※この作品はR-18です。

ちょっと風紀のゆるいアナグラ   作:弦弾

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お久しぶりです。
ある程度まとまったので、2071年の範囲が終わるまでしばらく投稿予定です。
GE主人公視点から、原作未プレイの人でもある程度流れがわかるように引用しつつ構成しました。そのせいで規約に引っかかるようでしたらがんばって修正します……。(たぶんガバは沢山ある……)
後半になるほどかなり駆け足なのであれかもしれませんが、やらかしてたらすみません……。

そして大事なお知らせですが。
エロ、一切ありません。(R18でやる意味……)

全8話で2071年のストーリー部分をやりきってから、閑話のような感じでエロ回を投稿していこうと思います。GE主人公側で三人称視点という構成上、ホムラ側が書き辛くなってしまったという特大ガバのせいです。申し訳も……。

原作プレイ済みの方々はおそらく大半読み飛ばしてOK。
笹木君の原作介入……その結果に、よろしければお付き合いください。


12:2071-1

『入りたまえ』

 

 少女は促されるままに、分厚い鋼鉄の扉の先へと足を踏み入れた。

 

 ゴッドイーター向けの訓練場。

 そう呼ばれる部屋は広々としていたが、物々しいほどに無機質でどこか威圧的だった。周囲の壁や床には巨大な銃創や裂傷が一面にありふれている。……自然と警戒心を抱いてしまう。

 

 中央には台座があり、フェンリルのロゴ……神をも砕く大狼の面が刻まれている。そしてそこには少女を待ち構えるように上下に分かれた赤い腕輪と、その横に安置された巨大なナイフ状の武器……神機が安置されていた。

 

 周囲には誰の姿もなかったものの、正面上方を見上げると観覧席のガラス越しに3人ほどの人影を見つけた。

 

『長く待たせてすまない』

 

 その中の一人、高価そうな白いコートに身を包んだ長い金髪の男性がスピーカー越しに声を響かせる。

 

『さて、ようこそ……人類最後の砦、「フェンリル」へ』

 

 左には手術着のような衣服を着た男性が。

 そして右側には赤い腕輪をつけた若い男性が気怠げに椅子に腰かけてこちらを眺めていた。……どこかで見た顔だ、と思った。

 

『今から対アラガミ討伐部隊「ゴッドイーター」としての適性試験を始める。……少しリラックスしたまえ、その方がいい結果が出やすい』

 

 そう言われて、初めて少女は自分の手が震えていたことに気が付く。

 

 ……”いい結果”でなかったときはどうなるんだろう、そんな考えが頭を浮かんだ。

 神機使いになるための適合試験はアルコールのパッチテスト程度の軽いもの、とフェンリル側から説明されていたが、どうにも危険な気配を拭えない。物々しい訓練場の風景がいっそうその感覚を強めた。”失敗”するとゴッドイーターのための武器である神機に食べられるとか、アラガミに捕食されないために接種するという偏食因子によってアラガミ化するなどといった怖ろし気な噂は数多くあった。

 

 ……その中のいくつかは本当の話なんだろう。だからこそ誰も少女のそばには降りてこない。

 これじゃあまるで試験というよりも実験だ。

 

 そう思いながらも、少女は心を落ち着けるためにゆっくりと深呼吸をした。

 

 ……どの道、自分には選択肢がない。

 親も、頼る身寄りもなく、友達もいない。

 仕事にもありつけず、食うにも困り果て、藁にすがる思いで適合試験を受けに来たのだ。

 これは死への片道切符……しかし退路はない、だから……やるしかない。

 

 覚悟をあらたにしたときには、少女の震えは治まっていた。

 

『心の準備ができたら、中央のケースの前に立ってくれ』

 

 指示されるままに中央へと向かい、上下半分に分かれた腕輪の下側に置くように腕を差し出す。

 ガシャン、とプレスが作動し、ギロチンのように落ちてきた上側の腕輪が片割れと接合する。右腕が圧迫され、押しつぶされるような感覚と皮膚下を走り抜けるぞわぞわとした感覚に耐える。数秒後、プレスから解放されると赤い腕輪が綺麗に収まっていた。それはもう、固着したように少女の右腕に密着し、剥がれそうにない。

 

 神機を握り、持ち上げる。

 見た目通りの重さに驚きつつも何とか持ち上げる。持ち手の少し上、黄色く輝くコアと呼ばれる球体から触手が伸び、少女の腕輪に差し込まれる。

 

