ゆるキャン△ 少女達の秘め事 作:斉藤プロダクション
(どうしてこんなことになっとるん……!?!?)
犬山あおいは、恵那に連れられてやってきたホテルの一室で、ベッドに座りながら一人頭を抱えていた。
場の雰囲気に流され、半ばなし崩し的に了承してしまった今回のアルバイト。彼女の人生においてゆっくり登っていくはずだった大人の階段を、突如現れたエレベーターによってすっ飛ばされたような感覚に見舞われていた。
(……と、とりあえず、1回だけやから。それで無理やったらもう二度とやらんければええんや。……それに)
あおいはベッドの袖に置かれたスマホに視線をやる。
『無いと思うけど、もし途中で嫌なことされたり、無理だって感じたらこっそり連絡して。その時は私が絶対助けてあげる。あおいちゃんに嫌な思いだけはして欲しくないから、遠慮はしなくていいよ』
別れ際に真剣な眼差しで言われたセリフは、不安感が強かったあおいにとってかなりありがたいものであった。
(……ひたすらえっちなことしておいて、急に真面目な顔で話されたって。温度差で風邪引くわ)
深呼吸をしながら今から自分のすべきことを再確認する。恵那にアドバイスを貰おうとも考えたが『あおいちゃんのドすけべな身体はその場に立ってるだけでえっちだからなぁ』という言葉から早々に聞くことを諦めたのだった。
トントントン
「は、はーい!」
緊張で爆発しそうなほど鼓動を刻む心臓を押さえつけながら、あおいはノック音のした扉に向かう。
ガチャッ
「あ、えっと……」
「やぁ。君があおいちゃんかい?」
「は、はい」
「恵那ちゃんから話は聞いてるよ」
扉を開いた先に現れたのは、どこにでもいるような小太りのおじさんだった。顔が良いわけでも、スタイルが良い訳でもない中肉中背。街中ですれ違っても頭の片隅にも残らないだろう。
(……何か、普通の人やな)
「そろそろ入っていいかな?」
「あ、すんません、どぉぞ〜」
どんな人が来るのかとドキドキしていたのが無駄になったように思えて、思わず取り繕うことなくいつもの素が出てしまっていた。
「シャワーは別々で浴びるかい?」
「せ、せやなぁ、それでお願いします」
「はい了解。じゃああおいちゃん、先にどうぞ」
「おおきに〜」
促されるままにシャワーを浴び、備え付けてあったバスローブで身体を隠す。女性用とはいえ、大人用で女子校生のあおいにとっては少し大きめサイズのはずだが、発育の暴力であるその乳と尻を隠し切るにはほんの少し布の面積が足りていなかった。
(ちょっとこれ色んなところがギリギリやないの!///)
「お、お先に上がらせて頂きました〜」
パッツパツになったバスローブで何とか身体を抑えながら、ベッドで待っていたおじさんに声をかける。
「早かったね。じゃあおじさんも入ってくるよ」
そう言い残し、あおいとすれ違っておじさん脱衣所へと消えていった。
その際に感じた僅かな違和感の正体にあおいは気付く。おじさんからは、普段浴びせられるようなねちっこい視線を感じないのだ。見ず知らずの他人が、自分を性のはけ口としてしか見ていないようなそんな視線。それが彼からは一切感じられない。
『今日来る人は私のお墨付きだから♡きっとあおいちゃんも楽しめると思うよ♡』
恵那の言っていた言葉の意味が少しわかったような、そんな気がした。
◇
「はい、これ今日の分ね」
「あ、ありがとうございます」
「本番は無しってちゃんと聞いてるから、安心していいよ」
おじさんはシャワーを浴び終えると、鞄から茶封筒を取り出しあおいに手渡す。おずおずと受け取ったあおいは、持ってきたポーチにそれをそっと入れ、おじさんの方へと向き直った。
(せや、まずは挨拶からやっけ)
「あの、改めまして、斉藤恵那ちゃんの紹介で来ました、犬山あおいです。よ、よろしくお願いします……」
「うん、よろしくね。とりあえず座ろっか」
ついに始まるのかと思うと、また緊張が戻ってきて声が上擦ってしまう。とりあえずおじさんから座ろうという提案があったので、ありがたくベッドにぽすりと腰掛ける。
2人分の体重が乗ったことで小さくぎしりと音を立てて沈んだベッド。そんな些細な音でも今のあおいの耳には鮮明に聞こえてきた。
「あおいちゃんって何か部活してるの?」
「あ、はい、いや、部活じゃなくてサークル……で」
「そんなに緊張しなくても……っていうのも難しいかな。ただの世間話だから気楽に、ね?」
上手く言葉が出てこないあおいだったが、そんな様子におじさんは不快感を表すことなく、落ち着かせるようにゆっくりとした口調で話しかける。
「あ、ありがとうございます。……ふぅ。部活やなくて、野外活動サークルっていうのに入ってるんですよ」
「ほう、野外活動サークルかい」
「はい、放課後にみんなで落葉焚きしてコーヒー飲んだり、休みの日にはキャンプしたり」
「キャンプか!懐かしいなぁ。おじさんも学生の頃はよく友人とキャンプしていたよ」
「ほんまですか!」
「そうなんだよ。イーストウッドとか知ってる?」
「あ、そここないだ行きました!」
「あそこの管理人ね、実は僕の先輩なんだよ」
「えぇ!」
キャンプ好きという思わぬ共通点を見つけたあおいは、先程までの緊張はどこへやら。身体も意識も前のめりにさせながら会話を続けていく。
「二歳年上で、大学で所属してた登山部の部長だったんだよ」
「はぇ〜……意外と世間って狭いんですね」
「結構頑固な人だけど、面倒見は良いんだよね」
「あ、それ分かります。最初は怖い人かと思ったんですけど、初心者の私たちに色々教えてくださって」
「あはは。君みたいな可愛い娘がキャンプしに来たら誰だって構いたくなるさ」
「も、もう///」
「いやぁ〜それにしても、恵那ちゃんから聞いてたけどあおいちゃんおっぱい大きいねぇ」
「えっ///あ、ありがとうございます……///」
「バスローブからはみ出しちゃいそうじゃん」
「こ、これはちょっとバスローブのサイズが合わへんくて///」
「じゃあまずはそのおっぱい見せてもらおうかな」
「っ!///」
なんて事ない世間話から、急に自分のからだの話題になった途端。忘れかけていた現実へと引き戻される。
今日はただおしゃべりしに来たのでは無い。男の人とえっちなことをしに来たのだと。
「もしあれだったら脱がせてあげようか?」
「じ、自分で脱げますから///」
「あはは、冗談だよ。ゆっくりでいいから」
「っ!は、はい///」
本番に入りつつあるこの状況でも、自身のことを気遣ってくれるおじさんの優しさに感謝しつつ、ゆっくりとバスローブをはだけさせていく。
どたぷんっ♡♡
「うおっ」
「う、うぅ……///」
タオル生地によって強引に押さえつけられていた爆乳が、解き放たれたことによってついにその姿を露わにする。顔と同じくらいか、それよりも大きな乳房は、本来ならば重力に従って下へと垂れるはずだった。
しかし、女子校生という若さから来る乳の張りによって、あおいの爆乳はそれに逆らうように形をしっかりと保たせていた。
「でっっっかいな……ちなみに何カップあるの?」
「そ、その、G……です///」
胸を突き出し、男性にそれを見せつけるという行為はあおいの生きてきた十数年の人生において初めての行動だったはず。
それなのに、自分でも驚くほど自然に、なんの躊躇いもなくそれをやってのける自分に、不思議と疑問は抱かなかった。