聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・忠烈編 作:CHACOとJAGUAR
アーノンレンシと曲芸師のマリィが、お互いの前世のことについて語るお話となっております。
マリィはアーノンレンシを前に語りだした。
「わたし前世は、アメリカに住んでいたの。エレノアという名前のだった」
西暦で言えば1993年に生まれた。『シオリ』の従兄弟と同い歳だ。
「デトロイトの街に住んでいた。と言っても郊外よ。わたしは小さい頃からハリウッド女優を夢見ていた、劇団員でもあったわ」
デトロイトの街については『シオリ』も知っている。テレビのニュースでだ。ハンマーを持って日本車を壊す、アメリカの労働者の報道だった。極東の小さな島国に太平洋戦争の復讐をされたから、あんなにも怒っているのだと伯父が言っていた。
「マサタカは……マサタカ=コーサカはわたしのクラスメイトだった」
中学二年の時に留学してきた。すぐに英会話を覚え誰とでも打ち解けられる頭のいい子だった。ただ、なんというかお茶らけているというか、
「すごい嘘つきだったのよ、マサタカは」
「マサタカちゃん、そんな悪い子になっちゃったの?」
アーノンレンシの眠たげな眼は、涙をこぼしそうなぐらいに潤んでいた。よっぽどひどい想像をしているみたいだ。マリィは慌てて付け加えた。
「ええと……人を罠にはめるんじゃなくて、別の種類の嘘だったわ」
「ええと、別の種類ってどんなの?」
「えーと例えば……トーキョーのカブキチョーは、日本最強と言われるヤクザとチャイナマフィアのカンフーマスターアサシンが毎日のように戦いを繰り広げている、とか」
「……ハァ?」
口をあんぐりと開けるアーノンレンシに、マリィはマサタカが言った嘘を開陳しだした。
「北海道はロシアのカニ漁船と共にトカレフや元スペツナズの親日ロシア傭兵が運ばれて来るとか、それをよく買い付けるのは、キューシューとかいう島のクドゥーカイっていう名前のマフィアだって」
「うーんそれ、もしかしたらあるかもしれないけれど……」
「それと、日本にはリアルこなたばっかりで、ちっちゃかわいいハイスクルールガールがたっくさんいるって!」
「こな、こなた……うーん、えーと、だれそれ?」
「わからないの! ハムスターみたいに可愛いジャパニメーションのヒロインよ! とても長い青い髪で、左目に泣きホクロがある女の子なの!」
「ええと、シオリ、前世は2000年に死んじゃったからその後のことはわからないんだよ。えへへへ……」
「えっ? そうだったの?」
恥ずかしそうに笑うアーノンレンシに、マリィは気まずさを感じた。
(マサタカからは聞いていない。いとこの仲がいいおねえちゃんがいると聞いたけど。)
それがシオリだった。
「ただ、シオリの前世の記憶って、あちこちがぼやけているんだよね。ママは飛行機事故で奇跡的に生き残ったけど、なぜかお墓に入ってて手を合わせていた事も覚えているの。それから……」
仲が良かった異母弟妹達と全く面識が無いという記憶があったり、育ててくれた伯父とエッチなことをして、男女の関係になりかかったという変な記憶もある。
「まったく違う記憶……SFみたいなお話だね?」
「うん……多分、イズヴァルトさんが話してくれたことが関係しているんじゃないかと思うんだ」
アーノンレンシは、前世の母親がどういう経緯でこの世界に来たのかを聞かされていた。
一度飛行機事故で死んで、この世界で生まれ変わった。
それで事件に巻き込まれて命を落としたが、イズヴァルトが神の世界の戦いに赴き、勝利に貢献したからその褒美に前世に「奇跡的に生き残った」という態で戻ったそうだ。
神との戦いが理解できなかったが、タカイチゲンシュタットで見たイズヴァルトの鬼神の様な強さを見てそうかもしれない、とアーノンレンシは信じた。
彼女を背負いながらたった1人で、5000人以上の兵士を屠ったのだ。血しぶきを見てそれを浴びながら、アーノンレンシはこう思った。こんなに強いのなら、神様も殺せるかもしれない。
「イズヴァルトさんは嘘つきじゃないし、ものすごく強い。だからシオリはイズヴァルトさんのことを信じているの。エレノアちゃんはマサタカちゃんとどんなことをお話した? エレノアちゃんはシオリが死んだ後のマサタカちゃんのこと、どれだけ知っているの?」
「ええと……ゲームが大好きで勝負に負けると餓鬼っぽくわめく、まるでハイスクールのダメな女子みたいな大金持ちのおばさんがいたっていう話を聞いたの。名前は、シオリコさんというらしいんだけど……」
「ん?」
アーノンレンシは耳を疑った。それ、ママの名前だよね?
