※この作品はR-18です。

ISの世界でMSを作る   作:kuroto xanadu

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序盤は少しドロドロしています。
長めです。


紅い兎

 『銀の福音』を倒し、ようやく事件が終わったかと思ったが、そのパイロットを自衛隊が包囲した。

 これは王我が予めここの海域の管轄の指揮官に報告して部隊を待機させたのだ。

 

「こちらは海上自衛隊、『銀の福音』のパイロットを拘束させてもらう」

 

部隊長が通告する。

 

「拘束?…今さら来て何を言ってやがる!」

 

一夏が自衛隊に憤りを立てる。

 

「抵抗するならお前も拘束する」

 

「なんだと!」

 

『雪片弐型』を構える一夏。

 

「やめなさい一夏!」

 

「止めるな鈴!」

 

「反逆罪で捕まるわよ!」

 

「構うものか!」

 

「白式だって没収されるわ!…千冬さんに迷惑がかかってもいいの?」

 

「ハッ…千冬姉…くっ…」

 

大好きな千冬に迷惑はかけられないと一夏は刀を下ろす。

一方、王我は密漁者達を観察していた。

 

「アイ、確認しろ」

 

王我がアイと情報を共有する。

 

《了解。肌の色、顔の輪郭、言語を解析。解析完了。フィリピン人である確率100%》

 

「ご苦労」

 

王我はこの場から逃げ出そうとするフィリピン人の密漁船のすぐ横の水面にドラグーンのビームを放った。

大きな水飛沫が上がって船が揺れる。

 

「今のは警告だ。跪いて両手を頭の後ろで組め」

 

王我はご丁寧に翻訳機でフィリピン語の同時翻訳をさせながら命令する。

命が惜しい密漁者はおとなしく従う。

 

「ご協力感謝します。天道空将」

 

「よせ。手助けでそっちの庭に入ったのは俺の方だ。任務中じゃない」

 

「では天道殿、こちらのパイロットはこれから我々がお台場基地へ連行します。そちらは?」

 

部隊長がそう訊いてくる。

ちなみにお台場基地とは旧お台場の土地を利用したものであり、数年前までは遊園地とテレビ局があったのだが、遊園地は廃園になりテレビ局はとある不祥事で解体となったので政府が自衛隊の基地を建てた。

 

「とりあえずは海上保安庁の艦が来るのを待つ。その後、俺もお台場基地に向かう」

 

「了解しました。では我々はお先に失礼します」

 

部隊長がそう言ったタイミングに合わせるかのように護送するためのヘリが現着した。

鈴音から『銀の福音』のパイロットの身柄を受け取ってヘリに乗せる。

 

「どういうことだ王我!その人達をどうするつもりだ!」

 

王我に噛みついてきたのは一夏だった。

 

「見りゃわかんだろ。こいつらは領海侵犯と密漁、そいつは領空侵犯の重要参考人だ。連行するなら当然だ」

 

「ふざけるな!俺は…俺はこんなことのために戦ったんじゃない!」

 

一夏が吠える。

彼は先程の共闘で王我と分かり合えたと思っていた。

しかし、それは一夏の一方的な思い込みだった。

国のために戦った王我と仲間のために戦った一夏とでは正義が違うのだ。

一夏の心の中でどす黒い感情が生まれ始める。

しかし、それは寸前で止められた。

 

《織斑、篠ノ之と一緒に戻ってこい》

 

千冬のオープン·チャネルが一夏に届く。

 

「でも!」

 

《命令だ》

 

「…分かった」

 

千冬の指示を聞き入れた一夏は箒の元へ向かう。

その際に一瞬、王我のことを睨みつけてはいたが。

 

《凰も戻ってこい》

 

「了解」

 

鈴音は素直に従って飛翔して旅館の方へ戻っていった。

 

「織斑先生」

 

王我が千冬にオープン·チャネルで声をかける。

 

