※この作品はR-18です。

ISの世界でMSを作る   作:kuroto xanadu

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今回は長めです。


業火のベルリン

 午後6時30分。

王我はルナマリアが運転するバギーで迎賓館まで戻ってきた。

迎賓館では既にパーティーの始まりが迫っていた。

 

「どこに行ってたんですか!兄さん、もうパーティー始まりますよ!」

 

怒りカンカンで来たのは水色のパーティードレスを着た愛莉だった。

 

「ちょっとトラブルがあってな。それより…ドレス似合ってるぞ。世界一可愛い」

 

「な、なに言ってるんですか!そんなこと言ったってごまかされませんよ!///」

 

王我の褒め言葉に愛莉の顔が怒りとは別で赤くなる。

 

「天道社長、そろそろ着替えないと間に合いませんよ」

 

刺のある口調でルナマリアが注意する。

空将と呼ばないのは王我が軍の仕事で来ていないからだ。

ルナマリアが余所行きの言い方をしているのは単なる可愛らしい嫉妬である。

 

「そうだな。着替えてくる」

 

「お手伝いします」

 

王我とライトグリーンのドレスを着たノクトが控え室に入る。

数分して2人が控え室から出てきた。

王我は黒いタキシードを着ている。

 

「じゃあ行くか」

 

「兄さん、ネクタイが曲がっていますよ」

 

「そうか?」

 

「全く仕方ないですね」

 

そう言って愛莉が王我のネクタイを結び直す。

ちなみにネクタイは一切曲がっていない。

愛莉がおせっかいを焼きたいだけなのだ。

王我もノクトも分かった上で好きにさせている。

 

「本当に兄さんは私がいないとダメなんですから」

 

「そうだな。いつも助かってるよ」

 

王我がそう言うと愛莉はジト目を向けて、

 

「はい。直しましたよ」

 

ネクタイを結び直し終わった。

 

「ありがとう。愛莉」

 

王我はお礼を言うと愛莉の唇に軽くキスした。

 

「ちょ、なにやってるんですか!こんなところで!」

 

「なに、ここには俺達しかいないさ」

 

ここは廊下、近くにいるのはノクトと不機嫌なルナマリアしかいない。

 

「ほら早く行きますよ!」

 

愛莉は王我の手を引っ張って会場に連れていく。

そんな可愛らしい愛莉のリアクションに王我の頬が緩む。

 

 

◇◇◇

 

 

 会場には既にたくさんの人が集まっていた。

ザビ家主催のパーティーには政界やビジネス界の大物、軍人も参加している。

ルナマリアやメイリンも軍服だが、端の方で豪華な料理を立食している。

王我が会場に入ってきた瞬間、周囲の視線が集まる。

とはいえあからさまに取り入ろうとする下品な者はここにはいない。

すると、会場の照明が一旦消えて、スポットライトが点灯した。

その中心にはギレンがいた。

 

「よく集まってくれた。ご存知の通り、今日は先日の事件を解決してくれた天道王我殿へのお礼パーティーである。王我殿はもちろん、皆さんも楽しんでくれたまえ!」

 

ギレンが開会の挨拶をしてパーティーが本格的に始まった。

楽団が演奏を始め、政治家や資産家が談笑したり料理を食べる。

迎賓館の賑やかな音は外にも漏れているのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

 ドイツ北部の都市、シュトラールズント近海。

シュトラールズントは港町で漁が盛んな都市である。

その近海の人目につきにくい場所で1隻のレーダーに映らないステルス性の潜水艦が停泊していた。

浜の近くだが崖で隠れて周囲から潜水艦は見えない。

そして、浜の方から歩いて近づいてきたのはスコールとステラだった。

2人が潜水艦に乗ると潜水して海底に下っていく。

海底にあったのは潜水艦よりさらに大きい空母のような潜水艦だった。

格納庫のハッチが開くと潜水艦が入った後に閉じる。

 

「遅いじゃねぇか!」

 

