【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】 作:笛吹き用
「はい、これ」
週があけて月曜日。四月二十五日の朝、あやか、エリカ、ゆみりさん、美亜子ちゃんとクラスメイトでも屈指の美少女を4人も連れて登校した俺は、教室に入ってすぐお目当てのやつがいたので近付くと俺の姿に怯えた様子を見せるそいつの前に鞘袋ごと【磨揉遷革】刀を差し出した。
呆けた様子で俺と差し出された鞘袋に視線を行ったり来たりする京介くんに俺が「あれ? 刀、いらないの?」というと首をブンブンと横に振る。
まぁ、登校してきた俺の顔見るなり元々青かった顔が青を通り越して白くなってた京介くんの立場からすればこの展開は理解不能か。その程度には物理的にきっちり身体に上下関係叩き込んでやったからなぁ。その後、ようやく手に取っていいんだということが分かってそれでも俺のことを気にするように何度何度もこちらの様子を伺いながらいそいそと鞘袋から刀を取り出した。
中から現れたのはどこにでもある素朴な造りの黒鞘の刀。但し中身は違う。正式に刀鍛冶として修行を開始したのが5歳の頃、そのまま史上最速最年少となる12歳で刀匠資格を取得(新聞に載った)し、そのまま中学入学時にはもう既に刀匠として活動していた俺の刀なのだ。「抜いていい?」という声に俺が頷くとゆっくりと姿を見せた見事な刀身に京介くんの変化は面白いほど顕著なものだった。まずは驚き、次に見惚れ、そのまま陶然とした表情でそのままその刃を見つめ続けて動かなくなってしまった。う〜ん、見事なまでに俺に作刀を依頼してくれた日本刀
ほんと、みんな同じ反応すんのよ。ワンパターンにも程がある。
で、ご満足いただけましたか? と俺が言うと壊れたおもちゃみたいに何度も何度も頷きながら泣きながら感謝を伝えられるのまでがデフォである。なお、その始まりは最初に俺への依頼をしてくれたとある有名な刀剣マニアが「ふん、久遠寺家始まって以来の天才で刀匠資格取得史上最年少の若造がどんだけできるか見てやろうかな? だからお任せで作ってみて?」的な態度だったので、じゃあ手見せを致しますので一番お好きな刀を教えていただけませんか? という俺の問いの答えが童子切安綱だったので安綱の写しを作って手見せ代わりにしたことなんだけど……。その出来があまりに良すぎたらしくその後悪い方向で刀剣マニア界隈に広がった結果、そこからほぼ二年ほどずっと写しばっかり打ってたわ。
ここで同じ流れになると埒が明かないのでパンと手を叩くと正気を取り戻した京介くんが咄嗟に刀を抱き抱えるようにしながら俺の方を見た。別にとらねぇし抜き身だろ単純に危ねぇよ。
「気に入ってくれたみたいだね。さて、俺が今から言う条件を飲むならしばらくその刀貸してあげるけどどうする?」
と聞くとブンブンと今度は頭を縦に振って頷く京介くんに俺は条件を告げる。
ひとつ、人間は斬るな。但し【
ひとつ、今週後半に最低2回、クラスでダンジョンに行けてない子を連れて行くこと。
ひとつ、レンタル中は今後ずっと週に一度はクラスメイトのためのダンジョンダイブすること。
ひとつ、もし気に入ったら正式に譲渡してもいいよ。条件は応相談で。
と言うとポカンとした表情をしていたので「ダメかな?」と聞くと今度はまた首を横に振りながら「喜んでやらせていただきます!」と言ったので俺は次に朝から教室の隅で百合百合しい空間からこちらを伺っていた美園さんたちに近付くと、なんかアンナさんと佐和子さん以外にも数人取り巻きがいて私たちの王子様(♀)に近付くなって感じで威嚇されたが、それを諌めるように王子様(♀)自身がいささか芝居がかった様子で前へと出てきてくれた。
「おはよう、美園さん。昨日はお疲れ様」
「おはよう、達郎さん。昨日はどうもありがとう。もしかして朝からデートのお誘いかな?」
「いや、デートのお誘いじゃなく頑張ってる美園さんへのささやかなプレゼントかな?」