「私は用があるので戻りません。臨海学校も今日は早退で明日以降は欠席でお願いします。ああ、もちろん今回は公欠ではなく通常欠席で構いません。仕事ではないので」

 

《…分かった。気をつけてな》

 

「ええ」

 

そう言って通信は切られた。

 

「ノクト、お前も戻れ」

 

《Yes、旦那様》

 

王我はオープン·チャネルでノクトに命令した。

ノクトは小島から離れて旅館の方へ戻っていく。

 

 

◇◇◇

 

 

 ようやく一段落して、千冬は天井を仰いだ。

 

「(今回の件、恐らく学園には公安かIS委員会の調査が入るだろう。私も責任は取らなければならない。…クビになったら天道の会社に拾ってもらうか…)」

 

千冬は密かに転職を考えていた。

 

 

◇◇◇

 

 

 そして、王我のところへ海上保安庁の艦が到着した。

 

「海上保安庁です。密漁者の連行に参りました!」

 

甲板で敬礼する保安官。

 

「ああ、こいつらだ」

 

「ご協力感謝します!」

 

数名の保安官が密漁者の拘束と船の牽引を始めた。

海上保安庁の艦は3隻あり、前方と左右を包囲して逃げ道を塞いでいる。

 

「では、我々はこれで失礼します!」

 

そう言って海上保安庁の艦は密漁者を連行して戻っていった。

 

「さて、俺も行くか」

 

 王我にはやることが残っている。

まずは束を本社に連れていって面接、次にアカツキの返却、それからもう1つある。

 

「にしても随分とボロボロだな。こりゃカガリに怒られるな」

 

 アカツキを飛ばしながら機体を見下ろす。

装甲のところどころが戦闘の影響で傷ついている。

 王我はまず束の元へ戻った。

そこには束とクロエ、フェイト、はやて、そして先に帰還していたノクトがいた。

 

「おーくん、おかえり!」

 

「おーくん?…まあ、いいや。そろそろ移動するぞ。ノクト、準備は出来てるか?」

 

「Yes、こちらを」

 

ノクトがアタッシュケースを取り出して蓋を開けると、そこには待機状態のISが20個入っていた。

 

 

「これでいいか」

 

王我がその中の1個を取り出して束に渡す。

 

「くれるの?」

 

「貸すだけだ。お前を抱えて飛ぶよりこっちの方が早い」

 

王我は面倒くさそうに言った。

 

「クロエちゃんはどうするん?」

 

はやてがそう訊ねる。

ちゃん呼びするあたり、それなりに打ち解けているようだ。

 

「そっちで保護しておけ。あとはシャルと直葉とフーカ

…それと千鶴とかに相手させとけ」

 

「その人選なんなん?」

 

「…なんとなくだ」

 

王我は誤魔化した。

 

「私は子供ですか?」

 

クロエが不満げに口を挟む。

ノクトみたいに表情が変わらないので分かりにくいが。

 

「悔しかったら証明してみせろ。その内な」

 

王我がクロエの頭に手を置く。

アカツキを装着したままなので装甲越しであるが。

 

「…不思議です。あなたに頭を撫でられると心地よい」

 

「気が向いたらまた撫でてやるよ」

 

王我がそう言って手を離すと、クロエは一瞬残念そうな反応をした。

 

「行くぞ。束」

 

「オッケー!変身!」

 

束が待機状態のブレスレットのISを起動する。

束の体が光に包まれてISが装着される。

MBF-M1 M1アストレイ

量産型のISで、赤いフレームで、背部にはフライトユニット、頭部はガンダムタイプ、攻守ともにバランスの取れたとても使いやすい機体である。

 

「お~カッコいい!」

 

『シルバーキングス』製のISを使用したのは初めてなのだろう。

テンションが爆上がりしている。

そのままアカツキの腕に抱きつく。

 

「それじゃ、空中デートにレッツゴー!」

 

「離れろ。飛びにくいだろうが」

 

「い~や!」

 

