※この作品はR-18です。

【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】   作:笛吹き用

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謝罪
しばらく体調を崩して更新ができず申し訳ありませんでした。ボチボチではありますが再開いたしますのでよければお付き合いくださると幸いです。

注意
武器に関するオリジナル設定が出ます。悪しからず。


第十四話 たまには頑張ってると良いことあるね

「もっと! 大貴くん、もっと突いて! イイ! 気持ちいいよぉ!」

「あぁ、僕も気持ちいいよ! 千歳(ちとせ)ちゃん! ハァハァ! あぁ出る!」

「私もイクぅ! あぁ、中に熱いの出てるぅ……。でもまだ熱いの……。もっと……、もっとして?」

「ち、ちとせちゃん! あぁ、すごい僕も腰が止まらない!」

 

「あん❤︎  ダーリン、気持ちぃ❤︎ でもあっちのこと見過ぎじゃね? もっとウチのこと見て見て? ダーリン専用になったおっぱい揉んで? ああんヤッバ、めっちゃ敏感になってる。今乳首で吸われただけでイキそうになったんだけど。ん、もう我慢できん。ほらほらダーリン、ウチのおまんこ見て。くぱぁ❤︎ だよ? 好きっしょ? くぱぁ❤︎ ほらほらもう前戯なんてしなくてもウチのおまんこヌレヌレっしょ? だ・か・らそのぶっとくてかったいちんちん、さっさとい・れ・ろ❤︎」

「エリカ! お前エロすぎ!」

「あぁ、きたぁ! おかえりダーリンのちんちん! 熱々のガチガチで最高! すご、ホント気持ち良すぎ! ヤバ、嘘、もうイクんだけど、あああああイく! イったあ!」

 

 現在地は第二階層既知内領域外縁部で最初に見つけた玄室。その場に10匹ほどいたゴブリンの群れに突っ込んだ俺たちはまず俺が安全のために【小鬼薙(こおにな)ぎ】で奴らの手足を適当に切り落とし、手負いとなった哀れな生贄をあっという間に片付けたその直後、大貴くんのパートナーであるおさげ女子の千歳(ちとせ)さんが顔を真っ赤にして目を血走らせおさげを振り回すようにして大貴くんの方を振り返ったかと思ったら、同じく急激なレベルアップの興奮にそれでも耐えていた190cm男子の大貴くんへとジャンプしてぶら下がるように掴みかかり、周りのことなどまるで目に入らないとばかりに熱いディープキスを敢行。

 

 そのまま性獣と化した千歳さんが大貴くんを押し倒して俺たちの目の前でセックスが始まったことにより、なんとかレベルアップのムラムラを我慢していたエロ番長のエリカがゆっくりと俺のほうを振り返ったかと思うと完全に獲物を見る目で俺を見てニンマリ笑った次の瞬間、俺も体ごとぶつけるようなディープキスからそのまま押し倒された。

 

 なんか俺いつもエリカに押し倒されてない? 学園男子失格すぎんか?

 

 そんなエリカの騎乗位の腰使いはもはや熟練の域に達しており、騎手が馬を振り回すが如く腰を捻りまくりえげつない快感を俺にもそして彼女自身にももたらしていた。さらにハァハァという荒い息遣いの合間にこぼれる喘ぎ声とブレザーを脱ぎさって汗でじっとりとへばりつくブラウスのエロさ加減よ。

 

 そんなふうにまさに俺専用の全自動精液絞り取りマッシーンと化したエリカだったが、それでもまだお互い理性をある程度保ったまま腰をぶつけ合ってる俺たち二人に対し、大貴くんたちはもはや野生の番いの獣でもここまでぐちゃぐちゃにはならんだろと思うほどお互いを強く求め合っていた。チラ見してる俺たちの方がエロすぎて辛抱たまらんくなるほどセックスに没頭している二人。もう今はお互いの名前を呼び合いながらひたすら絶頂し続けてるから見てるだけでエロいのなんのって。

 

 でもそれも無理もないんだよねぇ。先ほど倒したゴブリンの推定レベルは7〜10。自己申告でレベル5だった大貴くんもレベル4だった千歳さんもそれぞれ3匹づつ倒しているため、第一階層で倒したものも含めるとここまでの二時間ほどでレベル1のゴブリン換算で一気に40匹ほど倒したこととなる。つまりダンジョンダイブ前と比べてもう2か3レベルが上がっているのだ。そりゃ我慢できないわって話である。

 

「ンあっ、エリカやばい。すげー気持ちいい。もう出そう」

「出して! ウチの中にダーリンのザーメン出して! イってるから! ウチもうずっとイってるから!」

 

 って現実逃避してたけど、流石にヤバくなってきた。今日は七人でダンジョンダイブしてるから早めに移動しないと【天敵者(アグレッサー)】出てくるし我慢する理由もないからこのまま一気に腰を振って……。

 

「あぁ、もう出る。エリカ気持ちいい、すごい、もう腰止まんない。あ、行くよエリカ。あッ、出る!」

「すごッ! ヤバ、イくのとまらん! ダーリンもっと! ウチのおまんこもっと突き上げて! 出して出して❤︎  ああ、ダメすごいのきた! イク、あ、ダメこれ堕ちるぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 そうしてエリカの膣に自分でも呆れるほど大量の精液が流れ込むと同時にイったエリカがエビのようにのけぞった。その時露わになった汗で濡れた細い首筋があまりにエロかったので思わず繋がったまま身体を起こして唇で吸い付いたら「あああああああああ、堕ちてる途中なのに、なにそれなにそれなにそれやばいいいイックゥぅぅぅぅ!! イくうぅぅぅぅぅ!!」と言いながらさらにのけぞって頭から落ちそうになったので慌てて抱きしめた。そのまま余韻に浸っていたんだが視界の端に能面じみた無表情かつ全く笑っていない目で俺を見ているあやかが見えて思わずひゅっとなった。さらに手に持った俺の懐中時計をコンコンと人差し指で差した後、無言でピースサイン。これはピースイエーっとしているわけではなく『そろそろ20分だぞ? コラ』という意味のジェスチャー。そこにはいつものかわいいあやかはおらずあやかさんになっていた。怖いです。