潜水艦から降りたスコールに呼びかける者がいた。

 

「ごめんなさいね、アルファ。ステラが迷子になってしまったものだから」

 

「ハッ、いつもボーッとしてるからだろ!」

 

嘲笑した女の名前はアルファ。

短い黒髪で好戦的な黒い目をしている。

 

「そんなこと言わないで。ステラは今回の作戦で重要なんだから」

 

スコールがフォローする。

 

「別にそんな奴いなくたって問題ねぇよ!」

 

アルファは自分の実力に相当の自信を持っているようだ。

 

「あなたはもう少し危機感を持った方がいいわ」

 

そう言って格納庫に現れたのはアルファと似たような見た目だが、目はややおっとりしていて丁寧な口調だ。

2人が並ぶと姉妹のようだ。

 

「ベータはいつもいつもうるせぇんだよ。母ちゃんか!」

 

「私達に母親なんていないでしょ」

 

「チッ、冗談の通じねぇ奴だ」

 

睨み合う2人。

そこへパンパンとスコールが手を叩く音が響いた。

 

「はいはい、喧嘩はそこまで。そろそろ作戦を始めるわよ。今日はオータムは別行動で参加できないからあなた達2人とステラと、この無人機だけでやるのよ」

 

格納庫にはIS学園を襲撃した無人機ISと同型機が大量に並んでいた。

おそらく100は超えているだろう。

 

「分かってるよ」

 

「私達が負ける要素はありません」

 

2人は堂々と答えた。

 

「ステラ」

 

「なに?」

 

「あなたにはこれを使って敵をいっぱい倒して欲しいの」

 

スコールが差すその先には通常のISの10倍の大きさはある要塞のような機体が立っていた。

そして、ステラの耳元に口を近づけると、

 

「この国には私達を殺そうとする人がいっぱいいるの」

 

「殺す?」

 

「そう。だからステラに私達を守って欲しいの。そうすればみんな死なない」

 

「まもる?」

 

「そう。ステラ、私達を…守って」

 

スコールはステラの耳元で悪魔のように囁いた。

ステラにはあるNGワードがある。

それは『死』というワードである。

しかし、スコールはそれをあえて利用した。

ステラを道具として使うために。

 

「まもる…みんな死なない…」

 

その言葉でステラの脳裏をよぎったのは今日、会ったばかりの男の顔だった。

 

「ステラ…まもる」

 

ステラの表情が引き締まった。

それを見たスコールは悪魔のような笑みを浮かべた。

 

「(今日は迎賓館でパーティーをしている。ダンスでも踊っているのでしょう。なら私が奏でてあげるわ…あなた達へのレクイエムをね)」

 

スコールは心の中で高笑いしていたのだった。

 

「このデストロイでね」

 

そう呟いてスコールは目の前の巨大な機体を見上げるのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

 午後7時。

迎賓館の会場でパーティーは続いていた。

 

「踊るか。愛莉」

 

王我は愛莉の手を取る。

 

「仕方ありませんね」

 

そう答える愛莉の顔は嬉しそうだった。

2人は会場の中心に移動して向かい合った。

周囲の視線が2人に集中する。

楽団が次の曲の演奏を始めると、王我が愛莉の腰に手を伸ばし、愛莉が王我の肩に手を置いてダンスを始める。

始まった途端、それを見ていた者達が息を呑んだ。

2人のダンスがあまりにも美しかったからだ。

お互いがどう動くかまさに手を取るように分かり合って笑顔で踊っている。

中にはここが白鳥の湖と幻視する者までいる。

5分間のダンスを終えて2人がお辞儀をする。

素晴らしいダンスを見させてもらった者達は自然と拍手していって天道兄妹は大喝采を浴びたのだった。

2人は会場の端へ戻っていく。

 

「凄かったよ、2人とも!思わず見惚れちゃった!」

 

そう褒め称えるのはオレンジ色のドレスを着たシャルだった。

胸元が開いたドレスで、大きな胸が存在を主張していてくびれが彼女のスタイルの良さを際立たさせている。

 

