※この作品はR-18です。

【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】   作:笛吹き用

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第十八話 統計という名の現代の神託が仰るには 3(後) 

 振り向いた先、そこには上目づかいで俺を睨む美少女がいた。しかもただの美少女じゃない。「黒髪ツインテ上目睨み美脚丸出し白パーカーツンツン美少女」という「ニンニクヤサイマシマシアブラカラメ(二郎系の魔法の呪文)」に通じるものがある属性てんこ盛り美少女の美亜子(みあこ)ちゃんがいたのだ。それもちらりと見ただけでもわかる火照ったようなその姿。風呂上がりなのだろうか? 潤んだ瞳、しっとりした黒髪、愛らしい顔もパーカーの裾から下にすらりと伸びる足も火照ったように赤い。

 

 何これ、ちょっと可愛すぎんか? ただでさえ平均をはるかに越えるツンツン美少女が顔真っ赤にしてぶかぶかパーカーで上目遣いとか何コレ? 俺を萌え殺す気か? 思わずまじまじと見つめてしまう。

 

「……なによ、そんなにマジマジ見て。ちょっとなんか言いなさいよ」

「……ごめん、ちょっと見惚れてた」

「なっ! もうバカ! いきなりそんなこと言うなんてあんたホントバカじゃないのッ! ……もうバカ

 

 思わず出ちゃった俺の素直な言葉に美亜子ちゃんは100万点満点の回答を返すもののまたすぐに俯いてしまう。潤んだ瞳、俯く姿、火照る肌、罵倒の後の小声のバカ……。え〜と、俺は別に鈍感系主人公ではないので今の彼女の姿(これ)を見せられてどういう意味なのかわからないつもりはないんだけど、これってそういうことだよね? でも本当に? なんで? 俺今日彼女に嫌われるようなことしかしてないと思うんだけど? 理由がわからん……。

 

 慌てた俺が周囲を見渡すと階段の踊り場で私服姿のあやか、エリカ、ゆみりさんの3人がしゃがんでニコニコしていた。俺が美亜子ちゃんに指を差して、その後自分を差したらエリカが呆れたように頷いた後、人差し指と中指の間から親指を突き出すような卑猥なジェスチャーを返してくる。

 

 そのまま立ち上がった3人が階段を降りてきた。「え? え?」と戸惑うことしかできない俺にまずはあやかが「今晩だけ、今晩だけですよ? 今晩だけ達郎さまを美亜子ちゃんに譲ってあげます」といいながら頬にキス、その後にニコニコ笑顔だけど目が笑ってないエリカが息のかかる至近距離まで近づいたかと思うといきなり俺のいつの間にかおっ勃ってた息子ごと玉をズボン越しにぐっと掴んで「……まさかウチのダーリンともあろう男がこの状況でバックれたりしねーよなぁ? ウンウン、ダーリンのチンコがちゃんと元気でウチも嬉しーよ❤︎」と前半ド迫力重低音、後半ウィスパー甘やかし甘々ボイスで囁きざま通り過ぎ、最後のゆみりさんがいつの間にか美亜子ちゃんを俺の側へと連れてきており、俺の無骨な手と彼女の細くしなやかな手を繋がせた後、まるで本当に美亜子ちゃんのお母さんかと思わせるような母性出まくりの声でこう言われた。

 

「達郎さん。……美亜子ちゃんのことよろしくお願いします。……優しく、してあげてくださいね?」

 

 そのまま3人に背中を押され手を繋いだままいつものあやかたちの部屋へと追いやられた俺たち。

 

 それではごゆっくり〜♪ の三重奏と共に閉まるドア。いったいいつどこから持ってきたのか、昨日までこの部屋には存在しなかった暖色系の間接照明によってやたらムーディな雰囲気のおなじみの部屋の中で、俺は俺の腕の中にすっぽり収まって小さく身じろぎを繰り返す美亜子ちゃんに声をかけた。

 

「あの、さ。美亜子ちゃん。俺でいいの?」

「……うん。今日、私たちをダンジョンに連れてってくれたお礼よ。それにどうせ誰かとしなきゃこの熱いのは(なお)んないんでしょ? ……だから仕方ないの、仕方ないからアンタで我慢してあげる。感謝、しなさいよね? こんなに可愛いアタシと……、エッチなこと、できるんだから

 

 ドキドキしながらようやくこうなっている原因に思い至った。そういえば美亜子ちゃんに午前のダンジョンダイブの最後の方で第二階層のゴブリン一体にトドメを刺させてたわ、と。第二階層のしかも既知内領域外縁部のゴブリンとなれば最大でレベル10。第一階層のゴブリン10匹分に相当する経験値がレベル1だったであろう彼女に一気に流れ込んだことで強制発情状態になってたのか。そして夜まで何もなかった……と。

 

 あやかとの2回目のダンジョンダイブ時と同じじゃねーか! いや、半日以上放置してたからあれよりもっとひどいわ! 馬鹿か俺! 

