【俺の女は】ハイスクールハックアンドスラッシュの世界に転生したけど、なんか質問ある?【俺のもの】 作:笛吹き用
7月6日(水)
週末をまたいで行われた三日間の期末テストも終わり、学園は夏休み開始までの短いインターバル期間に入ったが別に俺たちのルーティーンが変わるわけじゃない。そもそもこの学園のペーパーの定期テストなんてものにはほとんど何の意味もなく、学園側は日々のダンジョン実習の成果のみを重視してくるのだから俺にとってテスト期間とは朝からの普通授業や選択授業がテストに変わるだけであり、結局テスト期間中も決められたルーティーン通りにダンジョンに入っていたし、今日だっていつも通りトレーニングルームで汗を流していた。
ただルーティーンといえばダンジョンダイブのローテーションがあのお見合い会以前と以後で大幅に変わったことに触れないわけにはいかないだろう。
お見合い会の翌日の火曜日の放課後の教室。今度は今までのガチパーティ、今後は純くんに倣って今後はAパーティと呼ぶけどパートナーたち共々メンバー全員呼び出された俺たちは今後のダンジョン攻略の計画とスケジューリングの説明を受けた。
まず日頃のダンジョンダイブについて労われた後、今後の第拾階層以降の攻略についての説明を受けた。第拾階層以降は今までの第仇階層とは色々とルールが変わること。それに今のAパーティだけでは対応できないこと。その対策として俺が新しく迎え入れたパートナーたちとBパーティを結成したこと。だからといって俺はAパーティを抜けるわけじゃなく掛け持ちすること。ここで俺に促されてかのんたちがAパーティのメンバーに挨拶した。かのんはクラスメイトだからみんな当然知っているけど他のみんなは先輩だったり他クラスだったりだから挨拶させたんだけど……。
「はーい! 昨日いっぺー様にパートナーにしてもらいました二年で【
「ちょこちゃん、ちょっと! 申し訳ありません、同じくご主人様のパートナーにしていただきました二年で【
「は、はいっ! 先輩たちと同じく昨日一平さまのパートナーにしていただいた千帆です! あっ、一年でクラスは【
それぞれ立ち上がって挨拶した3人にパーティメンバー、特に俺以外の男子3人は三者三様それぞれに違う反応を見せた。
いつもの仏頂面のままだが、付き合いがある俺にはわかる程度に喜んで歓迎してくれた修斗。
単純にタイプの違う女が3人目の前に並んでいることでテンションを上げている蓮。
急に俺だけパートナーを増やしたこと、新しくBパーティのリーダーに選ばれたこと、それら全てが【グループ】上層部主導だったこと、さらなる優遇として何故か一軒家まで俺がもらったことに口では祝福しながらも不満が隠せなかった慎之助。
それを純くんは見逃さなかった。理路整然と今までの過程を説明し、慎之助の不満の根が新しいパーティのリーダーに自分が選ばれなかったことにあることを会話の中から見抜き、その理由を説明すると同時に今の慎之助に足りないものを指摘した。
心当たりがあったのか先日の俺のように机に額を押し付けて項垂れる慎之助。そんな純くんは慰めるようにまずは俺の代わりにパートナーを連れての修斗たちペアとの初心者引率ダンジョンダイブをしないか? と切り出した。
まずは今回新パーティのリーダーに選んだ俺と蓮や慎之助の違いは元々の資質の差ではなく、この一ヶ月ほどの間に俺が積み重ねた初心者引率ダンジョンダイブの前衛役という経験がもたらした成長だと思うと純くんは言った。
さらに初心者引率ダンジョンダイブに基本俺がパートナーのかのんを連れて行っていたことも成長にプラスに働いたと話を続け、ひるがえって慎之助はどうか? と尋ねた。
これが効いた。慎之助のパートナーは【
……ほんと純くんがやばいのはこういうとこよ。この一手で俺はBパーティでのダンジョンダイブに専念できるようになり、修斗は引率パーティから俺が抜けることによりいなくなる前衛役の代わりを確保でき、慎之助は今後の初心者引率ダンジョンダイブで今の自分に足りない資質を得ることができ、工房に篭りがちな職人の1人である八重先輩はダンジョンダイブの機会と愛する旦那さまとの逢瀬の時間が増え、そして今まで職人組を週に一度ダンジョンに連れだして引率していた達郎さんたちの負担がほんの少しだが減る。