 

「あぁん、大貴くんもっとぉ……」

「千歳ちゃん、千歳ちゃん……」

「ダーリンさいっこー……」

 

「……そろそろ色々とやべえ」

 

 四者四様の有様のなか、刺すようなあやかさんの視線とそのあやかさん以上の美亜子ちゃんの絶対零度の視線に耐えきれなくなった俺は、名残惜しそうに締め付けてくるエリカの気持ち良すぎるおまんこから速やかかつ丁寧に撤収にかかるのだった。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 自分の身支度を早々に終えた俺はかわいそうだが未だ盛っている大貴くんたちに持ってきていたミネラルウオーターをぶっかけて正気に戻し、正気に戻ったことであたふたする二人を促して急いでその場を離れた。

 

 7人以上のパーティを第一階層から第仇階層まで組む場合に一番気をつけないといけないのがこの【天敵者(アグレッサー)】対策の時間管理である。本来は同じ場所に大体一時間ほど留まると出現する【天敵者(アグレッサー)】だが、パーティ人数が6人を超えた途端に時間が極端に短くなる。具体的には六人で1時間なのに、それが七人になった途端にいきなり15分短縮されて45分になる。これは多くの先人たちが【帰還珠(きかんじゅ)】片手に実験しており、結果同じほぼ45分という結論が出ている、らしい。ちなみにゲームでも7人で45分だった。

 

 ということで戦闘時間も含めると本当に時間がなくなるため、割と急がないとガチでヤバいから出来ればセックスはダンジョン脱出後が望ましいのだが、そうそう精力の異常増大に簡単に耐えられるわけもなく。

 

 身支度を終えいそいそとその場を離れた俺たちだったが、常識人カップルの大貴くんと千歳さんは自分達の痴態を赤裸々に披露したあまりの恥ずかしさに未だ顔を片手で覆ったまま歩いているし(なおもう片手は手を繋いだままである)、俺は俺でラブラブカップル二人の武器防具を持ちながら珍しく俺にガンガンくるあやかさんに許していただけるまでひたすら謝り倒しながら既知内領域中心部方向へ向かって歩いていた。

 

 なお、エリカは「めんご!」の一言で全てを済ませた。さすがギャルつおい

 

 そんな若干気まずい空気のまましばらく歩いて次の玄室に到着した頃、うつむいて顔を赤くしたあやかの

 

「……次は私の番、ですからね?」

 

 というお許しの言葉がいただけたので俺はほっと胸を撫で下ろした。あやかだって使役しているクロを通じて半分とはいえ経験値は入ってるから結構精力は溜まっているはずなんだが、さすがにいっぺんに二人の相手はできないのでなにも言わずに我慢してくれていたのだ。その状態で繰り広げられた二組のカップルの熱烈セックス。しかも片方の男は【隷属】している相手である俺。そりゃキレるわな。こりゃ次の機会には頑張らないとなと頭をかいた俺は再び準備を整えて第二階層での本日二回目の戦闘を開始した。

 

 今回は敵は7匹。ただ中に一匹だけ、このレベル帯のゴブリンにしては珍しい剣、盾、兜まで被ったゴブリンがいた。普通に考えればなかなかの強敵なんだろうが正直誤差だったんだが、ちょうどいい相手かなとも思ったのでエリカにやらせることにした。彼女に渡した【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】の本当の姿を彼女自身に体験させることにしたのだ。

 

 段取りは簡単。玄室外から【女山賊(レディバンディッド)】でも覚える【盗賊(シーフ)】の【俊足(ファスト)】で飛び込んで【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】の能力を使い、さらに敵に追い打ちをかけるだけ。

 

 そうアドバイスして初めての実戦での【覚醒(アギト)】に緊張するエリカを落ち着かせてから行けとばかりに軽く背中を叩いた。

 

 その次の瞬間、矢のような速度で玄室内に飛び込んだエリカが大きな声で「【弾けろ(はじけろ)】ぉぉ!!」と叫んで【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】を振るい()()()()。一見そして一瞬何も起こらなかった様に見えたが次の瞬間、高速で飛んでくる無数の何かをぶつけられたかのように断末魔の様な悲鳴をあげ後ろへぶっ飛ぶゴブリンの群れ。さらに直後爆竹が爆発するような軽い爆発音が響き、完全装備の一匹を残して残りのゴブリン6体はその時点で全滅。最後に残った一体も突然襲いかかってきた見えない何か攻撃に息絶え絶えになっているところをそのまま追撃してきたエリカがとどめを刺してあえなく全滅となった。

 

 この間、わずか5秒の早業。

 

 まぁ、【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】を作った俺からすれば当然の結果なのだが正直何が起きたか理解できていない他のみんなは口をあんぐり開けて驚いていた。が一番驚いているのはエリカ自身だったかもしれない。小さく震えながら何度も目の前と自分が持つ剣鉈のことを見つめていた。

 

 俺としては初めての実戦投入でうまくいって良かったという気持ち半分、今のエリカは初めてで【待ち伏せ(アンブッシュ)】の発動ができておらず武器の特性の半分しか生かせてないのでこれから慣れていくしかないなぁという気持ち半分というところだった。