 

 言い訳するなら今日一緒にダンジョンに入った女の子は全部大貴くんが相手すると思ってたんだよ。だって彼女たちはみんな大貴くんが連れてきたんだし俺にはあやかとエリカがいるからお願いされた通りダンジョンにさえ連れていけば何も問題ないなって。それが大貴くんは千歳さんとずっとラブラブしてたから! そもそも午後の御薗さんとのエッチだって完全に想定外だったんだよ!

 

 そんなことを考えていたら、いつの間にか腕の中の美亜子ちゃんが不安げに俺のことを見つめていた。

 

「……やっぱりアンタも私みたいにうるさくて背もおっぱいも小さい女の子には興味、ない?」

「そんなことないよ、美亜子ちゃんはとっても可愛い」

「ならキスくらいしなさいよ、こういう時の男の子と女の子はキス、するものなんでしょ?」

 

 女の子にこれ以上言わせたらさすがに男がすたる。俺は彼女の細い顎に優しく手を伸ばして少しだけ上に向かせ、それからふれるような優しいキスをして夜は始まった。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 少し眠っただろうか? やや霞む目で時計を見ると針が午前5時を指していた。文字通り俺の体に覆いかぶさるように繋がったままの美亜子ちゃんの長い髪を撫でながら先ほどまでの彼女との逢瀬で起きた出来事に思いを馳せる。いや、マジでびっくりした。あの時、大声で嘘だろと叫ばなかったのはほとんど奇跡だ。何しろ今世においてこんなにテンパったのは学園入学の話聞いた時ぐらいしか覚えがないほどだったんだから。

 

 そりゃやきもち焼きのあやかがなぜか部屋ごと一晩俺を譲るし、エリカが怖い顔で甲斐性なしを自分の男にしたつもりはないって発破かけてくるし、ゆみりさんが母性全開にして優しくしてあげてくださいねって念を押してくるわけだわ。

 

 

 だって美亜子ちゃん、まさか処女だとは思わないじゃん……。

 

 

 自分のことを棚に上げて言うのもなんだけれど、パーカーを脱いだ時、その下に来ていた薄手で可愛らしいキャミソールに俺が手をかけた時、ブラホックに俺が手を伸ばした時、首筋にキスをした時、薄いけど確かな膨らみに触れた時、数え上げるとキリがないがいちいち仕草がぎこちないし初々しかったからまだまだエッチなことに慣れてないのかな? ぐらいには思ったけどさ。強制焦らし状態だったから濡れ濡れの彼女の大事な部分にゆっくり息子を飲み込ませていく途中で何かにあたったんだよ。その時点でえ? って思って一旦仕切り直してから慎重に指を入れてみたらあったのよ。そう、推定処女膜がさ。

 

 その瞬間、彼女が不安にならないように顔にこそ出さなかったが内心汗ダラダラ。ファーストダンジョンダイブですらこんなに精神的に追い詰められてないってくらい追い詰められた。

 

 だって俺、処女の女の子とエッチしたの初めてなんだもん! どうしていいかわからんかったわ!

 

 いやそりゃさ、まだ高校生になったばかりの女の子だしさ、よその場所なら処女だって普通なのかもしれないけど、ここをどこだと思ってんだよ。豊葦原学園だぞ? 女の人権なんてケツ拭く紙以下の価値しかないことに定評のある豊葦原学園だぞ? 普通なら学園入学前に少しでもいいと思う男相手に捨ててくるのが普通だろうし入学時に処女なんてそれだけで希少種、しかももう入学後約1ヶ月経ってるのにどう言うことだよ。さすがにこればっかりは想定の範囲外も範囲外だったわ。

 

 んでここから自画自賛するんだけど、テンパった俺は追い詰められすぎたせいかなぜかここからなんであんなことできたの? ってくらいにここから神ムーヴを連発した。動揺を抑えながら咄嗟に彼女の耳元で「もらうね?」って人生で今まで出したことのない類のイケボで呼びかけた後、小さくコクンと頷いた彼女ができるだけ痛くないように挿入した。

 

 ここで強制発情状態だったのがよかったんだろうか、幸いプツンって感じで処女膜が破れたおかげでほとんど痛がることもなく挿入自体はできたんだけど、ここで再度問題発生。

 

 美亜子ちゃんの膣、本気で狭かった。ただでさえ身長低いからある程度は仕方ないんだろうけど、名器なのかな? 本当にもうギッチギチに締め付けてくんの。で、向こうは処女失ったばかりとはいえ出来上がりきってるからわずかに擦れるだけでものすごい甘い声で喘いでくれるんだよ。当然こっちもギチギチの中を出し入れするからものすんごい気持ちいいし、反応がえぐいくらい敏感な美亜子ちゃんの感じ方も死ぬほど俺好みでやばいくらいだったんだけど、チラッと股の間見たら当然血が出てるわけ。そりゃ頭に氷水ぶっかけられたみたいになるわけよ。おかげでテンションがバグるバグる。だってこんな俺に処女くれた女の子にひどいこととかできないし、俺みたいな男でも精一杯最高の初体験にしなきゃってなるじゃん! 

