※この作品はR-18です。

【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】   作:笛吹き用

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外伝1 俺は普通のクラスメイト6

 6月26日(日)。

 

 なんという清々しい朝だろうか。

 

 我が息子は未だフルボッキなれどあれほど身体の中に荒れ狂っていた精力の昂りが程よく消え、代わりに身体に満ちる新しく力を得たことによる全能感と、それに伴い新しく何ができて自分がどう変わったのか本能的に理解し今すぐその力をダンジョンで試したくて仕方がないワクワク感で今の俺の身体は朝からはちきれんばかりになっていた。

 

「堕ち……、堕ちてく……。まだまだ……堕ちる……❤︎ いっくん……、いっく……ん。もっと、ダメ、わたし……、死ぬ、死んじゃうけどイイ……。もう死んでもイイ……❤︎」

 

 そしてその代償として全裸でうわ言を漏らし、仰向けでつぶれたカエルのような体勢のまま収まり切らない精液をパイパンの盛りマンから垂れ流している俺のかのんの姿がそこにあった。

 

 表情そのものこそ幸せそうであるが、白目剥いてせっかくの妹系美少女顔が台無し。さらにつま先がピンと伸びたいわゆる足ピン状態のままで全身をビクンビクンと時折不規則にびくつかせるという何とも無惨な完全ノックアウト状態。

 

 ……そうなのだ。またやっちまったのだ。今週2回目だよ、もう。

 

 ただ言い訳をさせて欲しい。俺だってここまでする気はなかったんだよ! その証拠に事前に【娼婦(ニンフ)】や【【花魁(サキュバス)】で構成された【グループ】所属の性欲処理部隊(チーム)の人気実力ともにNO.1、真っ直ぐな艶々ストレートの黒髪と切長の目に涙ぼくろが艶かしい【花魁(サキュバス)】の麗(れい)先輩と、期待のニューフェイスである小柄な細身のボディにかわいさと愛嬌が爆発している【娼婦(ニンフ)】の奈子(なこ)先輩の派遣をお願いして万全の体制で準備を整えて夜を迎えたんだ。

 

 ……だから実際最初は上手くいってたんだよ。クラスチェンジした後のクソ高ぶっちぎりテンションで意気揚々と部屋の扉を開けたらかのん、麗先輩、奈子先輩が子供の頃に再放送のドラマで見たキャバ嬢みたいなナイトドレス姿で声を揃えて「お帰りなさいませ、御主人様❤︎」ってお出迎えしてくれてそのまま俺自身は何もしないままあれおあれよと服を脱がされ、靴下も脱がされ、パンツも脱がされ、あれよあれよとベッドの上でフェラが始まり、乳首から始まって全身どこもかしこも舐め尽くされて、ただでさえMAX精力爆発してたのに天元突破した俺のテンションと精力は留まることを知らず、息を荒くして夢遊病者みたいになりながら麗先輩に誘導されてベッドの上でM字開脚したかのんに俺に「いっくん❤︎ どうぞかのんをめしあがれ❤︎」って言われて襲いかかったのをきっかけに長い夜は始まった。

 

 だってさ、テンション振り切って性的に暴走確定だったから先輩たちの派遣こそお願いしといたけど、いきなりいつもの部屋の扉を開けたら夢の超高級風俗店で三輪車! みたいな企画ものAVでありそうな男の夢を叶えてくれるとか誰も思わないじゃん! そもそも俺、AVの中のソープの企画でしか風俗知らないけどさぁ! あんな感じじゃないの!? どうなの? 大人の人!?

 

 で、その時点で俺にもはや理性なんて残ってねーよ! ひたすら気持ちよくて必死に腰振ることしか考えられんかったよ! それでもちゃんと俺なりに保険かけといたんだよ! 俺がどれだけ理性すっとばそうが童貞みたいに暴走しようが歴戦の【花魁(サキュバス)】と【娼婦(ニンフ)】の先輩お二人にとったらカワイイもの、後は先輩たちのリードに合わせて順番にローテーションでお相手してもらえれば何の問題もないはずだったんだよ!

