※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編   作:CHACOとJAGUAR

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第十一回

 相次ぐ連戦連勝に、敵方はすっかり弱気になった。アーノンレンシ姫のもとに遣いを出して恭順の意を示した。

 

 姫は彼等と会う時に必ず、腰を持ち上げてお尻を丸出しにして「ぶっ!」とおならを放ってこう言った。

 

「そうか! ではアスカウのコリアンナちゃんのところにきんたまの暴れっぷりがとんでもない、男性ホルモンをどくどく分泌している魔羅自慢たちを最低10人寄越すのじゃ!」

 

 ついでに遣いの者には、見た目は可愛いが中身は過酷な搾精仕様の尻穴を開けたり閉じたりしながら、「ここにちんちんを馳走いたせ」と命じてそうさせた。

 

 彼等はたちまち、姫のうんちあなの虜となった。可愛いアクメ声を聞きながら、すっからかんになるまで出し尽くし、姫の為ならたとえ火の中水の中、どこでも飛び込んで見せましょうと言わせるほどに篭絡してしまった。

 

 そんなことを続けて1カ月、姫はますます可愛いと色っぽいの両方を併せ持つ、困った感じのおこちゃまに育ってしまった。

 

 二の腕と太腿が余計にまあるくなって、もちもち感が増した。それから肛門えっちをやるようになってからだが、お尻の肉がつきはじめていた。ちょっとでっぷりとしたプリッケツになりつつあった。

 

 守り役であるイズヴァルトは、姫が順調に健康になってきていることを喜んだ。しかしどうにも色っぽいが過ぎる。かつての侍女とは違い、可愛さよりもすけべさが前にでてしまっていた。

 

 そうしてあと30キロでイーガ領、という宿場町で過ごす晩のこと。姫と一緒に街の沐浴場に入ったイズヴァルトは、脱衣所ですっかりサキュバスの子供みたいなむちむち体型になってしまった姫から訊かれた。

 

「おじいちゃま。トリーネおかあちゃまと妾とでは、どっちのほうが色っぽいかのう?」

 

 トリーネ姫は2歳の頃に処女をちんぽで散らしたという性豪であった。そして『二代目おしゃぶり姫』と呼ばれるほど、ちんちんを食い荒らし続けた王家の困り者であった。

 

「うーむ。ちょっと見ただけでござるが、姫様ほどお肉をつけてはおらぬでござったよ」

「では、初代おしゃぶり姫はどうじゃったかのう?」

 

 初代こと、マイヤ=カモセンブルグの幼い頃はまさに『ポルノスター』であった。

 

 彼女のうんちぶりぶりやちんちんしゃぶしゃぶ映像が納めた水晶玉は世界中に広まって、小児性愛者のたくさんのちんぽやまんこを濡らし続けた。

 

「うん。マイヤの昔の頃に近いでござる。姫様のほうがもう少しぽちゃぽちゃしてござるな。あやつめはたぬきみたいに可愛いのが、もう少し前に出てござったが」

 

 しかしイズヴァルトと別れ、お金持ちの王族となってからのマイヤはひどいものだった。

 

 地味な格好でも充分に映える顔や身体を悪趣味で余計な化粧や衣装で華美に彩り、指や首やクリトリスの包皮に空けた穴には、高価なだけで役に立たない宝石をごてごてとつけていた。

 

 聖騎士は姫を連れて洗い場に入った。甘い香りが漂う水色の髪に湯と石鹸をつけ、頭皮を優しく撫でながらこう言った。

 

「しかし姫様。マイヤを目標にしてはならぬでござる。拙者の亡き妻、ローラ=ラダトゥム=セアックこそを模範としなされ」

「おじいちゃまはその人ばかりのことを言うのう。しかし妾は姫でローラと言う者は軍師。四肢を斬られたというではないか。妾にも手と脚を斬れ、と?」

 

 そうではない。イズヴァルトは姫の頭に湯をかけて答えた。軍略や政略に活躍したローラこそ、姫が見習うべきであると。

 

「機略縦横……正直、軍略については少々危ういところがござったが、ローラどのは一国の宰相になり得る才知の持ち主でござった」

「つまりはジューンショーンちゃんの補佐じゃな? それは妾も望むところじゃ。しかし、力も知識もまだ足りぬ」

 

