セシリアのフォローを終えた王我は浜辺に戻ってきた。
「あ、王我戻ってきた」
出迎えのはオレンジのセパレート水着のシャルと全身バスタオルを巻いた者だった。
「ほら、出てきなってば。大丈夫だから」
「だ、だ、大丈夫かどうかは私が決める」
バスタオルの中からラウラの声が聞こえる。
「ほ~ら、せっかく水着に着替えたんだから王我に見てもらわないと」
「ま、待て。私にも心の準備というものがあってな」
裸は見せてエッチまでしたのに水着は恥ずかしいというのもおかしな話だが女には色々あるのだろう。
「もぉ、そんなこと言ってさっきから全然出てこないじゃない。ラウラが出てこないなら僕も王我と遊びに行こうかなぁ」
シャルが思い付いたように口にして挑発する。
「な、なに?」
「うん、そうしよ。王我、いこ」
シャルが王我の手を取ると、
「ま、待て…わ、私も行こう」
「その格好のままで?」
「ええい、脱げばいいのだろう…脱げば!」
バサッとバスタオルを脱ぎ捨てると水着姿のラウラが現れる。
「わ、笑いたければ笑うがいい…」
ラウラの水着は黒のレースがついたものでランジェリーにも見える。
髪型はツインテールにまとめて、両手の指をもじもじとしている。
「おかしなところなんてないよね。王我」
「悪くないな」
「なっ!///」
王我に褒められてラウラの顔が赤面した。
「しゃ、社交辞令などいらん…」
「俺がそんなこと言う男だと思うか?」
「いや…思わない」
「なら信じろ」
「…分かった」
王我の一言でラウラがおとなしく聞いた。
「ガオガオ~ビーチバレーしよ~」
そこへ本音が王我の腕に抱きついてきた。
おとなしい印象とは裏腹にビキニに包まれた巨乳を押しつけてくる。
「ふむ、いいだろう。ノクト」
「Yes、旦那様」
応えたノクトの水着はいつの間にか普通のビキニからメイドビキニに着替えていた。
その奇抜な格好に周囲の人達は驚く。
「相手はおりむーと…」
対戦相手を考える本音。
「あたしが入るわ」
鈴音が名乗り出た。
「じゃあ…シャル、あっち入れ」
「え?」
王我に指名されたシャルが呆けた声を出す。
「いいな?」
王我はシャルの首についたチョーカーを撫でた。
「うん…」
すると、シャルの態度が従順に変わった。
まさに忠犬。
「師匠~!」
そこへ大声でフーカが飛び込んできた。
青のビキニで胸元のリボンが可愛らしさを表している。
ダイブしてきたフーカの頭を王我はアイアンクローで掴んだ。
「ずるい!わしも参加したい!」
「あとでな」
わがままを言うフーカを王我は軽くあしらった。
「フーちゃん、王我さんを困らせないで」
フーカを追ってきたリンネは白のフリルがついたビキニでフーカ同様、胸元のリボンがあるがスレンダーなフーカと違って大きな胸の谷間が見える。
「おい、さっさとやろうぜ」
ネットの向こうから一夏が呼んでくる。
「やれやれ、せっかちだな」
王我がコートに入り、本音からボールを受け取る。
指先でボールを回す王我。
「私が審判をやります」
名乗り出たのは委員長と呼ばれている千鶴。
水着は緑の競泳水着、真面目な性格とは裏腹にその胸はいやらしい巨乳とアンバランス。
「じゃあ、頼むわ」
「お前には負けねぇぜ!王我!」
気合いの入る一夏に対して王我は興味なさげ。
ピッと千鶴が笛を鳴らす。
サーブトスを高く上げてジャンプする。
「「ジャンプサーブ!?」」
一夏と鈴音が驚きの声を上げる。
バァン!