 

 でもさぁ、三周? いや、五周目ぐらいか? 記憶定かじゃないけどそれぐらいローテーションが回ったあたりでかのんから離れようとした時に、かのんが「堕ちるぅ……、怖いよぉ……、いっくん。でもでもお願い。かのんのこと離さないでぇ……。このまま堕としてぇ……❤︎」とか言ってイヤイヤしだしてさぁ……。腰に足を回していわゆるだいしゅきホールドで離してくれなかったもんだから、俺も我慢できなくてそのままひたすら腰を振り出したらもう止まらねぇのよ。もう俺が人間発電所なのよ。しかもそれから俺が何度中に出しても意地でもかのんのやつが離れようとしないせいで無理矢理引っぺがすわけにもいかず先輩たちもお手上げ。あとは俺が明け方に正気を取り戻すまで延々腰を振り続けた結果、ベッドの上の状況になってしまったというわけなんだよ!

 

 だから裁判長! 俺が無罪だとは言いません! でも裁判長! 情状酌量の余地はあるんじゃないでしょうか!? 裁判長ぉぉぉぉ!!

 

「……現実逃避している最中ごめんね、一平くん。今回のコレ、ほとんど悪いのはかのんちゃんだと私らも思うし、せっかくご依頼いただいたのにこういう事態になる前に止められなかった私たちにも責任はあるけどね? ……それでもさすがにこれは美雨(みう)に報告せざるを得ないわ。悪いけど呼び出し、覚悟しといてね?」

 

「……かのん共々、お手柔らかにお願いします」

 

 その麗先輩の御言葉に思わず引き攣ったような声が出た。

 

 ヤッベェ、美雨(みう)先輩になんて言えばいいんだよ、これ。

 

 うちの【グループ】はいくつかの部門に分かれており、それぞれにその部門をまとめるボスというかトップがいる。わかりやすいのが全体の運営を担当する【文官組(オフィサーズ)】トップの純くんや、Bランク倶楽部【三刀流(さんとうりゅう)】の部長であり(名目上とはいえ)戦闘とダンジョン攻略部門のトップである京介くんなど、それぞれの部門にトップがおり、それらのトップに【グループ】の真のリーダーである大貴くんと相談役の達郎さんが加わった合議により意思決定を行う寡頭制で運営されている。

 

 その中の一部門に今回俺がお世話になった麗先輩たちが所属する【グループ】男子の性欲処理の対応と男子の数に対して多すぎる女子のためのマッチング(お見合い)の推進、そして女の子全体の相談やメンタルケアを担当する【女子部(ガールズ)】が存在する。そしてそのトップを務めるのが【遊び人(ニート)】系第四段階職【太夫(エルダーサキュバス)】であり、あの達郎さんのパートナーの1人でもある三年の美雨(みう)先輩である。

 

 つまりたまにドカンと達郎さんが、コンスタントに純くんが女の子を拾ってくるお陰で女子の所属人数だけで100人を優に超える【グループ】女子全体のトップに立つ女性が美雨(みう)先輩である。

 

 本人は見た目ほんとに儚げで抱きしめていないと今すぐにでも消えてしまうんじゃないかと感じさせる妖精みたいな超絶美人さんなんだけどね! 中身はガチ女傑でいつも達郎さんと自分と同じ達郎さんとそのパートナーたち、そして【グループ】の女子みんなのために常時覚悟がガンギマリなんだ!

 

 ……で、そんな美雨先輩に元々俺とかのんは目をつけられてたわけですよ。

 

 目をつけられるというと言い方が悪くて誤解を招くな。気にかけてもらっていたんだよな、特にかのんが。

 

 一平くん(俺)のパートナー、かのんちゃん(あなた)一人で大丈夫? って。

 

 どういうことかというとうちの【グループ】には俺より強い奴がゴロゴロいる(最低でも10人はいる)のになぜだかさっぱりわからないが、俺は一応倶楽部対抗戦のレギュラーで、俺なんて達郎さんとか純くんに言われた通りのスケジュールと内容をこなしてるだけのただの凡人なのに、みんなから【グループ】全体で見ても上から数えた方が早い実力者みたいな扱いをされている。

 

 一応俺自身も攻略系の端くれではあると思うけど、達郎さんとか純くんとか京介くんたち見てるとな〜。とてもじゃないけど自信を持ってそうは思えないんだけどなぁ。

 

 ともかくそれでもこの一ヶ月地道にがんばってきた結果、俺のレベルは昨日で合計レベル60になり第三段階職(サードクラス)にも到達した。

 

