激しい朝を終えた王我とラウラ。
朝のホームルームに間に合ったラウラ(一夏は遅刻で放課後掃除決定した)だが、少し顔が赤く内股でモジモジしていて妙に肌のツヤがいいことから、セシリアとシャルは全てを察した。
他の生徒は熱っぽい程度にしか見られなかった。
王我の方はいつも通りだった。
「今日は通常授業の日だ。赤点を取らないように」
担任のヴィレッタが警告する。
IS学園も高校なので一般教科がある。
中間テストはなく期末テストがあり、赤点を取れば夏休みに補習がある。
とはいえ一流企業の社長の王我にとって高校の授業など簡単すぎる。
テストなんて満点を取って当たり前なのだ。
そもそも王我が高校に通う必要なんてないのだ。
「それと来週から始まる校外特別実習期間だが全員忘れ物などしないように。3日間だが学園を離れることになる。自由時間では羽目を外しすぎないように」
校外実習…通称臨海学校。
初日は1日自由時間。
場所は静岡県の離島。
美しい海岸線と自然豊かな風景が広がっている有名な観光地でもある。
そこの旅館『花月荘』を3日間、IS学園が貸し切りすることになっている。
「ではこれでホームルームを終了する」
説明を終えたヴィレッタが退室する。
すると、廊下からシャルが顔を覗かせていた。
「王我、ちょっと…」
手招きされた王我は廊下に出る。
「どうした?」
「実はその…ほら僕って男装してたでしょ。だから…その今度の臨海学校に持っていく水着がないんだ。だから…」
「分かった。付き合うよ」
「ありがとう」
「いつがいい?」
「じゃあ、今週の土曜日で」
「分かった。じゃあ土曜日に」
「うん。楽しみにしてる」
シャルは手を振って1組の教室に戻った。
1日デートを獲得したシャルはその日からずっと上機嫌だった。
◇◇◇
土曜日の午前10時。
都内のショッピングモール前で王我とシャルは待ち合わせをしていた。
30分前からスマホも弄らずただ腕を組んで待っている王我。
その彼は目立っていた。
主に女性に。
「あの人、カッコいい…」
「あれ?あの人って天道王我じゃない?」
「嘘!?超有名人じゃん!」
「サインもらっちゃおうかな!」
「私、握手してもらいたい!」
周りの女性はキャッキャッ騒いでいた。
中にはカップルもいて彼氏が嫉妬する組もいる。
「お待たせ」
待ち合わせ場所に到着したシャル。
上は白のブラウス、下はジーンズのホットパンツで脚線美を強調したファッションになっている。
スタイル抜群の美少女の登場に周りの男共がいやらしい視線を向ける。
「じゃあ、行くか」
王我は自然にシャルの手を握った。
「っ///」
その仕草にドキッとするシャル。
周囲の女性達は握手とサインのタイミングを逃し、男達は内心泣き崩れた。
◇◇◇
IS学園の寮の部屋で1人フェイトはあるピンチに陥っていた。
「んんっ…あれ?嘘…これ去年買った水着なのに…」
フェイトは部屋で去年買った水着を試着していたのだが、
「くっ…」
黒のビキニのブラのホックが全然留められない。
「これ…絶対王我とはやてのせいだよ…」
フェイトの胸の成長はまだまだ止まらない。
それは別の部屋でも同じことが起きていた。
「んんっ…」
それは直葉だった。
ライトグリーンのビキニのブラのホックを留めようとしているのだがフェイトと同様に胸が大きすぎて出来ない。
お互い別々の部屋で同じ現象が起きていた。
「「んんっ…あっ…よし!」」
ついにホックを留めた…のだが、
バチンッ!
ホックが壊れて水着のブラが吹っ飛んだ。
「「………」」
2人は床に落ちたブラを見下ろした。
「「はぁ…新しいの買わないと…」」
こうして同じ悩みを抱えた2人はショッピングモールに行くことを決めた。
◇◇◇
一方、王我とシャルは水着売り場にいた。
「どうかな?」
オレンジのビキニを試着するシャル。
「いいな」
「これは?」
次は白のビキニ。
「ん~…」
「こっちは?」
次はオレンジだがセパレートの水着。
「悪くない」
「これはどう?」
次はちょっとスポーティーな水着。
「う~ん…」
「他にコメントないの?」
ジト目を向けるシャル。
ちなみに先程から始まっているスタイル抜群のシャルのファッションショーに女性店員が目を輝かせている。
「1番と3番がいいな」
しっかり審査していた王我。
「ねぇ、王我ならどういうの着て欲しい?」
シャルは気になっていたことを訊いた。
「そうだな…」
王我は店内を歩き回る。
15歳の男子なら照れるだろうが、全く恥ずかしがることなく水着を見ていく。
「これとか?」
王我が手に取ったのは黒のマイクロビキニ。
「そんなの恥ずかしいの着れないよ!」
バッと水着を回収するシャル。
「ノクトなら即着るんだが…」
「お似合いだと思います!」
「店員さんも乗らなくていいです!」
笑顔でノリノリの店員、この店が『シルバーキングス』経営なんじゃないかというくらい疑う。
「冗談はこのくらいにして…」
「もう…」
オモチャにされて頬を膨らますシャル。
「3番目のセパレートが一番似合ってたよ」
「じゃあ、それにする」
シャルはオレンジのセパレート水着を持ってレジに向かう。
