聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編 作:CHACOとJAGUAR
同じ頃。ヤマート大河に架かる大橋のアスカウ側では、沢山の人が集まっていた。
河の向こう側、渡しの反対側の岸を囲っていたアスカウ公の城塞の、物見櫓に立った狙撃兵は最初、タカイチゲンシュタット側で騒ぎが起きたから集まりだしたのだろうと思っていたが、どうも様子が違うと思い望遠鏡でのぞき込んでみた。
どうも集まったのは人だけでなく、馬や牛が牽く荷車もあった。
荷台には古い木材や古藁、それから壺の様なものが山の様に積まれており、アスカウの住人らが何をするのかなんとなくだが予測できた。
見張り兵は櫓の下にいた同僚らに、上へあがる様にと呼びかけた。何名が階段を昇ってやって来ると、彼は望遠鏡を差し出した。
「見て見ろ? アスカウの奴らめ、火攻めをしかけてくるつもりらしい」
笑えるだろうと見張り兵は言った。ヤマート大橋はおおよそ100メートル以上もの長さがあり、そこまでの距離ならば城壁からのつるべ打ちで容易に追い払えると考えていた。
「どうする?」
「小癪な奴らだ。火牛計をやるにしても、石造りの城と鉄門を落とすなど無理だろう。脅してやるとするか」
同僚の1人がそう言って、もう1人が鉄砲に弾を込め、狙いを定めた。
弾は橋に薪を置き終えたばかりの大男の右肩に当たった。その男が倒れるとアスカウ側で悲鳴があがり、集まっていた者達は牛や馬の手綱を引っ張りながら逃げ出して行った。
「フン、他愛もない。あんな腰抜けどもでは俺達を殺すなんぞ、到底できやしないだろう!」
「まったくだ! あははははは!」
しかし彼等はわからなかった。これはアスカウ側の挑発であり、罠であった。
橋で起きた城側の狙撃について、その場にいたアスカウ公お抱えの女魔道士がある人物らに、念話術式で知らせていた。
村の北西2キロ、ヤマート大河を越えたあたりの森の中に潜んでいた一団がそれであった。
おおよそ20名。カントニアのツックイーの森の白エルフばかりだが、うち4名はニンゲンの女であった。
その内1人は蒼にも見える黒い髪の若い女。アーノンレンシ姫の祖母で、絶世の美女と言われたトーリ=カモセンブルグと面影が似ている女だった。
「アスカウの城を落としやがっただけでなく、住民にも危害を加えた。これで大義名分はついた、ってわけだね?」
エルフ達に呼び掛けたその女こそ、アスカウ領の当代、コリアンナ=カモセンブルグ。重度の
「ニンゲンはしょーもねえことにこだわり過ぎズラ、ちゃんちゃらおかしいとは思わんのか?」
そう毒づくのはツックイー=エルフの女戦士、パオレッタ=マツダムル。美しいがどうにも気が荒らそうな顔立ちだった。
その隣に、パオレッタによく似た顔のマリアというエルフがいた。彼女の妹であった。どちらもイズヴァルトの愛人だった。
「でもなあ姉さん、城を分捕られて兵士と住民をいじめられたら、アナキンというぼうずをやっつけても王様からはお咎めは下されねえ、ってことになるズラよ?」
「そういうことさ! ではアナキンのくそ野郎をぶちのめしに行こうか!」
エルフ達はやる気のない声で、えいえいおー、と声をあげ、各々の乗り物に飛び乗った。エルフ達は馬だったが、コリアンナと他3人のニンゲンの女は、白い狼の様な姿の魔獣だった。
一団は走りだした。コリアンナ達4人のニンゲンは後方にあった。本当は狼の魔獣のほうが脚は速いのだが、エルフ達のほうが遥かに強い為にさがっていたのだ。
一団はあっという間に森を抜け、野原に出た。先頭を突っ走っていたパオレッタが下がって来て、コリアンナに言った。
「アナキンのくそぼうずはイズヴァルトさんに任せて、オラたちはその後ろに向かうズラよ」
「どうしてさ?」
「のろまなベートーベンさんたちの部隊を救う為にきまってんだろ? ナガオカッツェから来ているあいつらが、一番の『おにもつ』ズラよ?」
ひどい言い方ではあるが正しかった。イズヴァルトがアーノンレンシ姫救出の為に連れて来たのは、彼と知りあった各大陸の猛者ばかりだった。
しかしルートヴィッヒ率いるナガオカッツェの猛者も、なかなかに侮りがたき連中ばかりであった。
包囲されてから20分過ぎ、8人のうち討たれたのはわずか1人のみ。ベートーベンを含む残り7名は、傷つきながらも円形陣を組み、50名ほどの相手に一歩も退かず奮戦していた。
「……すげえ。感動しているぜ、ほんと、マジで!」
そうつぶやいたのは敵方の隊長・ルーク=スカルファッカー。彼はルートヴィッヒと重く打ち合い、つばぜり合いながら目を大きく見開いて輝かせていた。
「あんたら、マジでツええよ! イズヴァルトさんに徹底的にシゴかれてそうなったのかい?」
背後の味方と己の左右を気にしながら、のしかかろうとするルークの右腿を蹴り上げた。
「うっせえなあ! こいつらは俺が1からシゴき倒したんだよッ!!」
よろけたルークだがハルバードを杖にして踏みとどまり、左の下段から打ち上げて来るベートーベンの鋼鉄棒を、土から引っこ抜いた斧槍の柄で弾いた。