 姫はぼそっと言った。イーガかトリシア大学でいろんなことを学びたい。

 

 イズヴァルトはその本心を聞いて姫の将来を決めた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 この時代、アルベルト=ガーファンクルという有名な傭兵隊長がいた。母方の祖母がサキュバスで祖父がドワーフ。聖騎士団団員だったが相次ぐ命令違反で馘になった経歴の持ち主である。

 

 そのアルベルトだが、優れた魔法戦士でもあり、魔法の才能を持つ戦士を雇い入れてこんな名前の傭兵団を作っていた。

 

 ターニャ連隊。

 

 歴史書には、飛翔魔法を使う狙撃銃士の傭兵団と言い記されている。サーガでもアーノンレンシ姫との物語で良く語られる名前だ。

 

 その連隊の名前だが、軍記物で名高い『ターニャ戦記』の主人公から頂戴した。ターニャ戦記とざっと説明するとこういう物語だ。

 

「全世界を敵に回し、世界大戦を引き起こし、防戦一方だった帝国が舞台。

 そこで孤児として日々を暮らしていた少女ターニャは、実は世界最強の魔力を持つサキュバスを母に持つ類まれなる魔法少女だった。

 7歳になった日の夜、ターニャは軍の秘密組織に目を付けられ、その魔法の才能と莫大な魔力量のせいで軍に無理やり入れられることに。

 ターニャは魔道兵団で訓練を積み、狂人の魔道技師が造った魔道増幅装置や魔道機巧弩の実験台になって辛い目に遭ったあと、魔道強襲師団の士官として、もっとひどい地獄が待ち受ける戦場へと飛ばされる。

 しかし彼女の魔法の才と作戦遂行能力と、類まれな悪運と機転によって絶望的な戦いでも勝利を積み重ねていくのであった……。」

 

 どちらかと言えば軍記物より架空の英雄譚といった代物だったが、塹壕を掘っての備えや戦線というものが膠着するとどうなるのかを記しており、武将や騎士達の間で盛んに読まれていた。

 

 そしてアルベルト=ガーファンクルも、この軍記物の熱心な愛読者であった。

 

 ターニャや彼女が属した魔道強襲師団の様に、黒い装備で身を包み、両脚には筒状の飛翔魔法増幅装置を取付け、空を飛んでいた。この装置だがマイア=テクニカの魔道部門が発明したものである。

 

【ギルバート=カツランダルク注:ここはサーガの原著者の誤り。エチウにあった魔道工房による製品だという説が現在では有力である。】

 

 一団はおよそ20名。皆が最新鋭の狙撃銃を携えていた。北西の空から彼等は南東にある、イーガ王国ガモーコヴィッツ領まで猛スピードで飛んでいた。

 

 特筆すべきは、皆が顔を覆うマスクをかぶっていることだった。皮でできたマスクで目のあたりは見える様にガラスで覆われ、口のあたりが出っ張っていた。

 

 それを取り付けるのには理由があった。彼等は空のとても高いところを飛んでいたからだ。高度およそ5000メートル。皆が優れた魔道士であるからこそできたのである。

 

 北の山脈を越え、国境近くの大森林地帯が見えた時に一団の先頭を征くアルベルト=ガーファンクルの脳内に声が響いた。

 

「シジュウカラからトンビへ」

 

 隊員にはそれぞれコードネームがついていた。トンビとはアルベルト自身。シジュウカラは彼の後ろについて飛んでいた、ペーター=ヤーロウという部下だった。

 

「今一度作戦の確認を。我々はアーノンレンシ=カモセンブルグを抹殺後、即時退却ということでよろしいか?」」

 

 『トンビ』が答えた。その内容に相違なし。

 

「その通り。つるっぱげで貧相な体つきのお子様がその標的だ。多分イズヴァルトに護られているだろうが、奇襲攻撃を仕掛ければ防護術式を展開する前に討ち果たせる。標的を討ち果たせば後は交戦不要だ」

 

 アルベルトは『トラツグミ』と『カッコウ』にも復唱させるように言った。

 

 その2人はヤーロウの部下だった。ノウェ=ストーキとマリア=トラヴィス。『シジュウカラ』は彼等と三位一体の攻撃を得意としていた。

 