 

 で、そんな彼女が全身ビクンビクンさせながら感じまくってるのに口ではこんなの大したことない、アンタのおちんちんなんかで感じてなんてないんだから! って完全に喘ぎ声なのに精一杯強がるようなこと言ってくるから、プレイそのものが『クソ雑魚メスガキ煽りを即カウンターアヘらせプレイ(しかも処女)』になっちゃってそれが俺の性癖にドストライクで、思わず暴走してサルになりそうになったけどサルになったりしたらせっかくの彼女の初体験の思い出がぐちゃぐちゃのグチョグチョになっちゃう! 俺は一体どうしたらいいの!? って脳みそどうにかなりそうになりながらいつもと違って暴走しないようになんとか最後まで立派にエスコートを勤め上げましたよ……。

 

 最後の方なんて密着騎乗位でディープキスを交わしながら、「好きじゃないぃぃ❤︎ アンタなんか別に好きじゃないぃぃ❤︎ こんなのでぇぇぇ❤︎ 私は、絶対、堕ちないからッ❤︎」って美亜子ちゃんがその美少女顔をトロントロンにしていうもんだから我慢できずに5回目の中出ししたら彼女が「イくうううううううううううう!!! 堕ちるうぅぅぅぅ!!!」と派手にのけぞってイキ潮吹いてイキ散らかした後、気を失ったのか動かなくなったので急いで抱き寄せたまま横になり、彼女の髪を撫でているうちに俺も意識を失ってしまった。

 

 そんな美亜子ちゃんだが今も無意識のまま俺の体に自分の身体を擦り付けて時折ビクンビクンしている。それでも寝顔を見ると幸せそうな顔はしてくれているから俺自身はやりきった充足感でいっぱいだ。

 

 ただここで疲れが出たんだろう。土曜の昼すぎから徹夜で【磨揉遷革(まじゅうせんかく)刀】を仕上げてそのまま大貴くんたち慣れないメンツとの午前午後合わせて2回のダンジョンダイブ、終わったらそのまま購買行って借金してからの大人買いして、工房移動後新素材である【ゴブリン鋼】を生成して、手見せに一本、美園さんのために一本打って、最後に明日以降のために山ほど純魔玉鋼を用意してからの、処女の美亜子ちゃんとの初体験というスケジュールだったからなぁ。いくらレベルが上がって俺自身半ば超人化しているとはいえ限界はある。

 

 というか安心して気が抜けたのが本音である。さすがに俺みたいなメンタルはいまだにクソ童貞野郎に処女は荷が重かった……。

 

 そうそう、その美亜子ちゃんが処女だったことで不可解な部分はさらに大きくなった。なんでだよ、ありえねぇだろって話。だから多分考えないといけないことがいっぱいまた出てきたと思うんだけど今はそんな余裕微塵もなかった。抱きしめた美亜子ちゃんとの肌と肌の境界がなくなるような温かで幸せな感覚でもうまぶたを開けてられない。お願いだからもう一寝入りさせてくれ……。

 

 そんな行為後特有の気だるさと極度の緊張から解放されたせいか俺はこのまま二度寝をすることなり朝、次に目が覚めた時には美亜子ちゃんはおらず、身体も拭き清められていて、美亜子ちゃんと交代で制服姿で添い寝をしていたらしいニッコリ笑顔のエリカに俺が目覚めたことに気づいた瞬間、ウシシと笑いながら「ダーリン❤︎ おはよ。昨日はお楽しみでしたね❤︎」とこういうときのお決まりの台詞を言われたもんだから恥ずかしくてケラケラと楽しげにからかってくるエリカの声を聞きながら朝からベッドの上で全裸で悶絶した。

 

 その後、シャワーを借りて身支度をしてあやかとエリカと一緒に朝食をたらふくいただき玄関へ向かうとそこには待っていてくれたのだろうお辞儀をしているゆみりさんとのプイと横を向いて俺の方を見ない美亜子ちゃんの姿が。

 

「おはよう、ゆみりさん」

「はい、おはようございます。達郎さん」

「……おはよう、美亜子ちゃん」

……おはよ

 

 そんなあんな情熱的な逢瀬の後とは思えないそっけない挨拶を交わした後、登校すべく歩き出した俺の左の袖口を誰かがちょんとつまんだ。

 

 振り返ろうとすると「こっち見るな、バカ達郎!」というお言葉をいただいたので俺はそのまま前を向いて務めて歩くスピードが速くならないように気をつけながら月曜日の学校へと向かうのだった。

 

 なお一つ後日談がある。

 あの夜彼女が着ていた白いパーカーなんだけど、あれは実家から持ち込んでた俺の私物でした。みゃーこめ、毎度毎度俺を萌え殺す気かつーの!