 

 この世界においては武器の等級で【銘入り(ネームド)】以上の武器は特殊なキーワードを言葉にすることでその武器に秘められた力を【覚醒(アギト)】させることができるのは以前に話した通りだ。

 

 で、最初にエリカの武器適性を確認した時、小剣、鉈、片手斧、ククリナイフ、とどめに系統違いの両手持ちの長柄斧(ポールアックス)という山賊み溢れるラインナップだったのを見てこれは彼女のクラスチェンジ先は十中八九【山賊(バンディッド)】で間違いないと考えた俺はその事実をベースに彼女の相棒として【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】の武器性能をデザインした。

 

 コンセプトを一言で言うと『正面から堂々と不意打ちをする』である。

 

 【山賊(バンディッド)】の得意スキルといえば【待ち伏せ(アンブッシュ)】だが、あれは不意をつかないとスキルが発動しないデメリットがある。さらに武器として鉈や短剣の部類はいささか以上に射程(リーチ)にかけるので、武術などの訓練を受けていない基本素人の彼女が持つならある程度その欠点を補う必要があると考えたのだ。

 

 その結果、俺が思いついたのが散弾銃(ショットガン)をぶっ放せる短剣である。つまり【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】の【覚醒(アギト)】は「弾けろ」のキーワードとともに振るうことで、振るった方向に対して射程30mほどの不可視の魔法の散弾をばら撒く能力であり、そしてその散弾は最初のものが着弾して数瞬後に爆発するようにデザインした。

 

 これにより敵は高確率で目をつぶる、または視界を遮られることとなり、【待ち伏せ(アンブッシュ)】の発動条件である『目を閉じる』=『不意をつく』が達成される。

 

 あとは間合いを詰めたエリカが『見えない散弾を喰らい、さらに追撃の爆発によりさらにダメージを喰らいつつ何より視界が塞がった状態で、【待ち伏せ(アンブッシュ)】のスキル補正がついた【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】そのものの一撃を喰らわせる』というのがこの武器のコンセプトである。

 

 すんごいわかりやすく言うと『ベギ○マ+イ○+会心の一撃』がほぼ毎回可能になる短剣。しかも燃費がすこぶる良い。込める力にもよるが消費するSPは【術士(マギ)】の基礎スキルである【魔弾(マジックブリット)】と大差ないから成長すればするほどバンバン使っていけるのも強み。

 

 自画自賛になるが正直なかなかいい出来だと思っている。

 

 そんな俺がむふーと鼻から息を吐き出した次の瞬間。

 

 

 ーーそこに『宝箱(ジャックポット)』が出現した。

 

 

「ウチ、これ本当にウチがやったの……、何これすごない、この子。って……うわ! びっくりした。ダーリン、なにこれ!」

「……『宝箱(ジャックポット)』、ですね。授業で確かにあるって言ったけど初めて見た。達郎さま、これ開けてもいいですか?」

「え、すごいじゃない! キラキラしてるし。なにボーとしてんのよ、アンタ! 早く開けましょうよ!」

「美亜子ちゃん、ちょっと待って! でもすごい、宝箱なんて本当にあるんだ……」

「え? これが『宝箱(ジャックポット)』なの? 私初めて見たよ、大貴くん」

「うん、僕も初めてだよ千歳ちゃん」

「うお、『宝箱(ジャックポット)』。しかもSRかよ。……はい、みんな一旦ストップ」

 

 討伐直後とは一転してガラリと空気が変わり、俺は興奮するみんなに一度落ち着くように言ってあらためて目の前の『宝箱(ジャックポット)』を確認する。素材は金属製でそれをキラキラと輝く無数の宝石で彩っている。間違いない、SRランクの『宝箱(ジャックポット)』。

 

 うん、とっても幸運だな。だけど扱い難しいの来たよ……。というのがこの瞬間の俺の正直な感想だった。

 

 さて、まず何から説明しようか。

 

 『宝箱(ジャックポット)』。ダンジョンに元々置かれている、もしくは敵を全滅させた時に稀に出現するRPGでよく見る宝箱そのものである。『宝箱(ジャックポット)』には大抵の場合、鍵がかかっていたり罠が仕掛けられたりしているので、開けるには基本【盗賊(シーフ)】系が必要であり、そのことが【盗賊】系のアドバンテージそのものとも言える。

 

 で、この『宝箱(ジャックポッド)』、ランクが存在しておりそれぞれ見た目が違う。

 

 下から角を金属で補強した木製の宝箱がレア()

 

 今目の前に出現したものと同じように無数の宝石に彩られた金属製の宝箱がスーパーレア(SR)

 

 そして最高ランクは箱そのものが輝きを放つプラチナ製の箱をさらに豪奢な宝石と意匠で彩ったものがスーパースペシャルレア(SSR)となっている。

 

 で、目の前にあるのはSR『宝箱(ジャックポット)』である。Rでも上振れを引けば京介くんの持ってるような炎属性の魔法武器である【レッドソード】のように十分有用な武器や防具、アイテムが入手できるのだが、SR以上の『宝箱(ジャックポット)』はそれとは一線を画す。

 

 ではRとSR以上ではなにがそんなに違うのか? もちろん中に入っているアイテムのレアリティや貴重さが一段も二段も違うことは当たり前。唐突にドラク○3ネタで悪いけれど例えば剣はRが『はがねのつるぎ』なら、SRは『くさなぎのつるぎ』で、SSRは『おうじゃのつるぎ』が出る感じだろうか。だが最大の違いはそういう入っているもののランクの違いではなく、SR以上の『宝箱(ジャックポット)』には【スキルオーブ】が入っている可能性があることだ。