「愛人が産んだ4人の子供の学費の面倒を見たり、マサタカを息子の様に可愛がって目をかけていたらしいんだけど、そんな気配も無さそうなおとなしめで清純そうなガワなのに、すんごいドスケベで、チバとかイバラギに愛人が何人かいるそうだわ。その男達とデイズニランドやピューロパークとかでデートして、耳が着いたカチューシャをつけてプリクラを撮っているのを見せられておえっとなった、とも聞いたことがあるの」
「うえええ……」
母のイメージが一瞬で崩れた。背丈と姿かたちこそ中学生の様にも見えるなりだが、一流大学出の美人だった。『ドブネズミ』と『白猫』のカチューシャをつけてかわい子ぶる姿など想像もできなかった。
「ママ、そういう人だっんだ……シオリが物覚えついていた頃はすでにベッドの上ですやすや寝てばかりだったけど、生きてお話をしてたらものすごくアレな人だったんだね。前世のシオリみたいに……」
「ふえっ! ああでもいい人らしいから! ニッポンに来たら是非とも会わせてあげると言ってたわ!」
「……そうなの?」
「そのう……見ていて
アーノンレンシは頭を抱えた。前世の自分がおかしい心で産まれてしまったのは、母の遺伝のせいなんじゃないかな、と嘆いた。
(うん、せめてどこでもうんちをぶりぶりしたがる癖は治せないとしても、せめてシオリコママよりも大人になろう。)
そう思い立って別のことを聞くことにした。エレノアのその先を聞きたい。自分の死後のあの世界で、エレノアはどう生きて来たのかを聞きたかった。
「エレノアちゃん、聞いていい?」
「どうしたの? 気分悪くしちゃった?」
「ううん、シオリコママはエレノアちゃんが前世の時代をどこまで生きて来たか知りたいの。過去にこの世界に転生してきた人が本に残したりもしてくれたけど、朧ろ気にしかわからないから21世紀の世界がどうなったか、聞きたい」
マリィは少しうつむいた。それからぼそっとこう口に出した。
「でもわたしも、たった8年しか21世紀を生きてこなかったからろくに話せないよ?」
□ □ □ □ □
2008年9月15日、正午。
その日のデトロイトの街の中心の真上は、真っ黒い積乱雲に覆われていた。
無数の稲光が紫の亀裂を為し、その後におどろおどろしい雷鳴が轟いていた。
エレノアは母が運転する車で、市内にある劇団の練習場に向かうところだった。テレビの予報とは全く違う空を見て、誕生日に買ってもらったばかりのiPhoneを取り出し、天気予報のページを開いた。
晴天。しかしデトロイトは雷雲に覆われている。ちぇっ、天気予報ってあてにならないこともあるのね。そう思った矢先、雷雲の真ん中がぽっかりと開いた。
そこから1本の赤い線が出て、それがデトロイトの街のビル群にまで近づくと、鞭の様にしなりだした。
突如として街を劫火が包み、あちらこちらで爆発が起こった。
「その光がわたしとママが乗る車にまで来たことまで覚えているの。前世のわたしの人生は、その9月15日で止まったままなの」
「……」
「あの時、何が起こったのかはわからない。でも、シオリちゃんがもし、その後を生きた転生者が書いた本を知っていたら、わたしにも読ませてほしいの」
「ううん。聞いたことがあるよ、その話」
マリィはうっすらと唇を嚙み締めた。
「誰から聞いたの?」
「正確には聞いたんじゃない。シオリコママと仲が良かったパラッツォの枢機卿さんが、シオリコママに自分の前世で見たこと聞いたことをまとめて書いた、ノートがあったんだよ」
この屋敷にある『ママ』の部屋の本棚に。
ちなみにその枢機卿の名は、タカミ=ジュンと言った。
□ □ □ □ □
「これだよ」
アーノンレンシは古びた日記帳をマリィに差しだした。タカミ=ジュンが彼の、いや、枢機卿ら全員の前世のことを知りたいマイヤの為に書いたノートだ。
彼らはシオリとエレノアの世界の数百年後を、前世に生きて来た者達だった。
「旧時代暦でいう2008年に、最初に救世主が降り立ってことごとく悪を討ち滅ぼし、どこかへと去って行った。そしてその40年後、救世主は再び世に現れ、あらゆる悪徳とその偶像を破壊し尽くして旧文明時代を終わらせた。世界の4分の3もの人々が命を落としたが、救世主はその使徒らと共に新たなる時代を作り出した」
それが、タカミ達の生きていた時代だ。救世主により委託されたとある宗教組織がその頂点だった。
政治から軍事までを司り、世界のすべてが彼等中心に動いた。それまで世を制していた奢侈や横暴が抑えられ、素朴な信仰と心が赴くままの性愛が尊ばれていた。
その宗教の名前は、『救世主教』だった。唯一神の名の元にその道理を説き、人々はそれを信仰しながら身の程をわきまえた生活を送った。そのせいで、文明の進歩は著しく遅滞した。
だが、その救世主がもたらした法典のうち1つを曲解した、かつての異教徒たちが結集し、新たな宗教を産んだ。