 で、ここで問題なのがかのんの今のレベル。かのんのレベルは現状合計レベルで43(のはず)で、レベル60の俺とは17も開いてしまったことが、この前のトイレセックスの後にかのんが潰れたことと、今かのんが女の子としてダメな姿見せて潰れている原因の全てだ。

 

 ダンジョンに潜りレベルを上げると精力が増すって話は今まで散々してきたんだけど、これは男も女も一緒なんだ。で、男の精を女の中に出すことでしか互いに増大した精力は解消できないんだけど、当然レベルが高くなればなるほど精力も増していくわけで、その男女間のレベル差が大きくなると今回の俺たちみたいにセックスのし過ぎで女が潰れる現象が起きるわけだ。

 

 ちなみに逆も存在する、らしい。うちのクラスメイトで【グループ】全体の竿役(インキュバス)やってる栄光(えいこう)が「毎回、あっ、俺このまま喰われて死ぬんだ! って思うんだよぉ……」って言ってたわ(笑)

 

 ともかくレベル差ができると高い側が満足するまで精力の発散を行うと、低い側が性的に潰れることがあるって言うのが問題なんだ。

 

 この前のトイレセックスの後にかのんが潰れたのも、今かのんが女の子としてダメな姿見せて潰れているのも元を正せばこの問題にぶち当たる。

 

 で、解決方法は主に二つ。

 

 一つ目は男女のレベルを同じレベルまで上げること。

 

 もう一つは複数人の異性を用意して負担を分散すること。

 

 でパートナーになってすぐの頃は正直俺たちはそういうことが起こるってことを聞いてはいてもちゃんと考えてなかった。元々は今週末行ってるガチダンジョンダイブみたいなのもかのん入れたパーティでやってたし、レベル差ができても5ぐらいで収まってた。だからちょっとかのんが寝不足になる日がなくはなかったけどみんなのおかげもあってケアはできてたし、その頃から俺はちょいちょい浮気してたからそっちでも精力発散してた。だから俺たちがお互いだけをパートナーにしてても問題は起きなかったんだ。

 

 その状況が変わったのが達郎さんと純くん直々にメンバー選考して組まれたパーティのメンバーに俺が選ばれたことに始まる。

 

 メンバーに選ばれたこと自体はすげー嬉しかった。でも今思い返せばその話を聞かされたときに隣にいたかのんは言葉では喜んでくれていたけど、その表情は悲しそうな顔だったかもしれない。

 

 で、美雨先輩と初めてお話したのもこの時期になる。あれは新パーティで2回目のダンジョンダイブの翌日の月曜日、部室にいた俺たちのところにふらっと現れて心配そうにかのんのことを見つめて「こんにちわ。一平くん、かのんちゃん。……かのんちゃん? 大丈夫?」と言ってくれたのが美雨先輩。

 

 そしてその後、今後俺とかのんに何が起きるのかと言うことを丁寧に教えてくれた。おそらく今後しばらくもの凄い勢いで俺のレベルが上がっていくこと。状況的にかのんはそれについていけないこと。そうなった先、どうなるか……、つまり今みたいな状況になると言うことを俺とかのんに懇々と教えてくれたのだ。

 

 その時、美雨先輩は水と器という表現を使った。俺という水が増え続ける速度の方がかのんという器が大きくなるよりも早い、と。そして現実的にこの問題を解決する方法は一つだけで、悪いことは言わないから水を受ける器をもういくつか増やして負担を減らすのはどうだろう? つまり俺にパートナーを増やしてもらったらどうか? と提案してきたのだ。

 

 その時初めて聞いた話なのだが、初心者引率を積極的にこなしていた関係で俺は【グループ】内の女子に何故か人気がある? らしく、【女性部(ガールズ)】トップの美雨先輩を通じて俺さえ良ければ「私をパートナーにしてくれませんか?」ってありがたい申し出がそれまでにも結構あったらしい。なのでちゃんと女の子の同意も取れている話なのであなた達さえよければどうかと。

 

 で、これにかのんが反発した。わかりやすく言うと突っぱねた。

 

「いっくんのエッチの相手は私一人で大丈夫です!」

 

 って。

 

 びっくりしたわ。基本他人に対して気が弱くて怒ったりするのが苦手で俺とのセックスの時のイく時の絶叫以外に滅多に大声を上げないかのんが、3年の先輩で、【グループ】女子全体のまとめ役で、あの達郎さんのパートナーである美雨先輩相手に啖呵切ったのだ。

