※この作品はR-18です。

【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】   作:笛吹き用

26 / 39
外伝1 俺は普通のクラスメイト5

 

 6月25日(土)。

 

「《さぁ(【引き付け強化Ⅱ】)》《来いやぁ(【挑発】)オーク(ブタ)ども! ふん、そい、慎之助ぇ! 二匹抜けた! 頼む! それはそうとお前らなんて嫌いだ!」

「オーライ! 《ふっ(【二連斬り】)》! よし、仕留めた! てかいい加減機嫌直せよ、一平!」

「《おりゃああ(【盾弾き】)》!! ふーん、やだね! みんなして俺をハメたこと絶対許さないからな! 《せい(【強打】)》! よし、一匹仕留めた! 残り11! 蓮、まだかよ!」

「うるせぇ一平! お前、戦うか拗ねるかどっちかにしろ! そして待たせたなぁ! 全員衝撃に備えろよ! 《魔力衝撃波(マジックブラスト)》!! どうだ? 修斗!」

「敵オークソルジャー集団、残存5だが全員瀕死! 慎之助! なずな! デニ(ハイゴブリンアサシン)! 切り込んでとどめ刺せ! ……いい加減にしろよ? 元はと言えばお前があの時俺に後始末全部なすりつけたのが悪いんだろうが、一平!」

「ラスト1匹は俺がもらうわ! そおい! ……よし、敵全滅確認! お疲れさん! だからってみんなでドッキリはひどくないか?」

「みんな〜。いい加減に真面目にやんないとみゆ怒るよ〜? エッチさせてあげないからね〜?」

 

 ここはダンジョン第六階層既知内領域中層〜外縁部の間にあたる領域。

 

 レベル帯は40後半から50前半ぐらいのこのあたりの領域は【オーク】、【鎧犀(アーマーライノセラス)】、【雪狼(スノーウルフ)】などの第六階層で出現するモンスターが満遍なく出現する場所で既知内領域中心部に比べはるかに一匹あたりの敵のレベルも一回あたりの敵の頭数も多いため、とにかく対応力とパーティの総合力が求められる場所だ。

 

 今日の俺たちはいわゆるガチパーティ。【騎士(ナイト)】で壁役の俺、戦士系第二段階職【(サムライ)】の二刀流剣士で近接火力役(ダメージディーラー)の慎之助、術士系第二段階職【魔術士(ウィザード)】で魔法火力役(ダメージディーラー)の蓮に、広域索敵&道案内役の【文官】修斗と索敵&鍵開け兼補助火力役の【忍者】のなずな先輩ペア、そして万が一の時の【遊び人(ニート)】枠かつパートナー同伴の修斗を除く俺たち男3人のダンジョンセックスのお相手である遊び人系()()段階職【花魁(サキュバス)】の美由(みゆ)の6人パーティだ。

 

 で、このパーティの要は間違いなく美由である。

 

 現に今もーー

 

「ハァハァ、あ、きつい、無理。みゆ悪い、ヤラせて」

「あっ、蓮ちゃんきつそうだね。いいよ〜、いつでも挿れて❤︎ あぁん、せっかち。でも気持ちいぃよ、蓮ちゃん❤︎」

「あぁ? みゆの癖に舐めやがって、クッソ気持ち良すぎんだろ、お前の(なか)。やべ、もたねぇ、もう出るわ、イくッ!」

「あぁん、きたきた❤︎ 蓮ちゃん、イっちゃったね〜❤︎ ほんと蓮ちゃんのイった後の顔って可愛い〜❤︎ でもまだまだ出るでしょ? がんばれ❤︎ がんばれ❤︎」

「くぅううう!! ちっくしょう! 悔しいけど気持ちいいわ!」

 

 今も複数の【オークソルジャー】をいっぺんに倒してレベルが上がったのだろう、精力の増大に耐えられなくなった蓮をあっという間に美由が搾り取っている。しかも小さな子供をあやすようにだ。絵的には蓮が美由を襲っているんだけど実情は逆。遊び人系第三段階職【花魁(サキュバス)】は伊達ではなく、未だ第二段階職の俺たち3人と第三段階でしかも専門職の美由の間のエロいことの力関係はネズミと猫以上の差があり、だからこそレベルアップにより異常に高まった精力だろうと今の美由ならすぐに鎮めてくれるのだ。

 