 

 特殊アイテム【スキルオーブ】。その能力はそれを使用したものに職系統関係なしにそのスキルを覚えさせることができる超希少かつ超特殊アイテムであり、これを使うことで【戦士(ファイター)】が【術士(マギ)】の【魔弾(マジックボルト)】を使えるようになったり、【盗賊(シーフ)】の【窃盗(ピックポケット)】が使えるようになったりするわけだ。

 

 いうまでもなく外付けで覚えられるスキルなんてどんなものでも基本的にいい結果をもたらすことが大多数。普通のパーティでも争奪戦になるのが当たり前のなのに、今日の俺たちのように寄せ集めの即席パーティの場合はこれが顕著にひどくなる。

 

 別に【スキルオーブ】に限らず、SRランクの【宝箱(ジャックポッド)】から出てくるお宝なら学園に戻ってオークションにかければ物次第だが一つで一億二億超えるのも普通の話だ。

 

 なのでこの『宝箱(ジャックポット)』の取り扱いで下手打つと壮大に揉めるし、なんなら殺し合いになるのだ。パーティ崩壊に一直線である。

 

 人間関係っていうのは金で拗れやすい。それがこんな学園内の命懸けのダンジョンダイブで得た金ならなおさらだ。なんならゲームにすらこれ起点のパーティブレイクイベントが存在したので、割と結構な見えてる地雷である『宝箱(ジャックポット)』。そんなに面倒ならスルーしろって思うかもしれないが目の前にマジモンの宝箱を見せられて開けない選択肢は人類にはないのだから困ったもんだ。

 

 それでもあやかとエリカはいい。二人とも俺に【隷属】しているし、俺のパーティメンバーだから話し合いでどうとでもなる。だけど他の四人は臨時のパーティメンバーであり、しかもクラスメイトである。つまり今後もお付き合いせざるを得ない他人という絶妙にきちんとしないといけない距離感。どう考えてもちゃんとどう利益を分配するかを事前に相談しておかないとまずい。揉め事の元にしかならん。

 

 なお、俺がこの場の人間を皆殺しなんて選択肢は当然ない。正直、学園生なら平気でやる奴はいるだろう。が、少なくても俺はやらん。誰を誤魔化せても自分自身は誤魔化せないし、単に利益のために仲間を殺すその手の行為は人を殺すことで自分の魂を殺すので絶対にNGである。

 

 信用はマジで何物よりも重いのだ。

 

 なのでなにをどう提案するかひとしきり考えた後、みんなに切り出した。

 

「え〜と、みんな聞いてくれ。この『|宝箱《ジャックポット』を開けて出たものに関してなにが出ようが一旦俺が買い取ります。で、その価値に応じてみんなに均等に銭で支払います。基本は外で鑑定してもらってその値段で頭割り。問題は『|宝箱《ジャックポット』がSRランクの宝箱ってこと。なので【スキルオーブ】が出る可能性があります。知らない人もいるかもしれないので説明するとこの【スキルオーブ】はダンジョンから持ち帰れません。なのでもし出た場合その場で使う必要があります。なのでその場合も俺がこの場で妥当だと思う値段をつけて買い取る形で行きます。支払いに関しては基本銭払い、各自の希望などがあれば俺が持っている装備やアイテムなどとの交換も受け付けます。このルールでいいかな?」

 

 俺のその宣言に全員が頷いてくれた。正直助かる。俺はそのまま宝箱を開けるべく腰に下げているポーチからピッキングツールを取り出した。実はこの【宝箱(ジャックポッド)】、【盗賊(シーフ)】以外でも開けられないわけじゃないんだよねぇ。入学以来、あれだけダンジョンに潜っていた俺だもの、そりゃあ既に宝箱の五個や十個は開けてますとも。それに別にSRの【宝箱】も初めてじゃない。その証拠に先ほど【徘徊する怪物(ワンダリングモンスター)】と戦った時に使った【ブーストダッシュ】も本来はSR戦士系第三段階職【機械騎士(マシンナイト)】のスキルである。

 

 というわけで本来なら【盗賊(シーフ)】系の【女山賊(レディバンディット)】であるエリカに任せるべきなのかもしれないが、まだなって初めてのダンジョンダイブで必要な訓練も経験もない状態なら、入学前からこういうことを想定して事前に入念かつ十分な鍵開けの訓練を積み、さらに既に【宝箱(ジャックポッド)】を何度も開けた実績のある俺がやったほうがいいという判断だ。

 

 というわけで早速鍵開け開始。場に特有のピーンと張り詰めた空気が流れる。誰かの喉がゴクリという音をたてるのが聞こえた。そしてあやかの「五分、経過しました」という声とほぼ同時に「よし、開いた」という俺の呟きでみんなが歓声を上げて喜んだ。

 

 幸い、鍵の難度も大したことなく罠も無事解除できた、はずだ。それでも本職じゃない俺では解除しきれなかった罠の危険性も考え、万が一のために全員に少し離れてもらってから俺は慎重に宝箱を開いたその中にはーー。

 

「うあ、マジか」

 

 思わず声が出た。がっかりしたから? 違う、驚きと興奮でである。

 

「なになに? 何が出たん? ダーリン見せて。何これ? ピンポン玉? それともでっかいビー玉? 箱の派手さの割に中身しょぼくね?」

 

 俺の肩越しに覗き込んできたエリカが言うように中身はピンポン玉サイズの一つの宝珠がポツンと一個。だがしょぼくなんてない。何ならワンチャン大当たりまである。

 