「ん? 昨日のダンジョンでの収入はちゃんと君から等分割でもらったはずだけど……?」
訝しげに俺にそういう彼女に向かって布に包まれた一振りの剣を渡す。受け取った彼女がそれを開くと美園さん本人と周囲が息を飲む音が聞こえた。
現れたのは切っ先の先端から持ち手の端に至るまで全てトリカブトの花のように美しい紫色のレイピア、【
「……これを、私に?」
「うん、まぁ良ければだけど。元になってるのは昨日君たちとダンジョンダイブした時に手に入れたドロップ品だし君に還元するのがいいかなと思って。少なくても今使ってる初心者おすすめ装備のショートソードよりは強いからさ」
俺がそういうと美園さんはさらに俺との距離を詰めて俺の首に手を回してくる。
「……怖いな。昨日あれだけしてもらってさらにこんな凄いものまで……。一体ボクは君に何をどれだけ返せばいいのかな?」
と言ってそのまま昨日と同じように俺の唇を奪おうとしてきたので2回もやられるわけにはいかない俺は咄嗟に顔を横にしてキスを頬へといただいた。
「お代はもう昨日のうちにいただいているし、今受け取りのハンコもいただきました。これで十分だよ、美園さん。じゃあ注意事項伝えるから悪いけどこの後ついてきてね」
「ッ!? ホント君ときたら……、ねぇ! 君ってば絶対女心がわからないって言われたことあるよね!?」
「……黙秘権を行使します」
えぇ、正解です。そんなん日常茶飯事のように言われてたわ。不意に呆れ果てた声で
過去からの刺客の影を振り払い、俺が用のある最後の二人の方に視線を向けると苦笑いを浮かべながら小さくこちらに手を振る大貴くんと目を閉じてうっとりとした様子で彼の肩に頭を預け寄り添う千歳さんの姿があった。一目見ただけでわかるほどお肌ツヤッツヤニッコニコの千歳さんに幸せそうだけど若干げっそりした大貴くんの様子に昨日別れた後も荒ぶる性欲のままお互いを貪るようにヤリたいだけヤッたのだろうなと察せられた。
端的にいうと搾りとられたんだろうな、と。
こちらもヒラヒラと手を振りながら彼らへと近付く。
「おはよう、大貴くん、千歳さん。ちょっとは落ち着いたかな?」
「お、おはよう! 達郎くん! 昨日はありがとう! あと午後はごめんね……」
「いやいや、お気になさらず。ところで昨日はお楽しみだったようで?」
「はう! ……うん、おかげさまで」
「……ごめん、俺も今朝イジられたからつい」
「えっと、なるほど達郎くんも大変? だったね?」
なんてやりとりをした後に本題のお願いをすることにした。
「大貴くん、悪いんだけどさ。これから今日、授業サボってもらえない?」
「え? どういうこと?」
「込み入った話は後でするとして、とりあえず荷物運びに人手が欲しいんだ」と言って俺は日曜にダンジョンに一緒に行ったみんなを連れてそのままHRへとやってきたひなちゃん先生とすれ違いに「ひなちゃんごめんなさい。早退しまーす」と言って早々に教室を後にしたのだった。
なお、教室を出る直前に「なんで私にも声かけないのよ! このバカ!」とこの日一発目の罵倒もいただきました。
○ーーーーーーーーーー○
購買で台車を数台借りてみんなで一緒に元々持っていた素材と30億銭使って手に入れた荷物を工房へと運んだ後、俺はまず【
分身Aは説明担当でまずは大貴くんへと『クラスメイト全員クラスチェンジ計画』のために今週中にお願いしたいことを順を追って説明していく。その間にも分身Bが大貴くん、千歳さん、美園さんにそれぞれに対するクラス説明と実際の戦闘における立ち回り、今後どのようなダンジョンダイブをするのが俺的なおすすめのやり方や、そして目指すことを考えるべき
そうして本体の俺は超高速でこの数日で大貴くんたちに必要そうな人数分の武器防具の用意と整備をまず早々に終わらせ、次に炉に火を入れ純魔玉鋼を溶かして形を細長い板状に変える。そこに以前俺が【
