※この作品はR-18です。

【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】   作:笛吹き用

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第九話 チャートの神様に告ぐ。ちゃんと仕事しろ。

「「おはよう、達郎くん。ちょっと僕の話を聞いてくれないかな?」」

 

 教室のドアを開けた瞬間、その後ろで待ち伏せしていきなり異口同音でハモるんじゃないよ、そこの男子二人。

 

「おはよう。……で、何? 俺、登校してきたばっかなんだけど? せめてカバンくらい置かせてくれない?」

 

「おはようございます。とりあえず二人とも通してもらえますか? 達郎さま、困ってるじゃないですか」

 

「ん? 京介(きょうすけ)ちと……、えっと……大貴(だいき)ちじゃん。おっはー。でもいきなり何? 朝っぱらからウチらのダーリンになんか用?」

 

 俺がまたやらかした以外は素晴らしい夜を過ごした後の土曜の朝、鼻の下をこれ以上なく伸ばしながら両手に花、右腕をあやかの美乳、左腕をエリカの巨乳が押しつけられた状態という最高の気分で登校してきた俺を待ち受けていたのは、おそらく昨日背後から俺を見ていただろう対照的な二人の野郎だった。

 

 まず俺が視線を向けたのが、俺とダンジョンに潜ったこともある黒髪イケメンの京介くん。

 

 身長は170cmぐらいの某アイドル系の顔面にいつも笑顔を絶やさずクラスのみんなに気さくに声をかけるいかにもな好青年に見えるイケメンで実際クラスのまとめ役。で、ダンジョン攻略も積極的。さらにどうやらかなりうまくやったらしくおそらくもうクラスチェンジ済み。で、GWまでまだ丸々一週間あるこの時期にクラスチェンジしてるとなると、コイツと一緒にダンジョンに行くことができればほとんど生きて帰ってこれると保証されてるようなもんだから、そりゃもうクラスの中でのコイツの扱いは王様そのもの。当然男にも女の子にも大量の取り巻きができており、コイツに媚びるやつはうちのクラスのおよそ半分を占めてる。つまり完全にクラスのスクールカーストのトップである。

 

 そのせいで媚びていようがいるまいがうちのクラスでは、二週目のスタートあたりから男子も女子も大半がコイツの顔色を窺わざるを得ない状況ができているのは入学以来ずっとぼっちやってた俺も気づいていた。

 

 まぁ、そのことは俺自身はどうでもよかったんだけどな。べ、別に、俺はソロでよかったし(慌)? 羨ましくなんてないし(汗)? まぁ、冗談はさておき俺にとっては本当にどうでもいい相手だったしクラス内の空気なんて完全に無視してたから無問題だったんだけど、あっちはずっと俺に関心ありありでどうにか絡めないかといつも俺のことを見ていた。

 

 ただ、俺はこいつのことがあんまり好きじゃない。はっきり言えば嫌い。それもイケメンだからとか、女にモテてるとか、クラスの王様なのが気に入らないとかそういう理由じゃない。

 

 だって俺の見立てではコイツの中身はおそらく『小賢しい腹黒の()()』で、よくいる自分が一番賢くて上手くやってると思ってるクソガキに見えるから。というかコイツは昨日の鶏くん(仮)との騒動の時も慌てたり怯えたりするクラスメイトの中でただ一人嫌な目で俺のことを観察してたし。なんなら鶏くん(仮)はコイツの取り巻きの一人のはずで、そう考えるとおそらくコイツがあのバカを焚き付けて俺に突っかからせたんだろうと俺は思ってた。俺がどのくらい強いのかを知るための当て馬だったんだろう。で、俺がもし弱ければある程度俺がやられた後、そのまま助けに入って、恩を売って……って感じだろうと思っていた。

 

 そんな()()なことやった目的もわかってる。コイツが俺を見るとき、コイツの目線と意識は常に俺の腰に差してある脇差から外れることはない。本人は上手く誤魔化せてるつもりだろうけど男が女の子のおっぱいを見るときに「チラッと見るだけだから!」っていってガン見してるのが女の子にバレバレなくらいにはガン見してるからな、コイツ。

 

 そしてそのことからコイツのクラスは簡単に想像がつく。

 

 ーー十中八九【戦士】系第一段階R職である【剣士(ブレイダー)】。

 

 まぁ、体捌き、足捌きを見ると剣道、いや明らかに剣術経験者だからな。ただ俺や原作主人公パーティメンバーのようにステップ転職でいきなり第二段階職の【(サムライ)】や【剣豪(ソードマスター)】という線はほぼない。そこまでの圧倒的な実力も才能もコイツにはないし、もしそうならもっと早くもっと強引な形で今日のようなことが起きてるはずだから。