「了解。それでは先行して急襲を仕掛ける。『トンビ』は他の隊員の指揮を」

「武運長久、ハチマンウーサに栄光あれ! では行け」

 

 『シジュウカラ』は浮遊魔法をかけて少し上にあがった。後続のうち2人もだ。

 

 彼等は指で印を切った。まるで彗星の様な速度で先へと向かった。

 

 しばらくすると街道を東に向かう、縦列の一団の姿が見えた。

 

「カッコウ、千里眼術式を」

「了解」

 

 カッコウと呼ばれたマリアは印を切った。彼女のマスクのレンズに、その一団の様子が映った。

 

 屈強そうなホーデンエーネン武者だけでなく、エルフがいればドワーフの姿があった。それと、アスカウ公とシギサンシュタウフェン公の軍旗が。

 

「エルフの姿を確認。高度2000メートル未満になったら要注意です」

「そうやすやすと矢を喰らうつもりは無いが、肝に銘じておく。標的の姿は」

「ええと……」

 

 彼女はもう一段階術式の精度を高めてくまなく調べた。つるっぱげの小さな女の子は見当たらなかった。

 

「……なんだと? ではイズヴァルトはどこだ?」

「見つけました。隊列の中心におります。しかし禿げた女の子ではなく、水色のふさふさした巻き毛の女の子を鞍に乗せておりました」

 

 『シジュウカラ』は戸惑った。話が違う。

 

 水色の髪の娘となればサキュバスの子だろう。ちんぽを突っ込めればどんなまんこでも構わないという、イズヴァルトの愛玩道具かもしれない。

 

「『トンビ』に一旦報告……一時停止」

 

 『シジュウカラ』の呼びかけで皆が止まった。それから念話術式で知らせを聞いたアルベルトと本隊と合流した。

 

「標的を見失いました。作戦についてお伺いいたします」

「……仕方ない。とりあえずイズヴァルトたちを襲撃しよう。その水色の髪の小娘というのが気にかかる」

 

 ターニャ連隊は追跡を再開した。全速力でイズヴァルト達の真上に向かう。

 

 飛びながら彼等は印を切り、魔力が銃身に注がれるが、それを吸うのは中に入っている弾だった。

 

 その弾丸にはカントニア=エルフの『爆炎弓箭』に似た術式が詰まっていて、魔力を得ると発動し、発射された弾は物体を穿つと爆発を起こす仕組みになっていた。

 

 そうして位置につき、彼等は銃口を真下にある街道に向けた。

 

 隊長の号令のもと、銃口が一斉に火を噴いた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 イズヴァルト達は気づいていないわけではなかった。何者かが飛翔魔法を使っているという気配ぐらいは感じていた。

 

 しかし相手の魔力の多寡はよくわからなかった。距離のせいだった。5000メートル高いところの相手の魔力がどれほどなのか、よほどの化け物でない限りは判別し辛かったのだ。

 

「そろそろ真上に来る」

 

 オクタヴィアが相手側に覚られ辛い微弱な魔力での念話術式で皆に呼び掛けた。

 

 行列はそのままゆっくりと進みながら、オクタヴィアの注意を受けた面々が防壁術式を構えた。

 

 しかし、全てを防ぐことは出来なかった。直前になって展開された防壁のあちらこちらに隙があり、そこで爆発と炎が起こった。

 

「『爆炎弓箭』ズラかっ!」

 

 パオレッタが驚いた。妹のマリアは似せたものだと返した。

 

「あれは多分、鉄砲の弾か弾弓の石ころに魔法を閉じ込めたみてえズラな!」

「オラたちの小細工をパクられたか! 手ごわい!」

「んなもん1000年前から真似されているズラよ!」

 

 爆発は主にシギサンシュタウフェン公の手勢と後続のナガオカッツェの部隊に被害を与えた。イズヴァルトが『氷雪の栄光』を掲げて散る様に叫んだ。

 

「ちょっと待て!」

 

 そう返したのアーノンレンシ姫。策を思いついたと言って一斉に南の森に逃げろと伝えた。

 

「なにゆえでござるか!」

「策を思いついた! じゃが後で話す! まずは妾の言う通りに致せ!」

 