さすがに男の俺が男の大貴くんに指輪渡したらその時点で事案発生だからね。主人公の側にいる腐海の主に餌を供給するような真似を俺はしないのだ。
次にまた次の純魔玉鋼を炉に入れてから、今度は宝石と同じく昨日買った素材の中から第十四階層【
まぁ、二つともゲームではよく見るスキルなので説明は不要かもしれないが、【
この二つの特性を兼ね備えた武器と先ほどのブレスレットさえあれば大貴くんが今後も【
そう思いながら炉の中でどんどん姿を変えていく鋼を鍛えていく。今後も盾を持つなら武器は長柄の武器の方がいいと考え、最初は槍かと思ったがちょっとした思いつきで古代中国の万能武器である
完成した戟は長さ2mほど。横から見ると刃は星形に近い形になっておりそれが薄い黄色から淡い緑へと絶えず色を変え続けるというなんとも幻想的一品に仕上がった。
その姿の儚い美しさに「……なんかこんな花があったな。たしか、
鑑定してみるとこうなった。
王級魔戟【
【
【SPコンバーターⅢ】 時間経過で周囲の
【
ちょっと? 少し? おい、サイ●構文よ。この世界まで俺を追いかけてくるんじゃねーよ。
最後にダンジョン産の真っ黒な黒檀を削り出して千歳さん用の棍(それだけで【
次に美園さんたちというか美園さんには自己判断でソロダイブや他のクラスメイトとのダンジョンダイブをしてもいいと思うが、まずはノートに書いたようにスキップ転職したことで未使用未成熟なままの【
最後にあやかたち4人には今日は寮に帰ってくれとお願いし、さらに今日から俺が戻るまではダンジョンに絶対に行かないように厳命してから帰らせた。まぁひとしきりブーブー文句は言われたがこればっかりは仕方ない。別れ際あやかとエリカにキスをして、プイと横を向いて拗ねてしまったのでなんとなく頭を撫でたら思いっきり足を踏まれた。解せぬ。
そうして全員を送り出した俺は一人になった工房でしばしぼーとした。
長かった……、そう思いながら。
ようやく自分自身の武器が作れる……。
別に人のために何かを作るのが嫌なわけじゃないんだけど、さすがにここからダンジョンの先に進むための武器として【小鬼薙ぎ】では辛すぎたので、気合を入れてダンジョンダイブをするつもりのGW前になんとか完成させておきたい気持ちでいっぱいだったのだ。
というかかなりストレス溜めてたんだよ。レベルも上がって、【刀匠】にクラスチェンジもして、人の武器を作る過程でできることも増えたし、それらのノウハウを全力で振るう機会に飢えていたというか……。
だから30億銭も借金した時点でわかると思うけど、一旦今まで最低限残していた自重、捨てるわ。
全身全霊を込めて最低でも神級武器作ります!
というわけで本気と全力を出すので、その為のルーティンからしないと。まずは手にこれから着替える鍛治用の装束とタオルだけ持って一度外へ出た。そのまま工房脇にあった水場まで行き、並んでいたバケツに片っ端から水を入れこの場に誰もいないことを上半身白T一枚、下半身もパンツ一枚になって水垢離を行った。
水道の水は学園敷地内の地下から引いているのだろう、春先の水とは思えないほど本当に冷たくて、そんな水を何度も何度も被り続ける中で自分の中で集中力が最高に高まっていくのを感じる。
その最中、学園に来てからの1ヶ月に俺が作ってきたものを思い返していった。
クラスチェンジ後初めて打った今までの技術の全てを注いで作った脇差【初心】。
次に素材を思ったように昇華させきれずその出来が半端で我ながら情けないものになってしまった【小鬼鉄】の薙刀【
混沌とし粗雑な瘴気自体を叩くことで純粋な瘴気へと変えそれを玉鋼という物質に閉じ込めることで完成した純魔玉鋼。
その純魔玉鋼を用いて初めて作ったあやかを守ってくれるようにと誠心誠意心を込めたことで守りの概念を得た俺が作った初めての神級武器である短刀【御守】。
そして同じく純魔玉鋼を用いエリカの道を切り開いてくれるようにと願いを込めた王級