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

「というわけで、みんなで今後どうするべきか今から考えてください。はい、よーいスタート」

 

 と言って俺は教壇の側に置いてあった椅子に腰掛けてからあやかとエリカに手招きしこちらに呼び寄せた。慌てて立ち上がり俺のところに駆け寄ってくる二人。半ば反射的かつ咄嗟に彼女らを捕まえようとした奴らが数人いたが俺が一睨みすると動きを止めたので二人とも無事に俺のとこまでやってきた。

 

「達郎さま! こんなの駄目ですよ!」

「ダーリン! さすがにまずいって!」

 

 目に涙を浮かべ異口同音に俺を諌めてくる二人の頭を抱きしめて軽く撫で落ち着かせるように耳元で囁く。

 

「大丈夫、大丈夫。こいつらが束になってきたところで俺に傷一つ与えられないから」

「だからそういうことじゃ!」

「ダーリン、違う! そいうことじゃねーの! 今のはヤバいって!」

「大丈夫、大丈夫。わかってるから俺を信じて」

 

 意識して俺が落ち着いた声で言うと信じたのか、それとも何を言ってもダメと諦めたのか言い募るのをやめ、それでも不安なのだろう二人はそのまま俺にきつく抱きついてきた。

 

 その二人の背中を撫でながら思う。二人の言うことは正論だ。こんなことをしてしまえばクラスメイトとの人間関係は完全に破綻。今後の学園生活に支障しかないので完全に悪手なのだがしょーがない。というか今現在の俺の本音を言うと別にそんな人間関係どーでもいい。だって実は俺、話している最中ところかこの講義の開始前から、

 

ずっとブチギレたまんまなんだよね(ニッコリ)

 

 なので着地点はいくつか考えているが、それでも今日の講義が終わった後に逆恨み的に俺に噛みついて反抗してきた奴らは全員潰す覚悟で今俺はここに立っている。

 

 俺がブチギレている理由その1。人数増えすぎ。

 

 俺はこの直前まで完成した新しい武器の慣らしを兼ねてあやかとエリカを連れてダンジョンダイブしてきたので、事前に何が起きたのかについては直接見聞きしてないのだが、当事者だった大貴くんの話だと元々参加が決まっていたメンバーの間で元々の予定だった勉強会の話で少し盛り上がってしまったらしい。とはいえ「何の話するんだろうね〜」とか「楽しみだね〜」ぐらいのものだったらしい。

 

 なのでここまでは普通である。何の問題もない。さすがにそんなことでキレたりしない。

 

 で、元々の計画である勉強会では大貴くん、千歳さん、以前工房での話で名前が上がった雄二くんと浩二くんとそれぞれのお相手合わせて6人と、あとは俺と日曜にダンジョンダイブをしたゆみりさんたち5人を合わせた最大11人を想定していたので当然ひなちゃん先生の許可さえあれば放課後の教室で足りる話だった。

 

 それをぶっ壊したのがその場に居合わせたアホの京介くんである。クラスメイトだからその場にいて当然といえば当然なのだが、エリカ曰く、その話を横から聞いた京介くんは途端に目を輝かせて大貴くんに詰め寄り無理矢理勉強会への参加を認めさせたらしい。そしてその場で俺が月曜に奴に()()()()()【磨揉遷革】の素晴らしい切れ味を延々とクラスメイトに自慢し始めたそうだ。するとそれを聞いたクラスメイトたちが集まってきて大貴くんたちが止める間も無く話がデカくなっていき、無関係だったクラスメイトもなら俺も私もとどんどん参加者が増えていきやがてクラスメイト全員参加となってしまったそうだ。

 

 この時点でも頭が痛いのにさらに間の悪いことに、この話を京介くんの現パーティメンバーでこの日に元々ダンジョンダイブ予定で京介くんに合流するべくやってきた両隣のクラスの顔役である梅吉くんと大助くんにも聞かれてしまい、それなら俺たちも参加したいと言い出し、根っからの善性の人でありそういう人にありがちなタイプで案の定押しに弱かった大貴くんにそれが断れるわけもなくさらに話が大きくなり、さらに俺たちのクラスで大騒ぎしているので両隣のクラスから様子を見にさらに人がやってきて収拾がつかなくなり、最終的に参加希望人数が60人を超え、当然俺たちの教室ではスペースが足りないということでひなちゃん先生に話を持ち込んだことが今の状況を作り出した。