 何のことだろうと思いながらも皆が街道の南の森に逃げ込んだ。射撃と爆発が止んだ。

 

「止まったでござるな?」

 

 相手は何者か。イズヴァルト達も千里眼の術式で確かめた。足に筒のようなものを取りつけ、長い鉄砲を抱える武者達の姿が見えた。

 

「空を飛ぶ狙撃兵、よく考えたものでござる」

 

 それを聞いたベートーベンが『ターニャ戦記』のようだと呟くと、アーノンレンシ姫はひどくバカにしきった顔で鼻息を鳴らした。

 

「姫様、何がおかしいんだ?」

「妾はあの本を官能小説と思って読んでたぞ」

 

 『ターニャ戦記』は、性交のシーンが多いことでも有名だった。

 

 1冊のうちおよそ3分の1は、サキュバスの娘ターニャの幼女おまんこがぷるぷると震えながら濡れ、相手の男の大人ちんぽでぐちゅぐちゅとこねられ、それが放ったどろどろとした液にまみれるという場面ばかりだった。

 

 それから、毎巻中盤頃に主人公のターニャが敵につかまって輪姦されるシーンが必ず挟みこまれていた。そこが必ず物語の転換点となっていた。

 

 『ターニャ戦記』の主人公へのレイプ描写は、とても生々しくもあった。強姦愛好家たちにも激賞され、その手の野蛮な界隈でもずりネタとして名が知られていた。

 

【ギルバート=カツランダルク注:ターニャ戦記だが、その最終巻で帝国は戦争に敗れ、主人公は敵国の将軍たちの共用性奴隷にされて毎年出産し続けるという過酷な結末で終わっている。】

 

「それとあの本、なんだか不自然な話の組み方じゃったぞ? なんだかあちらこちらが抜けているような代物じゃった」

「へえ。トーリさんみてえなことを言うんだな? ちゃんと読んだのか?」

「軍記物じゃからとおばあ様の遺品にあったものをしまいまで読んだ。おばあ様は最後の巻に、こんな感想を書きなぐっておったぞ?」

 

 姫が言ったことは本当だった。トーリが書いた感想はこうだった。

 

「これ、ぜったい元の作品があるでしょ。あと、ぜってー大事な何か省いているよ。すげータチが悪りぃ転生人作家がよくやる二次創作だわ。くそくそくそ。」

 

 その他にもつらつらと、トーリ=カモセンブルグはこの本をこき下ろしていた。随分と辛らつな書評家だなとベートーベンはぼやいた。

 

 そんなことを話していた後、近くで爆発が起こった。こちらをおびき出すつもりの威嚇のようだった。

 

「さて姫様、策とはいかなるものでござるか?」

「うむ。あれは口から出まかせじゃ。散ると念話魔法や大声で相手に察知されるからこっちに寄せたまでじゃ」

「……とほほ。拙者らはまんまと騙されたでござるか」

「じゃが、今はある」

 

 姫はまず、ゴブリンの戦士と共に木に登って真上を見るパオレッタに尋ねた。

 

「どのくらい高く飛んでいるのじゃ?」

「ざっと5000メートルってところズラ。オラたちの飛翔魔法じゃ、あんな高くは飛べねえズラな」

 

 せいぜいが高度1000メートルといったところだ。弓矢を放っても2000メートル上の相手にしか届かない。それでも当たれば、の話である。

 

「しっかりした転移魔法が使えるサキュバスがいれば、あいつらの真上からつるべ打ちでやれるけど……」

 

 近くにいたアスカウ公お付きのサキュバス達が、一斉に首を振った。距離ならば10キロ20キロ先までいけるが、高度となると層も簡単にいかなかった。

 

「となればおじいちゃまが飛翔魔法で急上昇して、あいつらをぼこんぼこんと叩き落とせば事は済む」

「拙者もそんな高くは飛べぬでござる。昇れても風の精霊の験がしょぼくなるのでとろとろとした速度になってしまうでござる」

「と、なれば低いところにおびき出す手が一番、というわけじゃな」

 

 うなずいた姫はこう言った。自分を馬に乗せたまま、一旦街道を出て相手の注意を呼びかけた後、北にある森に飛び込め。

 