 なぜならこれこそが【スキルオーブ】。使った人間にその【スキルオーブ】に秘められたスキルを与える超特殊アイテムだからだ。これにより例えば【戦士(ファイター)】が【盗賊(シーフ)】系のスキルを覚えることも、【文官(オフィサー)】系のスキルを覚えることもできてしまう。ただこの有用極まる【スキルオーブ】の問題点は、先ほどみんなにも軽くいった通りダンジョンから持ち出そうとしても持ち出した瞬間に雲散霧消してしまうため持ち帰りができないのだ。そのため、こればかりはどれほどの資産があってもダンジョン内で運よく宝箱から手に入れるしかない。

 

 つまり時価決定である。

 

 入手できるスキルに弱いスキルは存在しないが、この場にいる人間にとって不必要なスキルは存在する。例えば、もし全員の【戦士(ファイター)】パーティの時に、【戦士(ファイター)】の基本スキルである【強打(バッシュ)】のスキルオーブはゴミ扱いだろうけれど、もしそれが出たのが全員【盗賊】のパーティなら、そのスキルオーブをめぐって血みどろの殺し合いになってもおかしくないわけで。そういう意味で時価決定というわけだ。

 

「これが【スキルオーブ】……」

「教科書のイラストでしか見たことないのに……」

「ちょっと! 私も見たい! ちゃんと見せなさいよ!」

「ん? よく見たら中になんかマークあんね。靴……、んにゃ足かな?」

 

 宝箱の中から摘んで取り出し俺が掌の上に乗せるとみんなが興味深そうに近づいてきて俺の手の上にある【スキルオーブ】を見てくる。この時期の普通の新入生が【スキルオーブ】にお目にかかる確率なんて宝くじの一等と変わらんレベルだし、当然俺以外のメンツは初めて見ることだろうからみんな興味津々。エリカが言ったようにその中心部に靴を意匠化した紋様が中心に入っていたことからこの【スキルオーブ】に封じ込められたスキルが【盗賊】系のしかも攻撃系以外のスキルのそれだと俺にはわかった。なお、【盗賊】系の攻撃スキルの場合はオーブの中の紋様が短剣の意匠となる。

 

 つまり最低でも【盗賊(シーフ)】の瞬間的な移動速度上昇スキルである【俊足(ファスト)】や空中機動を可能にする【空歩(ステップ)】から、上振れなら盗賊系第三弾階以上の各職の代表スキルである【幻惑歩法(ミラージュステップ)】や【影渡り(シャドーダイブ)】まで望める可能性がある。

 

 だから正直、この時点でけっこう期待度が高まった。心臓バクバクする。ていうかダンジョンで目当てのアイテムかもしれないものを目の前にするこのドキドキは前世だろうが今世だろうがゲームだろうがリアルだろうが変わらない。

 

 なお俺の本命はアレである。原作でも度々登場する主人公の相棒の代表的なスキルであるアレだ。アレが出たらマジで今の悩みの大半が解決する。

 

 なんて物欲センサーに引っかかりそうなことを考えながら無意識に下で唇を舐めたことに俺は気づいた。「ダンジョンで見つける宝箱ってやつにはよぉ、魔法がかかってんだよ。人の心を狂わせる魔法がよう」と前世でハクスラゲー三昧だった俺の魂が叫ぶ。

 

 やばい、クッソ楽しい。

 

 だがしかしここに大きな壁。

 

 この【スキルオーブ】。見た目だけではどんなスキルが封じ込められているかまでは判別できない。なんのスキルが覚えられるかはオーブを使って見るまでわからないのだ。せいぜい魔眼系とか戦士系とかオーブの中に宿る模様でおおよその系統が判断できる程度であり、詳細になんのスキルが得られるかは【職人(クラフター)】系クラス【鑑定士(オーセンディケーター)】の鑑定スキルがないとわからない。だからパーティに【鑑定士(オーセンディケーター)】がいない場合、自分の幸運を信じてスキルオーブを使うしかないわけだ。

 

 普通ならな。

 

 普通ではない俺はいそいそとピッキングツールをポーチにしまい、代わりに取り出したのが巻き貝のような形をした金でできた拡大鏡。これこそ【幸運のお守り】と同じく実家からの支援で入学時に持ち込むことができた【主席鑑定士(チーフオーセンディケーター)のモノクル】。

 

 その力は【鑑定士(オーセンディケーター)】のスキル、【上級物品鑑定(ハイアプレイザル)】であり、もう少しゲーム的表現でわかりやすくいうとクラスチェンジすぐの【鑑定士(オーセンディケーター)】と同等である【上級物品鑑定(ハイアプレイザル)】レベル1相当の性能である。

 

 つまりこれがあれば一か八か幸運だよりで使って確認しなくても、【鑑定士(オーセンディケーター)】がパーティにいなくても、【スキルオーブ】に秘められたスキルがなんなのかがわかるってわけである。

 

 持つべきものはぶっとい実家だよなぁ。この地獄に送り込んだのもぶっとい実家だけどなぁ。

 

 それはさておき。俺は震える左手の二本の指で【スキルオーブ】をつまみ上げ、胸の高鳴りを抑えながら右手で【主席鑑定士(チーフオーセンディケーター)のモノクル】を目に近づけ、その秘められたスキルの内容を確認して…………あは。

 

「あははははははははははは!!!」

 

「達郎さま!?」

「ダーリン!?」

「ちょっとあんた!」

 

 急に大声で狂ったように笑い出した俺にみんなが騒然となるが、そんなこと知ったこっちゃありませんな! まじか! ここでコレを引くのか! 引き強すぎんか! 俺! 

