【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】 作:笛吹き用
6月27日(月)朝〜夕
本来なら週明け最初の授業を受けているはずの午前中、俺は部室の一室で正座していた。
目の前には冷たい麦茶の入ったグラスとお茶菓子。
昨日が日曜だったので今日は月曜日。中学生の時の俺にとって学校が休みが終わって退屈な学校が始まる月曜日はいつもイヤなもんだったけれど今は違う。俺は、というか俺たち【グループ】の人間にとって月曜日は特別な曜日だ。ほとんど誰一人としてダンジョンに行かないし、かといって休んでるわけでもない。じゃあ何をしているかというと『相談』に行くのだ。【グループ】結成以来、いや、結成前、いやGW終了以降開かれ続けている達郎さんによる『相談会』の開催日。それが毎週月曜の放課後なのだ。
普段は授業(但しよく休む)とダンジョンダイブ以外にはほとんど自分たちの住居兼専用工房から出てこない達郎さんだけどこの日だけは毎週必ず俺たちの前に姿を現し、みんなの相談に乗りながらモノを作るってことを続けている。
そんな元々は達郎さんが入学以来根城にしていた【
というか一年生主体のBランク倶楽部とか死ぬほど目立ってリスクが大きいにも関わらず、達郎さんたち上層部がそのリスクを犯したのはこの『自分達だけが使える【
あと増えすぎた【
そんなのどうやったんだよ? って話なんだけどこれはマジの話。ていうか【
この一軒家がもらえる条件はハーレム主含めて4人以上の【グループ】メンバーが一緒に住む前提かつ【グループ】に対する貢献度が高いこと。人数がそれ以下なら寮で十分だし、多くても貢献度が低いなら我慢しろってことですよ。
ちなみに第一号は純くん。【グループ】に関わる全ての物事に関わる実務面ナンバー1であり、思想的なリーダーである大貴くんと実際的なリーダーである達郎さんとの3人で【グループ】の意思決定を行う本当の意味での【三刀流】、いや【三頭竜】の一角。そのあまりの【グループ】への貢献度に残当すぎて誰からも文句出んかったわ。というか純くんのパートナーである先輩たち4人は正直全員ヤバすぎる上におまけにヤンデレ極まってるからむしろ【グループ】メンバー全員がホッと胸撫で下ろしたまであるわ。
と純くんの話は一旦置くとして、達郎さん曰く「武器防具装飾品を含む装備系・ポーションなどの消費アイテム系に関わらない、一見普通のダンジョンダイブではお荷物でしかないと判断される【
他の倶楽部との最大の違いはここだろうな。……自前で【帰還珠】自作できてる倶楽部なんて絶対他にないだろうし。
ちなみにこれは【
「フフッ、一平くん。そろそろ現実に戻ってきてくれると助かるんだけど?」
「アッハイ」
というわけでそろそろ現実逃避終了。
小さく笑いながらただガラス製の
で、この場には俺と純くん以外誰もいない。つまり今現在俺は部室の一室で純くんとのマンツーマンでの圧迫面接の最中ということである。うわぁ、プレッシャーで吐きそう。
「じゃあ続けるね? 今後の第拾階層以降の攻略を考えると今までの1パーティではなく、2パーティ、3パーティ、いやそれ以上の人数の編成も視野に入れなければいけない。で、その時に編成されたパーティ間で連携もコミュニケーションもうまく取れないような単純な1足す1の組み合わせじゃこの先困るんだ。だからこそ今の時期からそれを見据えたテストケースとして、まずは現在の修斗くんをリーダーとする君たちパーティを核としてまずは12人くらいのパーティを編成することを考えてるんだよね」
「アアウンハイ」
「で、その2パーティ目のパーティリーダーを一平くん、君にお願いしたい。僕がみんなから話を聞いて君が最適だと判断した。この話は今日昨日考えた話じゃなく、元々今のパーティ編成を考えてた時から構想としてあった話でね、ただ君たちのパーティが自力で全員第三段階職近くになるまでパーティリーダーをお願いした修斗くん以外には伝えてなかったけどね」
「修斗のやつ……」
「僕たちが時期が来るまでは誰にも言わないように言ったから彼は何も悪くないよ?」
「アッハイ、ゴメンナサイ」
「それでね……」
その後も一時間ほど続いた純くんによる絵や図、今後の【グループ】全体の目標に関するチャートまで交えた懇切丁寧でわかりやすい説明の後、俺は一人頭から湯気を出しそうになりながら茶卓に突っ伏していた。既に純くんはいない。俺の視線の先にはとっくの昔に飲み干して中身のなくなったガラスコップだけ。
ヤッベェわ、達郎さんと純くん。いつもこんな話を世間話みたいにしてんの? アイツらの頭の中、一体どうなってんのよ? 本当に俺と同じ年なのか? 人生2回目とかじゃないとおかしいぞ? あの二人!
