※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編   作:CHACOとJAGUAR

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※割り込みエピソードです。今回の忠烈編がどのような立ち位置にあるのかがわかりやすいように追加しました。


『ホーデンエーネン王国暦 388年1月16日』

 アスカウ地方はキンキ大陸南部の、ちょうど中央にある。

 

 その中心、ヤマート大河沿いにあるアスカウの村は、ホーデンエーネン王国の創業の地でもあった。

 

 西に王都があるナントブルグ盆地が、東にはシギサンシュタウフェンといった小領主が棲み分けている天然資源豊かな東部山岳地帯があり、南はヤマート大河の下流やナガオカッツェ山地が伸び、王国南部で最も肥沃なヨーシデン平野が広がっている。

 

 アスカウはいわば、交通の要衝と言えた。王家がナントブルグに拠点を置いてから発展は滞ってしまったが、小さくはない宿場町があり、そこには王国一の物流会社が本拠を置いていた為、経済的にはそこそこに豊かな地域でもあった。

 

 しかしこの時、ホーデンエーネン王国暦で言えば388年の頃のアスカウの街道町は、対岸にあるタカイチゲンシュタットと比べて著しく衰えていた。

 

 3年前のナガオカッツェ地方で起こった大規模反乱に乗じた賊により、その殆どを滅ぼされたからだ。

 

 かつて往来がひっきりなしだった宿場は寂れ、その時に焼かれた家屋もそのまま放置されていた。

 

 王国一の物流会社も略奪と創業者一族の殺害を受けた後すぐに、タカイチゲンシュタットに本拠を移していた。

 

 焼かれたのは街道沿いにある中心地だけではない。街道の南北にある農家の集落や、北の奥にある牧童の村……それこそ、ホーデンエーネン王家の本当の先祖の地は、その全てが廃墟と化していた。

 

 アスカウ公、という名称もこの時既に無かった。かつての大公・コリアンナ=シュミットは、王国が接収したナガオカッツェの北部に転封されていた。公式では『北ナガオカッツェ公』と呼ばれている。

 

 その理由だが、アスカウの中心地を賊の欲しいままにさせ、彼女の娘2人とその子供達を討たれたからだ。

 

 コリアンナの娘2人は、王家の親族衆にあたる、ヨーシアキレウス=ホーデンエーネンの実子だった。王家に連なる尊い姫を、無残にも賊に害させてしまったのだ。

 

 そして若きジュンサイン王の署名を記した弾劾状を彼女は叩きつけられた。彼女は母親が築き、叔母や前の国王が支援した、堅固なアスカウ城を退去せざるを得なかった。

 

 しかし賊に襲撃された時、彼女は別の仕事があった。東部で起きている紛争に、手勢を率いて向かっていたのだ。

 

 そうしてアスカウは王家の直轄地となった。ホーデンエーネン王家は再び、この創業の地を取り返したのだとも言えた。

 

 アスカウは交通の要衝として復興するはずだった。農地や牧草地に再び手が加えられ、かつての豊かな田園が蘇るはずだった。

 

 しかし、若きジュンサインとその母であるレーア=カツランダルク、彼女達の後ろ盾であり国の実権を握るケノービ=ソーローはここを放置した。彼等の目はただただ、王都があるナントブルグ盆地にだけ向かっていたからだ。

 

 この3年間、アスカウは朽ちたまま、人が棲みつかず寂れたままだった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 しかし今、この寂れた村にはいくつもの天幕が張られ、疲れ切った顔の貴族の一家や険しい顔の騎士や兵士達がうろついていた。

 

 至る所で怒鳴り声があがり、宿場には薄汚いゴミや争いで斬り殺された者の死体がそのまま放置されていた。

 

 あちらこちらに糞尿はまき散らされ、衛生状態も悪くなっている。寒さと汚い飲み水で病気になった者も出て来た。

 

 街道の南側からやって来たその一団の主、髭をたくわえていたが見るからに若く端正な顔立ちで、頑丈そうな体つきの偉丈夫は、街道の惨状を見てため息をついた。

 

「これが、いくさ旅に慣れた尚武の国のお歴々が為すことでござるのか?」

 

 その男と馬を並べていた少女が、彼の表情をじっと見る。鎖帷子をまとっている、とても美しい顔立ちの娘。

 

 太く凛々しい眉に大きな瞳。整った鼻と小さくもはっきりとした唇。何よりもその蒼にも見える黒い髪は艶やかだった。しかし目は据わっており、美しさよりも険しさが際立っていた。