 

 その話をダンジョンから戻ってきて本来待ち合わせ場所だった教室で聞いた俺は、勝手に話を進めてしまったことを誠心誠意頭を下げて謝罪する大貴くんを貼り付けた笑顔で許した後、その笑顔を一瞬でしまって大貴くんの背後で刀を抱えて浮かれ散らかしている京介くんの襟首を片手で掴んでその場で吊し上げた。突然のことに目を白黒させる京介くんの目を睨みつけながら「お”いこらお前、いちびって(調子に乗って)二度と勝手なことすなよ? 刀取り上げんぞ、ゴラァ。あとわかってんねんろうな、ちゃんと約束守れよ? お”ぉ”?」と脅しをかけたら宙吊りのまま青い顔でブンブン頷いてた。その時にこいつ、あの三平くん(鳥頭)と大差ないなと思ったことは甚だ余談である。

 

 大きくため息をついた俺はその後、突貫でみんなに手伝ってもらい元々勉強会用に用意していた資料を人数分コピーしてなぜか当然のようにビデオを回す気で配置についていたひなちゃん先生に文句を言うついでに交渉しとあるものを用意してもらった上で取引し講義開始となったのだ。

 

 あのさぁ、11人でもう「わ〜、嫌だなぁ〜。話したことない人が雄二くんと浩二くんとそれぞれのペア合わせて4人もいて緊張するな〜」ってなってた俺に60人ドーン! ってこの仕打ち。お前ら、俺が約1ヶ月クラスでぼっちやってたのわかってるよなぁ? 新手のイジメか? おい。

 

 俺がキレてる理由二つ目。計画の修正不可避。

 

 元々の計画は『いかに早くクラスメイト全員を第一段階職にクラスチェンジさせるか?』で裏テーマが『俺自身がGW中にフリーハンドで動けること』だった。そのために月曜(四月二十五日)の朝に大貴くんたちに提案したやり方はこうだ。

 

 まず日曜に大貴くんと千歳さんのペアをクラスチェンジさせたのでこのペアを先導役として彼らに人数分の装備を貸し出し、まずは雄二くんと浩二くんとそのそれぞれのお相手の6人でダンジョンダイブをしてもらう。まずは月曜日に第一階層へ、その後火曜日に第二階層へと移動してパワーレベリングをしてもらい雄二くんたちにもそれぞれクラスチェンジしてもらう。うまくいけば4人全員が、そうでなくても雄二くんと浩二くんはクラスチェンジできるはず。

 

 仮にこの時点クラスチェンジ者が6人になるとしよう。そうしたらあとは簡単だ。既にクラスチェンジした大貴くん、雄二くん、浩二くんのリーダー3人がそれぞれのペアと組んで分かれてもらい、同じようにクラスメイトたちをパワーレベリングしクラスチェンジさせていくだけ。単純計算になるがもし二日に4人クラスチェンジできるなら、GW初日の土曜までにはクラスチェンジ達成者は18人となる。つまり9ペアできてる計算である。ならあとは簡単だ。残りのクラスメイトもGW中に同じようにクラスチェンジすればいい。そうすれば俺はGW中ほぼフリーハンドで動くことができ、大貴くんからの依頼も達成できる。

 

 でここで事態の整理のために予定を含めてであるが、五月突入時点での自力でダンジョンに行ける人数をここでカウントしてみる。

 

 まず日曜時点でクラスチェンジ済みの人間。俺、あやか、エリカの3人。次に京介くんのペアとそのお付きの三平くん、そしてこの前のダンジョンダイブで【女優(アクトレス)】へとクラスチェンジした美園さんの合わせて7人。本来は大貴くんたちもそうだがわかりやすさのために次のグループへと入れる。

 

 で、さっき説明した予定込みの上の18人。あくまで予定ではあるがここまでの25人は確定とする。さらに日曜にダンジョンダイブしたゆみりさんたちから美園さんを除いた4人くらいなら俺が面倒見たらいいと考えればダンジョンに行ける人間はこの時点で30人になり、残りは10人。

 

 その取りこぼした10人のクラスメイトに対しては、刀の貸し出しを餌に『今週2回以上、一週間で一度もダンジョンダイブに行けていないクラスメイトを連れてダンジョン第一階層に行って無事連れ帰ってこい。じゃなきゃ刀を取り上げる』という約束を京介くんに飲ませたので5人×週2回で10人。だからこれでピッタリ40人。これで今週を乗り切ってGWに突入さえすれば、残り10人分のクラスチェンジなんて正直どうにでもなるからミッションコンプリート!