そんなヤバさを再認識させられた純くんの話をざっくりまとめるとこうなる。
・ 【グループ】スタート時の第二目標だった各パーティ自力での第拾階層到達と
・ それに伴い各種ダンジョンにおける基本ルールの変更に対応することが直近の課題である。その中でも大きなものとして第拾階層以降では1パーティ6人という縛りが緩和され、限度はあるにせよ例えば10人以上で行動しても【
・ そのためパーティの編成のための重要ポイントが第仇階層までとは大きく異なりその変化に適応するため、【グループ】全体の指標となりうるテストケースのパーティを編成したいと前から考えていた。
・ だが本来その中核を担うべき京介くんと大ちゃんの二人が戦闘狂のお馬鹿すぎて本当の意味でパーティリーダーを任せられない(それが可能な梅っちを彼らのパーティから外すと馬鹿二人の手綱を取るのが湊ちゃんだけになり湊ちゃんが精神的に死ぬ)ために、今後を考え新しく対応力や適応力、判断力などを重視したテストケースとなりうる新パーティの編成を模索。結果、修斗をリーダーに今の俺たちのパーティが編成されることになり、その中の一人に俺が選ばれた。仮にこのパーティをAパーティと呼称する。
・ 達郎さんと純くんは『各パーティ自力での第弐拾階層到達』という第三目標の達成のために必要なパーティ構成人数をひとまず15〜18人と考えており、到底Aパーティの6人では足りず、今後のパーティ増員は必須事項である。
・ そのための布石として『よく言えば慎重、悪く言えば消極的な俺』、『よく言えばおおらか、悪く言えばいい加減な蓮』、『よく言えば積極的、悪く言えば考えなしな慎之助』というそれぞれタイプと強みそして欠点の違う3人を新パーティに編成し、リーダーである修斗を通じてそれぞれのリーダー適正を観察し、最も適性があるものをリーダーとしたBパーティを編成、その後編成されたBパーティを育成後、Aパーティと合流させる形でまずは最低人数10人パーティの編成を目指す方向で計画をスタート。
・ パーティ結成後、第二目標の達成がほぼ目前に至ったのでリーダーの選定を開始。修斗からもたらされた情報から、俺、蓮、慎之助の間で最もパーティリーダー適性が高かった俺にBパーティのリーダーとその編成を依頼することを決定。
な〜んてというタイミングで俺のクラスチェンジを切欠とした俺のかのん以外の新パートナー問題が発生したわけだ。
そしてそれを耳にした純くんは即座に一つの案を考えた。その案とは新しく俺をリーダーとして作る予定だったBパーティの核を俺と俺のパートナーたちを中心に編成することである。
それによるメリットは以下の通り。
・ 俺とそれに従うパートナーを中心として編成されたBパーティならば既存のAパーティメンバーとの人間関係及び連携の齟齬がAパーティメンバーと連携したことのない多数の男子メンバーを新しく入れるよりも少なくなると考えられること。
・ 俺の初心者引率ダンジョンダイブの実績から希望者が殺到すると考えられる俺のパートナー募集と同時に希望者にこの計画に関する話をすることでこの話、つまり俺と新パートナーのお見合いを【グループ】全体のための話とすることでかのんが俺の新パートナーを心情的に受け入れやすい状況を作れること。