刀キチガイ人斬り予備軍のために打った【磨揉遷革】刀を造った時に偶然得た武器の特性を制御する疑似人格を持つ武器に対するアプローチは図らずも今まで俺自身になかった知見をもたらし。
これは俺が作ったものではないが大貴くんたちとのダンジョンダイブで【
その後借金の担保代わりの手見せを兼ねた【ゴブリン鋼】の生成過程で魔物の素材の持つ概念を濃縮する技術も実用レベルで可能になった。
最後に先ほど完成させた
あとは30億銭の借金と引き換えに手にいれたダンジョン産の超高級素材の数々、特に目玉品だった
とはいえなぁ、四月十五日の金曜だっけ? 元々この発想に至ったのって。そもそもが第四階層で戦った
あの時と今ではまだ十日も経っていないのに俺の手に中にあるものが違いすぎる。ついでに需要も違いすぎる。あの時の俺に必要だったのは俺自身のためにとにかく強力な
……そういえば「友情・努力・勝利」でお馴染みの日本一の漫画雑誌の別の作品の中にあったな。氷そのものじゃなく雪だけど。特殊な武器を使った能力者バトルの最終盤で、合体したことにより超パワーアップを果たした主人公がほんの僅か、一回だけラスボス相手に使った武器が。
あれなら限定範囲内とはいえ広域に攻撃でき、この世界のシステムと噛み合いまくった強力すぎるといっていい状態異常能力もあり、その能力自体が手加減要素を持ち、なおかつ買ってきた水と氷を操る水龍の素材も無駄にすることなく生かすことができるのでは?
……ダメだ、どう計算してもあの異常に強力な能力の起動に今の俺では耐えられない。なんてったってあれ使った時の主人公はあの漫画のラスボスと同格の存在だからな。でもあの攻撃の効果の再現自体は可能だと思う。そもそもこの世界には第四段階に至った【
あとは味方を巻き込まないようにフレンドリファイアを防止する能力とそれら全てを管理する擬似人格を用意すれば……ギリギリのギリで今の俺にも造れる……か? いや、造ってやろうじゃねぇか!
大丈夫! なんとかなる! なんとかする!
うおー! やるぞー!
こうして前世の記憶から天啓を得た俺は水垢離を終えそのまま手早く着替えて意気揚々と工房へと戻り、諸々やるべき作法を行い元から結界を完備した工房にそれでも足りぬと入り口にしめ縄をしてさらに厳重な結界を敷き、材料を炉の前に並べた上で準備万端整ったところで全身全霊の力で工房自体に俺の
それから丸二日俺は文字通り必死になって目の前の一振りと死闘を繰り広げた、らしい。
らしいというのは時間感覚が完全にバグったから。ほんの一瞬だったようにも一年以上打ち続けていたようにも感じた不思議な経験だったので、工房を出て外で日付と時間を確認するまで本気でいつかわからんかった。
いつ頃からおかしく感じたのか? と言われれば、水減しを終えて龍の牙が持っていた【氷】と【水】の概念を抽出し【雪】の概念へと変換したものを鋼に封じ込め他あたりまではまだ普通だった。それから折り返し鍛錬とともに段階的に覚醒する機能を付与し、【
いる、とはっきりわかった。
その時完全に世界から隔離された空間であり、俺が完全に掌握していたはずの工房内にいきなりいつの間にか降り立ったその超越存在は俺が用意していた素材の一つである大亀の甲羅に降り立ってそこからそろりとか弱い存在である俺を傷つけぬように静かにこちらを視ていたのだ。探るように何か面白いものを見るようにその二対四つの瞳で。
古来、鍛冶場には神が降りるという。子供の頃から鍛冶場で育ったような俺は今までそう感じる瞬間が何度かあったが今回は桁が違う。確実に何かがそこにいると感じたのだ。
だがそんなことお構いなしに俺は槌を振るい続ける。なぜか降りてきた少なくても俺自身が招いたわけではないこの超越存在に構っていては目の前にある鋼の声を聞き逃す。それは生まれつつあるこの刃を殺す行為だ。一人の鍛治職人としてそれだけはできないと一心不乱に槌を振るう。