 

 そうしたら美雨先輩はその透き通った大きな瞳を一回だけぱちくりした後、キレイなものやとても尊いものを見るかのように儚げに笑った後、かのんに対して「ごめんなさいね。本当にごめんなさい」と言ってそのままどこかに行ってしまった。ちなみにその時の俺は二人のやりとりにビビっていてただの置き物だった。

 

 その後の話である。数回かのんのいない時を見計らって美雨先輩は俺のところにやってきた。その度に「かのんちゃんもあなたも大丈夫?」と気にかけてくれていたけれど、先週初め頃、俺が一人で部室にいる時に美雨先輩がすっと寄ってきて今までとは違う鋭さの混じった声色で「……一平くん。あまりこういうのは言いたくなかったのだけれど、そろそろ彼女限界だと思うから。そろそろ君が覚悟を決めなさいね?」と最後通告的なものをいただいており、今回の俺の【聖騎士(パラディン)】へのクラスチェンジと今週のこの2回のかのんのダウンは、美雨先輩が何らかのアクションを起こすには十分すぎる話となるだろう。

 

 てか既に伝わってる可能性が高い。だって奈子先輩、気がついたらもうどこにもいねーもん。

 

 あぁ、マジ気が重い。さすがに俺からかのんを取り上げたりまではしないと思うけど……、どうなるんだろ、ほんと怖い。あの人、ガンギマリすぎてて必要であれば自分のパートナーである達郎さんであろうと平気で構わず噛み付くからなぁ。

 

 あと気が重い理由は美雨先輩に合わせる顔がないって話だけじゃないんだよなぁ。単純に俺自身にこれ以上女の子が増えるのには若干の抵抗というかためらいがあるんだよなぁ。別にかのんに義理立てとかハーレム興味ない(むしろありあり)とかそういうのじゃないんだけど、達郎さんや純くんみたいな天才とは違う俺みたいな良くて凡人止まりの男には正直かのん一人でも荷が重いのに、それがあと一人増える訳でしょ? あ〜、気が重い。

 

 そんな身体の爽快さと先行きに対する気分の重さが同居する朝は、麗先輩に言われた通りにかのんをお姫様抱っこで風呂場へと連れていくことから始まるのだった。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 風呂場に気絶したままのかのんをエスコートし、麗先輩に後をおまかせした後、やることもなくしゃーないので食堂に行くと何故か中から聞きなれた関西弁が聞こえた。

 

「よう! おはようさん!」

「……おはよう、虎次(とらじ)」

「なんや、どないした? 元気ないな? かのんちゃんと喧嘩でもしたか?」

「うっせー! 仲良くしすぎたんだよ!」

 

 俺がそう応えると何が楽しいんだかゲラゲラ笑うこの男は虎次。

 

 一年亥組の人間であの勉強会にも参加していた【グループ】の古参メンバーかつうちの【グループ】のアイテム全般とお金の出入りの管理役である倉庫部門のトップ、つまり金庫番を務める幹部の一人だ。クラスは【職人(クラフター)】系の【鑑定士(オーセンディケイター)】、それプラスサブクラスとして【戦闘鍛治士(バトルスミス)】を持つ武闘派【職人(クラフター)】としての側面も持っている。

 

 つまりこいつもうちの【グループ】に数いる第三段階職到達者であり、実際のレベルは65を超えているらしい。つまりレベルだけ見れば普通に俺より強いんだが、それでも【グループ】の資産状況全てを把握している金庫番なんていう重要人物なのでこいつが一人で動くことはあり得ない。

 

「「や」」

 

 で、ちょっと画角を広げて両隣を見れば当たり前のようにパートナー兼護衛である双子のりりか先輩とるるか先輩が座って朝食を取っていた。お二人も虎次の護衛のためもあって達郎さんのダンジョンダイブに連れて行かれ育てられた第三段階職到達済みの強者でクラスは2人とも戦士系第三段階特殊職【戦乙女(ブリュンヒルデ)】。バリバリの戦士職なのに魔法攻撃も使いこなす超強力な女性限定の特殊クラスだ。

 