「たしかに。あれはもはや芸術だった。…ところで私までドレスを着ていいのだろうか…」

 

裾を摘まんで居心地の悪そうなラウラ。

ライトグレーのドレスで、小柄でスレンダーなラウラだが可愛らしい印象を抱かせる。

本当は軍服がよかったらしいのだが、一応客人という扱いなのでドレスを着させられた。

犯人は彼女が隊長を務める部隊『黒ウサギ隊』の部下らしい。

 

「ほんと凄かった!」

 

そう褒めるのはグリーンのドレスを着た直葉。

その豊満な乳袋はとてもドレスで隠しきれるものではなかった。

 

「似合ってるぞ、3人とも」

 

「「「…///」」」

 

王我の褒め言葉に3人は頬を赤くして照れる。

それを陰から覗いていた黒ウサギ隊の隊員達はガッツポーズしていた。

王我の周りの美少女達に周囲の視線が集まるのは仕方ないことだった。

 

「楽しんでいるようだな」

 

そこへ近づいてきたのはギレン達ザビ家だった。

ただ、サスロは政治家と話していて、ガルマはその容姿から令嬢達からダンスを申し込まれている。

 

「おかげさまで」

 

そう返す王我。

 

「ならよい」

 

ギレンもどこか満足そうである。

 

「ガハハ!楽しんでいるか王我!」

 

「話聞いてなかったのかお前」

 

高笑いするドズルにジト目を向ける王我。

 

「なかなか良いものを見させてもらったぞ」

 

キシリアが先程のダンスを評価する。

 

「それはどうも」

 

王我は流すような返事をする。

 

「王我、今度はお前の誕生日に呼んでくれ!」

 

「分かった分かった…呼ぶよ。毎年呼んでんだろ」

 

ドズルは少し酔っているようだ。

ちなみに10月10日の王我の誕生日や1月6日の愛莉の誕生日には毎年バースデーパーティーが開かれ、王我の知り合いが各国から招待されてやって来ている。

王我はグラスを片手に窓の外へ視線を移す。

 

「どうかしましたか?兄さん」

 

愛莉が訊く。

 

「いや…少し雲行きが怪しくなってきたなって」

 

王我の視線の先ではドイツの空が少し曇り始めていた。

 

 

◇◇◇

 

 

 シュトラールズントの近海。

日も暮れて漁も引き上げている頃、ドイツの海軍が海を監視していた。

 

「…ん?」

 

双眼鏡で監視していた兵士が何か異変に気づく。

水面がだんだん盛り上がっているのだ。

 

「なんだ!?」

 

兵士が叫ぶと、水面から現れたのは巨大な空母のような潜水艦だった。

 

「エマージェンシー!エマージェンシー!」

 

兵士は無線で報告する。

潜水艦のハッチが開くと、まず出てきたのは大量の無人機IS。

その次に2機の黒いISが出てきた。

そして最期に潜水艦の甲板の滑走路が両開きになり、下から現れたのは20mはある巨大な要塞のような機体が出てきた。

GFAS-X1 デストロイ。

それがこのISの名前。

ISは基本装着するものだが、この機体にはコックピットがあり、パイロットはそこに入っている。

そのパイロットは………ステラ・ルーシェだった。

 

 

◇◇◇

 

 

 迎賓館。

パーティーも盛り上がってきた頃、ギレンの耳にある報告が入ってきた。

ギレンは壇上に上がってマイクを取る。

 

「皆さん、申し訳ないがパーティーはこれにて中止とさせていただく!」

 

ギレンの宣言に不満げな声が聞こえる。

 

「現在、シュトラールズントで所属不明のISが現れて襲撃されている。目標はここベルリンだ」

 

ギレンは一切包み隠さず事実を話した。

もちろん会場は大パニック。

 

「狼狽えるな!それでも誇り高きドイツ人か!我々は負けん!我々は屈しない!ドイツは永遠に不滅だ!」

 