サーブによって打たれたボールが高速で一夏と鈴音の間を通過して砂浜に落ちてクレーターを作り出した。
「ビーチバレーって…クレーター出来るんだっけ?」
「さ、さあ…」
一夏と鈴音が真っ青な顔をして引いている。
「次、いくぞ」
「「ひいっ!」」
次のサーブの準備に入る王我に2人が戦慄の表情を浮かべる。
ピッと千鶴が笛を鳴らす。
バァン!
そして、放たれる殺人サーブ。
「フッ!」
そのサーブをシャルがレシーブで上げた。
伊達に鍛えているわけではない。
しかし、ボールは王我側へ。
「オーライ~」
本音がオーバーでレシーブをノクトに上げる。
「ノクト」
「Yes、旦那様」
王我がノクトの名を呼ぶ。
それだけでノクトは意図を理解した。
ノクトがトスを上げる前に王我がジャンプしてスパイクの体勢に入る。
その王我のジャンプ地点にピンポイントでノクトがダイレクトでトスを上げる。
トスを受けた王我がスパイクを打ってまた1点入る。
「あれは…マイナステンポ!」
2組のスポ根漫画好き女子が興奮した口調で言った。
「もう1本」
「「ひぃっ!」」
結局、一夏達は1点も取れなかった。
その後、フーカなどメンバーを代えて何試合かし終わった頃、
「随分と楽しんでいるようだな」
千冬が浜辺に現れた。
水着はスポーティーでありながらメッシュ状にクロスした部分がセクシーな黒いビキニ。
スタイルのいい鍛えられた身体を晒している。
普段はスーツに隠された胸の谷間に一夏は目を奪われる。
「千冬姉ぐはっ!」
一夏の顔にボールが直撃する。
「織斑先生だ。馬鹿者」
たった今、ボールを投げた千冬が注意する。
「ビーチバレーか。面白そうだ。私も混ぜてもらおう」
千冬が王我とは反対側のコートに入る。
「お前とは一度やり合ってみたかったと思っていた」
千冬の視線が王我に向けられる。
「王我様と織斑先生…どっちが勝つんだろ?」
「それは王我様でしょ」
「でも織斑先生もブリュンヒルデと呼ばれるくらいだし…」
他の女子達も目の前で行われようとしている一戦に集まり始める。
「なんや、盛り上がっとるな」
「王我、ビーチバレーするの?」
「私もやりたい!」
現れたのは白い水玉ビキニの巨乳はやてと黒いビキニのフェイトとライトグリーンのビキニの直葉の爆乳コンビ。
歩くだけでポヨンポヨン揺れるメロン2つとスイカ4つに他の女子も思わず意識が向いてしまう。
「王我君~水着姿の美少女に囲まれて嬉しいやろ?このこの」
はやてがニヤニヤしながら王我の脇腹を肘で突いて耳元で囁く。
「そうだな。お前も含めてな」
「…///…嫌やわ!王我君、さすが女たらしやな!」
王我のカウンターを食らったはやてが照れ隠しに王我の背中をバシーンと叩く。
王我はビクともしていないが。
「お、ビーチバレーやんのか?あーしも混ぜろよ。スレッタとニカ姉もやるだろ?」
「わ、私はいいです…」
「私も見学でいいかな」
さらに現れたのは青と緑のツートンカラーの競泳水着を着たチュチュ、パレオを巻いた水色の水着を着たスレッタ、落ち着いた緑のビキニを着たニカ。
チュチュは小柄ながら引き締まったスレンダーな身体で、スレッタは小動物のような性格からは想像できないほど胸が大きく、ニカは手のひらサイズで程よい美乳といった感じである。
チュチュはビーチバレーに乗り気だが、スレッタとニカは見学を選ぶ。
「となるとメンバーは…」
「私と直葉が王我のチームに入ろうかな」
フェイトが王我のチームに入りたいと志願。
「ならあーしはそっちに入る」
チュチュは千冬のチームに入ることにした。
「よし。織斑、お前はこっちだ」
