葉が全裸の王我を見て昨夜を思い出して赤くなり、王我が起きてもう一回戦したことは言うまでもない。
◇◇◇
数日後。
土曜の午後は自由時間にアリーナでラウラが一夏に因縁をつけた噂が入ってきた。
王我は1人でラボにいたのでノクトから報告を受けている。
どうやら第二回IS世界大会『モンド·クロッゾ』の決勝戦の際、一夏が誘拐されて千冬が不戦敗になったことが理由らしい。
一夏を救出できたのはドイツ軍の情報提供のおかげなのでその見返りとして千冬は1年間ドイツ軍IS部隊で教官をしていた。
千冬の二連覇がなくなったことをラウラが一夏のせいだと糾弾し決闘を挑んだが一夏は拒否。
逆上したラウラが発砲したところをシャルルが専用機『ラファール·リヴァイヴ·カスタムⅡ』のシールドで防御しつつ銃で牽制した。
最後は教師が止めに入りその場は収まった。
ここまでがアリーナにいたノクトの報告である。
「それと山田先生からの伝言で今月下旬から寮の大浴場が使用可能になります。男子は週2です」
「そうか」
王我のラボは大浴場もあるので特に問題はない。
しかし、事件は唐突に起きた。
◇◇◇
「…ん?工具が1つ足りねぇな。…あっちか」
夜に作業中、王我は工具を1つ寮の荷物の方に入れていたことに気づいた。
「取りに行くか」
寮の部屋に戻るとシャルルの姿がない。
シャワールームから音がしたのでシャワー中だろう。
「ふむ…」
王我は少し考えた後、洗面所に入った。
すると、同時にガチャッとシャワールームのドアが開いた。
「お、おう…が?」
出てきたのは美少女だった。
ウェーブがかったブロンド、長い美脚、腰のくびれ、発育した大きな胸が存在を主張している。
「やはりか」
王我は目を逸らさず冷静に言った。
「きゃあっ!」
男とはかけ離れた甲高い悲鳴を上げてシャワールームに逃げ込んだ。
このまま突入してもいいが明らかな乙女にそれは過酷だろうと思って王我は一旦、洗面所を出てベッドに腰かけて待った。
しばらくして洗面所から彼女が出てきた。
「あ、あがったよ…」
「ああ」
ジャージを着た彼女はベッドに腰かける。
なかなか口を開かない彼女に王我は、
「お前はアルベール·デュノアの娘だな?」
「っ!知ってたの!?」
バッと顔を上げて驚く。
「いや、ただの推理だ。ISでデュノア、アルベールの息子や血縁者なら公式の写真に載っていないのおかしい。それと未成年の適性検査はとっくに終わっているのにこのタイミングで男の適性者…」
そこで一度言葉を切ってから王我は話を続けた。
「それに俺はフランスの社交パーティーに出たことはあるし、アルベールも見たことはある。だがお前のことは一度も見たことがない。身内でISの適性者なら自慢したいだろうにな」
「ハハ…名推理…」
彼女は力なく笑った。
「男に変装していたのは俺かあのバカに近づいてデータを取るため。まあ、企業スパイといったところだろう」
「うん…僕は父の命令で君達に近づいた。僕はね…愛人の娘なんだ。引き取られたのが2年前…ちょうどお母さんが亡くなった時に父の部下がやってきたの。それで検査を受けたらIS適性が高いことが分かって非公式でデュノア社のテストパイロットになったんだ。父に会ったのは2回くらい、会話は数回くらいかな。普段は別邸で生活しているんだけど一度だけ本邸に呼ばれてね。あの時はひどかったなぁ…本妻の人に殴られたよ。「泥棒猫の娘が!」ってね。参るよね…母さんもちょっとくらい教えてくれたらあんなに戸惑わなかったのにね…アハハ…」
乾いた愛想笑いを浮かべる彼女。
「それから少し経ってデュノア社は経営危機に陥ったの」
「俺が社長になって1年くらいか。その時にはヨーロッパにも力を入れていたからな」
「言いにくいことをはっきりと…うん…うちのリヴァイヴは第二世代型、第三世代型の開発が急務なの。しかもうちは遅れに遅れて第二世代型最後発だからね。圧倒的にデータも時間も不足していてなかなか形にならなかったんだよ。政府からの通達で予算は大幅カット、次に失敗すれば援助を全面カットの上にIS開発許可も剥奪される。あとは君の言う通り、王我か一夏の機体のデータを盗んでこいって…でもバレちゃったから僕は本国に呼び戻されて会社は潰れるか他企業の傘下に入るか…僕にはもうどうでもいいけど…」
彼女の話を聞いた王我は考えた後、口を開いた。
「まあ、お前の父親からしたら俺は商売敵だからな。フランスにも売っているし、相当恨まれてるだろう」
「はっきり言うね。一応気を遣ったんだけど…」
彼女からすれば王我は父親の商売敵、ここに送られたきっかけの1つでもある。
「で、お前はどうする?」
「どうって…時間の問題じゃないかな。フランス政府も事の真相を知ったら黙っていないだろうし、代表候補生を下ろされて牢屋行きかな」
「…特記事項第21、本学園における生徒はその在学中においてあらゆる国家·組織·団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されない」
「よく知ってるね…特記事項なんて55個もあるのに…」
「とはいえこんなお飾りルールなんか知るか」
王我は生徒でありながら社長で航空自衛隊空将なので今さらである。
「凡人なら3年の間に対策を考えるとか言うだろうが俺はそほど暇じゃない」
そう言って王我は携帯を取り出してどこかに電話をかけた。
「今の時間ならギリギリ起きてるだろ」
「何を…」
彼女が何か言おうとした時、電話がつながった。
王我はあえてスピーカーモードにした。
《なによ…こんな時間に…》
眠そうな女性の声が聞こえた。
「ミオリネ、悪いがデュノア社の株式買収の件、明日の昼まで最終段階まで進めておいてくれ」
《はあっ!?ちょ、あんた何言って…》
「頼むぞ」
《ふざけんな!…このクソしゃちょ…プツッ…》
ミオリネがまだ何か言おうとしたところで王我が通話を切った。
「えっと…なんか相手の人、怒ってなかった?」
「まあ、10分くらいは荒れるだろうが俺の考えを理解出来ない奴じゃないから大丈夫だろう」
どこか他人事のように聞こえる王我の言葉。
「それに今、デュノア社を買収するって…」
「お前も知ってるだろ。半年前からうちが株式買収を持ちかけてるのは。俺はその時期を早めさせただけだ」
「ハハ…無茶苦茶だよ…」
王我にしか出来ない方法に彼女は笑うしかなかった。
「明日の昼のニュースには結果が出るだろう。…ああ、そうだ。お前の名前を聞いていなかったな。本名の」
「シャルロット·デュノアだよ」
「シャルロットか。にしても偽名ならデュノアを変えるだろうに間抜けだな」
「確かに…」
「買収が確定したらデュノア社はうちの子会社になる。つまりお前は俺に買われたことになるな」
「買われた!?」
強烈なワードにひっかかるシャルロット。
「明日が楽しみだな」
まるで悪役…魔王のような笑みを浮かべる。
「(私、どうなっちゃうんだろう…)」
本国に捕まった方がマシだったかもしれないと思ったシャルロットであった。
ミオリネ・レンブラン
原作:機動戦士ガンダム 水星の魔女
年齢:15歳
国籍:日本、アメリカ
役職:シルバーキングス 副社長