ギレンは会場の人間に呼びかけた。

 

「ドイツに栄光あれ!」

 

「「「「「「「「ドイツに栄光あれ!」」」」」」」」

 

ギレンが拳を高く掲げると、会場のドイツ人もそれに続いた。

この結束力こそがドイツの強さなのだ。

 

「では皆さん、私の指示に従って避難してください」

 

サスロと迎賓館の職員達が避難誘導を始める。

ギレンは壇上を降りて、王我達に近づく。

 

「王我、悪いがパーティーは中止だ」

 

「ああ」

 

「『ミネルバ』の艦長、頼みがある。力を貸してくれ」

 

ギレンは状況を確認しようと王我達に近づいていたタリアに助力を請う。

 

「よろしいのですか?他国の領土で我々が動いても」

 

「民なくして国はない。国のためならどんな責任も取る。それが上に立つ人間の務めだ」

 

ギレンは民のため国のためプライドなんて放り投げた。

 

「分かりました。我々も全力を尽くさせていただきます」

 

タリアはギレンの願いを受け入れた。

 

「感謝する。それから王我、お前達にも頼みたい」

 

ギレンは王我達を見る。

 

「分かった」

 

王我は即答した。

 

「それとラウラ·ボーデヴィッヒ少佐」

 

「はい!」

 

「お前の謹慎と専用機の禁止命令を解く」

 

「え、しかし…」

 

ラウラは躊躇する。

ラウラに下された処分はいかなる場合も撤回されないはずだった。

 

「これは命令だ」

 

「了解!」

 

だが、ギレンは軍のそして国のトップ、彼の言葉は絶対だ。

 

「とはいえこの格好じゃあな…」

 

王我は自らの格好を見下ろす。

タキシードの王我はまだしもノクト達4人のパイロットはドレス。

私服ならともかくこの格好の上にISを装着するのは厳しい。

しかし、ISスーツは持ってきていない。

 

「『ミネルバ』に予備のスーツがあるわ」

 

タリアが口を出す。

 

「分かった。急ごう」

 

王我達は『ミネルバ』へ移動を始める。

ギレンはそれを見送った後、

 

「よし。まずは市民の避難を最優先!ザクとグフを発進して防衛線を維持しろ!」

 

ギレンは兵士の指示を飛ばして前線の指揮官に連絡させる。

 

「兄上、私もザンジバルで出ます」

 

「私もガウで出ます!」

 

キシリアとガルマが戦艦で出撃すると申し出た。

 

「分かった。行け」

 

「「了解!」」

 

2人は急いで出撃準備に向けて走っていった。

 

「ドズル、私達も司令部に向かうぞ」

 

「ああ!」

 

ギレンとドズルは司令部に急いで向かった。

 

 

◇◇◇

 

 

 シュトラールズント。

亡国機業のISは既に街中に侵入してきていった。

軍の迅速な対応で市民は地下シェルターへ避難を完了していた。

ドイツ軍のIS、ザクウォーリアとグフイグナイテッドが現在応戦中。

この2種の機体は王我が設計したISである。

初めは無人機ISに対して善戦していたが数が多くだんだん押されていく。

戦闘不能、またはシールドエネルギーが少ない兵士は予備部隊と交代して防衛線の維持に尽力する。

しかし、それも限界だった。

1つは2機の黒いIS、アルファとベータの強さ。

見た目はラファールに似ているまさにラファール·ブラックと呼ぶであろう機体。

その2人の実力は驚異的でドイツの兵を次々と撃墜している。

ISの絶対防御がなければ彼女達は今頃死んでいただろう。

そして、もう1つ。

超大型ISデストロイの絶望的強さ。

 

「なによ…なんなのよこれ!」

 

彼女達の射撃、砲撃、爆撃、狙撃は全て要塞のようなデストロイの陽電子リフレクタービームシールド『シュナイドシュッツSX1021』(通称陽電子リフレクター)によって弾かれた。

 

「はあぁぁぁ!!!」

 

