※この作品はR-18です。

ISの世界でMSを作る   作:kuroto xanadu

37 / 67
お前は死なない!

 ベルリン市内。

全市民は地下シェルターに避難が完了していて、街に残っているのは戦士のみ。

ガルマとキシリアの艦は後方に配置され、砲撃で援護に回っていた。

 

「攻撃の手を緩めるな!敵を近づけさせるな!」

 

キシリアが指示を飛ばすと、砲撃の嵐が無人機ISの侵攻を阻む。

しかし、それも時間の問題。

このままでは押し切られてしまうだろう。

 

「頼むぞ。みんな」

 

キシリアの視線が超大型ISデストロイに向けられた。

 

 

◇◇◇

 

 

 『ミネルバ』も現在交戦中だった。

 

「右舷からミサイル7!」

 

「回避!取り舵10!」

 

タリアの指示で『ミネルバ』がミサイルを回避する。

 

「トリスタン1番2番、ってぇ!」

 

アーサーの号令に『ミネルバ』の艦尾両舷に各1基ずつ格納される2連装ビーム主砲から緑色のビームが放たれて無人機ISを2機撃墜する。

 

「本艦も前に出る。ミネルバ、前進!」

 

『ミネルバ』は前に出て無人機ISの掃討にかかった。

 

 

◇◇◇

 王我の目の前にいるデストロイ、そのコックピットの表面は切り裂かれ内部が見えていた。

そこにはステラ・ルーシェがいた。

 

「死ぬのはいや…まもる…みんな死なない!」

 

ステラの叫びと共にデストロイの胸部から3連装のビーム砲が放たれる。

 

「チッ」

 

王我は距離を取って離れる。

 

「ステラ!」

 

王我が呼びかける。

 

「こないで!」

 

デストロイの両手が分離してドラグーンとなり遠隔射撃をしてくる。

王我はそれを躱しながらステラに何度も呼びかける。

しかし、その声が届くことはない。

片方のビームを躱した先で、もう片方のビームが王我に飛んできた。

そこへ割り込んだのはビームシールドで防いだ。

 

「旦那様、落ち着いてください」

 

「ノクト…そうだな。ここは大丈夫だ。他に回れ」

 

「Yes」

 

ノクトの言葉に王我は冷静さを取り戻して指示を出す。

ノクトは指示に従って後方へ…シャルとラウラの方へ飛んでいった。

 

 

◇◇◇

 

 

 一方、こちらは直葉とルナマリア。

無人機IS相手に押していたルナマリアだったがビーム砲を撃ち続けてエネルギー切れが近づいていた。

 

「メイリン、ソードシルエットを!」

 

《はい!》

 

ルナマリアが『ミネルバ』のメイリンに通信で指示を飛ばすと、『ミネルバ』から赤いシルエットフライヤー『ソードシルエット』が射出された。

インパルスのエネルギーが切れて灰色に戻る。

ルナマリアはブラストシルエットをパージして2本の対艦刀を装備した『ソードシルエット』をドッキングする。

 

「直葉、デュートリオンビームを!」

 

「はい!」

 

直葉はデスティニーをインパルスに近づけて向かい合わせる。

デスティニーの頭部、おでこにあたる部分から緑色のビーム『デュートリオンビーム』がインパルスの頭部に送信される。

すると、インパルスのエネルギーが復活しフル充電され、

インパルスの胸部と肩の色が黒く、それ以外の装甲が真紅に染まり『ソードインパルス』に換装が完了した。

 

「ここはもうあたし1人で充分よ。あんたはあっちに」

 

ルナマリアが差した先には戦闘中のシャルとラウラがいた。

2人とも苦戦しているようだ。

 

「分かりました!いってきます!」

 

直葉はデスティニーを加速させてその場から離れる。

ルナマリアは目の前の相手を見据える。

無人機ISの数は50機を切っている。

 

「ここから先は一歩も通さないわよ!」

 

ビームブーメランを投擲して3機を撃破、さらに2本の対艦刀を取り出して連結させると敵の群れに突撃していって次々と無人機ISを斬り倒していく。

 

 

◇◇◇

 

 

 王我はデストロイと戦闘を繰り広げながら、オープン·チャネルでステラに呼びかけた。

 

