聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編 作:CHACOとJAGUAR
イズヴァルトの時代から数百年後。
トリシア大学の学者ギルバート=カツランダルクは、久しぶりに故国の地を踏んでいた。理由はイズヴァルトのサーガの後半の重要人物、アーノンレンシ=カツランダルクの資料を探しにである。
ホーデンエーネン国内でかの人物は、歴史家が触れてはならない存在と見なされて、関する書籍を殆ど焼き捨てられていたのだ。
しかし彼の実家の倉庫には、かつてホーデンエーネンの貴族や学者によって記された、アーノンレンシに関する手紙や書物が残っていた。映像水晶もあった。さらに彼女が安住の地としたワターリ王国になら、それらがもっと保管されていた。
彼は愛人兼秘書のモアナと学生の中で一番見どころがあるリッケルト=ベートーベンを連れてコーヅケーニッヒに入った。ヨーシデンからの『えくすぷれす』で、おおよそ2時間の旅程だった。
リッケルトは初めて来たコーヅケーニッヒ中央駅に驚いていた。いろんな乗客が行き交い、構内に多くの店が並んでいたからだ。王国きってのターミナル駅はヨーシデン駅の数倍もにぎやかだった。
「すごい人だかりですね……イーガ人は『えくすぷれす』をこんなに多く使うのですね」
「仕事で来た商人や魔道士ばかりさ。マイア=テクニカの本社や様々な魔道工房があるからな。あと、ホーデンエーネン方面に向かうカントニアやムーツの旅人もいるだろう」
『えくすぷれす』はイズヴァルトの時代よりも津々浦々に伸びている。輸送力は強化され、聖騎士の時代の10倍以上の乗客数があった。
その理由の1つに、大陸間を行き来する国際飛空艇の存在があった。カントニアで最も有名なのは『カイロ航空』だ。マイヤが建てた会社はエルフたちによって海をまたぐ空の船を飛ばす企業となった。
しかし駅からギルバートの実家までは、いまだ馬車である。魔法で動く車がとうに発明されていたが、公共交通手段は乗合馬車か融通のきかぬ『路面えくすぷれす』だけであった。
「こういう乗り物は、100年前からまったく変わらないのよね……」
「乗合馬車のギルドが力を持っているからさ。何せ王族が組合のトップだからね」
乗合馬車ギルドだけでない。各業種の組合のトップはイーガ王家に連なる者たちばかりだ。イーガは豊かで潤っているが、身分の上での不公平が多々あった。身分制度も厳格だ。魔力の才が無い限りは、下層民から貴族には成りあがれなかった。
馬車に乗っている最中、リッケルトはただただ茫然とするだけだった。街のあちらこちらに、50メートルや100メートルもの長さに及ぶ塔が無数にあったからだ。空を浮かぶ館などというものもあった。
コーヅケーニッヒは世界一栄えている都だと言われている。人口は70万ある。イズヴァルトの時代よりもぐっと増えていた。主要都市のアノーヅやスズカル、トーバコフは30万近くいた。
しかしホーデンエーネン連邦だとそれほどいない。世界一の人口を擁すると言われている100万人都市のヨーシデンと40万人はいるとされるサカーイを除けば、せいぜいが10万そこらである。旧王都・ナントブルグも同じくだ。
「本当に……イーガは栄えているんですね……人、人ばかりだ」
「国土すべてがそうではないがね。リッケルト君、確か君はナガオカッツェが地元だったか?」
「はい。しかも僕の地元はとんでもないド田舎ですよ。人の数よりコウモリのほうが多いみたいな土地柄です」
リッケルトはナガオカッツェ地方の領主の倅だ。今の時代、ナガオカッツェの全域はヨーシデン公国の領域である。
そして彼は、イズヴァルトのサーガに出てくるルートヴィッヒ=ベートーベンの子孫でもあった。しかし肌は浅黒く、シマナミスタン人の風貌に近い。祖先の遺伝だ。ルートヴィッヒと黒髪エルフとの間に生まれた娘が彼の祖であった。
馬車は大通りを過ぎると西の街道に入った。左に折れてしばらくして右手の法に見える、先にある幅の狭い車道に入った。
どこへ向かうのだろうと思い、リッケルトは窓のレバーを回して開けて顔を出した。その先には『えくすぷれす』の窓から見えた、大きな城があった。
「あのう……イーガ王宮に何か用事でもあるんでしょうか?」
「敷地内に『実家』があるんだよ」
「そ、そうだったんですか」
正確には宮城の南門の手前にあった。廷臣らが居を構える並びにあった。しかしギルバートの実家はどこよりも立派な館を構えていた。
他と比べて壁にツタが這い、やや古めかしい様子ではあるが、建物の区画は倍以上もあり、しかも4階建てだった。
「ここだよ。築およそ300年というところだな。ぼろいのは許してくれ」