 

 そんなコイツが今も肌身離さず携帯している剣は宝箱から手に入れたと思われるダンジョン産のマジックアイテムと思われる両刃のバスタードソード。おそらく学園オークションサイトで買えば1000万銭を超えるだろう【無銘(ノーネーム)】の火属性の【火霊剣(レッドソード)】で普通の新入生がこの時点で手に入れる武器としては間違いなく最上級。なんだが、どうやらコイツはそれでも満足できずに是が非でも()()欲しいらしい。

 

 なぜか? 簡単だ。

 

 コイツ、刀に魅入られてやがる。しかもとっても悪い方に。

 

 ……これはあくまで推測になるが、コイツ既に外で何かやらかしたか、コイツの周りの大人、おそらくコイツの剣術の師匠に『やらかす』と判断されてこの学園に隔離された『人斬り』予備軍だと俺は判断していた。

 

 なんでそんなこと分かるかって? 簡単だよ。コイツみたいなやつはみんなおんなじ目をしてるんだ。生きている人間を『()()()()()()()』じゃなく『()()()()()()()()()』として見る目をしている。それを俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から察していた。

 

 こういう人殺しの道具として見てるやつに刀を打つんじゃないと厳しく躾けられた。

 

 だから先週までも俺と俺の脇差のことをチラチラ妬ましそうに見てやがったが、同時に俺の力がどの程度かわからなかったために下手なコンタクトは取ってこなかったんだが、どうやら痺れを切らした結果が昨日のあの騒動の原因の一つなわけだ。

 

 ……で、搦手がダメになったから、仕方なく俺がダンジョンに逃げられない登校時のタイミングを捕まえてストレートに交渉に来たってところかな?

 

 だが、一回一緒にダンジョンを潜っただけで会話も付き合いもほとんどない俺にそういう内幕が(全部俺の推測だとはいえ)バレバレの時点で、『小賢しい』し、他人をうまく焚きつけて自分の目的を達成しようとする根性が『腹黒』いし、それを俺に簡単に見抜かれる程度には下手な立ち回りを見せているので『()()()()()()()()』という評価に落ち着くわけである。

 

 そんな歩くうん●野郎が表情だけは真剣な顔をして、だが隠しきれない内心の傲慢さを口元に残したまま教室の入り口を塞ぐようにして立ってやがった。

 

 で、次に目を向けたのが隣に立っていた大貴(だいき)くんと呼ばれた男子なんだが……。

 

 でけぇ。間違いなく190cm近くあるぞ、彼

 

 俺が175cmのヒョロ長体型なんだけど、その俺が首を斜め上にして見上げないといけない程度には背が高い。え? こんな男の子うちのクラスにいたの? って感じだが、身長は高いものの身体つきは細く華奢な印象とまではいかないがやはり細い。そんな彼は俺と目を合わせただけであまり自分に自信がないのか縮こまるような仕草を見せたので存在感を必死に消していたのかもしれない。顔つきは真面目そうというよりは実直そうで、目を見れば今もこうして俺を通せんぼしていることに恐縮している様子が見てとれる。

 

 俺に『迷惑をかけている』という意識がありありと見てとれる。う〜ん、隣の表面ずらだけ好青年の歩くう●こ野郎とは大違いだ。

 

 さて、とはいえ先に彼の話を聞くのはまずいだろうな。今後の彼の教室内での立場を考えると特に。

 

「まぁ、とりあえず席に座らせてくれよ。それからでいいなら、京介くん。話を聞こうか」

 

 露骨に顔に悦びを浮かべて「あぁ、もちろんだよ」と先導するように俺に背を向け俺の席へと向かう京介くんの視線が切れた瞬間にすかさずがっかりしている大貴くんにアイコンタクトをしながら笑いかけ唇の動きで『あとでゆっくり』と伝えたら、大貴くんは目をぱちくりさせて何度も頷いてた。いや、ほんといいひとぽいんだけどなんでこんな地獄にいるの? 彼。

 

 というわけで俺は最高の気分の朝から一転最悪の気分でその一日をスタートした。

 

 なお、京介くんの話は予想通り俺の脇差を見せてほしい、できれば譲ってくれないかって話だったので丁重にお断りしたかった。

 