「マジ? マジかあ! じゃあ俺があのイズヴァルトさんに鍛えられたら、アンタを一撃で倒せるかもしれねえなあ!」
「んあっ! どいつもこいつもッ! イズヴァルトイズヴァルトと、うるさいったらありゃしねえッ!!」
【ギルバート=カツランダルク注:ルークは齢13で村娘の輪姦や追剥ぎの真似事を働く様な悪党ではあったが、イズヴァルトを国の英雄として深く敬ったという。父とは違い、素直で偏狭さの無い人物だったらしい。】
イズヴァルトを口では褒めていたが、ルークは目の前のベートーベンにも敬意を覚えていた。自分が出会った中で一番の強敵だったからだ。
ベートーベンもまたこの若い武者との戦いに面白みを感じだし、将来が楽しみだと思い始めていた。そして興奮して陰茎が硬くなっていた。武芸者のサガだった。
しかしこれは試合ではなく、殺し合い。
深手を負わすか心を挫かせてやらねば、と思いながら彼は印を切った。自分の身体にかけられる最大限度の身体強化術式だった。
「そろそろ決着をつけるぞ、スカルファッカーんとこのデブ坊主!」
「うおお! 望むところだァ!」
ルークも全身から闘気を発した。ホーデンエーネンの元からの騎士階級や戦士階級の多くは、先祖はオーガ族であった。
その中でも武芸練達の者にしか身に着かぬのが闘気だ。ルークが叫ぶなり辺りが揺れた。彼の手下やベートーベンの配下は一度止まり、その勢いにおののきを覚えた。
そして対峙するベートーベンは、全身から冷や汗をかいていた。相当な豪勇かその才がある人物であることがはっきりとわかったからだ。
同時に、この若者は、説得できればとても心強い味方になってくれるかもしれないとも思った。だからこそ次かその次で、ルークの鼻っ柱を折らねばならなかった。
ルークは長く重そうなハルバードを右手だけで高々と持ち上げると、物凄い勢いをつけてぶん回しだした。
「行くぞぉぉおおおっ!!」
望むところ、とベートーベンが返そうとした矢先、ルークの右腕の手首に矢が突き刺さり、その後すぐに爆散して燃え上がった。
大柄な若者の口から、悲痛な咆哮が轟いた。ハルバードはあさっての方角に落ち、彼の右腕は肘ごと無くなって、傷口からは火と煙がたっていた。
「誰だあッ!! 俺様の大事な戦いを飛び道具みてえな卑怯な道具で邪魔をする奴ァ、どこのどいつだァッ!!」
尚も矢が飛んで来た。3本。それぞれがルークの右目と首元、それから右の脇腹に突き刺さった。鉄板を穿ち抜いていた。
刺さった直後に矢は爆発し、ルークは燃える肉塊をまき散らしながら倒れて果てた。ほどなく彼の屍は火に包まれた。
ルークを射殺した矢は次々と、ベートーベンらを包囲した兵士達にも浴びせかけられ、爆風と火炎を起こし、次々と命を弾け飛ばしていった。
ルークの部下達が何が起こったのかと慄きだすと、ベートーベンは北の方角を睨みすえながらフランツ達に言った。
「エルフののんきなねーちゃんたちが、今頃になって爆炎弓箭で助けてくれたぞ! 好機だ! 押し返せッ!」
相手の備えと戦意が崩れ出すと、流れはベートーベン達のものとなった。
あっという間に数名を討ち果たし、続く勢いで迫り込むと、敵兵らは悲鳴をあげながら逃げ出した。
そうして助けてくれた一団がベートーベンらの元に現れた。コリアンナ達とエルフ達の姿を見るなり、ベートーベンは舌打ちして睨み据えた。
「……くそっ。味気ねえ戦いになっちまうだろうがよ?」
パオレッタが苦笑いして、たんまりと水が入った革袋を手渡した。
「おまんならあのデカブツ、ほんの5合ぐらいで倒せたはずズラな?」
「よせやい。ヨコヤマヴァールの戦いからもう13年になる。俺はもう45だ、じじいだぞ?」
水で喉を潤しながらルートヴィッヒは心配していた。イズヴァルトとアーノンレンシはどうなっているのかが気になっていた。
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同じ頃、追撃をあきらめなかったアナキンは、自分が放ったボウガンで、アーノンレンシ姫の乗り馬の尻を居抜いていた。
尻を大きく上げて泣き叫ぶ馬に弾き飛ばされる幼児の姿を見た時、これで勝ったと確信した。
全軍が標的の転落死を予想し、馬の手綱を緩めた。
だが、その直後に信じられぬ光景を見てしまった。
「うおりゃあっ!」
小さな身体から可愛らしい掛け声が発せられた後、姫は草むらをきれいに転がって立ち上がった。
くるりと振り向くと、擦りむき傷をこさえた顔を王都からの刺客達に堂々と見せたのだ。
アーノンレンシ姫はにんまりと笑っていた。それから大きく口を開けて歯を覗かせた。
「わらわの首が欲しいかッ! くれてやろう! やろうとも!」
髪と眉が無い、据わった目でにらみつけながら相手をあざ笑う様は、アナキンたちの殺意を激しく昂らせていた。
「欲しいか? なあ、欲しいじゃろ? わらわを討てばレーアちゃんとケノービちゃんは、子子孫孫まで安泰じゃからなあ? カッカッカッ!」
