※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編   作:CHACOとJAGUAR

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今回は『幕間』です。アナキン=スカルファッカーのお話となります。


幕間・『アナキンの勲(いさおし)』

 最近、目立つぐらいにうろついている。

 

 ヨーシデンに潜伏させたサキュバスから話を聞いたアナキンは、この目で見てやろうと考えた。アーノンレンシが亜人たちが通う分校に転校してからの頃だ。

 

 ニンゲンに化けた魔族らが、ヨーシデンの近郊に出没しているらしい。まさかコンゴウアミダラデンの魔竜の手先か、と思いきや、どうもそうでは無いみたいだ。

 

「どうも操られているみたいです。ワタシよりも格上の、優れた洗脳術式の使い手みたいで」

 

 しかし何の目的でヨーシデンに。その目的はわからない。ならば捕まえて問いただしてみよう。アナキンはイズヴァルトにこそ到底敵わぬが、『魔物殺しの剣』を研鑽し、今では中の下の魔族ぐらいを葬れるほどまでになっていた。腕に自信があった。

 

 部下のサキュバスと共に飛に向かった。市の近郊にあるスカルファッカー家の隠れ家に入る。そこで待っていたのはここ最近、ナガオカッツェにいる歳が離れた弟に会いに行っていたはずのヨーシヒデクス=ヒラジマッシモだった。

 

「よう。久しぶりだな」

「ヨーシヒデクス様、なぜここに? ナガオカッツェ公様のところにいらっしゃったのでは?」

「弟の護衛のゴブリンから聞いて見に来たんだ。ニンゲンに化けている魔族がうろちょろしているらしいってな」

 

 ヨーシヒデクスは顔を上にあげ、こっちに来いと呼びかける。小さな影が飛び降りて来た。2人のゴブリンだ。

 

「チュルク族のトクタとダルハン。親父が生前懇意にしていた、ジェベの友人たちだ」

 

 2人はアナキンに頭を下げた。ゴブリン族は身長が120センチから130センチほど。草魔法の使い手で目で追えない素早い動きと刃の嵐の様な小剣術を駆使する。

 

 主な居住地はムーツ大陸とサイゴーク大陸だが、シマナミスタンや謎に包まれている極東のエーゾ大陸にもいる。森や山に住み、狩りや農業に従事している者が多い。この世界の大体の製薬会社の事業主や研究員は、その多くがゴブリンだ。

 

 目の前にいるこの森の精霊の末裔らに、アナキンは違和感を感じていた。

 

(いつ見ても、俺が知っている『ゴブリン』とは違うんだよな。)

 

 イーガ留学時代でも、この種族の姿を見たことがある。亡き妻のピルリアが魔道学問所や亜人たちのコミュニティで、ゴブリンらと親し気に会話をしていたところも。

 

 厳かにも思える大人しさ。耳はとがっており鼻こそ大きいが、ニンゲンとさして変わらぬ肌の色も顔立ち。髪の生え具合もそうだった。

 

(……確かあたまはつるっぱげで、腹が出ていて人語を使わなかったはずだ。)

 

 彼のイメージでは汚い池の藻の様な色の肌で、大きな口を剥き出しにしては始終舌なめずりをし、裸同然の恰好で暗い洞窟や迷宮に棲んでいる。

 

(それで、村娘や女冒険者を襲っては孕み袋にして次々と子供を産ませている魔物だったはずだ。)

 

 いやそれは、出来の悪いありきたりな空想上のゴブリンだ。女戦士がガチボコに犯されるのを楽しむポルノコンテンツの。彼の思考を読んでいたサキュバスが念話で注意した。

 

「アナキン様。この世界のゴブリンは違うんですってば」

「じゃあ何か? 違う世界には僕の前世の世界の漫画とかで描かれていたようなゴブリンがいるってことかい?」

「そうですね……それもほんのごく一部ですよ。大抵はキノコの家に住むフェアリーさんたちと大して変わらない生活を送っている、とてもとても平和を愛する種族です。ニンゲンが自分たちが住む森を乱開発してブチ切れて襲う、というのはよくありますけど……」

 

 その騒乱のさなかにゴブリンたちは捕虜にした女を輪姦することは、よくあったらしい。なるほど、とアナキンは思った。

 

 しかし自分が転生人だとサキュバスたちにばれだしていることは、一抹の不安がある。だが、今のところは兄にはまだ知られていない。前世の記憶を活かしてくれと言われることもない。あの世界で覚えていたことはすべて、役に立たないと思っている。今が大事だ。