 ……したかったし、正直先週までならしてたんだが、今このクラスの中には俺のパートナーであるあやかとエリカがいる。つまりクラスカースト最上位のバカ殿からすればそれも交渉の手札になると織り込み済みで俺に今日話しかけてきたことは容易に想像がついたから、これは今断っても手を替え品を替えあやかやエリカを巻き込んでクソみたいな嫌がらせと粘着されるだろうなぁと思った俺は一つ提案をした。

 

「京介くん。こんなみんながいる教室で刀抜くのはさすがによくないから、選択の授業サボって道場行かない? そこでならこの脇差、見せてあげるよ」

 

 とわざと餌を撒いた。

 

「ホント? いいね! 行こう!」

 

 と簡単に餌に食らいつくあほに内心クソデカため息をつきながら、俺はチャートがまたガラガラと崩れ落ちていく幻聴に襲われるのだった。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 そんな朝の出来事から五日経った四月二十七日(水)のこと。GWまであと三日に迫ったその日のダンジョンダイブの後、俺は【工房】などが存在する学園の特別教室棟の中にある【第一講堂】という収容人数が百人を超えそうな扇型の部屋の教壇に当たる部分に立っていた。そんな俺の目の前にはざっと五十人は越えるだろう同級生たちが席に座り、俺が今日大貴くんたちクラスメイト数名への説明のために用意しておいたプレゼン資料がいつの間にか大量にコピーされ後ろへと順番に配られていた。そしてなぜかとても嬉しそうに場を仕切るあやか、同じくなぜかとても嬉しそうに俺にくっついて頬擦りをやめないエリカ、そして本当になぜかわからないが最後列でカメラを回す準備をしている我らが担任のひなちゃん先生という謎の構図に、俺は回れ右をして帰りたかったのだが、今更そんなことができるわけもなく。

 

 陰キャをこんな目立つところに引っ張り出すんじゃない! と大声で叫びたかったが、もはやバックれられる空気じゃない。全員に資料が行き渡ったのを確認し、覚悟を決めてパンパンと両手を叩いた。

 

「はい、それでは説明を始めます。()が今回講師役を務めます一年()組の達郎と申します。一年(いぬい)組と(みずのえ)組の有志の皆さんは初めまして、よろしく」

 

 そこで巻き起こる盛大な拍手。やめてくれ、恥ずかしい。俺はこういうプレゼンとか説明とかが本当に苦手なんだ。いや、説明とか自体が苦手なんじゃなくてこういう風に注目されることそのものが苦手なんだ。恥ずかしくて。

 

 思わず引き攣りそうになる口元をなんとかまっすぐに戻して続ける。こうなったらサクッとやってサクッと終わらせよう! そして終わったらボク、あやかとエリカにいっぱい慰めてもらうんだ! そう決意した俺は『ガシャンピーピー。俺は笑ったり泣いたりしないし血も涙もない冷酷非道な説明ロボ』と暗示をかけて講義を開始した。

 

「では早速講義に移ります。講義内容はお手元の資料Aの表紙にあるように『私が考える学園生活初期のダンジョン攻略における理想的な具体的立ち回りと勘違いしがちな各【職業(クラス)】への考え方、それを踏まえた理想的パーティ編成に関する一考察』です。添付資料である資料Bの【ドラゴンファンタジーⅢ 3HD-2Dリメイク】の【武器防具一覧】に関しては後ほど説明に使用しますので今は置いておいてください」

 

 遠い目をしながら必死に講義という名の説明を始めた俺の目に今回の件の発端となった二人の男子の姿が映る。最前列には目を子供のようにキラキラさせて俺を見つめる元うんこ野郎、現在()()更生中の京介くんと、うちのクラスの良心であり今も必死に身を縮め俺にとにかく申しわけなさそうな顔を向けている大貴くんの姿があった。

 

 何気に五日前の朝のように並んで俺の前に座る京介くんと大貴くんにここ数日の急展開がプレイバックした。

 

 ほんと、あれから何をどうしたらこんな状況になるんだよって話だよ。

 

 おい、チャートの神様。いるんなら仕事しろや、ゴラァ! ガバリすぎだろ!

 

 

 

 




感想、評価気が向いたらよろしくお願いします。

独自設定

【ドラゴンファンタジー】シリーズ

達郎の世界において、【ファイナルクエスト】シリーズと対をなすJRPGのニ巨頭の一角。中でもⅢは最高傑作の呼び声も高い名作であり、何度もリメイク版が発売されており、3HD-2Dリメイクはその最新作。

ということで温かい目でどうかスルーしてやってください……(懇願)

4/20 レッドソードの売値250万→1000万に変更しました。
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