アウトロー娘の陛下呼びからしか得られない栄養素があると思うんだ。(アバダニヒロインの孕ませ小説) 作:XX(旧山川海のすけ)
「そういうわけで、よろしくお願い致しますわ」
「運河要塞攻略以来ですね陛下」
会議が終わり。
文官たちが去った後。
新しく増えた護衛2名が私に臣下の礼を取りに来た。
……この2名は、先帝である父上が崩御なさった後に、ソーモンを支配していた七英雄クジンシーを討伐する際も同行してくれた信頼できる家臣たちなのだけど……
「陛下、文官長も言っていたのですが」
エメラルドが私に微笑みを浮かべつつ
「そろそろ、皇后を決めていただきませんと周辺国に示しがつかないと」
……そう言って来た。
その話か……
そう。
現行我がバレンヌ帝国は、皇帝に側室が存在するのだが、正室たる皇后が存在しないという異常事態になっているのだ。
この件に関しては全面的に私が悪い。
本来なら早々に決めてしまうべきなのだけど……
キャットの気持ちを考えると、決めかねるものがある。
皇后を決めることにキャットは不満を洩らしたりはしないだろうが
悲しむに決まっている。
……本当は褒められたことでは無い。
こういうことは、隙になるからな。
敵は七英雄だけではない。
国内の不満分子や、外国勢力もいるのだ。
皇后がいないことが、バレンヌ攻略の糸口になる可能性はゼロではないのだから。
だからバレンヌ帝国のことを思うなら、早々に決めるべきだ。
キャットの気持ちは無視して。
「ああ、そうだな。……皇后は決めるべきだ」
我ながら皇帝として無責任だと思うのだが、こう言わざるを得ない。
「皇后に最も必要なことは、帝国民がその女性を皇后と呼ぶことに普通に抵抗感が無いことですね」
エメラルドの言葉。
そうだな……
全く持ってその通りだ。
「クジンシーを討ったときの陛下の勇姿は今も覚えていますわ」
テレーズがその手を胸の前で組んで、笑みを浮かべて語った。
……私としては嬉しい記憶では無いのだけど、テレーズにしてみれば、父上の命を奪った憎い相手を完膚なきまでに叩き潰した誇るべき戦いなんだろうな。
それは決して変なことでは無いし、私も問題だとは思わない。
クジンシーは、ソウルスティールという敵の生命力を枯渇させる必殺技を持っていた。
究極の初見殺しの必殺技だ。
一度喰らえば見切るのは難しくない。
初動が大きく、実際にやられると2回目は見落としたりはしないから。
だけどそれに気づいたときには命を落としている……そういう厄介な技なんだ。
それを父上は伝承法を駆使し、命を賭けて私に伝えた。
その結果なんだ。
「先帝陛下が今上陛下の中に息づいておられる……あのときは震えたのを覚えております」
「ありがとう」
テレーズのクジンシー戦においての私への賞賛に礼を言い
大理石で出来た浴室で。
素裸で並んで立っている3人に視線を送る。
テレーズとエメラルドは特に変わりなく。
キャットは少し悲しそうだった……
次回、お風呂回。
本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。