 

「それで、ヨーシヒデクス様は魔族とやらを見てどうしたいのでしょう?」

「そうだな……会って話をしてみたいと思っただけだ。ヨーシデンは魔族にとっても魅力的な街なのか、魔竜はお前らをここに寄こして何を企んでいる、とかな」

 

(また嘘を。アーノンレンシの警備を頼もうとしているのだろう。)

 

 スカルファッカー兄弟は姫を亡き者にしたいが、ヨーシヒデクスはそうではない。厄介な盟友のハビキシュッテン公に似た考えた。王都にいなければ、それでよい。

 

 アーノンレンシ姫が半ば魔族として産まれたのを、アナキンも知っている。最近は見違えるほど愛らしく成長したそうだ。

 

 その話は当然、コンゴウアミダラデンにも伝わっているのだろう。あれの曾祖母の様に、魔竜が目をかけているに違いない。アナキンはパラッツォ教団の枢機卿と呼ばれる者に、そう聞いたことがあった。

 

(タカミ=ジュン。コーザの代理でよくコンゴウアミダラデンを訪れているようだけど。)

 

 だが、この目の前の王族は、そのことをまだ知らないはずだ。タカミが話したのは、宰相殿とスカルファッカー公のみだ。

 

「そうですか。では一緒に会ってみませんか。その2人は魔族がわかるのでしょう?」

「そのつもりで連れて来た。そうだよな?」

 

 ダルハンが口を開いた。ややアクセントがきついが、ホーデンエーネン語だった。

 

「勿論ですよ。魔族のあぶり出しは心得てます。何せ、サキュバスを見つけるのに学びましたから」

 

 トクタがアナキンの隣にいるサキュバスを見てにやり、と笑った。スケベそうな顔だった。

 

 話が違うじゃないか。前世で見たエロコンテンツと同じじゃないか。アナキンが尋ねると、白い頬を赤く染めて彼女は答えた。

 

「ワタシたちのことは当の昔から知られていますよ。むしろ、こいつらの集落に喜んで移住するコだっておりますし」

「じゃあ何か? 村を襲って女の子を攫うことはしないまでも、やることはやるってわけかい?」

「精霊人ですよ? 亜人ですよ? 精力絶倫なのは当然のことじゃありませんか?」

 

 なるほど合点がいった。ちなみにゴブリンたちの陰茎のサイズは、この世界の住人では『並』である。しかし一度女の腰を抑え込んだらそう簡単に離さない。3時間でも4時間でも続けるのだ。その腰遣いに魅了されて伴侶となるニンゲンの女も後を絶たなかった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 アナキンとヨーシヒデクスは変装をして隠れ家を出た。街にはアーノンレンシ姫の『見守り』をするハビキシュッテン公の手下がうろうろしている。彼等に見つかればスカルファッカー家の天下掌握にひびが入る。

 

 しかし、この新しい都は何もかもが素晴らしい、とアナキンは思った。道は広々として快適。建物はどれも新しく、ナントブルグのように屋根が崩れていたり梁が腐っている建物が1つも無い。

 

 何よりも城壁が無いのがすがすがしかった。防備に不安は残るが、街の周囲にある河と堤がその代わりとなっていた。街の北側には丘に、守りを補う為に砦がいくつも築かれていたし、何か事があった時に軍を敷くのに役に立つ陣地も備わっていた。

 

 街の区画もきっちりと揃えている。人の移動の大動脈となりつつある『えくすぷれす』の駅と、トリシア大学を中心軸にして広がるこの都はまさに、マイヤ=カツランダルクが手掛けた最高傑作だ。

 

(上下水道もほぼ完備、疫病も起きていないと聞いたな。流石はマイヤ、と言うべきか。いや、そのそっくりさんの網元の娘のローラだったか……。)

 

 考えているとわからなくなって来た。まぎれもなくこの都はマイヤ=カツランダルクが発案し基本を設計したのは確かだ。イーガのアドルフ王子が言っていたマイヤによく似た女が、実は本人だったというのは自分の中で理解し始めていた。

 

 だが、前世で日本の最高学府の学生だったとはいえ、ここまで見事な街を設計する学識があったのだろうか、ともアナキンは疑問に思っていた。専門が違えばそれ以外のことはまるでわからない、というのが大学生である。学者でもそうだ。

 