「ステラ!」

 

その声を聞いたステラの動きが止まった。

 

「オウ…ガ?」

 

「そうだ。俺だ…王我だ」

 

「オウガ…」

 

ステラは目の前のダブルオーライザーが王我であることに気づいた。

 

「お前を助けに来た」

 

「ステラを?」

 

ステラの顔はキョトンとしている。

 

「ああ、必ずお前を守る」

 

「まもる…ステラを…いや…死ぬのはいや!ダメェ!」

 

ステラは頭を抱えて泣き叫ぶ。

王我は息を大きく吸い込んで、

 

「お前は死なない!お前は俺が絶対に守る!」

 

それはかつてこことは違う世界である少年が守れなかった誓い。

その約束を今度は王我が果たす。

これ程、感情を爆発させた王我を見たのは愛莉とノクトぐらいだろう。

 

「オウガ…」

 

「ステラ」

 

互いに武器を下ろし戦闘を中止する。

それを潜水艦のモニターで見ていたスコールは、

 

「…役立たず」

 

あるスイッチを押した。

すると、デストロイのコックピットに予備のハッチが出てきてステラを閉じ込めた。

 

「いや…オウガ!」

 

「ステラ!」

 

囚われのステラへ王我が呼びかける。

コックピット内の照明が赤に変わる。

同時にデストロイの眼が緑から赤に変わって再び動き出した。

 

「いや…出して…どうして…止まって!」

 

ステラがデストロイを止めようとするがコントロールを一切受け付けなかった。

 

「遠隔操作に切り替えやがった…」

 

今、デストロイを操作しているのは潜水艦にいるスコールだった。

操縦桿を握ってデストロイを動かしている。

 

「ふざけるなよ…認めるかよ…これが運命だっていうなら…そんな運命…ぶっ壊してやる!」

 

王我の体の奥底で何かが弾ける音がした。

 

「メイリン、超大型ISが遠隔操作に変わった可能性がある。発信源を特定してハッキングできるか?」

 

《やってみます!》

 

「頼む」

 

天才ハッカーでもあるメイリンにデストロイの停止をお願いする。

それまでは王我1人で対処しなければならない。

デストロイの弱点は把握している。

 

「もう二度とお前を死なせるものか」

 

今度こそステラを守る。

 

「トランザム!」

 

ダブルオーライザーの機体が赤く発光した。

 

 

◇◇◇

 

 

 市民達が避難している地下シェルターには報道用のスペースがあり、国営の報道局が飛ばしているドローンの映像を基に世界中に報道している。

当然、IS学園にもニュースは放送されていて一夏など学園に残っている者も見ている。

地下シェルターにもモニターがあり、市民達は今何が起きているのか知るために見ている。

しかし、現実は残酷だった。

超大型ISのデストロイが街を破壊している絶望的な光景が広がっていた。

 

「無理だ…」

 

「あんなのに勝てるわけがない…」

 

「終わりだ…」

 

誰もが絶望し顔を俯かせて座り込んでいた。

しかし、ただ1人だけ諦めていない者がいた。

 

「頑張れ!負けるな!」

 

モニターの前でぴょんぴょんジャンプしながら応援する10歳もいっていない少年がいた。

右手にはダブルオーライザー、左手にはデスティニーのガンプラが握られている。

 

「無理だよ…」

 

「何をやったってあんな化け物には勝てない…」

 

大人達がお通夜ムードになっていると、

 

「まだ負けてない!」

 

その空気を少年は吹っ飛ばした。

 

「諦めちゃダメだ!だって…みんな戦ってるんだ!みんな戦ってるのに…僕達が諦めちゃダメなんだ!僕達だって戦うんだ!」

 

それはありふれた言葉かもしれない。

それでも絶望に打ちひしがれた人達を立ち上がらせるには充分だった。

 

「そうだ…あいつらは俺達を守るために戦ってるんだ…」

 

「俺達が諦めてどうする!」

 

「頑張れ!」

 

「負けるな!」

 

「勝て!」

 

座り込んでいた人達が1人ずつ立ち上がってモニターに向かって叫ぶ。

声は届かないだろう。

だけど想いはきっと届く。

 