そんな一石五鳥の妙手を繰り出して更にこの提案を受け入れて頑張ってくれたら、第三段階職クラスチェンジ時の達郎さんからのお祝い装備に関して自分が口添えしてもいいと言われて慎之助は完全に舞い上がり、燻らせていた俺への嫉妬心など全部どっかに放り投げてこれまで嫌々週一のノルマを果たすだけだった初心者引率ダンジョンダイブにやる気満々になったのだ。
こっわ! ちょっと引いたところから俯瞰して見てたからこそ分かるこの恐ろしさよ。切れすぎだろ、純くん! 本当に何気なく炸裂した純くんの神業にそれが理解できたその場の人間はもれなくドン引き。
これにより場の空気を完璧に掌握した純くんは矢継ぎ早に提案という名の事実上の決定事項を俺たちに伝えて颯爽と去っていった。
その中で一番大きなものがダンジョンダイブのスケジュールの変更である。
Aパーティによるダンジョンダイブが今まで初心者引率ダンジョンダイブを行なっていた火曜と木曜の二枠となり、逆に土曜と日曜の午前午後の合わせて三枠をBパーティのダンジョンダイブや初心者引率ダンジョンダイブに当てることにしたのだ。
そしてこの時今後の大目標として掲げられたのが、A・Bパーティ+α全員第三段階職クラスチェンジャーによる夏休み明けからの第拾階層以降の攻略である。
つまり俺たちはこの日から夏休み終わりまでの約二ヶ月を使ってのパーティ大育成を指示されたのだった。
即その場でパーティメンバー全員で話し合いがもたれ、この日俺はかのんたちBパーティメンバー+美由で第二階層へのBパーティでの初ダンジョンダイブへ向かい、修斗たちも同じく手すきの初心者を探しての初心者引率ダンジョンダイブへと向かった。1人あぶれた蓮はそれでもいつもと変わらない様子でぶらぶらとどこかに出かけたけど。
そうして始まった新しいローテーションは結構刺激的な毎日だった。Bパーティでは毎回今まで自分がいかに修斗たちに頼ったダンジョンダイブをしていたかを痛感させられ、逆に木曜のAパーティのダイブではいかに連携が整ったパーティでのダンジョンダイブが楽しいのかを改めて実感させてくれた。
それ以外にも面白い……? ことがあった。週末の本格的なBパーティとしてダンジョンダイブだが、なぜか全部の枠に豪華なゲストがいたのだ。
初回の土曜日はなんと達郎さんだった。ダンジョンダイブ前に部室に来るように伝言を受け取った俺たちが部室に向かうとそこには達郎さんの姿が。全員で思わず何で? って叫んだけど全く取り合わなかった達郎さんは四ツ葉のために【モンスターカード】の束を取り出して結局3枚も選ばせ、それだけでなくそのまま第二階層でのダンジョンダイブに参加し、ほとんど口出しも手出しもすることもなくただ俺たちのことを見てその日1日を過ごし何かに納得して帰っていった。
第三階層へ移動した翌日の午前中は先日のお見合い会の司会進行で弾けまくっていたエリカ。あの自分の女に過保護すぎることで有名な達郎さんがよく許したな!? と俺は絶句すらしたが、本人は何にも気にすることなく主に同じギャルのちょこと絡んで楽しそうにしていた。なお、楽しそうにしているだけでなくパーティ全体に気を配りながら先輩【
もっと驚いたのが昼食後の午後からのダンジョンダイブだ。俺たちが【
彼女こそ【グループ】内パワーランキング不動のNo.2。あの純くんすら一対一では絶対に勝てないと言い切る最強【
思わず声が出たね。「美亜子ちゃん!?」って。
開口一番「遅かったわね! さっさと行くわよ!」と有無を言わさず俺たちをダンジョンに引っ張り込んだ彼女はいきなり今の俺たちには場違いな第七階層既知内領域外縁部へとダンジョンダイブし、そこから道すがらあらわれる魔物たちを文字通り殲滅させながらものすごいスピードでダンジョンをさかのぼり、次々に有望な狩場の場所と注意点、そして位置情報を四ツ葉へ、そして俺にはツン99%の罵倒混じりにパーティの指揮官とはどうあるべきかをこれでもかと見せつけてくれた。