(まあ、それだけいろんな勉強をしていたということなんだろうな。いや、そもそも、ナーガハーマもヨコヤマヴァールの防衛ラインも、あいつが手掛けたらしいじゃないか。アナキン王子様が恐れていたのもよくわかる。あいつが今もし生きていたら、至極厄介な敵になっただろうな。)

 

 学問所から帰る少年たちや店に向かう女たちの姿を見ながら、アナキンはそう思った。するとトクタが呼びかけた。右手の路地に魔族がいるのを察知したようだ。

 

「入るぞ」

 

 呼びかけるヨーシヒデクスと共にアナキンは薄暗い道に入って行った。道の真ん中にある下水の板の隙間から、ぷうんとにおいが漂っている。このあたりの便所は水洗式のようだ。確か街のはずれには、イーガの街でよく見かけた下水処理施設もあったな、とアナキンは思い出した。

 

「しかし下水からのにおいがきついな。まるで王城の外堀みたいなにおいだ。汚泥が溜まっているせいなのか?」

「河からひいた水が定期的に流れる仕組みになっているみたいですが、このあたりはそうではないかもしれませんね」

「なるほど。ここまでの規模のものを完璧にするには難しい、という訳か。汲み取り便所とどちらが良いのか検討はつかんが……」

 

 ヨーシヒデクスは鼻をつまんだ。野原でひねるほうが鼻の健康には良いなどと軽口を叩いて皆を笑わせた。

 

 しばらく歩くとダルハンが、すぐそこと視線の向こうにある扉を指さす。看板があった。『トックハックの秘密の小道具屋』などという名前が書かれてあった。

 

「トックハック……聞き馴れん名前だ」

「下級の魔族は変な名前の者が多いそうですよ。イブベンチリハヤとかムルベックダットンとか……」

 

 ゴブリン2人とアナキンのお付きのサキュバスが無言でうなずく。淫魔のほうの本名だが、チョロチョロポッポヨという。名前があまりにもあれな響きなので、アナキンには偽名を使っていた。ロキシーと名乗っていた。

 

 アナキンが念話でチョロチョロポッポヨに。魔族の気配には気づいたか?

 

「このあたりでようやく、といったところです。この家屋に魔力探知を妨害する術式か魔道具を置いているみたいですわね」

「で、ロキシー。中にいるのはどのくらいの使い手なんだろう?」

「多分、下の中といったところです。ワタシと同じぐらいかしら……魔竜様の部下では無い感じです。ワタシの様な『密航組』か、この世界で生まれた『先祖返り』か『出来損ない』と同じぐらい、ですね」

 

 アナキンは安心した。そのぐらいなら『魔族殺しの剣』で何とかなるだろう。彼の顔をちらと見たヨーシヒデクスが眉をひそめる。アナキンの顔に侮りの色が浮かんだからだ。表情が読みやすく謀りごとに向いていない。アナキンをヨーシヒデクスはそう思っていた。

 

「扉は俺が開ける。アナキンは俺の後ろにつけ。でかい図体でちびっこい2人が見えなくなるから好都合だろう」

 

 扉が開いた。埃っぽいにおいのする店の中には、塗装やニスが剥げた棚に、地味な色合いの品物が無造作に置かれていた。

 

 カンテラや香炉、あるいは壺や護符といったものが置かれていたが、どれも年代品で色せていたりひびが入っていた。ガラクタ同然の骨董品のようだった。

 

 それと店の中は薄暗かった。店の奥がまるで見えない。ヨーシヒデクスは禿げ頭をさすりながら大声で呼びかけた。

 

「おい、店主。いるんなら返事しろ」

 

 暗闇からあいよ、と返事が返って来た。床板をきしませながら現れたのは、30がらみの茶髪の男だ。容貌は端正だががりがりに瘦せていて、目にはやにがついていた。なんかちぐはぐな印象をアナキンは持った。

 

「ようこそ、トックハックの魔道具店へ」

「トックハックはお前の名か?」

「はい。いかにも」

 

 声は小さく甲高い。気の弱い青年というよりかは、苦労を重ね過ぎて覇気を失った老人の様な声だ。顔は若々しいのに勿体ない。そう思いながらヨーシヒデクスが尋ねる。

 