そんな言い合いをしながら2人はお台場基地に向かって飛んでいった。

 

 

◇◇◇

 

 

 およそ30分後、王我と束はもうすぐでお台場基地に到着するところまで近づいた。

 

「こちら認識番号1010、天道王我空将。着陸許可を願う」

 

王我はお台場基地の司令部に通信を入れる。

 

《…確認した。着陸を許可する》

 

 データを確認したオペレーターからの返事がくる。

 王我と束は慣れた動作で着陸した。

王我がアカツキを解除すると、ISが待機状態に戻る

 アカツキの待機状態は『ハウメアの護り石』と呼ばれる赤みがかった宝石のネックレスだ。

 基地の格納庫から誰か出てきてこちらに走ってきた。

紅い髪でISスーツを着た美女だった。

 

「紅月カレン3等空佐です。お迎えに上がりました。…天道空将」

 

カレンは口調は少し怒っている。

 

「久しぶりだな、カレン。なんだ?俺に会えなくて寂しかったのか?」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

 カレンの態度は上官に対するものから素に変わった。

腰に手を当てて前に出ると、真紅のISスーツに包まれた爆乳がブルンッと揺れる。

日本とイギリスのハーフの彼女の容姿は優れており、目を引くのが大きなヒップとスラッとしたくびれ、そして歩く度に揺れる爆乳である。

男性士官達は毎晩オナネタにしているが、手を出すものはいない。

その理由は、1つ目は男勝りであること、2つ目はスズメバチを手刀で両断するくらいおっかないこと、そして3つ目は王我との会話から想像がつくと思うが彼の愛人であること。

よって男性士官達は遠目に見ているくらいがちょうどいいのである。

 

「それで?そっちは誰?」

 

カレンの視線がM1アストレイに移る。

 

「ん~?」

 

すると、束がカレンをカメラのフレームに収めるかのようなポーズを取ると、ピンっと何か気づいたような反応をした。

 

「あっ!君が3人目のバニーちゃんか!」

 

束がそう言った瞬間、カレンが王我の胸ぐらを掴んだ。

 

「あ、あんた!何バラしてんのよ!?」

 

「言ってない言ってない」

 

王我は手を振って否定する。

カレンが大声で噛みついているため、周りの男性士官達はカレンのバニーガール姿を想像してしまう。

今夜のオナネタは決まっただろう。

 

「本当でしょうね?」

 

「本当だ」

 

王我の答えは事実である。

バニーガールは間に合ってる、とは言ったがそれが誰であるかも何人いるかも言っていない。

ただ、束の頭脳がおかしな無駄遣いをしただけだ。

 

「…いいわ。一応信じてあげる。…その代わり、今夜部屋で待ってなさいよ」

 

カレンは小声で王我にそう囁いた。

 

「相変わらず仲が良いな」

 

そう言って現れたのはカレンに似ているが髪の色は栗色に近い男性だった。

 

「にいさ…紅月1等空佐。別にそういうわけじゃ…」

 

「いつも通り兄さんって呼んでもいいんだぞ」

 

カレンの兄、紅月ナオトがからかうように言った。

紅月ナオト、1等空佐でこの基地の指揮官を務めている。

 

「兄さん!」

 

思わず素が出るカレン。

これでもIS部隊の隊長で東京のエースパイロットなのだが。

 

「そのくらいにしておけ」

 

現れたのは武人のような風格を持った男。

 

「藤堂2等空佐」

 

カレンがその名を呼ぶ。

彼の名は藤堂鏡志朗、2等空佐でナオトの補佐官でもあり、戦闘機のパイロットでもある。

ちなみに男前で情に厚いので女性にモテる。

本人に自覚はないが。

 

「天道空将」

 

藤堂が王我に声をかけて敬礼する。

 

「あ~その呼び方はやめてくれ。さっきは着陸のためにああ言ったが今日は任務じゃない」

 

「分かりました。では天道殿、そろそろ隣の方を紹介していただけないか?」

 

