※この作品はR-18です。

ISの世界でMSを作る   作:kuroto xanadu

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ラウラ·ボーデヴィッヒ

 翌日の朝、学園ではある噂が女子の間で流れていた。

学年別トーナメントの優勝者は織斑一夏と交際できると。

きっかけは以前、箒が一夏に対して優勝したら付き合ってもらうと宣言したことである。

当初は一夏と箒だけの話だったが、どこでねじ曲がったのか優勝したら一夏と交際できることになってしまった。

 つまり王我には関係ない。

王我の場合、交際というより愛人でノクトという婚約者を超えようなどという愚か者はいない。

王我は窓の外を眺めながら、

 

「(ミオリネの奴、昼までとは言ったがすぐにやれとは言わなかったから多分、昨日の夜からやってるな。今日の朝からやっても間に合うのに…今頃気づいているだろう)」

 

ミオリネが怒り狂っている姿を想像して楽しむ王我であった。

 

 

◇◇◇

 

 

 昼休み。

学園、いや世界中で衝撃的なニュースが発表された。

デュノア社がシルバーキングスに買収されて傘下に入ることが決定したというニュースだ。

食堂のテレビやネットニュースを見て学園内は大騒ぎである。

新聞部や生徒が王我に押し寄せたがノクトと愛莉によって完全ガードされた。

シャルロットにも生徒が押し寄せたが彼女は何も答えられなかった。

ちなみに彼女の正体はまだ知られておらず男装を続けている。

知っているのは王我だけである。

これで学園内では一夏の交際騒動とシルバーキングスの買収の二大ニュースが回ることになった。

 

 

◇◇◇

 

 

 放課後、第三アリーナ。

 

「「あ…」」

 

セシリアと鈴音が偶然遭遇した。

 

「奇遇ね。あたしはこれから月末の学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど」

 

「奇遇ですわね。わたくしも同じですわ」

 

鈴音は優勝の特典(仮)の為に、セシリアは王我の期待に応えるために優勝を狙っている。

 

「ねぇ、勝負しない?」

 

「いいですわ。わたくしも試したいですし」

 

ISを装着した2人がぶつかり合おうとしたその時、その間を砲弾が飛んできて2人は回避する。

飛んできた方向に視線を移すと、漆黒の専用機『シュヴァルツェア·レーゲン』を装着したラウラの姿があった。

小柄な体格に対して大きな機体はなんともアンバランスだった。

 

「ラウラ·ボーデヴィッヒ…」

 

セシリアの顔に緊張が走る。

 

「…どういうつもり?いきなりぶっ放すなんていい度胸してるじゃない」

 

鈴音は『双天牙月』を構えながら衝撃砲をいつでも撃てるように準備する。

 

「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルーティアーズ』か。フンッ、データで見た時の方がまだ強そうではあったな」

 

ラウラの挑発に鈴音とセシリアが反応する。

 

「何?やるの?わざわざドイツくんだりからやってきてボコられたいなんて大したマゾっぷりね。それともジャガイモ農場じゃそういうのが流行ってんの?」

 

「わたくし達はあなたに構っている時間はないですの。お引き取り願いますか?」

 

挑発に挑発で返す鈴音、かつて自分も同じような態度を取っていたことから反省して大人な対応するセシリア。

 

「ハッ、2人がかりで量産機に負ける程度の力量しか持たぬ者が専用機持ちとはな。余程人材不足と見える。数くらいしか能のない国と古いだけが取り柄のない国はな」

 

「ああ…ああ…分かった…分かったわよ。スクラップがお望みってわけね。…セシリア、どっちが先にやるかジャンケンしよ」

 

「別に構う必要は…」

 

やる気満々な鈴音と一歩引いたセシリア。

 

「ハッ、2人がかりで来たらどうだ?1+1は所詮2にしかならん。下らん種馬にうつつを抜かす雌にこの私が負けるものか」

 

その言葉はさすがのセシリアも我慢ならなかった。

 

「…今なんて言った?あたしの耳には、どうぞ好きなだけなぐってください、って聞こえたけど?」

 

「あの御方を侮辱することは許しません」

 

武器を構える2人。

 

「とっとと来い」

 

「「上等!」」

 

自分が圧倒的な強者だという態度を取るラウラに2人が吠えた。

 