「頑張れ!」

 

少年は両手のガンプラを掲げて応援した。

 

 

◇◇◇

 

 

 一方、シャルとラウラはアルファとベータに追い詰められていた。

2人とも装甲はかなりボロボロでエネルギーも限界が近い。

 

「ハッ、弱ぇな。もう少し歯応えがあると思ってんだが期待はずれだ」

 

アルファが2人を見下して吐き捨てた。

 

「はぁ…はぁ…なんで…なんでこんなことを!」

 

シャルは問いかけた。

 

「なんでだ?理由なんてねぇよ!」

 

「え?」

 

「戦って敵を殺す!それだけだ!そのために私らはそのために…そのためだけに造られたんだからな!」

 

「っ!」

 

アルファがそう吠えて突撃してくる。

シャルはもう武器もほとんど残っていない。

 

「させるか!」

 

ラウラがワイヤーブレードで迎撃しようとする。

 

「遅ぇ!」

 

アルファはビームサーベルでワイヤーブレードを一瞬で全て切断した。

 

「くっ!」

 

「まずはてめぇからだ!ラファール女!」

 

アルファがシャルの懐に飛び込むかと思ったその時、赤いビームがアルファへ飛んできた。

 

「うっ!」

 

アルファはビームを避けるため、後方へ退避する。

 

「シャルさん!」

 

シャル達を助けに来たのは直葉だった。

ビームライフルでアルファを牽制してシャルの前に出る。

 

「新手か」

 

その直葉にベータが狙撃しようとしたその時、緑色のビームが飛んできて狙撃を中断して回避した。

ベータを止めたのはノクトだった。

 

「邪魔な奴」

 

「それはこちらのセリフです」

 

無表情の2人が向かい合う。

ベータがミサイルポッドのミサイルを発射すると、ノクトは肩のビーム砲で迎撃して撃ち漏らしはビームシールドで防いだ。

ビームサーベルを連結させてベータとの間合いを詰めていく。

接近戦では分が悪いベータはビームライフルを連射しながら距離を取る。

 

「こいつ!」

 

ノクトに押されるベータは初めて表情が変わった。

形勢逆転されたことに歯を噛み締める。

それはアルファも同じだった。

 

「なんだてめぇは!」

 

アルファはビームサーベルを片手に突撃、直葉も『アロンダイト』を両手で握って迎え撃つ。

互いにぶつかっては弾き合う。

 

「(私がなんのために剣を振るのか。今、やっと分かった。この先どんなに頑張っても私はあの人の隣には立てない。だから!せめてあの人の背中は守れるくらいにはなりたい!そのために私は戦う!)」

 

直葉が『アロンダイト』で上段斬りすると、アルファはそれを実体シールドで防いで弾いた。

 

「終わりだ!」

 

アルファが右手のビームサーベルを振る。

しかし、そこにデスティニーの姿はなかった。

アルファが斬ったのはデスティニーの残像だった。

 

「はっ!」

 

背後の気配に気づいたがもう遅かった。

デスティニーの右手の掌のビーム砲『MMI-X340 パルマフィオキーナ 掌部ビーム砲』の光が輝いていた。

このビーム砲の射程距離はほぼゼロ距離だが威力はかなり高い。

直葉は『パルマフィオキーナ』でアルファの右腕を貫いて爆発させる。

 

「ぐっ、うあぁぁぁぁ!!!!」

 

右腕が丸ごと吹っ飛んたアルファは激痛で悲鳴を上げる。

直葉はその隙を逃さず距離を取ろうとするアルファにビームブーメランを投擲。

アルファは残った左手の実体シールドで防ぐが反動で体勢が崩れる。

直葉が『アロンダイト』を両手で握って中段構えを取るとデスティニーの光の翼が大きく広がる。

そのまま加速して突きの構え。

 

「はあぁぁぁっ!!!」

 

「(まずい!体勢が…)」

 

バランスを崩されたアルファは回避が間に合わない。

デスティニーの『アロンダイト』がアルファの胸を貫く。

 

「がはっ!」

 

心臓を貫かれて血を吐くアルファ。

 

「アルファ!」

 

ベータが悲痛の叫びを上げる。

 