次に目に映るその場の景色が変わった。季節は春から初夏へと移り変わる直前、しかもそもそも屋外ではなく極限まで炎と熱によって満たされた工房内にもかかわらずその場が冬の夜空の只中へと変わった。
その中で俺は槌を振るい続けた。
頭上に北斗七星が輝き、俺の周りにはいつの間にか八卦の陣が敷かれていた。その力に導かれるように【雪】の概念はさらに昇華し【冬】の概念へと変わる。炉の火がマイナスの温度で揺らめく炎へと変わり極低温の世界でひたすら俺は作業を続けていった。なぜだか極冷温の炎で溶ける鋼を鍛錬し、造り込みを行い硬い鋼で柔らかい心鉄を包む。変わった景色もいつの間にか俺の手を離れて昇華した【冬】の概念ももはやどうでもいい。鍛治師の本能に導かれるままひたすら冷たい鋼の声に応えて最高の一振りを打ち続け、引き伸ばした鋼を大薙刀に適した形にして焼き入れを行うべく一族秘伝の配合からさらにダンジョン素材も用いてこの一振りだけのために調整した
焼き入れだ。
通常なら鋼の熱によって蒸発し水蒸気が立つはずの焼き入れで逆にどんどん水が凍っていくことにもなぜか俺はそれに驚くこともなく逆にさもありなんと納得して良いところで鋼を水からあげ、いつの間にか刀身も刃の部分も真っ玄になっていた大薙刀の刀身を銘を入れるのは後と見切った俺はそのまま今まで培った研ぎの技術の全てをもって磨いていく。
時間感覚がなくなり、手の感覚もほとんどなくなり、目が霞み、何もわからなくなりそうになっても俺は研ぐのをやめなかった。やがて手が凍傷で腐り落ちたような気がしたが、異常に不可思議なその空間の中なら手の一つや二つくらい魂で作れるだろと思い、実際魂で手を作って研ぎ続けた。
満足するまで研ぎ上げた俺は無くなってしまった手でどうやったものかはわからないがその場にあった素材を混ぜ合わせてその生まれたばかりの玄い刃に真っ赤な柄をつけた。それからほんの一瞬目を切った次の瞬間もう一度見たら柄にいつの間にやら金でできたまるで本当に生きているような龍と亀の頭を持つ彫刻が巻き付いていた。
あー、なるほど。貴方様でしたかと思ったことだけ覚えている。そのまま工房の地面であったはずの場所に倒れ込み空に広がる北斗七星を眺めていたらパァンと弾けて俺が作った大薙刀へと彗星となって飛び込んだいったところで意識が飛んだ。
で、意識を取り戻した時にはそこは元の工房の地面の上だった。そのまま首を傾げて手を見たら普通にあったし動いた。で軋むようにしか動かない体をそれでもなんとか起こして工房内を見渡したら、炉の火は消えあれだけ工房内に満ち溢れていた瘴気はカケラも存在していない。あれだけあった素材も30億銭分全部なくなっていた。どうやらお供えがわりに全部持って行ってしまったらしい。
引き攣るように苦笑した俺が自分の手を改めて見ると手の中には一振りの大薙刀があった。
透き通った玄い刃と刀身、真紅の柄を持つ大薙刀。千段巻にあたる部分には鮮やかな翠で彩色された飾りが施されそこに先ほど現世と
掠れて声なんて全く出なかったが大笑いした。
それからしばらく笑った後に先ほど後回しにした銘を決めないといけないな、と思ったがその必要はなかったらしい。既にあの方自身が自分で銘を決めていたからだ。どれだけ手際がいいのだろうか? おかげでまた小さく俺は笑う羽目になった。
千段巻の翠の飾りの部分に既に北と冬を司り守護する四神の一であるかの神の、道教における名が赫赫と刻まれていたからだ。
それは人である俺が初めて造った
その分類は小説原作には存在しない同人ゲームだけに存在する【
ーー降神刀級大薙刀。銘を【玄天上帝】という。
感想、評価気が向いたらお願いします。
ここから原作ネタバレあります。ご注意を。
独自設定
学園のアイテムの最高ランク周りの話。
アーティファクト誕生の切欠について原作の考察を交えて。
作中でここまで詳しいことを書く余裕はないのでここに代わりに書きます。
秘蹟(レリック)級