藤堂は口調は丁寧で礼儀正しい。

まさしく武人である。

 

「天道殿の連れであれば信用はできるが、さすがに正体不明の人物を基地内にいつまでも入れるのは非常にまずい」

 

「そうだな」

 

王我は束に視線を移す。

束は頷いてISを解除した。

 

「じゃんじゃじゃーん!天才科学者、束さんの登場!」

 

「「「「ぶー!!!!」」」」

 

その場の全員が噴いた。

 

「な、な、な…」

 

「これは…」

 

「さすがに驚いたな」

 

カレン、ナオト、藤堂がそれぞれの反応を見せる。

周囲の士官達も驚いている。

それはそうだろう。

世界中が血眼になって探している人物が目の前にいるのだから。

 

「藤堂!どうした!ってうわあぁぁっ!」

 

格納庫の方から出てきて、束を見て驚いたのは2等空尉の玉城真一郎。

逆立った短髪に顎髭、頭にバンダナを巻いている。

お笑い担当的な部分が強いが、それでも2等空尉の階級は伊達ではない。

 

「篠ノ之束~!ほ、本物!?」

 

「は~い!本物の束さんだよ!よろしくね~!」

 

まるでアイドルの自己紹介のようなことをする束。

 

「はぁ…いつまでもこんなところでお喋りするのもなんなので中に入りましょう」

 

「ああ」

 

ナオトが先導して王我達を屋内へ連れていく。

 

「例の捕虜は?」

 

廊下を歩きながら王我がナオトに質問する。

 

「ああ、あのアメリカ人ですか」

 

ナオトが空間ウインドウを展開して『銀の福音』のパイロットのデータを見せる。

映し出されたのは『銀の福音』のデータと艶やかな金髪美女の顔写真。

 

「名前はナターシャ·ファイルス、既に聴取も始めていますが何も覚えていないようです。明日、公安に引き渡して引き継いでもらいます。外交問題になりますので」

 

「そうか」

 

王我の興味はそこで一旦、失せた。

 

「今夜はここで1泊してください。明朝、出発します。キサカ1等陸佐も既にこちらに着いて休んでいただいています」

 

ナオトが明日までスケジュールを説明する。

 

「お二人には輸送機に搭乗していただき、護衛はカレンに玉城、あと4人つけます」

 

藤堂が補足説明する。

 

「え、俺がこいつを!?」

 

玉城が王我を指差す。

 

「玉城!天道殿には敬称をつけろ!」

 

「うっ…」

 

藤堂が玉城を怒鳴りつける。

玉城も藤堂を呼び捨てにしているのだが、そこは長年の仲というものだろう。

玉城が王我を呼び捨てにしているのは、単に自分より偉い奴が嫌いだからである。

王我は特に気にしていない。

雑魚にどう呼ばれようがどうでもいいのだ。

 

「気にするな。俺は何とも思っていない」

 

「天道殿がそう仰られるのであれば…いやそれでは示しが…」

 

真面目な藤堂は規律か王我の言葉で迷っている。

 

「天道さんはこれからどうされますか?」

 

「少し出る。用事があるんだ」

 

「では護衛を…」

 

「悪いがあまり目立ちたくない」

 

「珍しいですね」

 

ナオトが意外そうに言う。

目立ちたがり屋の王我がそんなことを言うとは思っていなかったのだろう。

 

「そうか?俺は好きだぜ…暗躍」

 

王我はそう言ってニヤリと笑みを浮かべた。

 

「まるで悪役ね」

 

「カレン」

 

妹の発言をナオトが窘める。

 

「フンッ」

 

カレンはそっぽ向いてしまう。

 

「反抗期かな?」

 

ナオトがやれやれと言った顔をした。

ちなみに束は終始、基地の内部は興味深そうに観察していたのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