「こ、これがカツランダルク家の家格というものですか!」
「まあ、私は分家のそのまた分家だからね。我が家に与えられているのは南側の区画の8分の1だけだ」
それが意味することはこういうことだった。館の南側の4階にある6部屋が、ギルバートの『実家』となっているのだ。
貴族の館という割には、玄関には出迎えの者はいなかった。ここはアパートみたいなものだからとギルバートは言った。
「主に宮仕えやコーヅケーニッヒで働く者がここに住んでいるんだよ。カツランダルク家は技術魔道士や医療魔道士、それと食品衛生魔道士の職に就く者が多くてね。勤務先は主に、病院やマイア=テクニカとなっているんだ」
ちなみにイーガの病院のほとんどは、王国が経営しているものだ。そこで働く医療魔道士や看護師はすべて、王国の役人である。
玄関の扉を開けるとロビーとなっていた。そこ並べられている椅子やソファには、一段と上等そうな衣服に身を包んだ猫の様な耳を頭に生やした者ばかりいた。彼らはギルバートの姿を見ると、「やあ」と手を振ってきた。
その中で一番年老いた女がギルバートの元にやって来た。とはいっても60ぐらいに見えて背筋が伸びており、胸が重たそうな美人だった。
その女も猫の様な耳を生やし、尻から長いしっぽを生やしていた。彼女がそばに来るとモアナが鼻をすんすんと鳴らしてぼそっとささやいた。ワタシの同類かも。女がにっこりと笑った。
「いえ、サキュバスになり損ねたといったほうがよろしいでしょうね。初めまして、私はナタリー=カツランダルク。正式な呼び名ですと……」
ナタリー=オーズロー=カツランダルク。カツランダルクよりもむしろ、オーズローの姓でモアナは記憶していた。10年ほど前まで宮廷主席医療魔道士をつとめていた人物だ。
実年齢だが60どころではない。100を超えていた。『なり損ね』とは言っても魔族の血がある程度目覚めれば、ニンゲンの倍近い寿命と健康を得るのだ。ナタリーはギルバートの手を取った。
「テッラお姉さんがいるから、顔を見せてあげて?」
「今日は非番だったか」
「いつもは病院で寝泊まりしているのよ。あなたたち姉弟は、とっても忙しいのね?」
ギルバートが黙っていると、猫の獣人のような身なりの若い男が近づいてきて、彼の背中を叩いた。別の分家の『若様』である。但しギルバートと同年代だ。
「だいたいギルバートはヨーシデンから全く帰ってこないじゃないか。魔法の才が無くて肩身が狭いからって、イーガになかな戻らないのはどうかしているぜ?」
「やかましいぞ、ゴルベルト。俺は楽師と学者の道を選んだから魔法を学ばなかっただけだ」
「で、そこのサキュバスさんと南のエルフのにおいがする若いにいちゃんを連れて、何しに来たんだ?」
資料集めだとギルバートは答えた。
「この家にある、アーノンレンシ姫に関する日記を漁りに来たんだよ。次のラジオ講談の資料集めだ」
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イーガのカツランダルク家同時にオーズロー家でもある。両家は合併したのだ。
原因はオーズロー家のほうにある。カツランダルク家を継いだフェアディナントとその妻のイルマの家には何人か男児がいたが、どの子もローザマイヤの娘を嫁にしてしまったのだ。
そのローザマイヤの娘たちが、とんでもないセックス狂の子だくさんだった。フェアディナントの息子達はたかだか15年の間に、彼女たちとの間にそれぞれ8人から10の子を為したが、若くしてみまかった。カツランダルク家の男児は下半身こそ高性能だが短命になりがちだったのだ。
しかも彼女たちの母たるローザマイヤは、婿たちの父親の愛人となって5人も子を産んだ。どれも女児ばかりであったが。
かくしてローザマイヤの一族はフェアディナントの一族を乗っ取った。王国の宰相まで上り詰めた母親のオットーの遺領と父の海外にある領地ももらい、王国一番の大領主・ガモーコヴィッツ家と並ぶこととなったのだが……。
「そのローザマイヤ様と産んだ姫様方が、アーノンレンシ姫について日記などで残してくれた、というわけですか?」
一緒になって書庫の中をあらためるリッケルトに聞かれたが、ギルバートは眉間にしわを寄せて答えた。
「だったらよかったんだよ!」
「そのう、ローザマイヤは、何も残さなかったのですか?」
「魔法と武術以外と好色女ぶり以外は、まるっきりダメダメな女だったのだよ! 日記1つ、手紙1つ遺さなかった!」
何かと筆まめだった母のオットーとはまるきり真逆で、ローザマイヤは筆不精で知られる人物だった。治癒魔道についての技術文はかなり書いていたらしいのだが。