 ……一瞬、自分の肌が黒い触手に置き換わったような、錯覚を覚えた。

 瞬きのうちにその幻視は消え、直後に神機が驚くほど軽くなる。受け入れられた、なぜかそんな感覚があった。

 

『おめでとう、君がこの支部初の「新型」ゴッドイーターだ』

 

 どうやら、自分は試験に合格したらしい。

 矢継ぎ早に流れる次の指示を聞き流しながら、どうにか今日のご飯にはありつけそうだ、と安堵した。

 

 ──そんな、どこにでもいるような少女のプロローグ。

 

 

 

 

「あれが噂の『新型』ですか。……思っていたよりも地味ですね」

 

 癖の強い、色合いの薄い金髪をぼさぼさに伸ばして目元を隠した少女をガラス越しに眺める。名前こそ日本人だが、容姿は欧州の印象が強い。ハーフだろうか。

 

 年齢は15歳と聞いていた。

 服装こそ新品の制服に身を包んではいるものの、どうにも着慣れていない印象で、今までは着るものにも苦労していたんだろうかと邪推してしまう。……それが極東支部初の新型ゴッドイーター、霊代(たましろ)アキの第一印象だった。見た目からは感情らしきものが伺えず、朴訥な雰囲気を漂わせている。直前に試験を行っていた藤木コウタは感情表現が豊かでいっそうるさいくらいだったので、なおさらその感覚は強かった。

 

「そうかね?君に負けず劣らずだと思うが」

「おっと人の容姿をけなすだなんて貴族の風上にもおけない。支部長ともあろうものがそんな発言をしていいんですかねぇ?」

「英雄の風格がある、という話さ」

 

 ……そんな風には見えなかったけどなぁ。メカクレ無口少女、という風体だったぞ。……胸の大きさを除けば、たしかに僕に負けず劣らずモブっぽい感じではあるが。

 まったく、支部長も口が上手いもんだ。

 

「さて、ご苦労だった。次の予定が詰まっているのでね、私は榊博士の研究室に向かうとするよ。君も通常の任務に戻ってくれ、笹木中尉」

「あいあい、ボス」

 

 そんな風に軽口を叩きながら訓練場の観覧室を出た。通常の任務とは言うものの、僕の仕事はお飾りの第七部隊隊長であり、つまり優秀な部隊員への指示くらいのものだ。要は「待機していろ」という命令と受け取った僕は、屋上で煙草をふかすことにした。かつてはフェンリルの英雄と呼ばれた人間も、今では仕事と称して煙草休憩に勤しむしかやることのない、窓際勤務の立派なヤニカスである。

 

 しかし……これからは少し忙しくなりそうだ。頭の中に、先ほどの地味な印象の少女を思い浮かべる。

 

「……英雄の風格、ね」

 

 

 

「オレは藤木コウタ!アンタは?」

「……霊代アキ」

 

「これから予定が詰まっているので簡潔に済ますぞ。私の名前は『雨宮ツバキ』。お前たちの教練担当者だ」

 

「君の直接の任務は、ここ極東地域一帯のアラガミの撃退と素材の回収だがそれらはここ前線基地の維持と、来るべき『エイジス計画』を成就するための資源となる」

 

 

 

 それから一か月の間、アキは訓練に励んだ。

 

 基礎体力の向上、神機使いの体術の獲得、基本戦術の習得、各種兵装の扱い、そして人類の天敵たるアラガミの知識。

 

 昼も夜もなく訓練に追われ、座学を講習し、演習で能力を試される。それは基本的な知識に欠如のあったアキにとって厳しい時間だった。気が付いたときには親もなく、食料を求めて外部居住区のあちこちをあてもなくうろつく毎日を過ごしてきたアキには、フェンリルがどうとか偏食因子がどうのと言われてもさっぱりわからない。高等な戦術を示されても、神機を持ってアラガミをぶった切ればそれでいいんじゃないの?と安直な考えでいた。そこに毎日毎日訓練をしながら洪水のように知識を流し込まれ、覚えるまでテストが続くのである。テストに合格できなければ罰があり、罵声の中でさらなるトレーニングを命令される。慣れないアキには地獄のような苦しみだった。

 

 ──しかし、飢えに苦しみながら極東の各地をあてもなくふらつくことに比べればずっといい。

 