 一方、『花月荘』の方では公安警察の捜査が入っていて、教師と生徒は敷地外を出ることを禁止され、警察官が脱走者が出ないように見張っている。

 『銀の福音』の作戦の関係者は事情聴取が行われ、何も知らない生徒等は概要だけ説明して従ってもらっている。

生徒達からすればせっかくの臨海学校が窮屈になって不満を表す者も出てきている。

 事情聴取では千冬や真耶などの教師は正直に全て話した。

どんな理由であれ生徒を利用したことは事実なのだ。

逆に愛莉などの生徒は千冬達が上層部に従わざるを得ない立場にあることを説明して庇った。

 拘束した女性権利団体の容疑者からも連行までに軽く事情聴取したが、3人とも言うことがどれも似たようなものだった。

「私達は全ての女性のためにやった」「正義のため」「男がISを使うなんて間違っている」など勝手なことばかり。

聴取を担当した警察官は肯定も否定もせず記録を続ける。

彼らの仕事は彼女達を説得することでも討論することでもないのだ。

 一夏も聴取を受けたが、彼は逆に質問を繰り返していて、『銀の福音』のパイロットはどうなっただの、密漁者達はどうなるのかだの、当然警察官から話せることはない。

それから王我に対する不満を吐いていた。

「あいつは人の心がない」「あいつは外道だ」など利用されたことに腹を立てていた。

当然警察官は何も返さず、仕事を続けていた。

 そうして、1時間ほどの聴取が終わって、容疑者はパトカーで連行され、千冬達は監視から解放された。

 一夏は軽い休憩を取ってから旅館を抜け出して夜の海へと繰り出した。

満月の今日は真夜中であっても明るく、水面に満月が映っている。

 

「い、一夏?」

 

突然、名前を呼ばれて振り向く。

月明かりに照らされて現れたのは水着姿の箒だった。

 

「箒?そういえば昨日海で見かけなかったけど…」

 

「あ、あんまり見ないで欲しい…お、落ち着かないから…」

 

「す、すまん」

 

一夏は慌てて体の向きを変える。

一瞬だったがはっきりと見えた箒の水着姿は鮮烈で脳裏に焼きついている。

白い水着、それも箒にしては絶対に着なさそうなビキニタイプ。

縁の方に黒いラインが入ったそれはかなり肌の露出面積が広くセクシーだった。

 

「(い、いかん…これはかなり気恥ずかしい)」

 

先程までの王我への怒りなど吹っ飛んで、酷く落ち着かない気分を誤魔化そうとするがあまりうまくはいかない。

1メートルほど間を空けて隣に座った箒がどうしても気になってしまって意識はますます乱れていった。

 

「…」

 

「…」

 

「え、え~と…だな」

 

「う、うん…」

 

お互いに上手く言葉が出てこない。

 

「そ、その水着似合ってるな。…うん、いいんじゃないか?」

 

「っ!」

 

箒がビクッと身をすくませて顔を赤く染める。

 

「こ、こ、これは…その…い、勢いで買ってしまって…い、いざ着ようとすると恥ずかしくて…だな…」

 

一夏と背中合わせで話す箒。

 

「…なあ、箒」

 

「な、なん…です…か?」

 

「いや、その変な敬語はどうしてなんだ?普通に喋ろうぜ」

 

「う…お、お前が…おしとやかな女がいいと思ったから…」

 

「いや、まあ…なんだ。箒はいつも通りの方がいいと思うぞ。そんなに無理して合わせることないだろ…な?」

 

「う…む…ゴホンッ」

 

箒は咳払いしておしとやかモードを解除した。

2人は向かい合う。

 

「こ、これでいいか?」

 

「おう、いつも通りの箒だな。リボンも似合ってるぞ」

 

そう言われて箒は心臓がドキッとした。

 

「(やはり私は一夏のことが………そういえば鈴が…)」

 

箒はそこで鈴音が一夏に人工呼吸をした時を思い出した。

 

「(私も…いや、しかし…恥ずかしい。あのような不埒な…だがこれ以上遅れを取るわけには…ええいっ!)」

 