その傑出した【
とまぁ色々あった週末を乗り越え昨日のAパーティでのダンジョンダイブでは無事慎之助が第三段階職へと至った翌日の今日、俺はとても気分良くジムで身体を痛めつけていた。
そうしていつものように真紀せんせの指導の元、ランニング、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスのメニューを終えた俺がいつものようにフラフラでプロテインを摂りながらベンチに座っていると、視線の先にごく軽い筋トレメニューでも悲鳴を上げている俺のパートナー3人とその隣で黙々とバーベルスクワットをこなしているかのんの姿があった。
それを見ながらしみじみと思った。ジム用のスポーツウェアってほんとエロい! それが中身まで知ってる自分の女たちだと余計にエロい! って。
かのんのデカパイデカケツはいうまでもなく、スレンダーだけどちゃんと出るとこは出まくってる四ツ葉の身体のラインにピッタリ張り付く感じもたまらないし、かのんに負けないデカケツのちょこの尻のラインと金髪からのぞく汗に濡れたうなじのラインも最高だ。そしてワガママボディは2人だけじゃない。千帆のボンキュボンボディが柔らかさはそのままにしなやかでより魅力的なボディラインに変わっていく様子を見てシコるだけでマジで3発は抜けると俺は確信していた。
そんな彼女たちの艶姿を見ながら鼻の下を伸ばしていて今夜の夜の営みに思いを馳せていた俺は、この時近くまで近づいていた悪意に気づかなかった。
そしてこの直後、事件は起きる。
○ーーーーーーーーーー○
筋トレを終えた俺たちが汗を流そうとウェアを脱いで裸になりトレーニングルーム備え付けの大きめのシャワー室、その中でも多人数でも一度に使える一番大きな奥のシャワーブースに入ろうとした時にそいつらは現れた。
「ヒュー! エロくて可愛い女いっぱいじゃん! これが入れ食いってヤツぅ?」
「うわ、全員おっぱいデカくね? 特にあのちっこい奴、なんだよ、あのロケットおっぱい! すげえ。いいねぇ、燃えてきたわ」
「ひー、ふー、みー、よー、4人か。今夜は楽しくなりそうだなぁ!」
「いいじゃんいいじゃん、俺たちでローテーションで
異変に気づいた俺は真っ先に前に出てかのんたちを庇う。シャワー室の出入り口を占拠するように俺の目の前を塞いでいるのは上級生と思われるガタイのいい野郎が4匹。目的は単純、いい女を4人も侍らせた俺をボコってその後かのんたちを拉致って好きなようにする気なのだろう、どいつもこいつもその顔に浮かべたゲスい欲望を隠すことなく俺の身体の隙間から見えるかのんたちの裸体をジロジロ見ていやがった。
俺は苛立ちを抑えて声を出さずに軽く構える。自然と盾を前にするように左腕を前に右腕を引いた位置において奴らを睨みつけたまま相手の出方を伺う。俺の背後でかのんが背中に3人を庇いながら奥へと誘導してくれているのがわかった。ありがたい、これで前に専念できる。そう思いながら前を見続けていると、学園歴が長く比較的冷静なちょこと四ツ葉とは違い可哀想にこういう学園的なクソイベントに慣れていない千帆が怯えて泣き出したのが聞こえた。
てめえら、俺の女泣かせたな? 最初からMAXだった怒りゲージが上限突破するのがわかったが、それでも俺は迂闊に動かずフルチンのままバカどもと対峙し続けた。
こういう場合に一番良さそうな強行突破ののちに助けを呼ぶという選択肢はこの学園ではあまり良い選択じゃない。本来なら正規のパートナー関係である俺からかのんたちを奪おうとするコイツらの行為は治安部隊の制裁対象だ。だが今俺たちは裸でありそれを証明するバッチを身につけていない。だからこそ奴らは俺たちがシャワー室に入ったこのタイミングを狙って押しかけてきたのだ。もし治安部隊の介入があってもバッチがなかったと言い逃れることができ、俺が後からパートナーとしての権利を行使して学園に訴えてもこういうことには異常に腰が重い学園のこと、現場さえ押さえられずここで俺を黙らせかのんたちを拉致ってさえしまえばあとはどうとでもなると踏んだのだろう。