 こういう俺よりも早く第三段階職に至った奴らは大体何らかの理由で達郎さんたちのダンジョンダイブに連れて行ってもらってパワーレベリングしてもらったメンバーがほとんどだ。主に【グループ】の幹部か、レベルを上げる機会に恵まれずそもそもダンジョンに行く暇があったら物を作ることを選びがちな【職人】と、【モンスターカード】に経験値が吸われる関係でレベルが上がりにくい【文官】がその対象である。

 

 いろいろ言ったけどつまりコイツはうちの【グループ】でも屈指の重要人物で、なんの用もないのに朝から自分の住処でもない(コイツは先輩達ともども今は部室に住み着いてる)茶鴨寮の食堂で飯食ってるわけがないってことだ。

 

「……で? 何があった?」

「金曜の件と一緒やな。昨日の晩はお前らが昨日攻略した【宝物庫(トレジャーチェスト)】、中身【防具庫(アーマーラック)】やったんやけどな? それが大当たりでみんなして大騒ぎやったんやぞ? で、精算しとうても肝心のメンバーのお前と蓮と慎之助が盛ってもうておらんから値付けまでしか話進まんかったんや。で、みんなの財布管理させてもろてるワイとしてはさっさと〆てしまいたいから朝食ご相伴に預かるついでにお前のこと呼びに来たんや」

「悪い。2回連続で」

「ええで、気にすな。誰も怒ってへん。みんなわかっとる。クラスチェンジの後に盛るなんて理由で誰が責められんねん! せや! 真っ先に言うべきやったわ! 一平! クラスチェンジおめでとう! ……で、何になったん?」

「ありがと。……【聖騎士(パラディン)】だよ」

「おー、すごいやんか! 【聖騎士(パラディン)】! かっこええやつや! ……当っとる。さすがやで、達郎はん」

 

 褒められて嬉しいが金曜に続いて日曜(今日)もみんなを待たすのは忍びない。今日の午前中のダンジョンダイブどうするのか? って相談もあるし腹へったけど急いで部室行くか……、と一度着いた席から立ちあがろうとするも、

 

「一平、急がんでええで? ちゃんと腹一杯食べて、それからかのんちゃん連れてそれからワイらと一緒に行こうや。おねえさん! ワイ、だし巻きおかわりで!」

 

 と言う虎次の言葉に甘えてゆっくりと朝食を腹一杯かっ込むのだった。

 

 

○ーーーーーーーーー○

 

 

 腹一杯まで朝飯を食った俺が虎次、りりか先輩&るるか先輩、麗先輩と俺の背中で未だ眠ったままのかのんと一緒に部室の前まで行くと大変に奇妙な光景が広がっていた。

 

「ギブギブギブ! お願いもう許して! 美雨先輩!」

「ぬううううううううう!!」

 

「駄目です。梅吉さん、やってください」

「イエスユアハイネス!!」

 

「ノオオオオオオオオオオ!! 痛い重い痛い重い痛い重い! まじ痛いし重いって! 小石が! 小石が刺さる! マジでもう勘弁して!!」

「ぬうううううううううううううううう!!!」

 

「「「「ぎゃはははははははははははは!!!」」」」

 

「……何やってんのコレ?」

 

 なぜそうなったかは不明だが、端的に説明すると部室前の剥き出しの土のところに昨日あれだけ活躍してくれた我らが【三刀流(さんとうりゅう)】部長である京介くんとそしてそれに次ぐ実力者である副部長の大助くん(大ちゃん)が正座させられてて、その膝の上に【お仕置き用10kg】と書かれた板状の石が数枚ずつ乗せられていた。その光景はまるで江戸時代の拷問である石抱きの再現であり、それを美雨先輩の命令の下もう一人の副部長である梅吉くん(梅っち)が嬉々として追加していくのをみんなが笑いながら見物しているという謎すぎる状況であった。

 

 その答えは意外なところから返ってきた。俺の横にいた虎次である。

 