 

◇◇◇

 

 

 同じ頃。

王我、愛莉、ノクト、直葉の4人も第三アリーナに向かっていた。

理由は大したことはない王我の気まぐれに3人がついてきたというだけだ。

観客席に入るとステージの方から大きな音が響いた。

その視線の先では鈴音とセシリアがラウラと交戦していた。

戦況は一方的で鈴音とセシリアのISの装甲はボロボロである。

 

「何をしているんだ?…お、おい!」

 

離れた観客席では一夏がステージに向かって叫んでいる。

 

「ほう…」

 

そう呟く王我は全く止めようとする気もない。

 

「くらえ!」

 

鈴音の衝撃砲が放たれる。

 

「無駄だ。このシュヴァルツェア·レーゲンの停止結界の前ではな」

 

ラウラが右手をかざすと不可視の弾丸が何か見えないバリアのようなものに防がれ、シュヴァルツェア·レーゲンの両肩のワイヤーブレードが射出され鈴音の右足を捕らえる。

 

「そうそう何度もさせるものですか!」

 

セシリアがブルー·ティアーズを射出。

 

「フンッ、理論値最大稼働のブルーティアーズならいざ知らず、この程度の仕上がりで第三世代型兵器とは笑わせる」

 

セシリアの攻撃を躱しながら両手をかざしてブルー·ティアーズの動きを止める。

 

「動きが止まりましたわね!」

 

「貴様もな」

 

セシリアの狙撃とラウラの砲撃が相殺されて、二射目に移ろうとするセシリアに拘束した鈴音をぶつける。

 

「瞬時加速」

 

体勢を崩した2人にラウラが高速で間合いを詰める。

 

「この!」

 

ラウラの両手のプラズマ刃に対して鈴音は連結を解いた『双天牙月』で凌ぐが、さらにワイヤーブレードも追加されて厳しくなっていく。

 

「くっ!」

 

鈴音は衝撃砲を展開してエネルギーを溜める。

 

「甘いな。この状況でウェイトのある空間圧兵器を使うとは」

 

衝撃砲はラウラの砲撃によって爆散した。

 

「もらった」

 

「させませんわ!」

 

とどめを刺そうとするラウラの前をセシリアの狙撃が阻む。

 

「チッ」

 

ラウラは鈴音を蹴飛ばしてセシリアに集中する。

蹴飛ばされた鈴音はダメージがひどく起き上がることができない。

セシリアがブルー·ティアーズを射出する。

 

「何度やっても同じことだ」

 

ラウラが両手をかざしてブルー·ティアーズの動きを止めると、セシリアが前に出た。

 

「自ら死にに来たか」

 

ラウラがワイヤーブレードを射出すると、セシリアは『インターセプター』を呼び出した。

以前のセシリアは呼び出すのに時間がかかっていたが特訓の成果なのか瞬時に呼び出せるようになった。

ワイヤーブレードを回避したり、しきれないものは『インターセプター』で受け流しながら接近する。

セシリアはイギリスでノクト相手に何度も闘っている。

ワイヤー対策はそれなりに出来るのだ。

 

「なにっ!」

 

ラウラが初めて驚愕した。

プラズマ刃を振り下ろすと、セシリアは『スターライトmkⅢ』をぶつけて犠牲にしてミサイルを撃った。

轟音を響かせる自爆特攻でセシリアが爆煙の中から地上に叩きつけられる。

 

「無茶するわね…あんた…」

 

セシリアの横で倒れる鈴音が呆れ半分感心半分で言ってくる。

 

「けれどこれなら確実にダメージが…」

 

セシリアの言葉が途中で止まった。

爆煙が晴れて、ラウラは無傷だった。

 

「終わりか?ならば…私の番だ」

 

 ラウラは瞬時加速で2人に接近して鈴音を蹴飛ばしてセシリアに近距離の砲撃を放ち、吹っ飛んだ2人をワイヤーブレードで拘束して引き寄せて全身を殴る。

シールドエネルギーが削られて危険域に突入して、これ以上は命に関わる。

 さすがに止めようかと動き出した王我を直葉が首を横に振って止めた。

ここは私に任せて、と言うかのように。

 

「おおおおっ!」

 

