アウトロー娘の陛下呼びからしか得られない栄養素があると思うんだ。(アバダニヒロインの孕ませ小説) 作:XX(旧山川海のすけ)
ソーモンに着いた。
「ここがソーモンですか!」
キャットが目を輝かせていた。
彼女はアバロンから出たことが無いと言っていたからな。
私が物心ついたときには、ソーモンとアバロン間の交通が困難になっていたから、別にあり得ることだ。
彼女が喜ぶのは嬉しい。
が
「あたし、海を見たことが無くて……」
「ちょっと待ちなさい。キャット」
そこに。
エメラルドの注意が入った。
キャットがえっ? という表情を浮かべる。
自分が何を注意されたのか分からないのか。
……私は頭の片隅で、エメラルドが何を言い出すのか予想はしていた。
私も昔、父上に注意を受けたからな。
「貴女、言葉の発音がおかしいわ。無理のないことだけど」
言葉の発音は、生まれた環境を物語るんだ。
彼女の過去をロンダリングする際に、一番最初に直さないといけない部分はそこなんだ。
エメラルドは声を抑えたが、強さはそのままで
「……詳しい指導はアバロンに帰ってからしますけど、先にそこだけ指摘しておきます。覚悟だけは固めておいて」
言葉の指導は厳しい。
だけど、乗り越えて貰いたいし、私は彼女を信じている。
そしてその後。
ソーモンで船の視察をしたけれど。
キャットは感動はしていたが、頭の片隅でアバロンに帰った後のことを気にしているのが、なんとなく伝わって来た。
……頑張ってくれ。
エメラルドの事前予告通り。
アバロンに帰った後、地獄の指導が始まった。
「キャット! あなたのワタクシという言葉の発音は、イントネーションが下町のものなの! 私の発音を真似なさい!」
「ワタクシ、ワタクシ」
護衛の仕事の合間に。
聞かれると一発で上流階級でないことがバレる類の単語の発音修正。
ちょっと厳し過ぎるのではないかと思わないでもないが、キャットが必死で取り組んでくれているから。
私としても止めることはできないんだ。
そうして、数週間で。
みるみる、キャットの言葉の発音が良くなってきた。
それに関して、エメラルドは
「……キャット。だいぶ良くなったわ。元々優秀なのね。貴女」
素直に称賛。
そんなエメラルドの賞賛に、キャットは明るい表情を浮かべる。
だが……
これで終わりでは無いんだ。
続けて彼女は
「まぁ、これぐらいは陛下のお傍でお相手を務められるのだから当然でしょうけど……」
そう言い。
続けて、エメラルドは
傍に控えているテレーズに
「テレーズ。次の段階に進むべきときよ」
そう、目線と言葉で指示を出し
テレーズは頷く。
……とうとう、次の訓練がはじまるのか
キャットは何が始まるの? という顔をする。
テレーズが奥に引っ込み、エメラルドがこの部屋にテーブルと各種備品を運び込む。
……私も幼少期にやられたよ。
でも、これは上流階級は乗り越えないといけないことなんだ。
父上も、兄上も。
おそらく母上も潜り抜けた試練……
「さあ、準備が出来ました」
そして全ての準備を終えたエメラルドが笑顔でそう宣言。
……目は笑っていなかったが
彼女は、言った。
エメラルドの用意したテーブルの席に座らされているキャットを前にして。
それは……
「上流階級格付けチェックです」
アバロンではお正月に毎年行われる上流階級での行事。
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