「ぐふっ…これで…てめぇも…人殺しだな…」

 

アルファは最期、直葉にそう遺言を遺した。

 

「上等だよ」

 

直葉が『アロンダイト』を突き刺したまま手を離す。

アルファは落下して地面に落ちると爆発して死んだ。

 

「アルファ!…っ!」

 

アルファがやられてベータが叫ぶが、ノクトのビームライフルの射撃に撤退せざるを得なくなった。

ノクトも深追いはせず、シャルとラウラに近づいた。

 

「大丈夫…ではありませんね。お2人は下がって治療を受けてください」

 

「仕方ないよね…」

 

「この様ではな…」

 

2人は今の自分達では足手まといだということを自覚しているのでおとなしく下がって医療班の世話になることにした。

 

 

◇◇◇

 

 

 デストロイの口や胸部のビーム砲、バックパックのミサイルやプラズマ砲と大型ビーム砲、それらの猛攻は王我は全て躱し切っていた。

トランザム状態のダブルオーライザーをデストロイは全く捉えられていない。

両腕をパージして遠隔射撃しても、王我は躱し『GNソードⅢ』で切り裂いて破壊。

デストロイが口からビーム砲を放射しようとすると『GNビームサーベル』を投擲して破壊。

 

「これならどうかしら?」

 

スコールはデストロイの胸部の3連装ビーム砲の照準を『ミネルバ』に向けた。

王我が躱せば『ミネルバ』が沈む。

 

「終わらせる。ステラを連れていく。温かくて優しい世界へ!」

 

ダブルオーライザーの『GNソードⅡ』2本とサイドバインダーを前方に向けて構える。

 

「死になさい」

 

デストロイの胸部から3連装ビーム砲が放たれる。

 

「トランザム…ライザァァァ!」

 

ビームのように放たれた光、それはビーム砲ではなく巨大なビームサーベルだった。

闇を晴らし未来を切り開く力。

デストロイの3連装ビーム砲を切り裂き、両脚に直撃。

 

「おぉぉぉ!!!」

 

そのまま横に薙ぎ払いデストロイの両脚を切断した。

デストロイの巨体が支えを失い仰向けに倒れる。

これではビーム砲を撃っても真上にしかいかない。

そのタイミングで、

 

《王我さん!ハッキング完了しました!》

 

メイリンの通信と共にデストロイの眼から光が失われて、機能停止する。

 

 

◇◇◇

 

 

ガンッ。

 

スコールは苛立ちをぶつけるように操縦桿に拳を殴り付けた。

 

「デストロイ沈黙。ラファール·ブラック、ベータ機帰投。アルファ機はシグナルロスト。無人機、残り10機を切りました」

 

部下が状況を報告する。

 

「…撤退よ。引き上げて」

 

「了解」

 

スコールの指示に部下が聞いて、まず無人機ISを帰投させて、潜水艦を潜水させて撤退を始めた。

ドイツ軍も追撃するほどの余力はないので難なく逃げることができた。

 

「天道王我…この借りは必ず返すわ」

 

スコールは王我へのリベンジを誓った。

 

 

◇◇◇

 

 

 動かなくなったデストロイ。

王我はダブルオーライザーで着地するとISを解除してデストロイのハッチに上って開かせる。

 

「怪我はないか?お姫様」

 

「オウガ!」

 

ハッチが開くとステラが王我の胸に飛び込んできた。

 

「言っただろ。お前は死なないって」

 

「うん…うん…ありが…とう…」

 

ステラは何度も頷く。

 

「帰ろう。お前のいるべき世界へ」

 

「う、うわぁぁぁんんん!!!」

 

ステラは子供のように大声で泣きじゃくって涙を流した。

王我はステラを強く抱き締める。

腕の中にいる命を確かめるように。




 これにてドイツ編4部作は完結です。
次回は後日談となります。
かなりスケールが大きくなって映画みたいになった…かもしれません。
 デストロイが20m超、ミネルバが350m超でバランスがおかしいかもしれませんがデストロイが原作サイズだとISが小さすぎるのでそこはご容赦ください。
 今回、市民のMVPはガンプラを持っていた少年だと思っています。
ウルトラマンの映画をイメージしました。
戦闘では直葉だと思っています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。