それより前に動いたのが一夏だった。

白式を装着して『零落白夜』を発動した『雪片弐型』をアリーナのバリアに叩きつけて破壊しステージに突入する。

 

「その手を離せ!」

 

ラウラへ『雪片弐型』を振り下ろす。

 

「フン…感情的で直線的…絵に描いたような愚図だな」

 

「な、なんだ!?くそ…体が…」

 

白式は空中で停止してまるで蜘蛛の巣にかかった獲物のようだ。

 

「バカムラが…何を見ていたんだ?」

 

先程の戦闘から何も学んでいない一夏に王我はポケットに手を突っ込んだ状態で呆れる。

これではセシリアと鈴音は無駄死にも同然だ。

 

「兄さん…」

 

「ああ、頼んだ」

 

王我は愛莉にある指示を出した。

 

「やはり敵ではないな。この私とシュヴァルツェア·レーゲンの前では貴様も有象無象の1つでしかない…消えろ」

 

ラウラが一夏を攻撃しようとしたその時、真横から高エネルギーのビームが飛んできた。

ラウラはセシリアとラウラを離して距離を取り、同時に一夏を停止させたバリアも解かれた。

 

「貴様は…」

 

ラウラが視線を向けると、そこにはデスティニーを装着した直葉がいた。

左手には『M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲』が構えられている。

 

「これは貴様の差し金か…天道王我!」

 

ラウラの怒りの矛先が観客席の王我に向けられる。

頭に血が上っていて少佐であるラウラは空将である王我に敬語を忘れている。

 

「王我…さん…」

 

倒れるセシリアがその名を呼ぶ。

王我は数m上の観客席からステージに生身で降り立った。

 

「俺が相手をしてやってもよかったが直葉がどうしてもというもんでな…まあ、あれだ。俺を倒したくばそいつに勝ってからにするんだな」

 

悪役のようなセリフを言う王我は倒れるセシリアに近づく。

 

「大丈夫…ではないな。先生と医療班は呼んでおいた。無理に体を動かさずに待て」

 

「はい…すみません…無様な姿を見せてしまって…」

 

申し訳なさそうに謝るセシリア。

 

「お前の覚悟、見させてもらった」

 

「っ!」

 

その言葉にセシリアが涙を流しそうになるが何とか堪える。

 

「邪魔をするというならまとめて片付ける」

 

「させないよ!」

 

ラウラの前に直葉が立ち塞がる。

 

「どけ!」

 

ラウラは瞬時加速で直葉にプラズマ刃で斬りかかる。

直葉も『アロンダイト』で迎え撃つ。

 

「フン…」

 

ラウラがワイヤーブレードで多方向から仕掛けると、直葉はデスティニーのウイングを開く。

すると、まるで蝶のように光の翼が現れ、デスティニーに直撃すると思っていたワイヤーブレードは当たらず、機体は幻のように消えた。

 

「なにっ!」

 

ラウラがセシリアの時以上に驚愕した。

いつの間にか背後にいた直葉に気づいて真横に躱す。

 

「なんだ…今のは…」

 

 その問いに直葉が答えるはずもない。

 デスティニーの背部ウイングにはミラージュコロイドの技術が応用されており残像を作り出すことができる。

 真横に回避したラウラへ直葉はビームブーメランを投擲して追撃する。

 

「なめるな!」

 

ラウラがあの不可視のバリアを展開するがビームブーメランは停止せずそのまま飛んできた。

 

「くっ…」

 

ラウラはプラズマ刃でビームブーメランを弾く。

 

「その程度の対策をしていないわけがないだろう」

 

セシリアの体を支える王我が笑みを浮かべる。

王我の知り合いにはスレッタがおり、その機体はあの『エアリアル』だ。

その手の武器の対策しているのは当然のことである。

 

「すげぇ…入り込む隙がねぇ…」

 

直葉の闘いぶりに一夏はただ見ていることしか出来なかった。

 

「私は…私はっ!」

 

ラウラが飛び出したその時、間に影が入った。

ガキンッと金属がぶつかり合う音が響いた。

 

「やれやれ…これだからガキの相手は疲れる」

 

ラウラを止めたのは千冬だった。

ISを装着せずスーツ姿でIS用近接ブレードだけを持っていた。

 