「魔道具を所望したい。金ならある」

「どういう用途の魔道具をお探しで?」

「美しい幻影を見せるやつがいい。映写機のようにレンズがあって、そこから立体的な映像を見せてくれるやつだ。きらきら、とした映像なんかが出るのがいい」

「ほう……『ほろぐらむ』のようなものですかい。ありますとも。でも小さな女の子向けの品物ですな。お孫さん用にですか?」

「飼っている『ひよこ』の為だ。そういえばわかるだろう?」

 

 トックハックはにんまりと笑った。『ひよこ』とは要するに幼女の囲い女のことだ。ヨーシヒデクスだが今現在、4人の夜伽役の童女を抱えている。10歳ぐらいの小さな体に毎晩、大人の陰茎で女の淫蕩さを身につけさせているのだ。

 

「ふへへへ。ありますとも。少しお待ちくださいね。奥に行って探してきますので」

 

 店主は暗闇に消えて行った。アナキンの脳裏に、トクタからの念話。

 

「間違いありません。あいつです」

「そうなるとどうしてヨーシデンで売れそうに無い小道具屋なんかを? 魔道士として雇われればもっと良い暮らしができると思うんだが?」

 

 ヨーシデン公は諸侯の中で一番給料の払いがいい。特に魔道士は重宝されている。色町に立つサキュバス達にも、招集があった時に加わってもらうよう、生活保護費というものを渡していた。

 

(そうか。つまりは……別の目的で、ということか。)

 

 アナキンは剣の柄に手をかけて一歩踏み入れた。よせ、とヨーシヒデクスは思った。店の中に防護術式を仕掛けているなら、こちらの動きも見えるはずだ。

 

「逸り過ぎだ、アナキン」

 

 遅かった。店の奥でいきなり、鋭くぴりつく気配が起こったと思うと、ヨーシヒデクスは腰を落として剣を抜いた。途端に刃が鳴る音が響いた。

 

 幅広の湾曲刀が、ヨーシヒデクスが手にしたミスリルの剣の刃と交わりあっていた。彼の持つ剣は魔の者が近くにいることを示して、紅く輝いていた。

 

 浅黒い肌と屈強な体つきのシマナミスタン人だ。縮れた顎髭がびっしりと生えている。上半身裸でむせ返るほど汗臭い。アナキンは突然の奇襲の仕掛け人に目を見張ったが、汗臭い男にメロつきたがるチョロチョロポッポヨは口からよだれを垂らしていた。

 

「お前は、誰だ?」

「そっちこそ。クルシマーヴァラのバルバンの一撃を受け止めるとは、この国で最強と言われる聖騎士団員か?」

 

 相手は片手で刀を持っていた。剛力で鳴らすヨーシヒデクスは両手持ちなのにだ。

 

「聖騎士団に入れたらお前の首が飛んでただろう。良かったな、バルバンとやら!」

 

 ヨーシヒデクスは押し返した。それから素早く印を切る。身体強化術式だ。最初のつばぜり合いで厄介な奴だと睨んだからだ。

 

 トクタとダルハンが入り口の隙間からするりと入ってバルバンに襲い掛かった。速さを旨とするゴブリンの剣術は相手が動く隙を与えなかった。

 

 防戦一方になりかけるとシマナミスタン人は咆哮した。

 

「こちらも本気を出さねば! クルシマーヴァラ=ゴールのバルバンの恐ろしさ、貴様たちに思い知らせてやる!」

 

 一瞬、相手の身体が一回り大きくなった様に見えた。恐ろしい程の闘気である。棚とそれに並べられた店の品物ががたがたと震えた。

 

 アナキンは戸惑い足がすくんだ。タカイチゲンシュタット近郊で同じものを経験していた。彼が引き連れた軍勢を皆殺しにする前にイズヴァルトが放ったものと同じ、死と破壊を予感させる禍々しい力だった。

 

「思い知れぇえッ!!」

 

 バルバンの咆哮。そして轟音。ヨーシヒデクスとゴブリン2人は壁を突き破りながら店の外に突き飛ばされていた。バルバンは髪を逆立てながらヨーシヒデクスらの方を見ていた。

 

 いつの間に、と思ったアナキンは剣を抜く。鞘から刃が抜ける音と共にバルバンがこちらを向く。首狙いの上段突きに構えたアナキンを見て、冷たい笑みを浮かべた。

 

「あの3人が本気になる前に、まずは一番の雑魚のお前を血祭りにあげてやる」

「……言っておくが、僕も魔法戦士だぞ?」

 

 アナキンは剣先で印を切った。身体強化術式の10倍掛け。彼の姿が消えた。いや、そう思った後にすぐ、腰をかがめて相手の懐に入り剣で貫こうとしていた。

 

