『回復の泉』の水底を歩いている前提なので問題なく呼吸も歩行も出来ています。
振り返った先にいたのは、クリスのよく知るモンスターだった。
ソフィーヤよりも頭一つ分低い体長。黒に近い緑色の肌、大きな耳。粗末な腰布一枚に手には棍棒を持っている。
それは、ごくごく一般的に見かける【ゴブリン】に見えた。
ゴブリンはソフィーヤを見ると、いやらしい笑みを浮かべて舌舐めずりをした。そして…水中とは思えぬ俊敏な動きで、ソフィーヤに襲いかかってきた!
ソフィーヤは瞬時に身構えた。水中での動きが鈍くなるのは自分もゴブリンも同じはずだ。しかし、目の前のゴブリンは、まるで水の抵抗を感じていないかのように棍棒を振り上げ、一直線に突進してくる。
(やばい! 速い――!)
反射的に後退しようとするが、水の中では思うように体が動かない。ソフィーヤは咄嗟に横に回避しようとしたが、足がもつれたようになり、動きが遅れる。ゴブリンの棍棒が水を切り裂きながら振り下ろされる。
だが、ゴブリンの棍棒は、彼女の体に届くことなく止まっていた。
ゴブリンの顔が驚愕に歪んでいた。
「ギャ…ギギギギ…!」
ゴブリンは棍棒を手放し、全身を激しく痙攣させ始めた。ソフィーヤはその異様な光景に、思わず息をのむ。
(まさか…!)
ゴブリンの股の間、無防備に晒された下部から、無数の細長い影が次々と侵入していく。それらは小さな魚――ソフィーヤがこの泉で既に遭遇した【カンディル】だった。
ゴブリンの動きが硬直する。ワンテンポ遅れて、全身にもカンディルが群がり始める。
まるでヒルのように、ゴブリンの全身を覆っていくのだ。
ゴブリンの目が白目を剥き、口から泡が溢れた。
「ギギギ…ギ…!」
もがくゴブリンは水面へ逃げようと必死に手足を動かす。恐らくは反射的な反応であろう。
しかし、その動きはどんどん鈍くなり、やがて全身を弓なりに反らせたような奇妙な姿勢で、水中を漂い始めた。気絶したのだ。
その時、ゴブリンの腰布がするりと外れ、水中をゆっくりと舞うように流れていった。
露わになったゴブリンの、肌と同じ黒緑色をした『肉棒』はしっかりとそそり立ってしまっていた。
まるで魚の群れに餌を差し出すかのように、股間を突き出したまま動かないゴブリン。既に射精までもさせられたらしく、カンディルの隙間から時たま白い液体が漏れている。
肉棒とアナルをカンディルまみれにさせたゴブリンはそのままどこかへと流されていった。『回復の泉』の中では呼吸が出来るので水死する事は無い。ソフィーヤは哀れなゴブリンの行先に思いを馳せる間もなく、再び目的地へとその体を向けるのだった。