 

 マジでコレ一つで今の問題点全部解決するわ! 何なら今週一週間分丸々潰れてもお釣りが来るぞコレ! やばい、笑いが止まらねぇ! こんなの引いたら仕方ねぇ! 誰かにコレの権利を渡す? マジでありえねぇ。ならやる事は一個だよなぁ。簡単な話だ。

 

 全部現金(カネ)で解決するんだよ。

 

 ひとしきり笑い終えた後、心配げに俺を見つめる全員に向かって俺はこれ以上なく上機嫌に宣言した。

 

「えーと、みんな。ごめん、この【スキルオーブ】は俺がもらうわ。代わりに……、そうだな。とりあえず最低一人500万払います。あとは応相談でヨロシク!」

 

 最高にご機嫌なままの俺からの突然の大金払います宣言に唖然とするみんなを尻目に俺は【スキルオーブ】を握りしめてとっととその力を自分のものとしたのだった。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 口の中から鼻に抜ける香り高いコーヒーの匂いで一息ついたところでコーヒーを飲み終えた俺自身も休憩終了。席を見ると既にほとんどの人間が席へと戻っていたし、それ以外も講堂内に留まっているようなので講義を再開することとした。

 

 なおやっぱり休憩始まってすぐに喰ってかかってきた【術士(マギ)】とおまけ(二人とも【術士(マギ)】かと思ってたら片方はまさかの転職前のただの【初心者(ノービス)】だった)が色々と言ってきたがそれに対する反論に「【術士(マギ)】はほぼ唯一遠距離攻撃が可能な上に火力がバカ高い。でもその反面継戦能力が低いので、それを生かすためのパーティ編成を考える必要がある。んだけど、そんなのはこの時期の一年生にはかなりハードルが高い。だから正直面倒なので俺自身のパーティメンバーに現状【術士(マギ)】は積極的には欲しいと思わない。もっというと俺のダンジョンでの稼ぎのスタイルは、積極かつ継続的に大量の雑魚狩りをするのがメインだから瞬間火力よりも継戦火力重視。なので余計に単純な火力自慢は論外なんだよね。あと俺、ただ単純に武器振ってるだけでも今の君の全力よりも10倍は火力出せると思うよ?」と言ったら口をパクパクしていたが何も言い返せずにそのままスゴスゴと引き下がって席に戻っていった。

 

「では、講義の後半を始めます。まずは……、えっとなんでしょう、大貴くんと京介くん」

 

 さて続きをはじめますと話し始めると俺の目の前でスッと手が挙がり、誰かと思えば大貴くんと京介くんの二人だった。おや? なんだろうと思ったがどちらとも言わずに俺が手でどうぞと促すと二人でうなづきあった後に代表してなのだろう大貴くんが口を開いた。

 

「あの、さっきのクラス紹介から【職人(クラフター)】についての話が一切でなかったのはどうしてかなって思って……」

 

 大貴くんがそういうと隣で京介くんもうんうんと頷いている。なるほど、一クラスだけ何も言わないと確かに気になるよな。しかも二人はその恩恵を受けているだけに俺自身が【職人(クラフター)】系なのは知ってるからこそそれについて何も言わないのは余計に気になるわな。

 

 ふむ、ならややこしくなるかと思って後に回すつもりでいたけど先に話しちゃうか。その方がわかりやすいかもしれんし。

 

「えーと、今質問をいただいた【職人(クラフター)】の話をしなかったのはなぜかと言われると、【職人(クラフター)】だけは完全に他の基本クラスと別枠なんですよ。なので後でメインの話とまとめて話すつもりでしたが、ここで話してしまいますね。では最初に渡した資料Bの【ドラゴンファンタジーⅢ 3H D-2Dリメイク】の資料をお手元に用意しておいてください。もうすぐ使うので」

 

 そう俺が促すと少しみんながバタバタとして資料を目の前に置いたのがわかった。

 

「さて、【職人(クラフター)】がはっきりいうとあんまり強くありません。力は強いんですがそれでも【戦士(ファイター)】に劣り、スピードは速いどころかむしろ遅いので【盗賊(シーフ)】と比べることもできません。【術士(マギ)】系のような瞬間火力を出すのはかなり難しいですし、【文官(オフィサー)】のようにパーティーに一人は必要とはとても言えませんし、【遊び人(ニート)】のようにダンジョンでこそ生きる各種便利なスキルがあるわけでもありません」

 

 俺がそう言うと講堂内がシーンと静まった。今言ったことは全て事実である。ダンジョンに【職人(クラフター)】を連れて行かないと攻略できないかといえばそんな事は決してない。特に原作にて主人公の一言をきっかけに生まれることとなる【職人(クラフター)】たちに広まる【神匠騎士団(アデプトオーダーズ)】式の【強化外装骨格(アームドゴーレム)】の強化法とその運用方法の確立までは本当に【職人(クラフター)】はダンジョンではお荷物だったといえる。そしてそもそも【神匠騎士団(アデプトオーダーズ)】そのものが結成前の現段階ではその事実は変わらないのだ。

 

 だがそれはダンジョンの攻略に【職人(クラフター)】が必要ないことを意味しない。むしろ逆だ。早々に質の高い【職人(クラフター)】を確保することこそダンジョン攻略の鍵であると言っていい。

 

「今言ったように一見いいところがないようにも見える【職人(クラフター)】クラスですが、まぁその名の通り職人ですからいろんなものが作れるわけです。ではその一端を皆さんにわかりやすくご説明します。まずはこれ」

 

 そう言ってみんなに見えるように取り出したのは、この場にいる人間なら誰でも知っているだろう【新入生お奨め装備セット】のショートソードだ。

 