・ 現在の週2回の初心者引率ダンジョンダイブをBパーティでのダンジョンダイブに変更するだけで俺のダンジョンルーティーンや生活パターンに大きな変化なく計画を進められること。
・ この場合、Aパーティの他の男子メンバーである蓮や慎之助もそれぞれ自分のパートナーを最終的なパーティに入れることに違和感がなくなり、ダンジョンセックス時のトラブル発生確率の低減が見込める上に、想定最低人数の10人パーティから本来の目標である15〜18人パーティが組みやすくなる可能性があること。
・ そのアプローチからなら第三段階職になってもフリーで自由人を気取っている蓮に誰かパートナーを持たせることが可能になるかもしれないこと。
・ 最後に今までかのんと二人だけでやってきた心情的に新しくパートナーを迎えることに葛藤があるだろう俺の精神的な負担を軽くするための言い訳を用意できること。
……困ったようにはにかみながら純くんに最後のやつを言われた時の俺の気持ちを考えてみてくれよ。即ちゃぶ台にノックアウトだったわ。
そして容赦のない追い討ちが俺を襲う。
「美雨先輩からも現状の君たちの力関係を考えるにかのんちゃんと君自身のために、最低2人くらいは新しくパートナーを取ってほしいって伝言を預かってるから……。よろしくね?」
と最後に言い残して席を立った純くんを見送るのにもはや突っ伏したまま手を振ることしかできなかった。
こんなもん断れるかー!(1回目)
そもそもなんで俺がパートナー増やすって所詮はプライベートな話にあの純くんがわざわざ話があるって呼び出ししてくるとかと一体なんなんだと思ったらめちゃめちゃちゃんとした理由だったわ! しかも俺にもかのんにもアホほど気を遣ってくれてるし! これってあれだろ? 要するに俺が新しくパートナー迎えるのはかのんが俺のことを受け止めきれなくなったことが原因じゃなくあくまで【グループ】の都合で、俺もかのんも悪くないって流れを作って純くん自身が悪者になってくれたってことだろ!
こんなもん断れるかー!!(2回目)
そして一平くんとかのんちゃんには悪いけどこの話を受けてくれるなら【グループ】単位で色々優遇もできるしできれば是非お願いしたいって最後純くんに頭まで下げられてさらに断れるかぁ!(3回目)
おまけにかのんともどもやらかしまくった俺たち相手に美雨先輩からの提案を蹴る根性なんてあるかぁ!
こんなもん断れるかー!!!(4回目)
しかももし純くんだけで俺が首を縦に振らなきゃ、下手したら達郎さんとか大貴くんまで連れてこられたんじゃないか? だって襖の向こうに誰かの気配したもん! あれ多分大貴くんだろ!
だって大貴くんはこの件では結構自分のこと責めてるからな! 自分が千歳ちゃん一人しかパートナーいないからって。でも誰も責めてないよ、大貴くん! バリバリの戦士系職でありながら希少な回復スキル持ちクラスの拳士系第三段階職【
そして大恩人である大貴くんのお願いは俺たち【グループ】所属の人間にとって絶対!
こんなもん! 絶対! 断れるかーーー!!
あー、もうわかった! 開き直った! やったるわ! かのんとあと2人くらい! 女の子の二人や三人くらい囲ったろうじゃねぇか! 俺も所詮男だしな! 男に生まれてハーレムとか興味ないやついるぅ? いねぇよなぁ!
……とか意気込んでたんだけどさぁ。
この状況、なぁに?