幼な児にしては出来過ぎているような捨て鉢ぶりであり、挑発でもあった。
アナキンは怒りを覚えた。射手に呼び掛けて弾丸の装填を命じた。
遠くまで行ってしまったアーノンレンシの護衛達が馬首を返して走りだしていたが、間に合いそうになかった。
「さあ撃て! わらわの首を肴に、カツランダルク党の勝利の宴をひらくと良い!」
全く気味が悪い幼な児だ。皆がそう思いアナキンも吐き気を催すと、姫を輪廻の理に向かわせる為の号令をかけた。
その時にやっと、アナキンはイズヴァルトの姿を目にした。イズヴァルト飛翔魔法で飛んで来た。
アーノンレンシの前に立ち、分厚い氷の壁を即座に生み出して、次々と飛んで来る銃弾を姫から守った。
氷の防壁が霧散すると、憤怒の形相の英雄が立っていた。
世間一般の評だった『お人よしの種馬騎士』の様相では無かった。
13年前のヨコヤマヴァールで古参兵が目にした、『百万一身』の殺戮兵器そのものとして立っていた。
イズヴァルトはアナキンに目を向けた。至極穏やかな調子の声だった。
「アナキン=スカルファッカーどの」
手に持っていた『氷雪の栄光』に1メートル半もの氷の刃が生じ、冷気と殺気を放った。
「拙者が直々、人が為す地獄をご覧に入れよう」
「地獄だと? それはなんだ?」
「虐殺、と呼ぶものでござる」
「虐殺? バカな。まだ日が高い。寝言を言うにはまだ早いぞ?」
アナキンは剣を抜いたがイズヴァルトは相手にしなかった。敵陣に飛び込んで紛れると、当たるを幸いに車狩りに暴れまわった。
アーノンレンシ姫と彼女を囲って護りだした武者達は、その光景をしっかりと見ていた。
英雄が進む先々で悲鳴と命乞いの声が響き渡るが、イズヴァルトは一切を許さずに風葬と鳥葬の支度を続けた。
鎧が断たれ、骨が砕かれ肉が引きちぎられる音をアナキンは馬戦車の上で長いこと聞き続けた。アーノンレンシたちも。
悲鳴が消えた。
全身返り血まみれの英雄は、馬戦車の上で剣を握ったままのアナキンの前で立ち止まると呼びかけた。
「終わったでござるよ」
命を落とさずに残っていたのは、アナキン=スカルファッカーのみとなった。
イズヴァルトはアナキンが持っていた剣を奪い取り、彼の喉元に突き付けた。
「では、2つに1つお選びくだされ。このまま拙者に討たれるか、アスカウ城に籠る者もろとも立ち去るか、でござる」
「……退く!」
かくしてアナキン=スカルファッカーは、我が子を討ち取られるという失態を取り返す術もなく、退却命令をかけてタカイチゲンシュタットの基地へと逃げて行った。
そしてイズヴァルトはアーノンレンシ姫と共にアスカウ領に入り、姫の身柄を安全なものとした。
かくして聖騎士イズヴァルトは『おしゃぶり姫』のひ孫と共に新たな人生の旅路を歩むとなるのだが、さて、それはいかなる次第となっていくのか?
その続きについてはまた、次回にて。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
セクシーな挿絵をどうぞ。
【挿絵表示】
以下はリンクです。(別サイト)
削除したエピソードはこちらでご確認ください。
題名はSEО対策です。
本編
『聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜』です。
現在ハーメルン版と同じく聖王編まで掲載。
主人公イズヴァルトがちんちんをぶんまわしながら世界を渡り歩き、マイヤやスケベな女達に搾取されるお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837
外伝1 マイヤとトーリが主軸のお話です。
『前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆』
トーリとマイヤとそのご先祖について、そのご先祖の家来筋のイーガ魔法王国の王子の物語と、覚醒したトーリがホーデンエーネン王国の実権を握り支配し、凋落するまでのお話となります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728
外伝2 本作の重要人物、魔法戦士ヘラのお話です。
『転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604
以下は旧版のイズヴァルト。題名はSEО対策です。
(内容は大体一緒ですが、細部がいろいろと違います。)
『エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。
』
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/
以下のは、副産物となります。
爆焔のダークエルフ
https://h.syosetu.org/novel/378655/
サキュバスレストランへようこそ! Hルート
※別サイト。エロをマシマシにした改稿版です。
https://novel18.syosetu.com/n1061iv/