「アイツらなぁ……、京ちゃんは湊ちゃん一人、大ちゃんに至ってはパートナー無しでずっとやってきとったやろ? まぁ、それ自体はええねん。個人の自由やし。でな? 【グループ】結成以降にダンジョンダイブの後の精力処理を【グループ】女子にお願いしてやってもらってたんも別にええねん。あくまで同意のもとやし。で、問題はここからや。同意の下、味見程度なら別にええわい、みんなやっとるしな。でも何度も何度も同じ相手に頼むならちゃんと他の奴らみたいに行儀良く【娼婦(ニンフ)】や【花魁(サキュバス)】のお姉様方にお願いすればええもんを、アイツらずっとパートナーのおらんフリーの女の子ばっかりに手出しとったんやと。しかもほとんど同じ女の子ばっかり。理由はあれや、アイツら女の好みの選り好み激しいやろ? 京ちゃんは狂信的な貧乳教徒で、大ちゃんはアスリートみたいに体格のええ女にしか手ぇ出さん。当然そんな特徴のフリーの娘なんて【グループ】(うちら)がいくらでかなったいうてもそんなに人数おらへんやん? だから結局同じ娘たちとばっかりとヤる事ヤッとったわけや。でお手つきの女、全員見事に隷属させよった癖に美雨先輩がそこまでするならちゃんとパートナー契約してやれって再三再四言っても、なんだかんだと能書き(言い訳)垂れて今の今までほったらかしの宙ぶらりん。で、流石にキレた美雨先輩が達郎はんにお願いして強制的にSP使えんようにする道具作ってもろたんやと。……で、ああなったらしいわ」

 

 うわぁ、話の中の隷属の部分を妊娠、パートナーにしてやれを認知くらいしてやれ、に置き換えたら学園外のやつでも一瞬で分かるクズムーヴじゃん。話を理解した俺がドン引きしていると心底うんざりした顔で虎次が続けた。

 

「で、梅がアイツらの膝の上に石を嬉々として載せとるのは完全に普段好き勝手振り回した挙句後始末を全部自分に押し付けとるアイツらへの意趣返しやな。ええ気味や」と締めくくった虎次はそれだけ言って何事もなかったかのように玄関をくぐろうとした。

 

「行くで? 一平。あないなアホ二人と付き合うとったらいつまでも金の精算終わらんやん」

「いや、そりゃそうだけど……」

 

 コントじみた光景ではあるが今朝のことを考えるともしかして俺もここに座る羽目になるって俺がビビり散らかしているとあの美雨先輩の透き通った声が耳に届いた。

 

「おはようございます、一平くん。君がここに座る必要はないですよ? 君にも言いたいことがないわけじゃありませんが、全てはまずかのんちゃんとお話ししてからのことです。なので今はどうぞ中へ。まず座敷の一間に布団が用意してありますのでかのんちゃんはそちらに、あなたは先に御用を片付けてきてくださいな」

 

 怖っ! 俺の心全部読まれてる! 美雨先輩の気が変わらないうちに奥へと入った俺はカノンを寝かしつけ、俺の同意の前に俺たちが昨日持ち帰ったお宝のためにすでに鉄火場寸前になっていた奥の大広間での【グループ】内オークションへと臨むのであった。

 

 銭と怒号が飛び交い悲喜交々の果てに終わったこの日の【グループ】内オークションで最高落札額を叩き出したのは、俺がトドメを刺した【オーク騎士将軍(ナイトジェネラル)】がドロップした常に装備者の周囲に守りの霧を発生させる水属性のマジックアーマーである【霧の鎧(ミストアーマー)】と【防具庫(アーマーラック)】のSR宝箱(ジャックポッド)の中身であり、【盾弾き(シールドパリィ)】や【盾強打(シールドバッシュ)】の時に衝撃波が発生したり威力が強化される【理力の盾(フォースシールド)】の二つだった。なおそれぞれ1億銭で落札され、落札したのは案の定、引率ダイブ中の達郎さんの代理で出席していたパートナーの一人である佐和子ちゃんだった。

 

 いくら【グループ】メンバー全体に金を落とす目的があってもドン引きである。今の俺たちにとっても2億って大金よ? それをあんなにあっさり……。しかも俺がちょっと競り合いに行こうとしたら秒速で倍プッシュ3回食らったよ? 俺も【騎士(ナイト)】系の端くれ、めちゃくちゃ欲しかったけどあの資金力の前には無力よ……。結局俺にはかのんのために3千万銭で【殴打士(ビーター)】系の最大の欠点である移動力とダッシュ力を補う【駿馬の銀脛当て(ラピッドホースシルバーグリーブ)】を一個確保するのが精一杯だったよ……。

 

 

○ーーーーーーーーーー○

 

 

 オークションの後、パーティメンバーと合流した俺は眠り続けるかのんを美雨先輩にお預けしていつものパーティメンバーとクラスチェンジ後の慣らしダンジョンダイブを行なった。