「そこで『氷雪の栄光』の弓矢みたいな技を使って、空飛ぶ敵に仕掛けるのじゃ」

「撃ち落とすのでござるか?」

「違うぞ。注意を引き寄せるのじゃ。街道に出たら妾がアーノンレンシその人じゃと叫ぶ。パオレッタちゃんか誰かが風の魔法で、遠くまで聞こえるように致せ」

 

 それを聞いてイズヴァルトは戸惑ったが、パオレッタ達は、承知したと答えた。

 

 また爆炎が起こった。防壁術式ではじいたが、木に炎が移って煙が立った。皆殺しにするつもりのようだ。

 

「とにかく妾の言う通りにせい。でないとこの森全体を穴ぼこにする挙にでるやもしれん。きゃつらの狙いは多分、このショリィじゃ」

「……わかったでござる」

 

 イズヴァルトは姫を抱えて馬に飛び乗り、街道に出て行った。ターニャ連隊もそれを見ていた。アーノンレンシ姫が大声で叫んだ。

 

「妾こそがアーノンレンシ=カツランダルク=ホーデンエーネンその人なるぞ! 首が欲しければこっちにこい!」

 

 風魔法で声がこだまし、アルベルト=ガーファンクルの耳にも届いた。

 

「そうだったのか! つるっぱげと聞いていたがまさか1カ月であんなに毛がふさふさになるとはな!」

 

 しかし髪の毛が水色。そこにも着目すべきだったとアルベルトは反省した。姫が魔族化が進んでいる特異な体質であるという話を、依頼主から聞いていたからだ。

 

「撃て。決して生かすな!」

 

 『シジュウカラ』が助言した。もしかしたら罠をかけているかもしれない。

 

「それはこちらも仕掛けている。火中の栗を取れという言葉もあるのだから、やるしかないだろう。しかし、高度は落とすなよ?」

 

 彼等は真下に向かって撃った。いくつも爆発が起こったが、イズヴァルトと姫はさっさと北の森に飛び込んでいた。

 

「さて、姫。ここから氷の矢を放てば良いのでござるな?」

 

 しかし届くかどうかは保証できなかった。氷雪の栄光の氷の矢は、5キロ以上先まで届くか、やったことが無かったからだ。

 

「おじいちゃま。こういうことはできるかのう? オクタヴィアちゃんたちが話してくれたのじゃが」

「何をでござる?」

「氷の矢を、作り出してから数分後ぐらいに飛ばせることができるかの?」

 

 あちこちを回り、魔力を察知されないよう、できるだけ地面に近いところに矢をセットして、

 

「世の中には罠の術式というものがあって、そういうことができるそうではないか?」

 

 姫が何を何をやりたいのかが見えて来たイズヴァルトはうなずいた。

 

「戦いの場でたまにやるずるっこでござるよ」

「戦争とは騙し合いなり。ということじゃな?」

「『そんし』でござるか。いくさ人の必読書でござるよ」

 

 かくしてイズヴァルトは仕掛けていった。5分後、最初の矢が飛び立って遠くからでも感知できるような魔力を放ち、空で数十の氷のつららとなって爆散した。

 

 それを見たターニャ連隊は矢が出て来たあたりに弾丸を放ったが、その1分後に別のところから矢が飛んで同じことが起こった。

 

「翻弄するつもりか!」

 

 隊員の1人が怒鳴り散らすと、『とんび』は矢が飛んで炸裂した高さを見て皆に言った。

 

「急降下。索敵精度を高める為、高度2500メートルまで近づくぞ!」

 

 『シジュウカラ』はまずいと思い諫めようとしたが、『トラツグミ』が進み出て遮った。

 

「『シジュウカラ』と俺が先鋒を務めます。任せてください!」

「よし。行け!」

 

 『シジュウカラ』は待て、と呼びかけたが『トラツグミ』が凄んだ。

 

「いつもの果敢さはどうしたんだ? お前はホーデンエーネンの武者か?」

 

 『シジュウカラ』は何も言えなかった。このまま拒み続ければ隊員たちに侮られ、馬鹿にされ続けるだろう。

 

 『トラツグミ』と『シジュウカラ』が急降下し、『カッコウ』がそれに続いた。3人は必ず一緒に動くと常日頃から話し合って決めていたからだ。

 

