広間には何人もの【オーガ】が立っていた。
分厚い筋肉に覆われた、二メートルを優に超える体。頭上から伸びた二本の角。
彼等は普段とは違い、床にまで届く程の虎皮の毛皮を腰に巻き付けていた…のではなく虎皮の腰巻きに見えるそれは床から生えた巨大なイソギンチャク状の化け物だった。
彼等はその黄色いイソギンチャクに足先から‘捕食’されつつある最中だったのだ。
既に腰まで埋まった彼等の様子は傍から見ても異様だった。
どのオーガも必死に全身をばたつかせているが、それは逃れようとする動きではない。彼等は淫らな幻覚を見せられており、イソギンチャクの絡みつく快楽に全身を支配されているのだ。
『オオ…、良イ女、ダ…』
『ガハハッ、コイツハ、一度、犯ッテミタカッタ』
『コノ女ハ、俺ノ物ダ…』
オーガ達は聞くに堪えない卑猥な言葉を口にしながら、無様にイソギンチャクの中で腰をくねらせている。
イソギンチャクの触手による責めは激しく、オーガ達の股間は瞬く間にギンギンに勃起した。
完全に包みこまれた下半身は巨根の持ち主のオーガですら確認することは出来ない。ただ、淫らな夢を見せられている彼等には自分の男性器がイソギンチャクの化け物の中でどのような扱いを受けているのかを想像する意思すら残されていなかった。
オーガ達の男根からはとめどなく我慢汁が流れ出ておりそれが触手の粘液と混ざり合い、イソギンチャクの内部は湯気がたちこめる程の熱気に包まれていた。
その強烈な快楽にオーガ達は脳天まで貫かれる。化け物に自慢の巨根が犯されているという絶望的な状況すら理解出来ないまま…。
『ブチ込ンデ、ヤル』
『グオオッ!』
『入レルゾ…』
オーガ達はそれぞれほぼ同時に、居もしない女に向かってペニスの挿入を宣言した。それに合わせてイソギンチャクの内部に壺型の触手が出現し、無防備なペニスを丸ごと飲み込んだ。
『オオオッ、出ルッ!出ルゥ!』
『ホオォッ!最高ダアァ!』
その挿入の衝撃だけでオーガ達は絶頂に達した。無論、彼等のその巨根から吐き出される精の量は人間とは桁違いだ。大量の白濁液が触手の内部へ放出されていく。
しかし、イソギンチャクはそれを一滴も零すことなく吸収し続けていた。そして一度絶頂に達したとしても触手はペニスを解放する事はない。
射精したてで敏感になったペニスを緩急をつけてしごきあげる。
この化け物はオーガ達の全てを搾り尽くす気でいたのだ。しかも単調な上下運動で搾るのではなく、寸止めを挟んだり回転を加えたりと多種多様な刺激でオーガ達の精を搾り取っている。
その常軌を逸した快楽にオーガ達はただ悶える事しか出来ない。
そしてオーガ達にとっては永遠に思えるような快楽地獄の時間もやがて終わりを迎える。
『ウアァ、何発モ、デネエ、デネエヨオ…』
この場に居る者のリーダー格らしき青色の肌のオーガが懇願するように呟いた。
これ以上は気持ちよくなれない、射精などできない。いくらオーガの常人離れした剛強な肉体でも限界がある。
オーガ達は快楽地獄から逃れようと、手に力を込めてイソギンチャクから抜け出ようとする。ズルズルと汚らしい音を立てて少しずつ体が持ち上がっていった。
だが、陰毛や尻の割れ目まで露わになったところで彼等の動きが止まってしまう。彼等のペニスは根元まで完全に取り込まれており、これ以上は捕らえた雄の肉体が抜け出せないように固定されてしまっていたのだ。
それすら認識出来なくなっているオーガ達は、結合部と尻をもろ出しにした状態で醜態をさらし続けている。
彼等が見ている幻覚が、それぞれの理想の美女から具体性を欠いた曖昧なものへと変化していく。それは彼等の思考力が低下し、淫らな罠が第二段階に移行した事を意味する。
『アァ…止メラレナイ…』
『チカラガ、ヌケテイク…』
『吸ワレテイク…』
オーガ達の鈴口がパックリと開き、そこから精液ではなく彼等が持つ妖力が放出され始める。
彼等は精巣が空になるまで射精させられた事により、無防備な状態になってしまっていた。そうなってしまった雄から妖力を吸い尽くす事などこのイソギンチャクにとっては容易い。
青・赤・黄・黒…様々な色をした亀頭が激しく脈打ちながら妖力を放出する様子はオーガ達の周囲に様々なアングルで投影され、そして詳細に記録されていく。
これは単なる捕食行為ではなかった。
その証拠に妖力を吸い尽くされていっている筈の彼等はやつれもしていない。衰弱の兆候が見られないのだ。
しかし、彼等は強烈すぎる放出感に獣じみた咆哮を上げながら悶えそして恐怖する。
「ナ、何ガ起コッテイル…」
青いオーガがそう呟き、ついに力尽きてしまった。脱力した筋肉質な肉体がクチャクチャと音を立ててイソギンチャクに沈んでいく。
他のオーガ達も次々と呻き声を漏らして飲み込まれていく。誰一人、イソギンチャクの化け物と交尾していたと気付くことなく、ゆっくりと化け物の体内へと消えていく。
しかし、この化け物にとってこれは捕食ではない…ましてや性交などでもない。