 それがアキの抱く感想だった。

 食事と眠る場所が常に確保され、それらに意識を割かなくていい。眠るときに物取りに警戒しなくていい。アラガミのうろつく街で過ごさなくていい。

 

 安心して眠れるベッドと自室、それと巨大トウモロコシ。

 それだけでもう天国のような環境だ、と開き直ったのだ。

 

 そのため、アキは非常に前向きな気持ちで訓練についていくことができたのである。

 

 他にも問題は生じた。

 アキにとって定住は初めてのことで、そのために規律ある集団生活へと馴染むことは困難だった。毎朝同じ時間に起きて、スケジュール通りに行動し、翌日のために適切な時間に眠る。それだけのことが難しかった。一般的な社会常識がいくらか欠如していたのである。

 

 ただ、これは幸いにも同日に適合試験を受けて同期となった新人、藤木コウタが親切に教えてくれたことで、さほど大きな障害にならなかった。訓練自体も横でコウタが不平不満を吐き出しながらもへこたれずに続けていたことで、自然と歩調を合わせて進むことになった。そうやって訓練課程は順調に消化されていき、アキは得難い友人の協力に感謝の念を抱きながら、新人ゴッドイーターとしての訓練過程を終えたのである。

 

 そうして二月の初日。

 

 ついにアキも初陣を迎えることになった。

 対象はオウガテイル。極東における伝統的な初戦闘の相手である。 

 

「ここもずいぶん、荒れちまったな……おい新入り、実地演習を始めるぞ」

 

 第一部隊隊長、雨宮リンドウ。

 アキの初陣に付き添うことになった上官が号令を掛けた。

 

「命令は3つ。死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで、隠れろ。運がよければ不意をついてぶっ殺せ……あ、これじゃ4つか?」

 

 おどけたように手のひらを上に肩を竦めたリンドウに対し、アキは命令を生真面目に頭に叩き込んでいた。

 

 死なない。

 死にそうになったら逃げる。

 そして隠れる。

 運がよければ不意をついてぶっ殺す。

 

 それだけ。

 ……それだけのことでも、上手くできずに死んだ人がどれだけいるのだろうか。

 

 だからこそ、『それだけ』のことを精一杯果たそう、と思った。

 

「ま、とにかく生きのびろ。それさえ守ればあとは万事どうにでもなる」

 

 たしかに、とアキは経験から来る共感を持って頷いた。生きてさえいればどうにでもなる。

 

 一足先にリンドウが街に降り立つ。

 一呼吸置いて、アキもまた戦場に飛び込んでいった。

 

 

「──任務達成ご苦労。まあ、こんなもんだな。……あー、ところでお前、体調になにか変化はないか……?こう、妙に火照ったり、気分が悪かったり……あ、ない?全然なんとも?やせ我慢……ってわけじゃなさそうだな。……これも新型の違いってやつかね。よし、もし今後体調に変化があったら俺でもサクヤでも、博士やオペレーターでも構わないから伝えるように、いいな?」

 

 無事に初陣を果たした新型神機使い霊代アキ。

 帰投後はシャワーを浴び、食堂で夕食をかきこみ、夢も見ずにぐっすり眠った。

 

 他の旧型ゴッドイーターが任務の後、特有の『体調変化』に襲われることをこの時の彼女は知らない。

 

 

 霊代アキの初陣から数日が経った。

 その間にオウガテイルをはじめとする幾つかの小型アラガミを倒し、戦場の雰囲気を掴みつつあった。

 

 ──新型神機。

 アキに与えられたそれの利点は近距離式神機と遠距離式神機を融合させ、それぞれのパーツを即座に換装できるようにしたいいとこ取りにある。

 

 アラガミが近くにいれば神機で斬り、隙あらば捕食して神機を解放する。離れればすかさず銃で狙い撃ち大ダメージを与える。隙がなく、一人で何役もこなしながら、同時に捕食で奪ったアラガミの能力を弾丸に換えて、それを撃ったり仲間に受け渡すことで仲間の能力をも強化することができる。戦場のジョーカーとも言える高度な柔軟性を持つポジション……それが新型神機でありその神機使いの役割だった。

 

 それゆえに、今更ながらに”極東支部初の新型”という呼称に掛けられた期待の重さを正しく把握しつつあった。遠近両用の新型神機、正しく運用されれば多くの戦局を変える……しかし、使いこなせなければ任務の失敗に繋がり、周囲の期待は失望に変わるだろう。