 そしてそれは男が複数人がかりでも変わらない。俺たちなんて比喩でもなんでもなく三擦り半で昇天させることができるし、しばらく勃たないくらいに搾り取るのもお手のもの。

 

 だからこそこんな男4女2なんて男女の数が偏ったパーティが組めるわけだ。

 

 基本学園においての実力の格差は圧倒的に男子>女子なので、単純に強力なメンバーだけでパーティが組みたいなら全員男子にするのが分かりやすいんだが、それを実際にやると今の蓮のようにモンスターを倒して精力が高まった時に発散できる相手がおらず詰むことになる。

 

 逆に精力増大時のことを考えて男子一人に対して女子が多めのパーティにすればするほど戦力である男子の数が減りパーティの実力は下がる(傾向にある)。

 

 なのでそれらへの一つのアンサーとして、こうして性処理能力特化である【娼婦(ニンフ)】や【花魁(サキュバス)】を一人パーティに入れることで、他のメンバーを攻略系の男子だけで編成するやり方が存在するのだ。

 

 達郎さんが最初のあの勉強会では伏せていた【遊び人(ニート)】必須論の理由の一つがこれである。

 

 そんな今4回連続で瞬殺してお掃除フェラで追加の1回出させた上に床でびくんびくん震えて情けないこと極まりない蓮のちんこをウエットティッシュで優しく拭いている美由だが、勉強会前は元々蓮のいいなりの取り巻きをやっていた女の子で、その後の最初のクラスチェンジで【遊び人(ニート)】になったことで割と学園生活に絶望していた少女だった。

 

 なおかつ当時の彼女はどうしてもダンジョンダイブや戦闘に馴染めずさらに【遊び人(ニート)】になったこともあって、『私は役立たずかもしれない』、『みんなに捨てられるかもしれない』という恐怖と同時に『ダンジョンでの戦闘は私は向いてないからエッチを頑張るのはダメ?』という本音を抱えていたらしい。

 

 それをGW終了以降、毎週月曜日に達郎さんがずっと開いてくれている相談会で打ち明けた彼女に対する達郎さんの返答は「全然OK」であった。そして美由に「こういうやり方は嫌かな?」と遠慮しながらこの学園で生き残る術を説明し、美由はそれを実践した。

 

 具体的には同じく第一段階職が【遊び人(ニート)】になったクラスメイトの栄光(えいこう)たちと一緒に週に数回程度、達郎さんのダンジョンダイブについて行きパワーレベリングしてもらった結果、5月が終わる頃美由は【花魁(サキュバス)】という性行為特化の第三段階職クラスになっていた。

 

 で、今彼女はダンジョン内外での精力解消担当という役割を得て、別人のような笑顔で自信を持って俺たちのダンジョン攻略パーティのメンバーの一人としてこの学園で生きている。ついでに栄光も無事【花魁(サキュバス)】と対をなす【女衒(インキュバス)】というクラスになり、女子メインのパーティの竿役として毎日フラフラになりながらダンジョンダイブとセックスをがんばっている。

 

 このパーティ組むときに『それぞれに役割があるだけで誰が偉いとかそんなのはないから』と言われたけど、こういうときにほんとその意味を実感する。ホント達郎さんの【パーティ編成論・中級編】の教えはすげえと言わざるを得ない。ていうかあの人、どんだけの知識をあの頭の中に蓄えてんだよとマジで思う。

 

 そんな達郎さんと純くんを交えたパーティ編成相談を経て5月末から組み始めたこのパーティ。結成ほぼ一ヶ月になるが、実にバランスがいいパーティでこのところ俺たちは絶好調。さらに達郎さんが作ったらしい『パーティレベル別推奨狩場集』の情報を基に、もう少し浅いところから経験を積み連携を鍛え、達郎さんの作った各種対策武器という上げ底こそあるがダンジョン中級者向けのこの場所ですらほぼノーダメージで安定して戦えるようになってきたのだ。

 

 この場所の何がいいって難易度が高い分当然経験値の効率もいいし、他の学園生もほとんど寄り付かないため【宝箱(ジャックポット)】も見つかりやすい。そして何よりこの階層のモンスターは総じてモンスタードロップの内容がとてもいいから金策にピッタリなのだ。

 

 代表的なところでいうと、【オーク】や今戦っていた上位種の【オークソルジャー】が落とす【オーク】の武器防具、【鎧犀(アーマーライノセラス)】の落とす鎧片から取れる魔鉄、そして大本命なのが【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】というその能力全てを防御力に割り振ったクソデカアルマジロがドロップする革である。