千冬が倒れている一夏に声をかける。
「え、いや俺は…」
もう殺人サーブは受けたくない一夏が拒否しようとする。
「入れ」
「…はい」
千冬の冷たい視線に一夏は断れなかった。
対峙する両チーム。
「コートにボールが7個…これは豊作やで…ニュフフ…」
見学しているはやての視線がボールとフェイト、はやて、千冬の胸に集中する。
それは王我も似たような感じだった。
正確に言うと直葉と千冬を見ている。
「(直葉…シグナム…織斑先生…篠ノ之箒。剣道の女は剣道をやると巨乳になるのか、それとも巨乳だから剣道が強いのか…)」
顔には出ていないがとてもくだらないことを考えていた。
ピッと千鶴が笛を鳴らす。
最初は王我の殺人サーブが炸裂。
一夏の体が恐怖でビクッと震える。
その殺人サーブを千冬が正面に移動してレシーブで上げる。
「織斑!」
「お、おう!」
それを一夏がトスを上げると、千冬がジャンプしてスパイクを打つ。
威力は強烈でスピードも速い。
「はあっ!」
しかし、直葉がダイビングレシーブで上げた。
「ほう…」
直葉の反射神経と運動能力に感心する千冬。
「よし、ボールはこっちに返ってくるぞ!」
一夏が喜ぶ。
直葉がレシーブしたボールがネットを越えようとしている。
しかし、その前に王我がジャンプしてそのままスパイクを打つという大胆なツーアタックを仕掛けた。
「舐めんな!」
だが、チュチュはボールが砂浜に落ちる前に割り込んで全身を使ってレシーブで上げた。
小柄なチュチュではまともに受けても吹っ飛ばされるので重心を上手く利用したのだ。
「上出来だ」
千冬がチュチュの技術を称賛する。
一夏がトスを上げて、千冬がスパイクを打つ。
見事なカウンター。
しかし、千冬の前に壁のように2本の腕が現れた。
王我がブロックで千冬のスパイクを受け止めたのだ。
千冬のパワーに常人なら腕が吹っ飛ばされているだろうが、王我の屈強な腕は千冬の攻撃を跳ね返してブロックポイントを取った。
着地した王我と千冬がネット越しに向かい合う。
2人とも人知を超えた化け物。
その壮絶な闘いにいつの間にか浜辺にはまるで大会のように見学する生徒が押し寄せていた。
「もう早く終わってくれ…」
怪獣バトルに巻き込まれた一般人のように一夏は疲れきった言葉を吐いていた。
その後も怪獣バトルは続き、昼食が近づいてようやく試合が終わった。
「終わった…俺、生きてる…」
一夏の目は死んでいた。
「お前達は食堂に行って昼食でも取ってこい」
「織斑先生は?」
「私はもう少し自由時間を満喫させてもらうとしよう」
「じゃあ、俺達は行くとしよう」
「集合時間には遅れるなよ」
「ええ」
王我と千冬が言葉を交わし合って、千冬は王我達を送り出した。
別館に向かう途中で一夏は思い出す。
「(そういえば箒海にいなかったな…泳ぐのは得意だったはずなのに…なんでだ?)」
◇◇◇
時間は過ぎて午後7時半。
大広間3つをつなげた大宴会場で王我達は夕食を取っていた。
全員浴衣姿で、クラスごとに座敷で正座している。
メニューは刺身、小鍋、山菜の和え物が2種類、赤だし味噌汁、お新香で1人ずつ膳が置かれている。
浴衣を着た王我の鎖骨に女子達の視線が向けられている。
王我の両隣は愛莉とノクトが座っていて、正面にはフェイトとはやてと直葉、少し離れた席に千鶴が座っている。
セシリア、シャル、ラウラ、フーカ、リンネはクラスが違うので席が離れて不満な表情をしている。
王我の性格からして豪快に食べそうだが、その所作は驚くほど綺麗で美しい。
周囲の女子も思わず見惚れて自分の食事を忘れてしまうほどだった。
そして、この後は入浴の時間だ。