 

 現状を正確に理解しながらも、アキの心情に変わりはなかった。やるべきことは変わらないからだ。

 戦場でのアキの意識は、4つの命令をこなすことにのみ向けられている。

 

 任務の合間に、極東支部の技術開発のトップである榊博士によるアラガミに関する講義を受けたり、同じ部隊員の橘サクヤと戦場に赴いたりということもあった。

 アキは同性の先輩であるサクヤとの任務に際して、ゴッドイーターに関する”性欲”の問題について知らされていた。

 

 神機を用いることで発生する爆発的な性衝動。初陣後の上官の意味深な態度はそれか、と見当をつけつつ、一般的とされる性欲という問題が自分に発生しなかった理由に首を傾けた。……性欲そのものはあるし、なんなら戦場で命のやりとりをしたことで強くなっている自覚はあった。……しかしそれはサクヤの刺激的な服装が戦場で踊るチラリズムのせいではないだろうか。つまりわたしは悪くない。ついついオナニーが捗っても仕方ない。

 

 しかし、理性が蒸発するほどの性欲求には心当たりがない。

 アキが処女だからだろうか。

 

 いちおう、男性器に対する憧れのような感情はある。プレイルームと呼ばれる慰安施設があり、そこに行けば手軽に快楽を貪れることも既に知っているし、なんならその辺の一般神機使いに声を掛ければさらっと一戦できることも承知している。任務後にはやはりムラつくし、つい男性の股間や麗しいサクヤの横乳、オペレーターのヒバリの尻に目が向いてしまう。が、無理やり押し倒してやろうとは考えないし、自慰行為で十分発散できている。

 

 ならばそれが新型の特性なのだろう、とサクヤとの話し合いで納得に至った。いちおう榊博士によるメディカルチェックが行われたが、それに関する異常は見受けられなかったという。それによって旧型の神機使いにおける問題点が新型では克服されていることが確かになり、新型への期待がさらに高まることとなった。

 

 

 ゴッドイーターの強すぎる性欲はかねてからフェンリルを悩ませる頭痛の種だった。

 ゴッドイーターへの福祉の一環としての性産業とそれによる風紀の紊乱、そしてそれに根差したハニートラップ汚職など、フェンリルの統治統制を腐乱させる一因となっていたからだ。

 

 しかし、ゴッドイーターの肉体の頑強さに一般人が対抗できるかという点や、人類のための神機使用による理性の蒸発を罪に問えないこともあり、強姦の発生確率を減らすためにも一概に禁止することは不可能だった。それらの問題点を根本的に解決し、性産業への傾倒を抑止すると思われる新型神機使いの増加に対する希求は強いものとならざるを得なかったのである。

 

 

 そんな裏側の事情を知らない当の新型神機使いは、今日も新たな任務へと出立していた。

 

 ──鉄塔の森。

 かつて化学工場があったという跡地に向かったアキは、任務開始地点を降りて先行したという先輩ゴッドイーターたちの姿を探す。

 

「おーい」

 

 そんなアキに向かって遠くから手を振りながら呼びかける男性の姿が見えた。そのままアキの方へと向かってくる。その後方にはもう一人、金髪の男性が立っている。

 

「君が例の新人クンかい?噂はきいているよ」

 

 赤い髪を気障にかき分けながら話し始めた。

 上半身にコンパクトなノースリーブジャケットを羽織っただけ、という一歩間違えれば露出狂の恰好をした男性である。地肌の大部分には黒い刺青が見えて、いかついとお洒落の中間点と表現できそうだった。……アキには想像もつかない大胆な恰好に、少し尊敬の念を抱いた。

 

 その先輩神機使いのサングラス越しの瞳がアキをしっかりと見据える。

 

「ボクは『エリック』。エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。君もせいぜい僕を見習って、人類のため華麗に戦ってくれたまえよ」

 

 挑発とも激励とも取れる内容だが、そんな言葉を吐くだけあって男は歴戦の雰囲気を漂わせている。

 アキは頷きを返すと、……同時に身構え、迎撃体制をとった。エリックの背後の高台にオウガテイルの姿を捉えたためである。

 

 そのままオウガテイルは跳躍すると、まだ気づいていない様子で心地よくアキに語り続けるエリックの頭上へと飛び掛かった。

 