 

 この【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】の革、達郎さんを頂点とする【グループ】の生産部門がとにかく高値で買い取ってくれる。なんと一枚あたり20万銭という破格の値段。それが何に変わるかというとまずは【騎士(ナイト)】の俺と【(サムライ)】の慎之助以外が制服の上から着込んでいるサバイバルベストやヘルメット、手甲や脛当てだ。

 

 このメインに【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】の革、部分部分の補強に【鎧犀(アーマーライノセラス)】の鉄を用いて作られる通称【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)レザーメイルセット】の防御力はマジ耐物理、耐魔法ともカッチカチで、あの達郎さんに「あくまで単純な防御力って話限定だけど、きっちり丁寧に作ったものなら壁役の前衛以外は第弐拾階層までこれでいける」と言わしめるほどであり、実際同レベル帯であれば後衛でもトラックの全力突撃そのものである【鎧犀(アーマーライノセラス)】の突撃を食らっても数発は耐えることができるほどだ。ちなみに普通の装備の後衛があの暴走する生きた軽トラみたいなクソサイの突撃を食らったら掠っただけでも多分死ぬ。

 

 そんな【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)レザーメイルセット】。作っても作ってもまだまだ足りない。【グループ】メンバーのほぼ全員に行き渡った今でもまだまだ量産中なのだ。

 

 なぜか? これに関しては何をどうしたのかは知らないが達郎さんがある日生徒会と話をつけてきたらしく、「華組に1セット2000万で卸すからよろしく。最低で……100セット」とか言ってきたので現在うちらの【グループ】は【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】の革バブルに沸いている。さらに新商品であるこの革を使ったレイド用のテントなどの生産も始まっておりいくら狩っても狩っても足りないほどなのだ。

 

 おかげでそれを(なめ)す仕事を専門でやってる【職人(クラフター)】系SR職【革鞣士(タンナー)】の英太郎くんは週1回の達郎さん主催の【軍戦(レイド)クエスト】の時以外、毎日死んだ目をしながら【グループ】メンバーから持ち込まれたこの革を鞣しまくってるらしい。

 

 ドンマイ、英太郎くん。【甲冑士(アーマーメイカー)】の健人(けんと)と同じく有用すぎるクラスになった自分の幸運(運の悪さ)を恨むがいい。

 

 そんな可哀想な英太郎くんの話はさておき、じゃあなぜそんなカッチカチの【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】の革を他の学園生、特に上級生が狩らないのか? って話なんだけど、これは単純な話でコイツらマジで硬いのよ。普通の武器だとオーク武器をベースに打ち直した武器でもまずダメージ入らないし、かといって【術士(マギ)】の魔法でも一発やそこらで倒せたりはしない。火で長時間炙ると倒せるらしいんだけど流石にそれだと効率が悪いし割に合わないとは最初に【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】狩りの話をみんなにした時の達郎さんの言葉。

 

 で、あの人がその程度で諦めるわけがないわけで。

 

 さて少し話は変わるが第七階層以降に出てくるモンスターに【徹甲虫(ペネトレイトビートル)】というモンスターがいる。コイツは小さくて見つけづらい上に敵を発見すると自爆特攻してくるテントウムシそっくりの厄介なやつで、おまけにその攻撃力は俺のような【騎士(ナイト)】の防御すら貫くことから『騎士殺し(ナイトキラー)』の異名を持つ俺たち【騎士(ナイト)】系の天敵なのだが、達郎さんにとってはコイツらすらただのカモで便利な武器の素材でしかなかった。なんでもあのおっかない【玄天上帝(げんてんじょうてい)】の力を使ってコイツらを乱獲したそうで、その時取れた素材や【モンスターカード】を駆使して【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】対策武器を作り上げたのだ。

 

 それが俺が今日持ってきている短刀、名前を【貫通の鎧通し(ペネトレイトアーマーブレイカー)】という。こいつがあれば【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】狩りはただの作業と化す。そもそもアイツら防御全振りで俺たちが近づくと体を丸めて防御体制に入るだけで何にもしないある意味無害なモンスターだからな。あとは頭めがけて【貫通の鎧通し(ペネトレイトアーマーブレイカー)】をブッ刺すだけのお手軽作業なんだ。