 

 なんて完璧な計画なんだ! 我ながらなんて完璧なチャート! そう俺は考えていた。

 

考えていたのだ(怒)!!

 

 それが一気に60人以上に話をすることになり俺が当初考えていた通りの方法で今週中にベースとなるペアを増やす計画は事実上不可能になった。なぜならまずこの時点で俺たちが水面下で進めるつもりだった先ほどの計画、もしくは既に大貴くんたちが最大6人クラスチェンジ済みだと全員にバレてると考えられるために、今週末の大貴くんたちとのダンジョンダイブの枠を奪い合う地獄がほぼ確定している。バレていると判断できる理由は、結構俺が厳しいことを言ってるのにこの講堂から出ていくやつが今までいなかったことから彼ら彼女らの多くはこの講義の参加イコールダンジョンダイブの参加券の最低条件と捉えているのではないかと俺は考えている。当然そんなものはないのだが。

 

 一つ言えることは現状既にかなりまずい状況だということ。この時期の自力でダンジョンダイブできないもしくはダンジョンから生きて帰ってこれない勢にとって俺たちの今回の計画はまさに蜘蛛の糸になりうる話だ。だからこそ自分こそが我先になるのは必然的。さらに当然他クラスから参加してる残りの20人もその事実を知った以上、クラスメイトなんて関係ない、自分達こそとあの手この手を使って大貴くんたちに要求してくるだろう。椅子取りゲームの開始だ。結果人間関係なんてものは完全に破壊される。

 

 解決策はある。まずは時短のために最初から今できる最大の規模で計画を行う方向に発想を切り替える必要がある。このあと聞き取り(吐かせて)をして大貴くんたちのように既にクラスチェンジしているだろうメンバーを把握して元の計画以上に大規模にやるしかない。そうすればスピードは劇的に上がるからな。問題はそれでも出ることになる待たされる人間の忍耐力である。トリアージの現場ほど生死の境という話ではないが差し迫った命の危険のある状況、危機感の強い奴ほど目の前に突然ぶら下げられた最速での天国行きのチケットを我慢できるとは思えない。おかげで当初考えていたように既に今週一週間を使って下準備なんてことを悠長にやっている場合ではなくなった。そして待てないものを待たせるために、俺自身が絶対的強者兼悪役になってでもある程度の強権を発動して今後のスケジュール管理をしないと最悪の場合、この場にいる人間で殺し合いに近いことが起きかねない。

 

 だからある程度俺が嫌われようがどうしようが力による強権を発動して、まぁ言わば順番整理をしないといけなくなったのだ。つまり、今の高圧的な態度もこれのためのフリである。

 

 さて、今までたびたび話してきた俺が嫌いなものを思い出してほしい。

 ひとつめ、高圧的な態度で他人に何かを強制する奴。ふたつめ、チャートが無茶苦茶になる(ガバる)こと。

 

 今の俺がやってることで、俺の今の状態ですねぇ?

 

これ、キレてよくない(ニッコリ)? いいよねぇ?

 

 で第三に……、個人的かつこれが最大の理由だけどよ……。お前ら悪いけどさぁ……、今は水曜の夜だろ? でさ、俺さ、日曜から日付跨いで月曜の深夜、美亜子ちゃんとのエッチの後に少し眠っただけでそのあとず〜〜〜〜と工房籠もってたからよぉ……。一睡もしてねぇんだわ! 

 

せやからなぁ! 今、俺めっちゃ眠いねん!!!

 

 眠い時ってさ、めっちゃくちゃ気が短くならへん? 俺はなるんだよなぁ。そんなことをつらつら考えていると講堂内では何組かのグループに分かれてようやく議論が始まったようだ。さてはて、どんな結論が飛び出すやら。

 

 現段階で俺の想定している着地点その1。相談の上出た彼らの答えが『一致団結して俺を袋叩きにする』の場合、それに参加したやつは全員叩きのめして上下関係を叩き込んだ上で今後完全に無視する。俺は無理矢理な他人の意思をどうこうしようとするやつがとにかく嫌いやねん。さらにその後全員を今現在の俺の全力の威圧によって分からせた後、参加しなかった奴らをかなり強引に物事を進めることになるが、全員クラスチェンジさせてあとは俺は知らんとそいつら自身にぶん投げる。

 

 想定している着地点その2。俺が統計に隠した本当の答えに辿り着いて本当の意味で俺、いや大貴くんの話を聞く準備ができる。つまりは大貴くんの希望である『クラスメイトぐらいはみんな笑っていてほしい』という状態を叶えるための話を聞く準備ができるようになることである。こうなれば大貴くんの希望が叶って大貴くんはハッピー。俺も大貴くんの目標が達成できてハッピー。クラスメイトたちも学園での真の勝ち組ルートに乗れてハッピーの三方皆ハッピーなんだよ。