 危ない、そう思った刹那、

 

「エリック、上だ」

 

 もう一人の男がエリックになんでもない口調で呼びかける。

 それと同時、エリックはぬるっとした滑らかな動きでオウガテイルの攻撃を回避した。

 

 危険域を脱したエリックが反転して銃を構え、

 

「──はい、躱してズドン、と」

 

 言葉通り、ズドン、という砲音とともにバレットを撃ち放つ。

 オウガテイルは煙を上げながらゆっくりと地に倒れ、そのまま動かなくなった。

 

「ソーマ。──せっかく気づいてないフリをして会話を続けながらオウガテイルを倒す強者先輩ムーブをしようと思ったのに、台無しじゃないか」

 

 どうやら、気づいていないように見えたのは演技だったらしい。

 

「お前はフリなのか本気なのかわかりづらい」

「それでも、頭上から来るタイプの攻撃は100%気付くよ。そこだけは我らが頼もしき鬼教官に徹底的に鍛えられたからね……」

 

 と、サングラス越しでもわかる死んだ目で語るエリックからは哀愁が漂っていた。……よほど大変な訓練を受けたようだ。そのまま「鉄の雨が……鉄の雨が……」と呟き続けるようになってしまったエリックに、「そいつはしばらく放置しとけ、ただの訓練のやりすぎだ」ともう一人の男は指示した。

 

「ようこそ、クソッタレな職場へ。俺は『ソーマ』……別に覚えなくてもいい」

 

 口調こそ荒々しいものの口元は柔らかく笑んでいて、ひとまず歓迎されているらしいとわかる。

 

「今のはエリックだからなんとかなったが、本当はお前が動くべき場面だった。先んじて注意を促すか、撃ち落とすか、盾で防ぐか。どれもしなかったのは明確な判断ミスだ、他の奴だったら死んでいたかもな」

 

 ……たしかにそうだ。武器を構えた自分は、自分の身だけを守ろうとしていた。エリックが自力で対処できたのは運が良かっただけだ。……どうやら自分は訓練兵気分が抜けていなかったらしい、とソーマの叱責によって甘さを痛感する。

 

 ソーマは巨大な黒い鋸剣をアキに突きつける。

 

「──お前は、どんな覚悟をもって『ここ』に来た?」

 

 なんてな。 

 ソーマは笑い、剣を下げて肩に担いだ。そして振り向き目的地を見据える。

 

「時間だ。いくぞルーキー、……いい加減起きろエリック」

「……躱してズドン……躱してズドン……マスク・ド・オウガは周回に有利だけど心を責めるからやめろ……ん?ああ、そうだね、華麗なボクの華麗な戦いぶりをとくと目に焼き付けてもらうとしよう!」

 

 意味不明なひとり言をぶつぶつと呟き続けていたエリックもソーマの一言に我に返った。

 ……華麗かどうかはわからないが、さきほどの一幕で学ぶところの多い先輩だということがよくわかった。少なくとも回避技術はアキの数段上にいる。 

 

「背中は俺たちに任せて好きに暴れろ。……期待してるぜ、ルーキー」

 

 その言葉が戦場へと走るアキの背中を優しく押す。

 迷いなく進む彼女の前に現れた小型アラガミの群れに向かって、神機は軽やかに斬りこまれていった。 

 




特に刺激もないので短め×8話分の予定。たぶん連日投稿します。

霊代アキ(15) [1] 
2071年フェンリル極東支部入隊。
物心ついたときには一人で外部居住区のスラムを飢えながら彷徨っていた孤児。
ある意味でゴッドイーターにならないことを選んだ場合の笹木ホムラ。
性格は無口ながら仕草で感情表現するタイプ。仕草だけなのになぜかうるさい。根が明るく社交的だが唐突に奇天烈なことをする変人。あまり発言しないが声は可愛い。
外見イメージはTS加賀美リョウ。しっかり金髪にして天然パーマ並みのふわふわボサボサかつメカクレにした感じ。瞳は翠色で肌は白い。海外とのハーフっぽいが出自がわからないので詳しいことは不明。着やせするタイプだが発育は良く、極東支部内ではトップ3に入る巨乳。しかしメカクレのせいかコウタには見向きもされない模様。なお、入隊前は栄養不足だったがそれが補われた結果さらなる成長を続けている。
神機:ショート/ショットガン/シールド
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