 

 念のため昨日のダイブポイントよりも浅い場所から始めたダンジョンダイブでは俺も蓮も絶好調で新しい力にも多少慣れたし、まだパーティの中で第三段階職に至っていない慎之助となずな先輩にトドメを譲ることを意識したこと以外は何もいつもと変わることない、特に何か起きるってことはなかったが安定していてとても良いダンジョンダイブ。

 

 で、外に出てきた俺をかのんが待っていた。俺の顔を見るなり泣き出したかのんを何も言わずに抱きしめ、その日の精算だけ終えて解散した俺たちは購買で色々買った後、二人きりの部屋で二人だけで飯を食ってからベッドに座って寄り添って話をした。

 

「……いっくん。あのね、美雨先輩が言うにはね、このまま私たち二人だけだと私、おかしくなっちゃう可能性が高いんだって。……【性隷姫(スレイブレディ)】とか【肉便姫(オルギニアン)】とか【奉仕姫(メイドプリンセス)】とかわかる? 達郎さんのノートにも書いてた避けるべき超レア罠クラスチェンジ候補っていうアレになる可能性が出てくるんだってさ。……私はいっくんさえそれでよければそれでもいんだけどね? いっくんの大好きなアダルトビデオとかゲームみたいなエッチも今以上に楽しめるだろうし」

「……馬鹿なこと言うな。あれはあくまそういうプレイだから……、ちゃんとこんな変態の俺を受け止めてくれるかのん相手だから楽しくできるんだよ。……あと俺はかのんがかのん以外の何かになるのなんて嫌だよ」

「うん……、いっくん大好き。でも、だからね?」

 

 その言葉の続きは言わせない。唇で塞いでそのままベッドに押し倒す。一度ゆっくりと上半身を話すと仰向けに俺を見つめるかのんの憂いを秘めた瞳と向かい合うことになった。その悲しそうな視線に何も言えずにそのまま見つめ返すことしかできない俺の顔にかのんの両手が伸びてきて、そのまま俺の顔をその豊満すぎるロケットおっぱいへと抱き寄せた。

 

「そのまま聞いて? いっくん。美雨先輩に言われたの。『かのんちゃん、あなたの一番嫌なのはどっち? 一平くんの隣に他の誰かがいること? それとも一平くんの隣から自分がいなくなること?』って。私、ホントは両方嫌だよ? でもいっくんの隣に誰かいるのはまだ我慢できるけど、いっくんの隣に自分がいなくなるのだけは絶対我慢できないの。絶対イヤ。死んでもイヤ。そうなるくらいならホントにホントに死んだ方がマシなの。だからね? いっくん。明日部室でみんな集めてやる大お見合い会。それに明日出てほしい。そしていっくんがいいと思う新しいパートナー候補、見つけてきてほしいな?」

「ッ、かのん!」

 

 最後のその言葉に抱きしめられた体勢から抜け出そうとするも逆に強い力で深い深い谷間の奥へとぐいぐい押し込まれる。

 

「今は顔見ないで! ……それでね、お話の途中で合流した純くんからいっくんへの伝言。『パートナーを増やすならパートナーのクラスは【文官(オフィサー)】、そして【盗賊(シーフ)】を優先してほしい。特に【文官(オフィサー)】は頼む』って」

「そんな、パートナーをクラス優先で選ぶなんて……」

「分かってるでしょ? いっくん。私たちそういう場所にいてそこから逃げ出せないの。そして達郎さんたちはその中で常に最善を選ぼうとしているんだよ。私たちみんなで生き延びさせるために。……詳しくは明日純くんがいっくんに直接お話するって言われてたけど、【グループ】の上の方の人たちは今のいっくんたちのパーティはそのままで、それとは別にいっくんをパーティリーダーにした新しいパーティを組みたいみたい」

「……じゃあ、その新しいパーティメンバーのうちの一人は絶対にお前だ、かのん」

「ありがと……。好きだよ、いっくん。大好き❤︎」

 

 そこでようやく緩んだ腕と胸から抜け出した俺はかのんともう一度長い長いキスをして普通の恋人同士がするような甘くて切ないセックスをはじめた。

 

 本当の意味で二人だけの夜はこれで最後だろうから、せめて少しでも長く彼女に触れていたかった。




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