全てのオーガ達を飲み込んでしまったソレは、触手が萎縮した代わりに根元が不気味な程に大きく膨らんでいた。
その膨らみを取り囲むように無数に表示される映像。オーガ達の巨根や引き締まった尻、逞しい胸板…それらが生々しく映し出されている。
まるで彼等の肉体を‘視姦’しているかのように…。
閉じ込められたオーガ達に逃げ場は無い。四方を触手の肉壁に覆われ、もはや化け物の体内で絶頂させられるのを待つだけの存在だ。
妖力を吸われて脱力した肉体ではもう抵抗する事も叶わない。意識が朦朧とした状態でただただ快楽を受け入れ続けるしかないのだ。
オーガ達の手足に触手が絡みつき、彼等は大股開きで座らされた姿勢に移行する。まるで何かの操縦席か、あるいは検査台のように。
明らかに意図の感じられる状況なのだが、それを認識出来る者は誰もいない。
この淫らな椅子に座らされたオーガ達は奇妙な快感を感じていた。性感とは違う、複雑なパズルがしっかりと組み合わさったかのようなしっくりとくる感覚。彼等は組み込まれたのだ。この秘密に包まれた空間に…。
オーガ達は座ったまま微動だにしない。いや、柔らかな肉壁にはまり込んで動けないのだ。
そこに新たな触手が降りてくる。それは非常に細く、小さな玉が複数繋がったかのような形状をしている。
触手はオーガ達のペニスの先端に合わさると、ズブゥ!と音を鳴らして尿道へと進入する。
「グォオ!」
突然の出来事にオーガ達は声を上げる。
尿道口を押し広げて入っていく触手はオーガ達の我慢汁の滑りを利用して奥深くへと進んでいく。強烈な刺激に彼等の鈴口がヒクつき、我慢汁の分泌が促進される。
オーガ達は、壊れた人形のように頭をガクガクと震わせて悶絶してしまった。
激烈な尿道責め。それを見ている者が居た。
オーガ達を閉じ込める塊を、緑色の巨体が取り囲んでいる。
その集団はオーガにとてもよく似てはいたが、彼等とは違ってこの魔物には頭部に角が存在していなかった。また、身につけている物も立派な虎皮の腰巻きではなく、より原始的に毛皮を巻き付けただけのような格好だ。
彼等はオークと呼ばれる魔物だった。
オーク達は生々しく映し出されている化け物の内部の様子を凝視していた。
彼等にオーガの様な屈強な雄を犯す趣味はない。しかし、彼等の肉体はオーガ達の痴態に激しく反応していた。
毛皮の腰布に覆われた彼等の剛直が、その形を浮かび上がらせている。
やがて我慢出来なくなったオーク達はおもむろに腰布を投げ捨ててしまった。
強烈な雄臭を放ちながら天を向いてそそり勃つオーク達のペニスが、次々と姿を現していく。その先端からは透明な汁が糸を引いていた。
ソフィーヤは奇妙な光景を目にする事となる。
何人ものオーク達が集まり、人だかりを作っていた。力強い筋肉を隆々と盛り上がらせた彼等の肉体は、この薄暗い空間ではとても目立つ。まるで緑色をした荒々しい巨石が置いてあるかのようだ。
ソフィーヤはオーク達の視線の先に何があるのかと目を凝らすのだが、彼等の肉体に覆い隠されて何も見えない。
あらかた捕らえた女との交尾でも観察しているんだろうとソフィーヤは思っていたのだが、それが間違いだった事に気付くまでさほど時間は掛からなかった。
引き締まった尻の谷間にオーク達は手を差し込み、太い指で自らの肉壺を激しくかき混ぜ始めたのだ。彼等の呻き声が聞こえる。何体かは絶頂に達している様だった。その快楽で体を痙攣させている者もいる。
しかし、それでもオーク達は自らの昂りを慰める手を止めようとはしなかった。
オークの背筋に沿って流れる汗は筋肉の溝をなぞり、彫刻のような美しさを強調する。
何かがおかしい。
そう思った時、彼等の視線の先…中心部
で何かが黄色と黒の閃光を放つ。その光は集まっていたオーク達を覆う様にドーム状に広がっていった。
突然、彼等が叫び声を上げる。
耳をつんざくような雄叫びの合唱にソフィーヤは思わず耳を塞いでしまう。胸板や腹筋を自らの黄ばんだ精液まみれにしたオーク達が身をよじり、のたうち回る。
突如現れた黄と黒の半球は快楽に悶えるオーク達を内包したまま、急激に縮小し消え失せてしまった。
残されたのは彼等の粗末な腰布だけ…。
ソフィーヤは何が起こったのか理解出来きずしばらく硬直していたが、やがて我に返り状況を整理する。
そして先程の結界のような物が、オークの様な屈強な雄を生け捕りにする為の罠だったのではないかという結論を出す。
そんなトラップがあるとは聞いた事もないし、そもそもこのダンジョンにそんな罠を仕掛ける理由が無い。彼等にとってオークは味方であり、こんな罠で数を減らせば自分達が不利になるはずである。
となると…この罠を仕掛けたのは別の存在なのかも知れない。
ソフィーヤは自らの予想にゾッとする。魔物とも違う何かがこのダンジョンで活動していると思うと、落ち着いていられなくなる。
しかしオーク達がどこかへ連れ去られてしまった事により、次のダンジョンに行くのがかなり楽になったのも事実だ。この謎の介入がソフィーヤに何をもたらすのかまだわからなかった。