ギルバートは机の上にずらりと並べた本をめくり続け、これはちがう、これも使えないとぼやいていた。書庫の一番古い棚から持ち出してきたものだが、どれもマイヤのことには記されていたが、アーノンレンシについて書いているものは、ギルバートがとっくの昔に存じている内容ばかりであった。
そこに茶と菓子をのせた盆を抱える女がやって来た。猫の獣人のようで、ギルバートの半分ぐらいの年齢にも見える。それなりに乳が大きい。彼の姉のテッラだ。
彼女はリッケルトのテーブルに茶菓子を置くと、一心不乱に書物に目を通している弟に尋ねた。
「で、お前は何を探そうとしているんだ? 『くそひねり姫』の野糞を見た男がどれだけ早くちんぽから精を漏らした記録か何かか?」
「いや、そっちの下世話なのじゃないよ。『転生人』だった彼女の前世の記憶を知りたいんだ」
アーノンレンシが転生者である。リッケルトやモアナにとって初めて聞く話だった。
「……あれか。私も知っているよ」
「テッラさん、そういう話だったら、カントニアに行けば聞けるのでは?」
「いや、それができないんだ。誰一人として、アーノンレンシ姫の前世について、本人の口から聞いたことを覚えている者がいないんだ」
存命のオクタヴィアやミレイユ達は、誰一人として覚えていなかったとギルバートは言った。サワータキャビクにいるクリスタや、アーノンレンシが一時期過ごしていたというナハリジャーヤのエルフたちもだ。
「どうしてそんなことが……?」
テッラが椅子を持ってきてリッケルトの傍に座った。
「不可解だろ? イーガの歴史書や公文書にも記録が残っていない。禁書図書館にも置いていなかった」
アーノンレンシは謎多き姫だよ。何かとあけっぴろげだった曾祖母と違い、肝心なところが隠されている。
そうささやいて、流し目を送る。この青年から強い精力を嗅ぎ取ったのだ。あわよくば今夜のお相手しようと企んだのだ。
ギルバートは姉の発情の気配を感じて振り返ると、机の上にあった古い手紙を持って彼に読ませた。
「ただ1通だけ、この手紙だけがね、彼女の前世について言及しているんだ」
「どんなものです……?」
それはアーノンレンシ姫がローザマイヤにあてて送った文だった。リッケルトは開いて読んでみた。
「私は前世の弟と共にそちらに向かうよ。マサタカちゃんはシオリだった頃の私の、かわいいいとこで、弟だったの」
手紙の日付を見た。ホーデンエーネン連邦暦20年、4月10日。
誰も記録しておらず歴史の空白となっている、ホーデンエーネンの内戦の真っ只中にあった頃に書かれた手紙だった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
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題名はSEО対策です。
本編
『聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜』です。
現在ハーメルン版と同じく聖王編まで掲載。
主人公イズヴァルトがちんちんをぶんまわしながら世界を渡り歩き、マイヤやスケベな女達に搾取されるお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837
外伝1 マイヤとトーリが主軸のお話です。
『前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆』
トーリとマイヤとそのご先祖について、そのご先祖の家来筋のイーガ魔法王国の王子の物語と、覚醒したトーリがホーデンエーネン王国の実権を握り支配し、凋落するまでのお話となります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728
外伝2 本作の重要人物、魔法戦士ヘラのお話です。
『転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604
以下は旧版のイズヴァルト。題名はSEО対策です。
(内容は大体一緒ですが、細部がいろいろと違います。)
『エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。
』
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/
以下のは、副産物となります。
爆焔のダークエルフ
https://h.syosetu.org/novel/378655/
サキュバスレストランへようこそ! Hルート
※別サイト。エロをマシマシにした改稿版です。
https://novel18.syosetu.com/n1061iv/