多分その筋書きは正しい。クソだがそれなりに頭が回るクソどもである。ただ現状は悪いことばかりでもない。
このせまいシャワー室であれば後ろに回り込まれる心配はないからだ。あとは不用意に飛び出してくるであろうバカを1匹づつ各個撃破して行くだけ。
俺の女たちの裸を見たこと、怯えさせたこと、可愛い千帆を泣かせたことの落とし前は絶対つけてやる。そんな煮えたぎった腹の奥とは別に思考はキンキンに冷え切ったまま、俺はこの場の最善手を選びその場に立ち続けた。
そうして対峙していること自体が奴らにとって生意気だと映ったらしい。
「オイオイオイ! 一年坊主! お前は黙って俺らに女渡せばいいんだ、ブフォ!」
不用意に近づいてきた先頭のバカの顎目がけて左拳を【
まず1人。
「テメェ!」
仲間をやられて頭に血がのぼった二人目のバカが不用意に飛び出してきたので、相手の右拳に合わせて【
2人め。
俺がただの一年じゃないと気づいた残りの2人が腰に下げていた武器に手を伸ばす。それぞれマジックアイテムらしきダガーとバスタードソード。ダンジョン外での武器は本来の性能を発揮することはないが、それでも真っ裸で素手の状態の俺にとって脅威であることは変わらない。しかもそれぞれの装備から見るにダガーのやつは【
状況が変わった。この手の狭い場所ではリーチの差が如実に出やすい。しかも肌が露出した状態で刃物と対峙するのははっきり言って最悪だ。せめて盾があればな、と舌打ちを一つ。しかもあまり長引かせると一旦片付けたバカ二人が起きあがってきかねない。賭けに出るか? と思うが、文字通り背中の大事なものを考えると下手にそれもできない。できないが、俺が僅かに迷っている間に向こうのほうが覚悟を決めたらしくもう待ったなしである。
ジリジリと間合いを詰めてくるバカ2人に俺も覚悟を決めた。一発もらってでもまず片方を潰す。その後、自分が死ぬまでにもう片方も殺す。
目に見えない互いの意思が絡み合い激突まであとほんの一刹那となったその瞬間、唐突に奴らの背後、俺の目線のさらにその先でシャワー室の扉が開いた。
「お前たち、何をやっている?」
そこには俺たちのパーソナルトレーナーにして学園教師の真紀せんせ、いや先生の姿が。
その声に振り返って隙を見せた推定【
それにより推定【
━━それが振るわれることはなかった。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」
「何を、している、と私は聞いているのだが?」
振り向いた俺が見たのは無表情のままバカが振りかぶったバスタードソードを握った右手のさらに上から自分の右手で握り、そのまま握りつぶしながら片腕でそいつを吊し上げている真紀先生の姿だった。
ベキベキベキという鈍い音が室内に低く反響する。背後から今度はちょこたち3人の悲鳴が聞こえた。当然である。大ピンチからいきなりのスプラッターだもんな。しかもやってるのがさっきまで優しく熱心に自分達のトレーニングをサポートしてくれていた真紀せんせだ。
シャワー室のタイルがボタボタと落ちる血であっという間に赤に染まっていく。
それからしばらくして男の悲鳴が止んだ。あまりの激痛にそのまま気絶したらしいソイツを無造作に投げ捨ててからいつもの人懐っこい真紀せんせに戻った彼女は俺たちに向かって笑顔で言った。
「災難だったねぇみんな。とりあえず汗、流しちゃおっか!」
その瞬間まで気丈にも耐え続けてくれていたかのんも緊張の糸が切れたのかその場でうずくまる。
笑いながら彼女を立たせて俺ごと全員シャワー室へと押し込もうとした真紀せんせの手を躱した俺は足元に倒れていた【
気持ち悪いぐらいに可愛らしい犬のビーグル犬の横顔を意匠化したそのバッチを右手で引きちぎってから真紀せんせに「ありがとうございました!」と勢いよく頭を下げ、泣きながら俺を待つ俺の女たちを慰め温めるためにみんなで温かいシャワーを浴びるのだった。
その間も奴らがどこのどいつかを示す犬のバッチはずっと握りしめたまま。そして顔は笑顔を作っていたが腹の中で煮えたぎる怒りもそのまま。
━━殺す。
ただそれだけ考えていた。
感想、評価よければお願いします。