本当の意味での「魔法の神器(レリックギア)」と呼ばれ、瘴気を消費してスキルを発動するこれより下位のアイテムとは違い、それ自身が瘴気を発生させるアイテム。「神話殺し」とも言われる。
これがおそらく原作中で説明されている最高位アイテムで、該当するアイテムは二つ登場しており、片方は誠一を主とする剣、もう一つは叶馬の20階層クリア時に手に入れた秘蹟アイテムを蜜柑先輩たちが加工して完成した【切り裂くもの(バフダーラ)】です。
原作内で明らかになっているレリッククラスがバフダーラだけなので判別が難しい部分がありますが、叶馬のクラスが帝釈天(インドラ)でバフダーラで使うスキルが(おそらく)ヴァジュラなので、その能力はインド神話における投擲による帝釈天の金剛杵の再現でしょう。つまり神の力の(部分的)顕現がレリッククラスの特徴だと考えられます。
固有武装(オリジンギア)級
宿業(カルマ)が具現化したアンノウン物質100%のマジックアイテム、と原作にあるオリジンギアですが、実際のところよくわかりません。
わかるのは、
1 異常に高性能な事。
2 ダンジョン内、およびレイドクエスト内で生成される(らしい)こと。
3 自由意思を持って持ち主を自分で選ぶこと(がある)。
4 カルマとはおそらく特定の概念(例 強欲、食欲、嫉妬)であること。
5 神器ではなく、人器であること。人が神に抗うための武器(?)であること。
6 神をも殺しうること。
私の個人的な解釈では概念という観念的な器を満たすことで瘴気が物質として形を成したもので、それに意思があるアイテムのことをオリジンギアと呼ぶのだと思います。
で、本題のアーティファクトのお話。
人造遺物と名付けたアーティファクトですが、ざっくりいうと人造のオリジンギアです。
なのでオリジンギアの特徴と共通点が多いです。
1 異常に高性能なこと。
2 超一流の職人が最高のダンジョン素材を触媒に製造すること。
3 自我と意思を持つこと。
4 作成時の概念にそれにまつわる神が降り立つことで完成すること。
今回は【雪】属性の武器を作ろうとして、それにまつわる【冬】を司る玄武が降りれる状況になったので属性が【冬】に昇華し、完成した形です。
メインの触媒は、純魔玉鋼(仮名)と水と氷の龍の牙と大亀の甲羅、そして達郎自身の技術でした。
5 人器ではなく、神器であること。神の力の一端の再現といえばわかりやすいかもしれません。
6 神をも殺しうること。
今回の【玄天上帝】でいえば、真っ黒な大薙刀の形をした【冬】そのものです。
で、なんでこんなものを作ったのか? ですが、まずは単純にチート武器を作りたかったからです。
次に、これぐらいのものが作れない世界観だとあの世界詰むんじゃないかなと思ったからです。
原作内で真価を発揮することなく終わった水龍神刀あたりの情報がはっきりしていればもう少し神級装備の位置付けがわかったんですがこればかりは仕方ありません。
で、連載後半にかけてバカバカ出てくるやべーアイテムの数々を考えるとこのくらいは人類最高峰の職人が作る装備カテゴリーとしてセーフだと判断しました。じゃないと絶対既に滅んでるだろと思うんですよね、人類。
物語の中盤以降の各章ボスの基本カテゴリーはほとんど神(イシュタル・八岐大蛇・ヘラクレス/メルポメネ)で、ダンジョンから算出される封印級装備という形で複数存在する神器と呼ばれるもの、どうやらイリーガルクラスの分だけありそうな人器と呼ばれるオリジンギア、そして最強のレリックギアであるバフダーラを持ってしてもルールによって破壊できない(らしい)応天門、などあまりにもチート装備とその先に確かに存在する第六段階職の脅威たるや……。
というわけで長くなりましたが、チートすぎる武器を出した言い訳を終わります。
原作のように時系列を追う形では間も無く一区切りになるこの作品ですがもう少しだけお付き合いいただければ幸いです。