「模擬戦をやるのは構わん…がアリーナのバリアまで破壊する事態になられては黙認しかねる。この闘いの決着は学年別トーナメントまでつけてもらおうか」

 

「…教官がそう仰るなら」

 

ラウラは素直に頷いてISを解除した。

 

「織斑と桐ヶ谷、お前達もそれでいいな?」

 

「はい」

 

「あ、ああ…」

 

直葉は即答で返し、一夏は惚けて素で返事してしまった。

 

「教師には、はい、と答えろ。馬鹿者」

 

「は、はい!」

 

「では学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」

 

千冬はアリーナ内を見渡して言った。

その後、医療班が到着してセシリアと鈴音を保健室へ搬送した。

 

「天道、私と医療班を呼んだのはお前の指示だそうだな。的確だった」

 

「いえ、感情のまま当たり散らす子供に大人のやり方を見せただけですよ」

 

フッと笑う王我に千冬は、こいつは何歳なんだ、と言いたげな目をする。

 

「ドイツはどういう教育してるんだ…いや、知ってて面倒事をこっちに押し付けてきたか…おのれザビ家め…」

 

アリーナの出口に向かいながら王我は独り言を呟いていた。

 

 

◇◇◇

 

 

 1時間後。

保健室でセシリアと鈴音はベッドの上だった。

見舞いには大勢だと迷惑なのでセシリアに王我と鈴音に一夏とシャルロットのみだった。

それぞれカーテンで仕切ってある。

 

「反省点は直してあるようだな」

 

王我がセシリアの闘いぶりを評価する。

 

「いえ、まだまだですわ…残念ですがトーナメントは辞退するしかありません」

 

セシリアは自身の状態を冷静に受け止めて諦める。

その時、廊下から何人もの人間が走る音が聞こえてきてドーンとドアが開いた。

 

「織斑君!」

 

「デュノア君!」

 

雪崩のように数十人の女子が入ってきた。

 

「な、な、なんだなんだ…」

 

「ど、どうしたの…みんな…ちょ、ちょっと落ち着いて」

 

一夏とシャルロットがカーテンの向こうで慌てているのが分かる。

 

「「「「これ!」」」」

 

バンッと女子達が出したのは学内の緊急告知文が書かれた申込書だった。

 

「旦那様」

 

いつの間にか隣にいたノクトが王我にも見せる。

そこにはこう書かれていた。

 

今月開催する学年別トーナメントではより実戦的な模擬戦闘を行うため2人組での参加を必須とする。なおペアが出来なかった者は抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする。締め切りは◯月×日まで。

 

「私と組もう!織斑君!」

 

「私と組んで!デュノア君!」

 

女子達が2人に迫る。

 

「ちょっと待てって…王我は?」

 

「王我さんにはノクトさんがいるから無理!」

 

女子達は即答で返した。

「様」ではなく「さん」と付けてるあたり1組の女子だろう。

ノクト以上に王我の相棒が務まる者などいない。

 

「え、えっと…悪いな。俺はシャルルと組むから諦めてくれ!」

 

一夏の言葉にシャルロットは一瞬、王我に視線を向ける。

王我は目で合図すると、シャルロットは頷いた。

 

「ごめんね、みんな」

 

そう言われて女子達は諦めて去っていった。

 

「一夏!あ、あたしと組みなさいよ!幼馴染みでしょうが!」

 

カーテンの向こうで鈴音が騒いでいるのが聞こえる。

 

「ダメですよ」

 

そこへ保健室に入ってきた真耶が制止した。

 

「お2人のISの状態をさっき確認しましたけど、ダメージレベルがCを超えています。当分は修復に専念しないと後々重大な欠陥を生じさせますよ。ISを休ませる意味でもトーナメント参加は許可できません」

 

「うっ、ぐっ…わ、分かりました…」

 

「言われずとも辞退するつもりでしたわ」

 

渋々引き下がる鈴音と最初から辞退するつもりだったセシリア。

 

「分かってくれて先生嬉しいです。ISに無理をさせるとそのツケはいつか自分で支払うことになりますからね。肝心なところでチャンスを失うのはとても残念なことです。あなた達にはそうなってほしくありません」

 

「はい…」

 

「分かっていますわ」

 

真耶の先生らしい諭し方を受け入れる2人だった。




セシリアは原作と違って少し大人にしました。
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