デストロイのバックパックから2本の砲身が伸びて大型ビーム砲『高エネルギー砲 アウフプラール・ドライツェーン』が赤黒いビームを放つ。

ビルなど建物は破壊され、直撃を受けたISは一撃でシールドエネルギーを全損して撤退させられる。

 

「このっ!」

 

「いやぁ!こないで!」

 

兵士達が包囲して射撃などで攻撃するが陽電子リフレクターに弾かれ、亀の甲羅のようなバックパックの外周部分から20個の砲口が開き、『熱プラズマ複合砲 ネフェルテム503』の緑色のプラズマ砲が全方向に発射される。

ビームは上下左右の角度を変えている。

回避した者は退避を余儀なくされ、直撃を受けたISは半分あるいは1/3シールドエネルギーを削られた。

兵士達も頑張っているが、圧倒的な戦力に押されて徐々に戦線を後退せざるを得なくなる。

 

「ハッハ!すげぇなこれ!」

 

デストロイの破壊力を目の当たりにしたアルファは笑い声を上げる。

ドイツの街は崩壊していた。

建物は崩れ、辺り一面は炎に包まれている。

その中心にデストロイがいた。

まさに破壊の化身。

敵はそれだけではない。

無人機ISは数が多く厄介、さらに2機のラファール·ブラックも強力だった。

 

「オラオラ!」

 

アルファのラファール·ブラックは左手に実体シールド、右手にビームサーベルを持って次々とザクウォーリアやグフイグナイテッドを撃墜していく。

その反応速度は恐ろしく防御から攻撃への切り替えが速い。

武器の切り替えもシャルを上回っている。

 ベータもラファール·ブラックで両手に狙撃用ビームライフル、両肩には四連装×2のミサイルポッド。

狙撃の腕はセシリアを上回っている。

 

「弱い奴ばかりだと歯応えがねぇぜ!」

 

「無駄口を叩くな、アルファ」

 

調子に乗るアルファをベータが嗜める。

彼女達の侵攻が進んでいく。

 

 

◇◇◇

 

 

 ギレンとドズルは地下シェルターの司令部にいた。

「敵の侵攻ルートの10キロ圏内の市民の避難を最優先にしろ!」

 

指揮を取るギレンに対してドズルは悔しそうに拳を握り締めていた。

 

「くそ…ビグ・ザムさえ完成していればあんな奴ら、一網打尽にしてくれる!」

 

「無い物ねだりをしても仕方あるまい。防衛線は一定のまま後退!ここを攻めてくるというなら望み通りベルリンで迎え撃つ!ガルマ隊、キシリア隊!発進!」

 

ギレンが指示を飛ばして、ガルマ隊のガウとキシリア隊のザンジバルが発進する。

2隻の空中戦艦は離陸して空を飛んでいく。

 

 

◇◇◇

 

 

 『ミネルバ』のブリッジには艦長のタリア、副艦長のアーサー、オペレーターのメイリン、操縦士などの他の搭乗員、そして後部シートには愛莉が座っている。

 

「ミネルバ発進シークエンス、スタート!本艦はこれより戦闘ステータスと移行する!ミネルバ、発進!」

 

 タリアの号令でミネルバが離陸してスラスターのエンジンが火を噴いて前進した。

 更衣室では王我とノクト達が男女別でISスーツに着替えていた。

 

「これどうやって着るんですか?」

 

シャルがルナマリアに訊く。

『ミネルバ』にあったISスーツは最新式で着方が今までと違うようだ。

 

「手首のスイッチを押せばいいのよ」

 

ルナマリアの言う通りにすると、ISスーツがキュッと体にフィットした。

 

「わっ、すごい」

 

シャルは少し感動していた。

 

「呆けている暇はないわよ。すぐに戦闘が始まるわ」

 

「「「はい!」」」

 

ルナマリアの激に直葉、シャル、ノクトが応えてISスーツをすぐに着る。

ノクトは既に着替えていた。

このISスーツはシルバーキングス製のようだ。

 