 

 で、この仕事は基本ダンジョンに同行するタイプの【職人】クラスか、【モンスターカード】育成のためにレベルアップの速度が遅い【文官】クラス、もしく前衛で防御するのが仕事でどうしても他の火力職に比べて成長が遅れがちな俺のような【防御職(タンカー)】がやることになっており、それが俺が他のクラスメイトと比べてレベルが高めな理由である。

 

 そうして周囲の警戒をしながらおよそ五分で再度戦闘可能状態に復帰した蓮。これってめっちゃ早いのよ。普通なら二十分くらい余裕でかかるから効率が段違いだし、このぐらいの休憩時間なら待ってるメンバーの気持ちがダレることもない。

 

 本当に美由さまさまである。元々は割とオドオドした可愛らしいただのクラスメイトだった美由は、今では立派にデカい胸を張るあざとさ満載の清楚()美少女となって俺たちに向かって空中で手をシコシコするジャスチャーをしながら笑っていた。

 

「蓮ちゃん❤︎ またムラムラしたらすぐエッチしようね❤︎ 一平くんも慎ちゃんもエッチしたくなったら我慢しないでいつでもみゆに言ってね❤︎ すぐスッキリさせて、あ・げ・る❤︎」

 

 そう言って黒髪セミロングの見た目の清楚さを完全に裏切るビッチ感満載のイタズラそうな顔つきで長い舌をぺろりと出してピンク色の唇をゆっくり舐める様に、やる気が噴き出した俺は早速次の獲物を求めてダンジョンの奥へと向かうのであった。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 で、ひたすら敵を見つけては戦うのとその後のセックス休憩を繰り返しながら3時間ほど経った頃。

 

「……どうする?」

「……アガリ的には間違いなく旨い。ざっと見積もって最低でも1億。内容次第でそれ以上も全然夢じゃない」

「このまま突っ込もうぜ! ……駄目?」

「駄目とは言わねーけど……、実際キツくね? 【術士(マギ)】俺一人で火力足りるか? ……今すぐダンジョン出て殲滅戦用パーティ再編成して再入場するか?」

「今から間に合うか微妙じゃないか? いっそのことスパッと今日は諦めて、明日一番にメンバー揃えてからにするのは?」

「それは前にやって失敗した。翌日入ったらもうどっちの部屋も消えてたの覚えてるだろ?」

「……あー、そうだった。どうすんべ」

 

 こんな感じで男四人が鼻面突き合わせて相談中である。なお、こういう場合女子はあんまり意見を出さないのが学園流なので二人は警戒しながら俺たちの話し合いの結果を待ってる。

 

 何をこんなに悩んでいるのかというとダンジョンに稀に存在するアレを見つけたのだ。【魔物部屋(モンスターハウス)】とその奥にある【宝物庫(トレジャーチェスト)】である。

 

 両方文字通りの存在で、【魔物部屋(モンスターハウス)】は大きな玄室内を埋め尽くすほどのモンスターが詰め込まれた部屋で気づかず迂闊に入ると大量の魔物に囲まれて即全滅するゲームでもお馴染みの罠部屋(トラップハウス)で、【宝物庫(トレジャーチェスト)】はいくつか種類があるが、【武器庫(ウェポンラック)】なら武器が、【防具庫(アーマーラック)】なら防具が、そのまんま【宝物庫(トレジャーチェスト)】なら貴金属やアクセサリー、各種クリスタルが詰まった文字通りのお宝部屋である。

 

 そんな儲け話を俺たちが前に悩んでいる理由は当然、リターンはでかいがリスクもでかいのでそれでも突っ込むのか否かであるの相談である。

 

 【魔物部屋(モンスターハウス)】の攻略法は主に二つ。やり過ごすか、全滅させるか。

 

 で、やり過ごすやり方は最低でも専門の第二段階職以上の【遊び人(ニート)】必須なので俺たちに残された選択肢は全滅させるしかない。スキルによる事前の索敵の結果、今回の【魔物部屋(モンスターハウス)】の中身は【オークソルジャー】、もしくはさらに上位種の【オークナイト】をメインとした第六階層モンスターの混合パーティ。なので展開としては部屋に踏み込んだらまず【鎧犀(アーマーライノセラス)】複数体の突撃の後、【雪狼(スノーウルフ)】とカボチャのお化けである【南瓜頭(ジャック・ランタン)】の遠距離攻撃の援護を受けたオークどもが地面に転がった【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】を砲弾代わりにこっちに向かってぶん投げてから隊列組んで突っ込んでくるのに対処しなくちゃいけないわけで。

