※この作品はR-18です。

ISの世界でMSを作る   作:kuroto xanadu

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湖の少女

 迎賓館から少し離れた湖に王我はやってきた。

湖の周りは15mくらいの崖が円を描くように囲んでいる。

王我はその崖の上でこれからのことについて考えていた。

亡国機業。

IS学園で起きた2件の事件。

これからは奴らとの戦いがさらに激化する可能性も高いだろう。

そんな時、王我の耳に「ラララ~♪」と歌声が聞こえてきた。

視線を向けると崖の上で回りながら歌っている金髪セミショートの少女がいた。

その少女を見た王我は目を見開いた。

王我はその少女を知っている。

正確には前世の知識で。

その少女の名はステラ・ルーシェ。

原作でも有名な悲劇の少女。

その彼女が歌うことに意識を向きすぎたせいか、崖の端に足を滑らせて湖に落ちてしまった。

 

「マジかよ!」

 

王我は猛ダッシュで駆けると15m上の崖から躊躇わずに湖に飛び込んだ。

その動きはまるでオリンピック選手のよう。

ステラは泳げないのかバタバタともがいている。

王我はステラがパニックにならないように後ろから抱き上げて助ける。

暴れるステラの肘が王我の顔に何度も当たるが気にせず、洞窟が見えたのでそこに運んでいく。

陸に着いてようやくステラは落ち着いた。

 

「大丈夫か?」

 

間違ってもここであのNGワードは口にしない王我。

 

「…誰?」

 

ステラの眼はまるで水晶玉のように透き通った純粋な眼で、王我の顔を見上げる。

 

「俺は天道王我だ」

 

「オ…ウ…ガ?」

 

王我の一語ずつ呟いて小首を傾げるステラ。

 

「そう…王我だ」

 

「オウガ…」

 

王我の名前を復唱するステラ。

 

「さて…どうするか?」

 

王我は少し困っていた。

あの高さは崖はそう簡単には登れない。

ステラをおぶって崖を登ることも出来るが、今死にかけた湖にステラを戻すのも可哀想だ。

ISもあるが、他国で自由に使うことは原則許されていない。

そんなことが出来ればテロもやりたい放題だからである。

IS学園が特殊なのだ。

 

「オウガ?」

 

ステラが王我を見上げる。

今の状況は全然理解していないだろう。

 

「携帯は…圏外か」

 

王我はある端末を取り出して『ミネルバ』に救難信号を送るとその端末を湖に放り投げた。

端末は水上にプカプカと浮いて赤いライトの救難信号を発信し続けている。

 

 

◇◇◇

 

 

 『ミネルバ』ブリッジ

 

「艦長、救難信号です。このコードは…天道空将からです」

 

「え?」

 

オペレーターのメイリンの報告にタリアは一瞬何を言われたのか理解できなかった。

 

 

◇◇◇

 

 

 王我はステラの方へ振り返ると、

 

「大丈夫だ。お前は俺が守る」

 

「まもる?」

 

「ああ、とりあえず服を脱いで乾かさないとな。そのままじゃ風邪を引く」

 

ステラの服はダンス衣装のような胸元が開いたワンピース、おとなしい顔ながらスタイルの良さが際立っており、濡れた服が透けて身体に張り付いている。

洞窟は入って5mくらいしかなく、ちょうど木の破片と棒があったのでサバイバル技術を活かして火起こしをした。

2人は服を脱いで焚き火の熱で乾かしながら寄り添って体を温め合った。

女好きの王我だが、ステラの裸を見ても不思議と欲情しなかった。

 

「君の名前は?」

 

王我は知らないふりをして訊いた。

 

「ステラ」

 

ステラは焚き火を見つめながら答えた。

 

「親はいるのか?」

 

「知らない…」

 

「いつもは誰と一緒にいるんだ?」

 

「スコール…オータム…アルファ…ベータ…」

 

「そうか。ステラは好きなものはあるか?」

 

「海…とお魚」

 

「そうか」

 

 王我は焚き火に枝を放り投げた。

ステラは1人ではない。

王我の知っている彼女の結末は悲劇。

もしかしたらあんな最期でも彼女にとっては幸せだったのかもしれない。

愛する人の腕の中で死ぬことが出来て。

それでも王我はステラにこの世界で生きて欲しいと思う。

戦いのない平和な世界で。

 それからしばらく時間が経って夕方になり日も落ちかけてきた頃、服も乾いたので着直したところでヘリコプターの音が聞こえ、その後にボートが近づいてくる音が聞こえた。

 

「何をしてんのよ。あんたは」

 

憎まれ口を叩きながら救助に来たのはルナマリアだった。

 

「来てくれると信じていた」

 

「なっ!バッ…バッカじゃないの!///」

 

王我の言葉にルナマリアは照れ隠しで怒る。

 

「その子は?」

 

ルナマリアは王我の背後に隠れるステラに視線を向ける。

 

「ステラだ。湖に落ちたから助けた」

 

「それであんたが助けられるんじゃ世話ないわね」

 

そんなことを言いながらも王我とステラをボートに乗せ、ヘリコプターにワイヤーで吊るしてもらって陸に戻った。

着陸して道路の脇にバギーが停車してあった。

ルナマリアが乗ってきたのだろう。

 

「さて、どうしたものか」

 

王我はステラをどうするか考えていた。

その時、1台の車が近くに停車してきた。

 

「ステラ!」

 

「スコール!」

 

車から降りて駆けつけてきたのは金髪で赤い服を来た美女だった。

 

「心配してたのよ。全然帰ってこないから」

 

「ごめんなさい…」

 

シュンと落ち込むステラ。

 

「もういいわ。無事でよかった。…ありがとう。あなた達が保護してくれたのね」

 

「ああ、その子が湖に落ちたもんでな」

 

王我がそう言うとルナマリアが「あんたも助けられたくせに」と言いたげな目を向けていた。

 

「そう。勇敢なのね」

 

スコールはそう言ってフフッと笑みを浮かべた。

 

「それじゃあな」

 

王我がバギーに乗ろうとすると、ステラが駆け寄ってきた。

 

「オウガ、行っちゃうの?」

 

ステラの顔は寂しそうだった。

 

「ああ、お前の保護者も来たみたいだしな」

 

「もう会えない?」

 

ステラの顔は今にも泣きそうだった。

王我は彼女の頭を撫でると、

 

「そんなことはない。いつかまた会えるさ」

 

優しく微笑んだ。

 

「ほんとう?」

 

「ああ、本当だ」

 

「わかった…また会えるの…たのしみ」

 

ステラも微笑み返した。

 

「ステラ」

 

スコールがステラを呼ぶと、

 

「うん。オウガ…また」

 

「ああ、またな」

 

別れの挨拶を交わして、王我はルナマリアが運転するバギーに、ステラはスコールが運転するスポーツカーに乗ってお互い別方向に走り始めた。

ステラは湖を眺めている。

スコールは運転しながらミステリアスな笑みを浮かべていた。

 

「あれが天道王我…フフッ…なかなか面白い男ね」

 

スコールは先ほど会った王我の顔を思い出していた。

 

「(また会える…か。ええ、望み通り会わせてあげるわ………戦場でね)」

 

王我は知らない。

この金髪の美女、スコールがあの亡国機業の幹部であるということ。

彼の敵はすぐそこまで迫っていたのである。




ステラ・ルーシェ
原作:機動戦士ガンダム SEED DESTINY
年齢:推定17歳
国籍:不明
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