箒は突然、竹刀を取り出した。

 

「一夏、お前を…倒す!」

 

「………え?」

 

箒の行動に呆けた反応をする一夏。

箒はこう考えた。

鈴音と同じ状況にしてしまおうと、その為に一夏をもう一度気絶させよう。

 

「ちょ、待て!っていうかどっから竹刀出した!?」

 

「せいやっ!」

 

箒が一夏に上段斬りを仕掛ける。

 

「あぶねぇっ!」

 

一夏が避けた砂浜には小さなクレーターが出来た。

 

「避けるな!」

 

「避けるだろ!」

 

「待てぇ!」

 

箒が竹刀を振り回し、一夏が逃げ惑う奇妙な逃避行が始まった。

 

 

◇◇◇

 

 

 同じ頃、鈴音も部屋で1人自分の唇に触れてあの時のことを思い出していた。

その仕草はどこか色っぽい。

 

「…///」

 

あの時は一夏を助けることに夢中で考える余裕もなかったが、改めて思い出してみると恥ずかしさが出てきた。

 

「…そうよ。あれは人命救助…ノーカンよ。それにするならやっぱり起きてる時に…」

 

鈴音は一夏への想いを再確認した。

次はちゃんとキスしようと。

 

 

◇◇◇

 

 

 東京のとある喫茶店。

店内は薄暗く落ち着いた雰囲気で秘密の話には最適な店。

王我はそのテーブル席である人物と会っていた。

 

「それで話とは?」

 

 そう問いかけたのは社美彌子。

内閣情報調査室(通称 内調)の内閣情報官で大人の雰囲気のある黒髪ロングの美人、世間からは『美人広報課長』と呼ばれ、IS適性は低いが、優秀な人材である。

 王我がポケットからUSBメモリを取り出し、テーブルの上に置く。

 

「これは?」

 

「『銀の福音』との交戦した時の映像と奴の位置情報の記録データだ」

 

「なぜこれを私に?」

 

「必要だろう?どうせ今回の件、アメリカは隠蔽しようとするからな。証拠を持っておいて損はないだろう」

 

「…はぁ」

 

社はため息をついた。

厄介ごとが増えるのは御免なのだ。

とはいえこのUSBメモリが外交上有利に働くのは確か。

この喫茶店のマスターは客のプライバシーを守る信用できる人間だ。

社はノートパソコンを出すとUSBメモリを差し込んで中のデータを確認した。

 

「確かに」

 

USBメモリを抜いてバッグにしまう。

 

「用はこれだけですか?」

 

「ああ」

 

王我がそう答えると、社が席を立つ。

 

「では私はこれで失礼します」

 

そう言って2人分の代金を払うと店を出た。

 

「ねえねえ、おーくん」

 

社がいなくなると隣のテーブル席から束がぴょこっと出てきた。

彼女の格好は身バレしないように黒髪のウィッグ、帽子、眼鏡、服装はカジュアルと変装している。

彼女を基地に置いていくわけにもいかなかったため、王我の傍にいさせたのだ。

 

「終わったなら帰ろうよ~」

 

やることが無さすぎて飽きたのだろう。

束は基地に帰りたがる。

 

「そうだな」

 

王我はカレンとの約束を思い出して基地に帰ることにした。




紅月カレン
原作:コードギアスシリーズ
年齢:25
国籍:日本
階級:航空自衛隊 3等空佐
専用機:紅蓮特式

紅月ナオト
原作:コードギアスシリーズ
国籍:日本
階級:航空自衛隊 1等空佐

藤堂鏡志朗
原作:コードギアスシリーズ
年齢:45
国籍:日本
階級:航空自衛隊 2等空佐

玉城真一郎
原作:コードギアスシリーズ
年齢:32
国籍:日本
階級:2等空尉

社美彌子
原作:相棒
国籍:日本
役職:内閣情報調査室 内閣情報官
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