「皆さんも一度は手に取ったことがあると思います。【新入生お奨め装備セット】のショートソードです。これがこの学園における最低ランクの武器ですので、これを資料Bの武器一覧にある【ヒノキの棒】と同じ攻撃力である【攻撃力2】と仮定して今後の話をしていきますね」

 

 おおよそ全員が俺の言葉に頷いてくれたので話を先に進める。次に俺が取り出したのは剣の形をしただけの金属の棒以下の粗悪品そのものでありゴブリンがドロップする【小鬼剣(こおにけん)】だった。

 

「これが【小鬼剣(こおにけん)】。見たことがある人も手に入れたことがある人もいると思いますが、これは特別な効果も何もない本当に弱い武器で、購買で鑑定するだけ損をすると言われている武器ですね。で、肝心のこれの攻撃力はショートソードよりも弱い【攻撃力1】です。マジでゴミです。……ただしこのままなら」

 

 そう言って次の一振りを取り出す。モノは同じ【小鬼剣(こおにけん)】だが先ほどの一目見ただけで切れないと分かる鉄の塊とは違う金属の輝きが戻ったそれを見てみんながざわめいた。

 

「さっきのものと同じ【小鬼剣(こおにけん)】です。ただし見てもらった通り明らかに別物ですよね? これは私の知り合いの【職人(クラフター)】にお願いして最も基本となるスキルである【整備(メンテナンス)】のスキルをかけてもらったものです。たったそれだけですが、でも見違えたでしょう? でコイツの攻撃力は【攻撃力4】相当となります。それだけで【新入生お奨め装備セット】の武器の倍の攻撃力です。ではさらに次。同じものに【職人(クラフター)】の基本スキルである【加工(プロセス)】できっちり刃が出るように加工した後に【整備(メンテナンス)】したもの。見た目にもほら、随分と剣らしくなったでしょう? 数打ちの鋳造ナイフとかと同じ仕上げ方ではありますが少なくても切れる武器にはなっています。ここまで行くと鑑定結果が変わって名称が【ゴブリンソード】に変わりますが、それはさておきこれの攻撃力は【攻撃力8】。資料にあるように【こんぼう】を通り越して【ブロンズナイフ】相当です」

 

 俺がそう言うと講堂内のざわめきはさらに大きくなる。それに気を良くした俺が次の武器を取り出すと最前列に座っていた刀馬鹿がガタッと立ち上がったので軽く睨みつけて座らせた。

 

「この講義のために無理を言って特別に購買からお借りしてきました。実際に手に取った方もいるかもしれませんね。そう、購買で80万銭で販売されている刀です。正確には打刀でおそらく学園外部で作られた刀だと思いますが出来としてはまぁそこそこと言ったところ。まぁそんなのはどうでもよくて、問題はこれの攻撃力がいくらなのかということです。では先ほど立ちあがろうとしたそこの京介くん。これの攻撃力、いくらだと思います?」

 

「え? え〜と、そりゃちゃんとした刀だから……、攻撃力50くらい?」

 

 その回答に「アホ。ほんま自分見る目ないな。そりゃお前に渡した【磨揉遷革(まじゅうせんかく)】の攻撃力だよ」と内心で虎徹詐欺を代表とした名刀詐欺に引っかかりそうなアホに対する罵詈雑言が喉まできたがそれを飲み込んで答えを返す。

 

「ダンジョンでのドロップがほとんど望めない刀という優位性、特異性はありますが攻撃力自体は【攻撃力10】。【どうのつるぎ】相当です。実際にはモノによって多少の差がありますが、これのレベルが購買部で普通に買える武器の限界だとも言えます。で、これ以上はダンジョンのドロップ品か【宝箱(ジャックポッド)】から出る武器、そして【職人(クラフター)】が制作する武器以外にはありません。次で最後です」

 

 そう言って俺が最後に取り出したのは、元はと言えば先ほどまでのものと変わらない同じ【小鬼剣】だった【ゴブリンソード】。だがコイツは拵えから何から全てが違う。それを見せるために鞘から抜くと明らかに購買の刀よりも『鋭く斬れるというイメージ』を周囲に与えるその刃に、吸い付けられるように全員の目が釘付けになったのが分かった。

 

「コレは今回協力をお願いした【職人(クラフター)】に打ち直したりはせずに、それでいて最大限手を加えてこの武器の攻撃力を限界まで高めたらどうなるかお願いした結果できた【ゴブリンソード】です。ただし魔物の素材を加えるような事はせず、あくまで【職人(クラフター)】のスキルとその方の腕だけで仕上げてもらいました。で、コイツの攻撃力ですが【攻撃力16】。資料の【くさりがま】相当ですね」

 

 俺の言葉に誰も何も言えずにただただ【ゴブリンソード】を見つめ続けるだけになってしまった。そんなみんなにパンと手を合わせることで正気に戻した俺は【ゴブリンソード】を鞘に収めて【職人(クラフター)】に関する話を締めることにした。

 

「というように武器一つでこれです。これに加えて防具、さまざまな特殊効果を持つアクセサリー、ダンジョンの十階層以降の環境に適応するために必要な装備の製造、整備も全部【職人(クラフター)】がいないと無理です。さらにいうと今現在の皆さんでさえダンジョンで使う武器防具には【職人(クラフター)】のメンテナンスが欠かせません。スキル的な意味でもそうじゃない意味でもね。それを怠ればどんなに高い金を出して買った武器も防具もあっという間になまくらに成り下がります」

 

 今度は講堂内で言葉にならない声が響いた。

 