「俺が払う」
「え、いいよ…」
「金なら腐るほどある」
「うわぁ…」
シャルが呆れた目を向ける。
本当に金を持っているからなにも言えない。
「店員さん、これも会計頼む」
王我がレジに置いたのは紫のマイクロビキニ。
「ちょ、だから着ないって!」
「まあ、いつか着れればいい」
「むぅ…しょうがないな…」
シャルは観念していつか勇気が出たら着ようと思った。
「ありがとうございました!」
会計を終えると店員は元気よく挨拶した。
「男の人ってもっと恥ずかしがるのかと思ってたけど王我は冷静だね」
「まあ、慣れてるからな」
店を出て歩きながら会話する2人。
「納得…」
王我の答えにシャルは言葉を返せない。
愛莉やノクトに加えて何十人も愛人がいる王我は女性の水着姿なんて見慣れているだろう。
「慣れてるが飽きはないけどな」
「本当かな~?」
「もちろんだ」
恋人繋ぎをしながら歩く2人。
知らない人が見ればただの学生カップルにしか見えないだろう。
とはいえ王我は有名人だし、シャルも最近フランスの代表候補生として雑誌に取り上げられているので目立つ。
中には盗撮しようとする不届き者(主に男)もいるのだが、王我がさりげなく画角に入って全てガードしていた。
逆に女性達はちゃんと王我に声をかけて写真撮影をお願いしていた。
男と違ってマナーがしっかりしている。
中にはシャルも加えて撮りたいという人もいた。
写真、握手、サイン全てのファンサービスを終えた王我はシャルとのデートを再開した。
「人気者だね」
「まあな」
全く謙遜しない王我。
「行くか」
「うん」
2人はまた恋人繋ぎしてショッピングモールを回った。
◇◇◇
同じ頃、先程王我達が来店していた水着売り場に2人の客が来店していた。
フェイトと直葉だった。
お互いに棚の両側から水着を見ていく。
「F…G…」
「H…I…」
サイズを見ながらどんどん近づく2人。
水着に目がいっていてお互いの存在に気づいていない。
「「J…あっ」」
あるサイズの水着で2人は立ち止まりようやく気づいた。
「えっと…」
「ああっと…」
何を話したらいいのか分からない2人。
「「あ、アハハ…」」
愛想笑いする2人。
フェイトは黒のビキニ、直葉はライトグリーンのビキニを持ってそれぞれ試着室に入ったのだった。
◇◇◇
一方、王我とシャルのデートはまだ続いていた。
「ねぇ、ここ入らない?」
シャルが指差したのはアクセサリーショップだった。
「いいぞ」
「じゃあ、入ろう」
シャルは王我の手を引いて店内に入る。
美男美女のカップルに店員の目の色が変わる。
「いらっしゃいませ♪」
とびっきりの営業スマイルをかましてくる。
「…あっ」
商品を見ていたシャルがある1品に目が止まった。
それは黒のチョーカーだった。
真ん中には窪みがあり豆粒サイズの宝石がはめられている。
「この宝石…」
「そちらの品物にはアメジストの宝石がはめられています」
「すごく綺麗…」
宝石に目を輝かせるシャル。
女の子らしい一面を王我は後ろから見守っていた。
「あ、ごめん。つい夢中になっちゃって…///」
王我を置いてけぼりにしたことと宝石に夢中になっていたことが急に恥ずかしくなるシャル。
「いや、俺はお前がチョーカーに目がいったことを考えていたんだが…そういう趣味なのかと」
「えっ…あっいや!その…うん…あるよ」
意外にも肯定したシャル。
「これを着けていたら…僕は君のモノだって証になると思うから…///」
自分で言ってて恥ずかしくなるシャル。
「そうか…店員さん、これを買おう」
王我はチョーカーを手に取って店員に渡す。
「お買い上げありがとうございます!」
会計を終えてお礼を返す店員。
「いいの?」
「ああ、それにアメジストがいいな。お前に合っている」
「え、どうして?」
キョトンとした顔をするシャル。
「お前の瞳と同じ色と輝きをしているからだ」
「~~~っ///」
王我の口説き文句にシャルの顔が真っ赤に染まった。
店内で広がるラブの光景を見ていた若い女性店員2人が手を繋ぎ合って抱き合い「「キャアッ♪」」とはしゃぐ。
「ねぇ…王我、着けて」
「ああ」
王我はシャルの目の前に立ってチョーカーを着ける。
首の後ろで留めるのに王我が顔を近づけていたのでキスしそうな距離だった。
女性店員のテンションがさらに上がる。
カチッと音が鳴ってシャルの首に黒いチョーカーが着けられた。
真ん中の窪みにはめられているアメジストがキラキラと輝いている。
「…」
シャルはチョーカーをそっと撫でて感触を確かめる。
その表情はまるでご主人様に首輪を着けてもらった犬のように喜んでいた。
もし、尻尾があれば振っているだろう。
「ありがとう」
シャルは笑顔でお礼を言った。
「シャル」
「なに?」
王我は良い買い物をさせてくれた女性店員達にサービスをすることにした。
「チュッ」
「っ!///」
シャルの唇に軽くキスをした王我。
女性店員のテンションはMAX。
手を繋ぎ合うどころかお互いに抱きしめ合い頬をくっ付け合って盛り上がった。
その後、2人は店を出て休日デートを楽しんだのだった。