「させるかぁ!!」

 

 バルバンが手で剣をはじく。恐ろしく強い力。アナキンの胸に蹴りを入れた。寸前のところで避けたアナキンだが続く回し蹴りをもろに喰らって店の外に吹き飛ばされた。立ち上がるも身体のあちらこちらに強い痛みがあった。

 

(右の脇腹がひどく痛い……。なんていう馬鹿力だ。)

 

 ごぼっ、と血を吐いて近づいて来る相手も見据える。限界まで身体強化魔法をかけたのに、蹴りだけでここまで手ひどくやられるとは信じられなかった。

 

 ヨーシヒデクス達はまだ立ち上がれない。あまりにも激しい一撃を喰らって身体が言うことを聞いてくれないのだ。

 

 この場で立っているのは、アナキンとバルバンだけだ。チョロチョロポッポヨはとうに姿を隠していた。

 

「どうした? かかって来んのか?」

 

 バルバンが湾曲刀を両手に構えてアナキンの腹を見据える。この一刀で真っ二つにしてやる。そういう意味を含めたひと睨みだ。

 

「来世でゴールの武勇を語り継げッ!!」

 

 相手が駆けだした一瞬、アナキンは亡き妻のピルリアのことを思った。

 

(次の往く先ではきっと、君と……。)

 

 いや、心の中のピルリアはこう返していた。ぼっちゃん、今こそ踏ん張るときですよ。アナキンはふっと笑った。

 

 彼は、自分の中に眠っていた力が目覚めたのを感じた。強大な魔力である。これまで彼が討ち滅ぼして知らぬうちに吸い取っていた魔族の力だ。

 

 彼は傍系だが、サキュバスを祖とする王国、ナントブルグ=カツランダルク王国の末裔でもある。彼は全く知らなかったが、祖先が持っていたエナジードレインの力をいくらか秘していた。

 

 吸収したものの中には、詭計に遭い、狂気に奔ったトリーネ=カツランダルクを討ち果たして得た魔力もあった。無尽蔵とも言える、底がわからぬ量の魔力だ。

 

 バルバンの姿が見えなくなった。気配ですぐそこまで迫っているとわかると、心の中のピルリアが彼にこう告げた。

 

「今ですよ、ぼっちゃん。力を解き放って」

 

 何を言っているのかがわかる気がした。途端、アナキンの身体はすっと消え、それから足を踏みしめ、上段から剣を切り払ったあとの恰好で店の前に立っていた。刀身は汚れ、顔と服は返り血を浴びていた。

 

 先程彼が立っていたところには身体を真っ二つにされてこと切れていたバルバンの遺骸があった。やっとのことで起き上がれたヨーシヒデクス達は、一体何が起きたのかとアナキンに尋ねた。

 

「僕にもわかりません……でも、とんでもない力を身体の中に感じて、気づいたら剣が血で濡れていたんです」

 

 血がついた剣を抜いたままアナキンは店の中に入った。魔法で光を照らすと、店の奥の部屋でうずくまっていたトックハックを見つけて声をかけた。

 

「話すんだ。なぜヨーシデンに来た? どうしてゴール族なんかを仲間にしていたんだ?」




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

次回も『幕間』のお話となります。

以下はリンクです。(別サイト)


削除したエピソードはこちらでご確認ください。
題名はSEО対策です。

本編
『聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜』です。
現在ハーメルン版と同じく聖王編まで掲載。
主人公イズヴァルトがちんちんをぶんまわしながら世界を渡り歩き、マイヤやスケベな女達に搾取されるお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837

外伝1 マイヤとトーリが主軸のお話です。
 『前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆』
トーリとマイヤとそのご先祖について、そのご先祖の家来筋のイーガ魔法王国の王子の物語と、覚醒したトーリがホーデンエーネン王国の実権を握り支配し、凋落するまでのお話となります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728

外伝2 本作の重要人物、魔法戦士ヘラのお話です。
『転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604


以下は旧版のイズヴァルト。題名はSEО対策です。
(内容は大体一緒ですが、細部がいろいろと違います。)

『エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。
』
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/


以下のは、副産物となります。

爆焔のダークエルフ
https://h.syosetu.org/novel/378655/

サキュバスレストランへようこそ! Hルート
※別サイト。エロをマシマシにした改稿版です。
https://novel18.syosetu.com/n1061iv/
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