「彼等は神は決して1人ではないと説く、旧文明時代の多神教をもとにした新たな宗教を作り出した。それが『新生派』だった。そこに『偉大なるお方』をもともと信仰していた者達も加わった。元はと言えば彼等の先祖も、多くの神がいる神話を持っていた。重石となっていたクルアーンが、書き始めた頃に戻ったというだけの話でもあるだろう」
そして、タカミの前世はその二大教団の戦いの末期にあった。『救世主教』は『新生派』に滅ぼされかけていた。『救世主派』の最後の拠点は、救世主の墓所がある日本だった。
「だが、何故日本の、しかも三郷にその墓所があったのか。救世主再降臨の前に起こったことがその手がかりとなるだろう。これはその殆どが逸失している、『聖マサタクトゥス』の手記からしかわからない。残っていたものだけを読んでも多分、不十分だろう。それだけに救世主の二度目の来訪の時に起こった戦火が、修復不可能なまでに何もかもを焼き尽くしたからだろう」
その『聖マサタクトゥスの手記』には、断片的にだがこう書かれていた。
「最初に炎の悪魔がしもべと共に現れ、世界を焼いた。その後救世主はたくさんの眷属を引き連れて悪魔を滅ぼした。救世主はしばらくの間この世界にいたが、このマサタクトゥスに向後を頼むと告げた後、唯一無二の友と共に墓所へと入り、二度と姿を見せなかった。」
これが、ノートに書かれていた2008年より後の出来事だ。しかし2008年にことごとく悪を討ち滅ぼした、というくだりがマリィには気になった。
(悪って……デトロイトの街に、何があったというの?)
もしかして核兵器か。いや、もっと何か別の恐ろしいものを作っていたのか。
ノートを読み終え、わなわなと震えるマリィの手を取ったアーノンレンシはこう言った。
「でも、本当の救世主だったら悪いやつだけを狙うはずだよ。シオリはおかしい、と思っているの。何か間違ったことを伝え聞いているんじゃないかなって」
それに、彼ら枢機卿11人が、この世界に生まれ変わった理由も、このノートには無かったがマイヤの日記に書かれている、とアーノンレンシは言った。
「枢機卿さんたちはその『救世主』を探しに、この世界に生まれ変わったんだって。エレノアちゃんが、デトロイトの街が炎で焼き殺されたというのなら、この世界だったらそれが簡単にできる、たった1本の剣があったみたいなの」
イズヴァルトが持っていた、炎の力を宿した『覇王の剣』がそれだ。いいや、その剣にはイズヴァルトが新しい名前を与えている。
「
その剣はある人物によって持ち去られていた。
マイヤの消息と同じ頃に行方をくらませた、パラッツォ教国の『教帝正妃』こと、ヘラ=ウキトゥスだ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
次回からはまた本編に戻りますが……多分『語り部』のお話になるかと思います。
セクシーな挿絵をどうぞ。
【挿絵表示】
以下はリンクです。(別サイト)
削除したエピソードはこちらでご確認ください。
題名はSEО対策です。
本編
『聖騎士イズヴァルトの伝説 〜無双の武と凶悪無比なデカチンを持つ英雄の一大叙事詩〜』です。
現在ハーメルン版と同じく聖王編まで掲載。
主人公イズヴァルトがちんちんをぶんまわしながら世界を渡り歩き、マイヤやスケベな女達に搾取されるお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/934913837
外伝1 マイヤとトーリが主軸のお話です。
『前世の記憶を持つ神業尺八使いの狸系美少女の妹と、女帝サキュバスの祖先の才を受け継ぐ清楚ビッチな姉の2人で、搾精の王国を建てちゃいます☆』
トーリとマイヤとそのご先祖について、そのご先祖の家来筋のイーガ魔法王国の王子の物語と、覚醒したトーリがホーデンエーネン王国の実権を握り支配し、凋落するまでのお話となります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/779914728
外伝2 本作の重要人物、魔法戦士ヘラのお話です。
『転生したらあたし、セックス教団の教主の養女でいつでもどこでもエッチがしたくなっちゃう、レベル999のビキニアーマーの美少女魔法戦士でした!』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/872528745/959004604
以下は旧版のイズヴァルト。題名はSEО対策です。
(内容は大体一緒ですが、細部がいろいろと違います。)
『エリクサーみたいに栄養満点の精液を放つ絶倫聖騎士は、転生美幼女淫魔にまとわりつかれておちんちんをチューチュー吸われる。
』
https://novel18.syosetu.com/n3094lt/
以下のは、副産物となります。
爆焔のダークエルフ
https://h.syosetu.org/novel/378655/
サキュバスレストランへようこそ! Hルート
※別サイト。エロをマシマシにした改稿版です。
https://novel18.syosetu.com/n1061iv/