 

「おじいちゃま、逃げ込んだ連中は、遺体を葬る習慣が無いようじゃな? 人の心というものがどこにも見当たらぬぞ」

「おおよそ下々の者のご遺体だからでござろう、姫様」

「……情け無し。これがホーデンエーネンの貴人が為す事かッ!」

 

 姫と呼ばれた少女は馬から飛び降りた。颯爽とした軽い足取りで、朽ちかけていた遺骸を抱え上げる。

 

「皆の衆、拙者らも姫様に続くでござる!」

 

 おじいちゃまと呼ばれた若い顔の男と共に、その一団は馬を降りた。その中にはかつてのアスカウ公だった美しきコリアンナ=シュミットがいれば、病身をおして鎧に身を包んだナガオカッツェ家の元隊長・ルートヴィッヒ=ベートーベンの姿もあった。

 

 街道やその周辺で遺体を探し、集めるとシャベルや土穿ちの魔法で墓穴を掘った。

 

 穴の中に遺体を納めると、その少女とおじいちゃまと呼ばれた男を含め、皆が印を切る。墓穴の中から火が起こった。辺りに熱気が立ち込めるほど激しかった。肉はおろか、骨までも焼け崩れて灰となった。

 

 こうして遺体を火に焼くのは、疫病の元になるからだ。それと、死者の魂というものは必ず次の生へ向かうものだから、遺体を残しても意味が無いのを皆が知っていた。

 

 アスカウ城の物見台の見張りが、連なって立ち上る黒煙を見て、守将らに報告した。髭の若者と若い姫、その2人が率いる一団は迎えられ、その時のアスカウ城のあるじの元に招待された。

 

 先の王であるジューンショーン王と若くして亡くなった妻、フレッダとの間に生まれた姫2人。この年で28になる彼女達は双子だった。

 

 美しさは申し分は無かったし、豊かな肢体を包むドレスは、彼女達の美貌を際立たせていた。

 

 しかし顔立ちはどうにも、頼りなさを感じる。どこかゆるりとしていて、どうにも意志が感じられぬ。

 

 どちらもすでに4人や5人の母親だったが、暖衣飽食に飽いたお嬢様という様子が、全く抜けていないようだった。

 

 2人の姫は夫と子どもら共に本丸の門の前に立ち、一団を率いていた2人を見かけると、軽く手を振ってにこやかに微笑んだ。

 

 しかし2人を見た黒髪の少女は、こめかみを引きつらせていた。

 

「おじいちゃま。今からわらわがやることに黙っていてくれ」

 

 髭の男が握っている指揮棒を渡せ。そう言って彼女は右手を伸ばす。

 

「『氷雪の栄光』を。姫様は何をなされるおつもりか?」

「トーリおばあちゃまの代わりに叱り飛ばすだけじゃ」

 

 姫の形相を見た髭の男は、そのずしりとしたものを手渡した。

 

 それを受け取った彼女は馬から降りて、髪を振り乱しながら駆けだす。彼女の表情を間近に見て凍り付いた2人の姫はおののく。逃げようとするが少女の脚は速かった。鎖帷子をまとっていたのにだ。

 

「都の護りをウルフリートちゃんに押し付けて! 貴様らは何故ここに逃げておるのじゃ!!」

 

 懇願する王家の姫2人に少女は容赦しなかった。硬い棒で彼女らの肩や胸を叩きつけ、泣き叫ばせた。

 

「開城の交渉は終わったのかッ! 先に逃げては王家の恥、情けなしだとは思わなかったかッ!!」

 

 叩くのはやめて。

 

 いじめないで。

 

 彼女達はそう懇願するが、少女は叩き続けた。

 

 止めようとする姫達の夫や兵士、あるいは子供達を振り払い、小突いては泣き叫ばせ、とうとう自分達が悪かったと泣き出した。

 

 少女は叩くのを止めた。ただ、この2人を侮蔑した視線を注ぐだけだ。紅い瞳で。

 

「ひめさま、もうよろしかろう?」

 

 近づいた髭の男が呼びかけると、彼女はオーガの古代文字が刻まれた指揮棒を返した。鋭い目つきは嗚咽する前王の娘達に注いだままだった。

 

「……これではだめじゃ。ホーデンエーネンは国じまいするがよかろうて」

 

 姫たちは激しく叩かれてしくしくと泣いたままだ。たとえ骨を砕かれたりしても、泣かずに怒鳴り散らすかにらみつけるぐらいが、大国の姫にふさわしい気位だろうにと少女は吐き捨てた。