 

 この最初の敵からの総攻撃を受け切る耐久力と、その後更なる追撃を受けて一気に押し切られる前に逆に一気に相手を皆殺しにする殲滅力が要求されるのが【魔物部屋(モンスターハウス)】攻略の難しいところだ。

 

 レベルは階層規定値よりも全員こっちの方が上。メインの敵であるオークへの対策装備も十分な数持ってきてる。やってやれないこともないとは思うけれど……、それでも死に戻りのリスクは相応以上にある。

 

 基本どんだけ稼いでも死んだらその日の稼ぎがパーになるから無理は禁物がうちの【グループ】の基本方針。で、俺はこういう場合【グループ】の基本方針通り、消極的で安全策を取る傾向あり。

 

 ともかくとりあえず意思表示しないと何も始まらん。まずは俺から口火を切って意見を言うことにした。

 

「俺は消極的賛成。撤退すべきだとは思うがみんなが行きたいなら行く」

 

 次に口を開いたのは蓮だ。こいつは基本イケイケの性格だけど実は結構ビビリでもある。

 

「俺は本音は行きたい……。でもやめとくべきかなぁ……とも思う。あとは任せる!」

 

 慎之助。コイツは脳筋寄りで欲望に素直。

 

「行くしかなくないか? ここで勝つだけで収入一億超えとかヤバすぎるだろ」

 

 最後に修斗。コイツはクソほど慎重かつ稼ぎも諦めない粘り腰が信条の頼れる俺たちのパーティリーダーである。俺たちの意見も踏まえて答えを出した。

 

「……撤退しよう。で、今残り時間がおおよそ一時間半。逆に言えば時間的に他のダンジョンダイブのパーティもぼちぼち脱出し始める時間だろ。ということは外で少し待てば既に第三段階職になってる奴らの誰かを捕まえられるかもしれないし、ワンチャンもう誰かいるかもしれない。もしいなきゃ待つのと並行してなずなを速攻部室に走らせて誰か連れて来させればいい。最低でも第二段階【術士(マギ)】2人だな。それを見つけて連れて帰ってくるのに、行って帰って最速で三十分ぐらいか? もしそれが見つかったら(修斗)、一平、蓮、最低でも交代の第二段階【術士(マギ)】2人、宝箱の罠解除役になずなを連れて再入場。この場合は慎之助と美由は【羅城門】前で待機。攻略でレベル上がったやつは即外に出て美由が対処。慎之助は待機の間のその護衛。で、誰も捕まんなきゃ諦めて明日一番に消えてないことを願ってワンチャン再入場。で、アガリはこの6人プラス参加してくれたメンバーで頭割り。どうだ? なずなも美由もそれでいいか?」

 

 おお、なんというリスクとリターンを考え抜いた末の最高の提案! 心の声が思わず口から出た。

 

「「「「異議なし!」」」」

「えーーーー! 俺らだけで勝てるってー!」

 

 勝てるか勝てないかじゃない、誰かが死に戻るようなリスクは冒せないって話なんだよと修斗がぐずってぶーたれる慎之助を叱りつけた。しゅんとする慎之助に笑う俺たち。

 

 話が決まったので即脱出。全員【帰還珠】を使ってダンジョンから出る。あっという間に景色が変わり見慣れた赤い鳥居のある広場に出た。急いで手分けをしてメンバー探さないと、と駆け出そうとした俺たちに声がかかる。

 

「あれ? 一平くんたちじゃん。どうしたの? なんかあった?」

「「「「「「京介くん(さま)!?」」」」」」

 

 そこには自分達のダンジョンダイブが終わったあとなのだろう、腰に愛刀を二本差し呑気にアイスクリームを舐めながらその場に立っている俺たちの倶楽部【三刀流(さんとうりゅう)】部長、京介くんの姿があった。どうやら初心者引率ダンジョンダイブのノルマを終えたあとらしく、いつも隣にいる湊ちゃんは初心者たちをクラスチェンジのために【聖堂(カテドラル)】に連れて行っている最中でその場におらず、週一のノルマこそ果たすけど基本面倒見が()()京介くんは同じくそれぞれ引率ダイブ中の副部長二人がダンジョンから出てくるのを待つためにここにいたらしい。

 

 けれど今の俺たちにとってはこれこそ天佑。第二段階【術士(マギ)】二人分の火力? そんなもん京介くん一人で余裕でお釣りがくるわ!