 

 というか大貴くんの願いであり学園的に一番馬鹿げた考えた方とさえ呼ばれる『クラスのみんなで仲良く!』このお花畑理論だが実はこれこそが正解なのだ。この考えを別の言い方に言い換えるとこうなる。

 

 『1クラス40人でちょうど1クラスの人数と同じである定員40人のSランク倶楽部を擬似的に作り入学初期の段階から相互互助的な組織運営で協力してやっていくやり方』と。

 

 結局のところ学園を卒業できる10%の内訳ってのは要するに大多数がSランク倶楽部所属の連中の事である。ならそれを真似すればいい。つまり『1クラス40人で擬似的なSランク倶楽部を作り入学初期の段階から相互互助的な組織運営で協力してやっていくやり方』って言うのは現行の学園での成功例ですらあるのだ。これほど説得力のある説明もないだろう。

 

 だからこそ誰か一人でいいのでこの事実に気づいてほしい。教えられてではダメだ。俺が組織運営までしなくてはいけなくなり負担が大きくなりすぎるし、悪い意味で俺自身が強すぎるために俺の独裁になってしまって碌なことにならないのが目に見えてる。なので誰か戦略面と実務面で大貴くんを支えられる頭のキレるやつを見つけて組織運営に関してはそいつに全てぶん投げたいのだ。俺はたまにサポートするお助け役程度におさまりたいのだ。割と切実に。

 

 そのためのヒントはもう十分に出してる。

 

 まず大前提として俺がこの場のお前らに「この先お前らこうなるよってザマァ」ってただ言うだけのためにわざわざ講堂まで借りてこんなことする意味がどこにある? もし仮にクラスメイトなんて嫌いだからあやかとエリカ以外全員死んでくれねーかなとか俺が思っていたとしても、その場合は今日この場は適当にお茶を濁してこんな踏み込んだ話をせず黙って全員仲良くドツボにハマっていくのを眺めていればいいだけだ。 

 

 俺にお前らをいじめて俺になんのメリットがある? そんなことしてもクラス内で孤立するだけでデメリットしかない。しかもボッチになるのが俺一人ならともかくあやかとエリカもいるんだぞ? 

 

 次に今の説明の前にちゃんと理解しやすいようあんなに時間を使って丁寧に丁寧に第一段階職におけるクラスの特性とパーティ編成の基礎の話をした意味を考えてくれ。

 

 あれは今の時期の新入生にとっては絶対必須の神情報、神思考方法だったと思わなかったか? なんたって前世のこの学園をモチーフにした同人ゲームの攻略wikiの情報そのまんま。それはつまりそっくりそのまま俺たちがこの学園で生き抜くための攻略方法とイコールだ。

 

 で、それを踏まえて改めて黒板を見てみろよ。【理想的第一段階クラスチェンジ分布】と【実際の学園における一年後クラスチェンジ分布】の統計の数字には明らかな隔たりがあるのに気づかないか? 特にあえて何も言及していない男女別の方をな。

 

【理想的第一段階クラスチェンジ分布:男子】

【戦士】30%【盗賊】12%【術士】3%【文官】15%【職人】15%【遊び人】 25%

【実際の学園における一年後クラスチェンジ分布:男子】

【戦士】35%【盗賊】20%【術士】3%【文官】 8%【職人】4%【遊び人】30%

 

 男子は明らかに【文官(オフィサー)】と【職人(クラフター)】の割合が減少して、【戦士(ファイター)】と【盗賊(シーフ)】あと【遊び人(ニート)】の割合が増えてるだろ? これは学園の常識的にハズレ職扱いされている【文官(オフィサー)】と【職人(クラフター)】になった男子が生き残るために【戦士(ファイター)】と【盗賊(シーフ)】になろうと再度クラスチェンジに挑戦したものの数字が反映されたため、そして上手くいかずに【遊び人(ニート)】にクラスチェンジしたものがそこで【文官(オフィサー)】と【職人(クラフター)】よりはと諦めた結果だと読み取れるはずだ。

 

【理想的第一段階クラスチェンジ分布:女子】

15% 18% 7% 15% 15%  30%

【実際の学園における一年後クラスチェンジ分布:女子】

11% 14% 5% 11% 9% 50%

 

 で、問題の女子なんだけどこれは一目瞭然。露骨に【遊び人(ニート)】以外の全ての割合が減ってその分【遊び人(ニート)】の割合が増えているのが一目でわかる。これは上級生も含めたバカな男子どもが自分用の肉便器を取っ替え引っ替えするために女子を肉便器適性の高い【遊び人(ニート)】に変えてしまうからだ。

 