 

「王の娘がこんな根性無しではどうにもならぬわ。しかもこやつらは先王の嫡子じゃぞ?」

「……まだ、この子らの弟君や妹君もおられる。ちゃんと鍛えなおせば王国は安泰ではござらぬか?」

 

 少女は半ばあきらめを浮かべた首を、横に振った。その子たちも王都にいて防戦を指揮した義理の弟や『大叔父』からの手紙でどんな子たちかを聞いていた。

 

 到底、動乱が続く王国を背負える性格ではなかった。泣き続ける2人の姫たちのように、心根は優しくて争いを嫌っていた。

 

「ジューンショーンちゃんの子たちは皆、平和な世でなければ生きられぬ子ばかりじゃて……」

「では、ジュンサインどのはいかがでござる?」

 

 ジュンサイン。

 

 この少女の政敵の息子である。今のホーデンエーネン王国の王だ。母親とその義理の父の言いなりだが。

 

「そうじゃな。あの操り人形が、まだ生きていればどうにかなるかもしれんな」

「しかし拙者は……この国の皆々様がたは、姫様こそを……」

 

 それを聞いた少女は怒鳴った。

 

「馬鹿なことを言うでない! カツランダルクの家こそが、この国の呪いそのものじゃ!」

「しかし、姫様の英邁さがあれば……」

「個人の資質などどうにもならぬ! 妾のおとうちゃまがどんな最期をたどったか、おじいちゃまは存じておろう!」

 

 少女の父親だけでない。父方の祖母や母方の曾祖母、そして、少女の母方の祖母は皆、王国の頂点に近づきすぎたせいで不運きわまりない生涯を閉じた。この2人の姫の母親もだ。

 

 少女は烈火のごとく怒っていた時とは違い、か弱く項垂れた様子でうつむく。

 

「妾にも……シオリにも、カツランダルクの呪われた血が流れているんだよ? この一族は権力に近づきすぎてはいけないんだ。必ず、ナントブルグの女王たちの怨念が降りかかるんだよ!」

 

 だからこそ自分は遠いムーツ大陸の、ニガタケグラード公のあるじとなり、ワターリの前の王である老ハルムノフと、クノーヘ公となったキン=センの妾となった。

 

 これは自分なりの、権力からの身の処し方でもあると彼女は言った。この17の歳まで権力に近い者の子を3人も産んだが、どの子らもキンキ大陸から遠ざけていた。

 

「そうやって、カツランダルク家の、ナントブルグ王国の末裔の、呪いに満ちた宿命を終わらせる。それがひいおばあちゃま、いや、シオリコママに、わたしがしてあげたかった事なんだよ?」

「前世からの願い、でござったな?」

 

 少女はゆっくりとうなずいた。目に涙を浮かべていた。

 

 彼女の名はアーノンレンシ=ホーデンエーネン。あるいは、アーノンレンシ=カツランダルクとも。

 

 そして彼女の曾祖母に当たるマイヤ=カツランダルクは同時に、この娘の前世の母親でもあった。

 

 前世での名は高坂詩織。

 

 あまりにも惨い死に方でこの世界にやって来た、無念を抱きながら生まれ変わった転生者でもあった。




ここまでお読みいただきありがとうございます。
次からは『サーガ本編』となります。

セクシーな挿絵をどうぞ。

【挿絵表示】


以下はリンクです。(別サイト)


削除したエピソードはこちらでご確認ください。
題名はSEО対策です。

本編
『聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜』です。
現在ハーメルン版と同じく聖王編まで掲載。
主人公イズヴァルトがちんちんをぶんまわしながら世界を渡り歩き、マイヤやスケベな女達に搾取されるお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837

外伝1 マイヤとトーリが主軸のお話です。
 『前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆』
トーリとマイヤとそのご先祖について、そのご先祖の家来筋のイーガ魔法王国の王子の物語と、覚醒したトーリがホーデンエーネン王国の実権を握り支配し、凋落するまでのお話となります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728

外伝2 本作の重要人物、魔法戦士ヘラのお話です。
『転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604


以下は旧版のイズヴァルト。題名はSEО対策です。
(内容は大体一緒ですが、細部がいろいろと違います。)

『エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。
』
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/


以下のは、副産物となります。

爆焔のダークエルフ
https://h.syosetu.org/novel/378655/

サキュバスレストランへようこそ! Hルート
※別サイト。エロをマシマシにした改稿版です。
https://novel18.syosetu.com/n1061iv/
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