《コンディション·レッド発令!パイロットは格納庫にて待機してください!》

 

メイリンのアナウンスが流れて全員、格納庫へ走って移動を始める。

王我も既に格納庫で待機していた。

すぐにISを装着する。

 

《天道空将》

 

王我にブリッジからタリアの通信が入る。

 

《前線の指揮はあなたにお願いしたいのだけれどよろしいかしら?》

 

「ああ、分かった」

 

王我は各パイロットにも通信を繋げる。

 

「艦長から前線の指揮を委託された。シャルとラウラは後衛、ルナマリアと直葉は中衛、俺とノクトで前に出る」

 

《了解!》と5人が応答すると、格納庫から上階へリフトが上がり、カタパルトデッキの床が下がっていき、同時に前方のハッチが開き始めた。

隙間から黒い雲と炎に焼かれた街が見えた。

 

《ハッチ開放、射出システムのエンゲージを確認、カタパルト推力正常、進路クリア、ラファール発進、どうぞ!》

 

「シャルロット·デュノア、ラファールいきます!」

 

まずシャルが加速して発進した。

 

《続いてシュヴァルツェア・レーゲン発進、どうぞ!》

 

「ラウラ·ボーデヴィッヒ、シュヴァルツェア・レーゲン出る!」

 

次にラウラが発進した。

 

《インパルス発進、どうぞ!》

 

「ルナマリア·ホーク、インパルスいくわよ!」

 

次にルナマリアのインパルス Spec Ⅱが発進した。

 

《誘導システムオンライン、ブラストシルエット射出!》

 

それに続いてシルエットフライヤーの『ブラストシルエット』が射出されてインパルスの背部とドッキングする。

身の丈ほどある太い砲身のビーム砲とレールガン、ミサイルポッドも備えてある。

灰色だった機体のカラーリングがオリーブグリーンを中心としたミリタリー色が強い物に変わっていく。

『ブラストシルエット』を装備した『ブラストインパルス』である。

 

《デスティニー発進、どうぞ!》

 

「桐ヶ谷直葉、デスティニーいきます!」

 

直葉が発進してウイングが開くと光の翼が一瞬広がる。

 

《ジャスティス発進、どうぞ!》

 

「ノクト·リーフレット、ジャスティス発進します」

 

ノクトがインフィニットジャスティスで出撃した。

 

《ダブルオー発進、どうぞ!》

 

「天道王我、ダブルオーライザー出る!」

 

王我はダブルオーライザーで出撃した。

スラスターから緑色の粒子が放出されている。

 

「いくぞ!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

王我の号令に5人が応えた。

 

「ひどい…」

 

街の惨状にシャルは言葉を漏らした。

『ミネルバ』でも、

 

「光学映像入ります!」

 

ブリッジのモニターに映し出されたのは街を焼き払うデストロイの姿だった。

亀のような姿だがその砲身から放たれるビームは全てを破壊しようとしていく。

 

「こんな…こんなことが…」

 

タリアも目の前の現状を受け入れるのに思考が一瞬停止したが、すぐに自分の役目を思い出して気を引き締める。

 

「先手を打つ!タンホイザーを!アーサー!」

 

「タンホイザー起動、照準敵超大型IS、プライマリ兵装バンクコンタクト、出力定格、セーフティ解除…」

 

タリアの指示でアーサーが発射シークエンスを始めていく。

艦首が開き、巨大な砲口が姿を現す。

砲口にエネルギーが溜まっていく。

そして、準備が整った。

 

「ってぇ!」

 

陽電子破砕砲 QZX-1『タンホイザー』の赤黒いビームが発射された。

デストロイは機体を僅かに前に傾けて陽電子リフレクターで受け止めると陽電子砲を弾いて分散させた。

 

「なっ、そんなバカな…」

 

『ミネルバ』の最大火力の砲撃が防がれたことにアーサーが目を見開いて驚く。

それはパイロット達も同じだった。

 

