アウトロー娘の陛下呼びからしか得られない栄養素があると思うんだ。(アバダニヒロインの孕ませ小説) 作:XX(旧山川海のすけ)
生誕祭がやって来た。
花火が打ちあがり、屋台が並ぶ。
行き交う多数のアバロンの民たち。
1日目は私は、キャットと祭りを楽しむことにしたのだ。
比較的、余裕があるから。
「陛下、もうすぐ
民に混じって列に加わりながら、私は山車が来るのを待つ。
山車……初代皇帝を讃えるためにアバロンの街で引き回される、豪奢な装飾を施した二輪の屋台のことだ。
アバロンの街の中を通行し、最後に神殿の中に入る。
その昔は、一番に入ると神になり遊ばされたとされている神帝アルベルト1世の一番の加護を貰えると、一番争いで死人が出る勢いだったが、現在はめでたい生誕祭で死人を出すのは意味不明であると、順番制に変わった。
そう。
……場合によっては、昔からのしきたりでも変わることはあるんだ。
私が「これからは皇帝位の根拠を伝承法に変更する」と臣下たちに宣言したとき。
あのときも大騒ぎになった。
「これまでは男系で神帝の血筋を引く方を皇帝に据えて来たのに、これからはそれを止めると言うことですか!?」
「そんなことは許されない! 我々は神帝と男系で直系の方だと思うから、陛下とお呼びして来たのですよ!?」
……こういう感じで。
予想はしていたがな。
この国を建国した偉大な皇帝の、一定した掟の中で選抜された子孫。
その部分に、普通の民たちは仕えてくれていたのだ。
その部分は分かっていたから私は
「落ち着け! 当然その候補者は私の息子から選抜する!」
そう、さらに追加で宣言した。
……私が伝承法を皇帝の根拠にすることに拘ったのは、思い付きではない。
必然なのだ……
何故なら、七英雄という恐ろしい敵がいるからで。
クジンシー、ボクオーンに代表される恐ろしい化け物たち。
彼らは間違いなく人間の敵で、討伐せねばならない存在だが……
その意思を、普通の皇帝継承で継いで行ける保証は無いのだ。
……バレンヌ帝国1000年の歴史のうち、歴代皇帝の中で名君とはとても呼べない皇帝が2名居る。
音楽と恋愛にかまけて、国政を疎かにしたギルバート帝。
強引に即位した挙句国政をメチャクチャにし、一時期帝国を潰しかけたケフカ帝。
……もし今後、そういう暗君が即位した場合、七英雄に付け込まれる隙になる。
我が帝国は、すでに七英雄と敵対することが決定しているのだから。
なので……
伝承法を根拠にしないと、国が持たないんだ。
伝承法を使用すると、歴代皇帝の意志が魂に入り込む。
技能以外に、記憶まで引き継ぐのはそういうことなんだ。
その状況で、七英雄を討伐する意志を忘れる皇帝が現れようがない。
そう。
最終的に恋に狂って、人魚姫のように美しいと持て囃された恋人と彼方へ一緒に逃避行するような、ギルバート帝のような愚帝は!
だから伝承法への移行はもはや必須事項で、それを議会に認めさせるために……
伝承法で皇帝継承をするのを、私の息子に限定した。
あのときは本当に大変だった。
そんなことを、山車を待ちながら考えていた。
「陛下、来ました」
……キャットがそっと私の腕を取り、指差す。
豪奢なアルベルト1世を模した張り子人形が乗せられた屋台が複数、行列を作ってやってくる。
私の周りの民衆は、歓声を持ってそれを迎える。
……この国を未来永劫守らないといけないから。
「キャット」
私は傍にいる彼女に呼び掛ける。
「何でしょう陛下?」
彼女は私の隣で私を見上げる。
私はそっと彼女を抱き寄せて。
耳元で囁く
「明日からよろしく頼むぞ」
「アシェラ」
アシェラ。
それが、これから皇后になる彼女の名前。
キャット……いや、明日からアシェラになる彼女は、ピクリと肩を震わせ。
「ハイ。陛下。ワタクシこそ、よろしくお願い致します」
……彼女の覚悟をその言葉に感じ。
私は感謝と喜びで胸が震えた。
次回、お披露目。
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