 

 速攻修斗が京介くんを人がいないところへ連れて行き説明を始める。およそ5分で商談成立。

 

 その間に残った全員水分補給とトイレを手早く済ませ、合流した京介くんも交えて事前にダンジョン内での立ち回りを確認。ここで一つだけ問題発生。火力枠が京介くん一人で埋まったためにこの場に残していくのが一人になり慎之助と美由のどちらを連れていくのか僅かに揉めた。ここで俺も中に入って活躍したい! と慎之助が主張し時間を惜しんだ修斗がそれを了承。やり方次第で7人でいく事もできたが残り一時間ほどあるので万が一のことがあって【天敵者(アグレッサー)】を呼び出すことになったら目も当てられないということで、湊ちゃんへの連絡役も兼ね美由だけ残して俺たちはダンジョンに再突入することとなった。

 

 ここまで脱出から20分の早業である。

 

 再突入するとそこにはちゃんと先ほどの【魔物部屋(モンスターハウス)】が健在だった。ほっと肩を撫で下ろす俺たち。気を取り直しここから時間との勝負ということで、短く段取りと装備を再確認後、各自強化スキルを使ったのを確認し、まずは俺が部屋へと踏み込む!

 

 途端に優に100近い数のモンスターが一気に俺たちの存在へと気づき行動を始めるその瞬間、まずは俺がいつものように【引きつけ強化(アトラクトアップ)Ⅱ】と【挑発(プロヴォーグ)】、この前も使った奥の手である最強防御スキル【其ノ身は城砦の如し(ボディオブキャッスル)】を同時使用し、真っ先に突っ込んできた5匹の【鎧犀(アーマーライノセラス)】の突撃と側面からの【雪狼(スノーウルフ)】の吹雪、頭上からの【南瓜頭(ジャック・ランタン)】の炎、そして【オークナイト】の集団越しに山なりに放たれた【オーク魔術士(ウィザード)】の魔法による一斉攻撃を受け止める!

 

 くっそおおおおおおお!! 極限まで硬くなったとはいえダメージや痛みがゼロになるわけじゃない! だから痛てぇし冷たいし熱いし痛てぇよぉ! でもこれが俺たち盾職(タンカー)の花道! 泣き言言ってられるかぁ! そのまま耐える姿勢を崩さず腰の剣を引き抜く!

 

 さぁ、とくと御覧じろ! 達郎さん謹製対オーク用絶対殲滅武器【ドクウツギ(コロリアリア・ジャポニカ)】シリーズの力を!

 

 俺、慎之助、なずな先輩、修斗の4人が一斉にその濃桃色の刃を鞘から抜いた瞬間、敵の主力たるオークたちが【オークキラーⅡ】と【殺意の波動Ⅰ】の効果の四重奏で大混乱に陥る。その隙を京介くんが見逃すはずはなかった。

 

「揺らげ」

 

 いつの間にか俺の背後から側面へと立ち位置を変えていた京介くんが覚醒(アギト)の掛け声と共に【陽炎(かげろう)】を引き抜いた次の瞬間、急に混乱し始めたオークに気を取られ動きを止めた【雪狼(スノーウルフ)】7匹と【南瓜頭(ジャック・ランタン)】5匹が全て真っ二つになった。

 

 奴らとはまだ10m以上の距離があったがそんなものは京介くんと【陽炎(かげろう)】にとって関係ない。その刀身の延長線上30mは全て京介くんの間合いなのだから。

 

 返す刀で大絶賛混乱中の敵オークナイト部隊前衛の身体が紙でも切り裂いているかのように上下にズレそのまま消えていく。さらに数匹、ついでとばかりにその場に転がっていた【堅牢犰狳(ソリッドアルマジロ)】のあの硬い装甲すら何もなかったかのようにまとめて切り裂いた。

 