「ご主人様❤︎ こっち❤︎ 四ツ葉のこともっと見てください❤︎ 水着、似合ってますか? ほら、私スタイルには結構自信あるんですよ? 足、綺麗じゃないですか? もし良ければ遠慮なく、さわってくださいね❤︎」
「後輩くん❤︎ ううん、いっペーさま❤︎ ダメダメ❤︎ ちょこのこともっと見てぇ❤︎ ほら、こういうキワドイ黒ビキニとかどう? 好きっしょ? 黒ビキニ。あっ、赤くなってかわい〜!! それならさ……、中身もいっとく? 私、おっぱいおっきいっしょ? 好きっしょ? おっきいおっぱい❤︎ さわる? もむ? それともなめる? それともぉ〜ゼ・ン・ブいっとく? ほらほら我慢しないで! 遠慮なくガツンとイッとこ? 男の子だろ〜?」
「……どうですか? 一平さま。千帆の水着似合ってますか? 千帆、アイドル研修生時代の撮影でもこんなにエッチな水着着たことないんですよ? でも一平さまのためなら千帆、喜んで着ます❤︎ だからお願いします。あんなことされて見られて教えられたら千帆はもう他の人にお嫁になんていけません。だから、千帆のこと、責任、とってくださいね❤︎」
「あん、アンタたちだけずるい! ほら、一平さま、私のことも見てください!」
「抜けがけ禁止! 一平くん❤︎ どうかな? このおっぱい。このおっぱいと私のこと覚えてるよね?」
「ずるい私も!」
「私だって! 一平さま!」
「私も!」
「私もです!」
「ウェェェイ!! みんな、盛りあがってるか〜〜〜!! ウチは盛り上がってるぞ〜〜〜!! さぁ〜〜〜、最初にできるカップルだけど、どこになんのかな? ウチ、目が離せません! ねぇねぇジュンジュン! 解説のジュンジュンは誰が一番はえーと思う? みんなはどこだと思う!? ウチはね〜❤︎ いっぺーちが早そうだと思う!! ああやってぐいぐいこられたらいっぺーちはうちのダーリンと同じで基本ヘタレだからイチコロだと思うんだよね! おー、ぐいぐいいってる! いけー! もっといけー! ちょこちゃん! そこだ押し倒せー! キスしろキス! キ〜〜ス! キ〜〜ス!! そらいけ今いけ! 同じギャルのよしみ! たとえダーリンとジュンジュンが怒ってもウチが許す! いけー!」
「はいはい、エリカちゃん。司会進行はちゃんと司会進行やってね? あとその水着姿で僕にぐいぐい近づかないで。達郎くんに悪い」
「いいじゃんいいじゃん! こういう楽しーのはとりまノリで乗り切ったらみんな楽しくてヤリラフィー! だし! 中継先のみんなも見てる〜♪ 出禁のさんぺー以外はいつでも途中参加オッケーだから男の子も女の子も水着に着替えてドンドン来い来い!! そしてみんなで幸せになろーぜぇぇぇ!! あっ、でもどさくさ紛れに水着のウチにわざとさわった男子がいたらソイツは殺すからヨロシクううううううう!!! ウチの肌に触っていい男子は! この世にダーリンだけ!! つまり! ダーリン超愛してる〜〜〜〜〜❤︎❤︎❤︎!! ラーブ❤︎ ラーブ❤︎」
『ガッピーピー……あー、エリカ。お願い、もうちょっと、もうちょっとだけ抑えて。俺恥ずかしいから……』
「は〜〜〜〜? そんなんイヤに決まってんだが? FOOOOOOO!! みんなアゲてけー!! フェスさいっこーーー!!」
「うんうん、エリカちゃん。これフェスじゃなくてお見合い会だからね? ……あっ、ダメだテンション振り切れてもう抑え効いてないや。アハハハ、ごめん達郎くん。やっぱりエリカちゃんのコントロールとか僕には無理だったよ〜♪ ……アハハ、そろそろ逃げようかな」
そんな司会者解説含め参加者全員きわどい水着着用の前代未聞のカオスすぎるお見合い会は大盛況に終わり多くの男女が新しくパートナーを得ることとなったでした。ちゃんちゃん。
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