 そりゃそうもなるか、自分達がゴミ同然だと思っていたゴブリンの落とす武器が自分達が今必死になって金策しても買うことのできない購買の武器よりもすごい武器になる可能性があるなんて言われて、それの実物を見せられたらなぁ。、そして大なり小なり過小評価していた【職人(クラフター)】というクラスの必要性も見せつけられたわけだ。

 

 なお、今までずっと言ってきた協力してくれた【職人(クラフター)】云々は全部嘘、ただの方便で実際には全部俺がやりました。大変だったかと言われたらそんなことはない。むしろ縛りプレイみたいで面白かった。だから最後に見せた【ゴブリンソード】の出来には結構満足してる。打ち直さずにほぼ研ぎだけでこのレベルまで行ったのは上出来上出来。

 

 ただ全員驚いた顔をしているのはいいんだけど、なんでその中にあやかとエリカ、そしてひなちゃん先生まで含まれているのかが意味分かんないんですが。

 

 まずあやか、俺がつい昨日までメインで使ってきて今日君のものになった【小鬼薙(こおにな)ぎ】は【はがねのむち】相当の【攻撃力40】だよ? 対ゴブリンならさらに⒈2倍になる特性もついてるよ?

 

 で、エリカ。君の【破壊を撒く女王(レイナ・エスコペタ)】はこんなもの比較にすらならんでしょ? 【覚醒(アギト)】は別として単純な攻撃力だけでもおおよそ【いなずまのけん】と同じ【攻撃力90】だよ? あれ。

 

 最後にひなちゃん先生。仮にもあなた学園卒業生でしょ? どれだけ出来が良くても【ゴブリンソード】は【ゴブリンソード】。そんなにびっくりすることある?

 

 




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小鬼薙ぎの攻撃力を【28】→【40】に変更。

独自設定 武器の攻撃力と職人の腕の相互関係

素材は小鬼武器とします。()内はその時点での攻撃力です。

普通の職人 小鬼武器(1)→整備(3)→加工(5)→仕上げ(7)
蜜柑    小鬼武器(1)→整備(4)→加工(7)→仕上げ(11)
達郎    小鬼武器(1)→整備(4)→加工(8)→仕上げ(16)

なお、打ち直し後仕上げをした場合、普通の職人(10)/蜜柑先輩(14)/達郎打ち(20)です。
このように普通の職人と蜜柑先輩の間には大きな差があり、達郎と蜜柑先輩の腕の差は【加工】だけならあまりありません。それでも最終的に大きな差が出ているのは研ぎの技術差による仕上げの差です。原作後半の蜜柑先輩であればもう少し差は埋まりますが、同一時間軸の二人の差はこのようになっています。また攻撃力(16)まで仕上げたゴブリンソードは限界ギリギリまで研ぎ澄まされているので非常に脆いという欠点もあり、もちろん達郎も実用ベースならもう少し強度優先の仕上げをします。

なお、原作アデプトワーカーズ登場に販売されているゴブリンシリーズについては、全て蜜柑先輩がメインで手がけており打ち直し済で、+1のものは攻撃力(20)程度を30〜50万銭、+2のものは攻撃力(30)程度で60〜80万銭ぐらいで売っているものと思っています。

それに対して購買は攻撃力(8)で30〜50万銭、(9)で50〜70万銭、(10)で80万銭で、ここが店売りの限界です。その為、同人ゲームの原作プレイ時の必勝法は「まず購買で8万使わずに初回ダンジョンダイブを乗り切って少しでも金を貯めて、できればゴブリン装備を一個でも拾ってアデプトワーカーズに行く」でした。

達郎の武器の変遷

4月4日
ファーストダイブ時 プラスチック棒(1)→拾ってその場で研いだ小鬼槍(5)
※帰還前にファーストダイブ生存がバレないように泣く泣く捨てた。
4月5日
初ダンジョンダイブ プラスチック棒(1)→拾ってその場で研いだ小鬼槍(5)
※今度は持ち帰り。
4月6日
ダンジョン二日目  自室で仕上げた小鬼槍→ゴブリンスピア(10)
※スキップクラスチェンジで戦闘鍛治師かつレベル40に。   
4月7日
初工房 ゴブリンスピア(10)→小鬼薙ぎ(40)+脇差【初心】(34)
※ 同日蜜柑先輩と初遭遇。そのまま匠工房にて防具一式を購入。
4月8日以降は今まで変化なし。

これをドラク○3に例えると、

初日 ひのきのぼう→拾ったこんぼうでアリアハン周辺(=第一階層)をスライム(=コボルト)とおおがらす(=ゴブリン)相手に死なないように歩き回った。こんぼうは捨てた。
二日目 ひのきのぼう→拾ったこんぼうでアリアハン周辺(=第一階層)をスライム(=コボルト)とおおがらす(=ゴブリン)相手に死なないように歩き回った。こんぼうは持って帰った。
三日目 拾ったこんぼう→作ったどうのつるぎでアリアハン周辺(=第一階層)でスライム(=コボルト)とおおがらす(=ゴブリン)を相手に無双して、ドラクエレベル10(=レベル20)を超えたら、なぜかいきなりメタルスライムが出たので倒してレベル20(=スキップクラスチェンジで40)になった。
四日目 どうのつるぎ→作ったはがねのむちとはがねのつるぎ装備、その後アッサラーム売りの防具も購入し装備。
五日目以降 アリアハン周辺(=第一階層)からいきなりロマリア周辺(=第四階層)まで移動してそこで敵を倒し続ける生活を始めた。
その後安全マージンを取りながら少しづつカザーブやノアニール周辺に移動しながらひたすらソロでレベル上げとゴールドとドロップアイテム集めを続け、ほぼドラクエレベル30のドラクエレベル29(=レベル59)になったところで第一話。

となります。
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