 これこそが覚醒(アギト)によりその延長線上にまるで蜃気楼のように不規則にゆらぐ不可視の刃を出現させる恐るべき魔剣、閃熱王刀【陽炎(かげろう)】と戦士系R職である剣士系第三段階職【暗殺剣士(アサシンブレイド)】の【暗殺剣】の合わせ技による絶技。ただでさえクリティカル攻撃を得意とする剣士、ひいては侍系だが、その中でもクリティカル攻撃そのものに確率で即死攻撃が乗る【暗殺剣士】と奇襲性の高い京介くんの居合の相性は元より抜群であり、さらにその効果が乗った不可視の斬撃が刀の間合いより遥か離れたところから飛んでくるのだから、第三段階職でレベル70を超えた京介くんにとって格下であるこの場のモンスターどもに対応できるはずもない。剣士の速度に術士の火力とか反則だよな。

 

 こうなれば後はワンサイドゲームである。

 

 さらに混乱を増しながらあっという間に数を減らす敵オーク集団。そこに蓮による渾身の範囲魔法攻撃が炸裂しもはや完全に壊乱状態に陥った瀕死のオークの群れに慎之助、なずな先輩、修斗の【ブラックオーガ(マーシュ)】が突っ込み、すぐに敵の影がまばらになっていく。そして最後に残った【オーク騎士将軍(ナイトジェネラル)】も俺が【突撃(チャージ)】で【ドクウツギ(コロリアリア・ジャポニカ)】ソードをブッ刺したことで勝負あり。断末魔の悲鳴をあげ身につけていた鎧を残して【オーク騎士将軍(ナイトジェネラル)】は瘴気(みあずま)に還る。

 

 こうして俺たちは無傷で【魔物部屋(モンスターハウス)】を切り抜けた。

 

 切り抜けたんだが……、お約束のようにここで問題発生。

 

「うおおお、やばい、エグいぐらいちんこ勃つ! ダメだ、我慢できない。だ、誰か女! ッ、修斗、早くなずな先輩を奥に逃してくれ! 今の俺に女見せるな! 襲っちまう!」

「俺もやべぇ! 無理! なんとかここで耐えてるからお前らで【宝物庫(トレジャーチェスト)】行ってくれ!」

「お、俺も! きっつ! ちんこヤバい! ごめん、二人とも! 俺が行きたいって駄々ごねたばっかりに!」

「アハハハハ! 超ウケる! アハハハハ!! お前ら三人、俺を笑い殺す気かよ!!」

 

 戦闘力重視で美由を残してきたこととあまりに早く京介くんという火力が見つかって【帰還珠】の補充ができなかった弊害がここで出た。俺、蓮、慎之助の三人が急激なレベルアップで精力爆発。三人とも地面に蹲ってその場でしこり始めるのを見て腹を抱えて笑い出す畜生の京介くん。

 

 そのままえぐい精力増大に気が狂いそうになりながらも時間切れまで耐えた俺たちは、無事【天敵者(アグレッサー)】とも遭遇することなく現世に帰ってすぐにその場にいた美由と彼女に事情を聞いていた湊ちゃんが用意してくれていた【グループ】女子たちにルパンダイブよろしくその場で襲い掛かったのだった。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 その日の深夜のこと。【娼婦(ニンフ)】2人と【花魁(サキュバス)】1人の3人がかり、4時間に及ぶ乱行パーティにより、どうにかこうにか精力をある程度発散し一時的な平静を得た俺と蓮は揃って【聖堂(カテドラル)】の前に来ていた。

 

「じゃあ、お先」

 

 そう言って【聖堂(カテドラル)】の中に消える蓮。今日だけで合計50匹以上のレベル50オーバーのモンスターを倒したことでレベル56から一気にレベル60まで駆け上がった蓮は第三段階職へのクラスチェンジに至ったのだ。

 

 一人になった俺はあれだけ出したのに未だに止まることなく湧き上がってくる性欲をなんとか抑えながら目を閉じてしばし待つ。そうしてしばらくすると陽気な声が聞こえてきた。どうやらいい結果が得られたようだ。

 

「たっだいま〜。クラスチェンジ先、順当に【魔道士(メイガス)】だったわ」

 

 【術士(マギ)】系第三段階職【魔道士(メイガス)】。この結果により蓮は【術士(マギ)】から【魔術士(ウィザード)】を経て【魔道士(メイガス)】というある意味正統なクラスチェンジ先に落ち着いたようだ。他の魔法職と比べ癖が少なく誰もがイメージしやすい魔法使いそのもののようなクラスであるが、その魔法は威力、範囲ともに【魔術士(ウィザード)】とは一線を画すほど強力無比である。

 