 この3人だがかつては、ホーデンエーネンのとある領主の騎馬鉄砲(ドラグーン)部隊に所属していた。その領主がお取り潰しに遭った後、魔法戦士の才を買われてアルベルトに誘われた。

 

【ギルバート=カツランダルク注:この3人はカツランダルク党の1つでこの時アジールへの減転封が決められていた、オルガスムナ家付きの竜騎兵だったという。】

 

 降りてくる3人に、イズヴァルトはどうするかと姫に尋ねた。

 

「おじいちゃま、あの高さまで飛べるか? 妾は『どっぐふぁいと』というものを見てみたい」

「なんでござるかそれは?」

「空中戦じゃ。もちろん妾は馬に乗って逃げながら見届ける。できるか?」

 

 期待の目を向ける姫の頭を撫で、イズヴァルトは馬から降りた。

 

 3人が2500メートルの高さにまで下りて来ると、姫は手綱を掴んで馬を走らせ、イズヴァルトは印を切って飛び上がった。

 

 飛翔魔法がそれほど得意ではないというイズヴァルトも、そのぐらいの高さまではなんとかいけた。飛翔魔法自体は1000メートルまでだが、その高さに達した時、彼は精霊の力を借りた術式とはまた別の魔法をかけた。

 

 パラッツォ教の一部の使い手じゃ教主コーザのみが扱えた、神聖術式である。

 

 その中の1つ、空気圧で相手を弾き飛ばす『アルキメデスの空気砲』を自分の背中にぶつけた。思い切り強力にしたものだから

 

 強い重圧を受けながらも姿勢を保とうと踏ん張り、急上昇したのを見て驚く3人に接近戦を仕掛けた。

 

「イズヴァルト、見参でござる!」

 

 その名に3人は戦慄した。銃で殴りつけようとするがイズヴァルトが持っていた指揮棒で払われ、それが先端に作り出した氷の槌に思い切り殴られ、気を失ったまま落下していった。

 

 3人を素早く撃ち落としたイズヴァルトは、氷雪の栄光を弓の様に構えて残りの部隊に向けた。氷の矢の雨が充分に届く範囲だった。

 

「散開!!」

 

 アルベルトの号令と共にターニャ連隊は方々に散った。彼等は戻って来なかった。

 

 逃げながら一部始終を見届けていたアーノンレンシ姫は

 

「なんじゃ、呆気ない! 『どっぐふぁいと』の1つも2つもせぬくせに、空の戦士のふりをするとは、とんだ見掛け倒しじゃ!!」

 

 こうしてイズヴァルト達は危難を払った。

 

 それからイーガ国境を越え、ガモーコヴィッツ領に入ると、聖騎士の娘のエレナと合流して王都・コーヅケーニッヒへと向かう。

 

 そしてマルティン国王に謁見し、アーノンレンシ姫の庇護を求めることとなるのだが、さて、その次第はどう進んでいくのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。




ここまでお読みいただきありがとうございます。

セクシーな挿絵をどうぞ。

【挿絵表示】


以下はリンクです。(別サイト)


削除したエピソードはこちらでご確認ください。
題名はSEО対策です。

本編
『聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜』です。
現在ハーメルン版と同じく聖王編まで掲載。
主人公イズヴァルトがちんちんをぶんまわしながら世界を渡り歩き、マイヤやスケベな女達に搾取されるお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837

外伝1 マイヤとトーリが主軸のお話です。
 『前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆』
トーリとマイヤとそのご先祖について、そのご先祖の家来筋のイーガ魔法王国の王子の物語と、覚醒したトーリがホーデンエーネン王国の実権を握り支配し、凋落するまでのお話となります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728

外伝2 本作の重要人物、魔法戦士ヘラのお話です。
『転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604


以下は旧版のイズヴァルト。題名はSEО対策です。
(内容は大体一緒ですが、細部がいろいろと違います。)

『エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。
』
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/


以下のは、副産物となります。

爆焔のダークエルフ
https://h.syosetu.org/novel/378655/

サキュバスレストランへようこそ! Hルート
※別サイト。エロをマシマシにした改稿版です。
https://novel18.syosetu.com/n1061iv/
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