 それによって何が起きるかはさっき説明した。【文官(オフィサー)】が減って理想的なパーティを組める人間が減って結果落ちこぼれが増える。さらに【職人(クラフター)】が減ってまともな装備が供給されなくなりまともなパーティを組めてる奴もそこで行き詰まる。つまりこの学園の普通科の人間は、男子は自主的に、女子は強制的に、という違いこそあれどみんな自分で自分の首を絞めていることに気づくことがこの話のキモになる。

 

 そしてわざわざその結果の行き着く先が約一割の人間しか卒業できない地獄という絶望であること、そこにあえて既に抜けた実力で上澄み確定の俺たちを入れて絶望感を煽ったことの意味に気づいてくれ。

 

 唐突だが、俺は昔前世でこんな話を聞いたことがある。とある神の神託が実現しなかった時にそれを信じる聖職者の言った言葉を聞いたことがある。「神託は正しかった。我々が解釈を誤った」と。統計の話をする時にも似たような言葉を聞いたことがある。「統計の数字は間違わない。ただそれを読み解く人間が間違った」。さて統計と神託、似ていないだろうか? 解釈というものによってどうとでもその答えが変わるところが特に似ていると思わないだろうか?

 

 そして改めてこの絶望的に見える既存の学園の統計の数字を見てほしい。その全ては、言い換えれば「学園の常識通りにやるとお前らもこうなるぞ?」という解釈も成り立つのだということに。

 

 最低4人が落ちぶれるのも、学園の常識通りなら16人落ちぶれるのも、卒業できるのが1クラスから4人なのも既存の学園の常識に従えばこそ。

 

 そんなクソみたいな常識こちらからお断りだと思わないか? 

 

 つまり、俺の狙いは最初から『この学園の常識に従ったらほぼ全員死ぬから別のやり方しないとまずくないか?』という単純な事実に気づいてほしいだけなのだ。 

 

 そんなことを考えていた俺の耳にガタンという大きな音が聞こえた。その音でシンと講堂内が静まりかえる。

 

 若干うつらうつらしていた俺が音の方向に目を向けるとそこには無表情の美亜子ちゃんの姿が。ただし目がやばかった。完全に座っていて目元には涙が。隣のゆみりさんが必死に押しとどめようとするのにも構わずこちらを一度睨みつけた彼女に思わず俺は目線を逸らしたが、結構離れた場所なのにはっきり聞こえた舌打ちをきっかけに席から離れ階段を降りズンズン俺の方へと向かってくる。

 

 無表情のまま、完全に俺の顔をロックオンしたままで目に涙を浮かべてキレ散らかしてやってきているのだ。

 

 目が覚めたね。

 

 それでも精一杯の虚勢で先ほどまでの余裕のある強者のフリで待ち構える俺だったが、背中は既に冷たい汗でびしょびしょ。だって俺の人生において怒り狂った女子相手に勝ったことなんて一度もないし、ましてやそれが舌鋒鋭いキレッキレの罵詈雑言の美亜子ちゃん。

 

 延々とわからない人には訳がわからないだろう第一段階職の話とか、武器の格差の話だけでもだるいのに、最後に色々数字を書き連ねて挙げ句の果てに生き残れるのは後一人とか、結構ひどいこと言ったから誰かにキレられること自体は当然で仕方ないけど、一方美亜子ちゃん相手にここで一方的にやられすぎると俺が持って行きたい方向から話がずれる心配があったので肚に力をグッと入れた。

 

 目の前で仁王立ちする美亜子ちゃん。みんなの視線が彼女と俺に集まる。

 

「アンタ、これ何よ?」

 

 彼女の指の先にあったのは黒板の3/4の部分。ん? なるほど、学園の現実が認められないのかな? と思った俺は改めて彼女に説明する。

 

「1クラスあたりで卒業できる人間の数が4つで、もう3つ、学園の流儀に従えば俺と俺の正式なパートナーであるあやかとエリカで枠がほぼ埋まってますよってことだけど?」 

「そんなことどうでもいいわよ!! そんなのどうでもいい! なんで『3』なのよ!!!

「……え?」

「え? じゃないわよ! ここは最低でも私とゆみりを入れて5』でしょ! それとも何? 私のことはただの遊びだったの!? あんなことしたのに! 好きになっちゃったのに! 私、全部初めてだったのに!」

 

 そう言ってその場にしゃがみ込みわんわん泣き崩れる美亜子ちゃんを慌てて後からやってきたゆみりさんと俺から離れた二人が慰め始めた。そして全員がジト目で俺を見てくる。特にあやかとエリカの目が『だから言ったのに!』って言ってる!

 

 あー、まずいってそう言うことっすか。今、完全に理解しました。

 

 そこでクスリと誰かが笑う声が聞こえた。

 

「忙しそうなところ悪いけど、答え合わせいいかい?」

 




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