「おめでと、蓮。第三段階祝い、いいのが貰えるといいな」

「サンキュー、一平。ホントだよ。月曜、達郎さんに報告したら何作ってもらえるかな?」

 

 今のところ俺たちクラスメイトや倶楽部主要メンバーが第三段階職にクラスチェンジした時に達郎さんは装備を作ってくれており(本人曰く「気が向いた時だけなので期待しないでね」との事だが今のところその確率は100%である)、その中の一振りが京介くんが今日振るっていた閃熱王刀【陽炎】だといえば俺たちが静かに未来に興奮するのも理解できると思う。威力増幅系かな? 魔力回復系かな? としばしそんな少し先の楽しみに思いを馳せる俺たち。

 

 そのまま話を続けてもよかったが、クラスチェンジ前の経験値の限界過剰蓄積(オーバーフロー)状態による暴走状態も辛いが、クラスチェンジ後の存在そのものの位階を上げた後の漲るような精力増大状態もすぐに発散しないと辛いのでしばし俺とバカ話をした後、

 

「じゃあな、一平。お前もいいクラスになれるといいな」

 

 と言い残し蓮は前屈みになったまま部室に向けて帰っていった。

 

 大方、美由と他数人の女子を待たせているのだろう。その足取りは軽かった。

 

 あんだけ抜かれた癖にアイツも好きだねと思いながら人のことより自分のことと気持ちを切り替えた。元々俺も今日のダンジョンに入る時点で既にレベル59。そこにこの日の戦闘で倒したモンスターの経験値と【魔物部屋(モンスターハウス)】のボス個体だったらしい【オーク騎士将軍(ナイトジェネラル)】にトドメを刺したことで入った経験値で俺もレベル60の壁を超えた……、と思う。なので元々第三段階職へのクラスチェンジに必要なもう一つの条件である『第十階層への到達』はとっくに達郎さんたち主導で達成済みだったので俺も問題なくクラスチェンジできる、……ハズ。

 

 思うとかハズとか言ってるのは、この辺は生徒手帳の表示も曖昧で信用できない部分も多く、感覚の部分はあくまで感覚なのでそれはそれで信用できないので断言できないんだよぉ。

 

「さてと……、俺も行くかね」

 

 誰にするでもない言い訳を口に出さずにしてから、誰に聞かせるわけでもなく言った独り言の後、俺は【聖堂(カテドラル)】の入り口をくぐる。中に入るとクラスチェンジ可能なことを示す光が無事に並んだ奇石のうちの一つに向かって伸び、その終点である石に俺が触れた瞬間、存在が引き上げられ。

 

 ーー俺は俺が俺以上になったことを理屈でなく魂で理解した。

 

 いつの間にか【聖堂(カテドラル)】内部は薄暗さを取り戻し、その薄暗さの中でズボンのポケットから生徒手帳を取り出して液晶画面に映る自分のクラスを確認すると、そこには戦士系第三段階職の【聖騎士(パラディン)】の三文字が。

 

 【聖騎士(パラディン)】。【戦士(ファイター)系】ひいてはそれに連なる【騎士(ナイト)】系第三段階職の中でも最もポピュラーで最も攻守のバランスが良く汎用性に富んだクラスである、とは達郎さんにもらった俺専用のノートの一文だ。同時に器用貧乏になりがちとも書いてあったけどな。

 

 ともかく今までと大きく立ち回りを変える必要がなさそうなことに安堵しつつ【聖騎士(パラディン)】いう字面からくるイメージに、我ながら柄じゃねぇなぁ、【性騎士(パラディン(笑))】の間違いじゃね? とツッコミを入れながらかのんの待つ茶鴨荘の俺たちの部屋へ歩き出す。

 

 さぁて、今夜はこれからパーティだ!

 

 部屋には既にクラスチェンジを経て今この時かつてないほどビンビンに反り返ったこの俺のちんこが落ち着くまで相手をしてくれる約束の、可愛い俺のかのんと助っ人の【花魁(サキュバス)】と【娼婦(ニンフ)】の先輩二人が俺を待ってる! ビバ!4P! 目指せ! 寝ずの中出し30連発!

 

 その期待感にどうにも我慢できなくなってきた俺は最初歩いていた足が徐々に早足に、やがて自然と駆け足になり、最後には気持ちそのまま全力疾走で奇声を上げながら茶鴨荘へと向かって走り出したのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。