「あんなのあり?…」

 

シャルが驚愕し、他のみんなも言葉を失っている。

しかし、ここは戦場。

呆けている余裕はない。

アラートが鳴り、ビームが飛んできたので躱す。

 

「余所見している暇があるのか?」

 

「ハッ、少しは歯応えのありそうな奴がいるじゃねぇか!」

 

現れたのはアルファとベータだった。

 

「黒い…ラファール?…くっ!」

 

アルファの射撃を避けながら、シャルも射撃で応戦する。

 

「同じじゃねぇよ!そんなポンコツとはスペックが違うんだよ!」

 

アルファは実体シールドで防ぎつつ射撃してシャルのビームライフルを撃ち抜いた。

シャルは『高速切替』でアサルトライフルを連射。

 

「その程度の切替なんざ幼児でも出来るぜ!」

 

アルファはシャルより速い『高速切替』を披露してアサルトライフルで応戦してシャルの弾丸を全て撃ち落とした。

 

「シャルロット!」

 

ラウラがAICでアルファの動きを止める。

 

「ハッ、バカが」

 

アルファが吐き捨てると別方向からビームが飛んできてラウラに直撃した。

同時にAICの拘束も解かれる。

 

「愚かですね。その武装は多数相手には通用しませんよ」

 

ラウラを撃ったベータの狙撃だった。

その距離はセシリアの射程の倍以上だった。

 

「あんな距離から…」

 

ラウラが唇を噛み締める。

敵の強さは想像を遥かに超えていた。

シャルとラウラの2人はいつの間にか王我達から引き離されていた。

 

 

◇◇◇

 

 

「ルナマリア、雑魚を頼む。直葉は援護だ」

 

「「了解!」」

 

ルナマリアと直葉は無人機ISの殲滅に向かった。

 

「はあっ!」

 

ルナマリアが大型ビーム砲『M2000F ケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲』を発射して無人機ISを薙ぎ払う。

撃ち漏らしはミサイルポッドのミサイルで撃墜する。

 

「私だって!」

 

直葉もビーム砲でルナマリアに続く。

IS学園であれほど一夏を追い込んでいた無人機ISが次々と撃墜されていく。

 

 

◇◇◇

 

 

《ステラ、彼らは手強いわ。気をつけて》

 

スコールが潜水艦のブリッジからステラに通信で警告する。

 

「なんであろうと私はぁぁぁ!!!」

 

ステラの叫びと共にデストロイの形が変わる。

亀のようなフォルムから起き上がり人型となる。

口に1個、胸に3個の砲門がある。

亀の甲羅のようなバックパックはデストロイの機体をより大きく見せる。

そして、頭部の顔がガンダムシリーズと同じだった。

 

「倒さなきゃ…怖いものは全部!」

 

胸部の3連装大口径ビーム砲の複列位相エネルギー砲『スーパースキュラ』が放たれる。

ビームを避けて王我は目の前のデストロイに改めて見る。

 

「(嫌な予感がする…確かめないと…)ノクト、確かめたいことがある。援護を頼む」

 

「Yes、旦那様」

 

王我の指示にノクトが応答する。

 

「(頼む…違ってくれ!)」

 

王我はダブルオーライザーで突撃する。

ノクトはビームライフルでデストロイを陽動する。

デストロイが手の甲の陽電子リフレクターでビームを弾いている隙に王我がデストロイに接近する。

デストロイのバックパックと指先から緑色のビームが放たれるが王我はそれらを全て躱し切るとデストロイの胸の中心部分まで入り込むと『GNソードⅢ』で斬りつけた。

そこはコックピットの部分で表面が切り裂かれ、中身が露になる。

それを見た王我の目が見開いた。

コックピットにいたのはステラだった。

 

「なんで…なんでこうなるんだ…ステラァァァ!!!」

 

王我の絶叫が戦場に響き渡った。

運命が2人を引き裂いていく。




デストロイは原作の半分くらいの大きさです。
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