ふしぎふしだら ~少子高齢化にキレた神々の淫らな祟り~ 作:大中小太郎
神はこう仰られた。
「――日本の少子高齢化は深刻である!!」
高天原だかどこかにあるお座敷で、何某かの神が口火を切った。
「下がり続ける出生率、増加する若者の年金負担、核家族化で断絶した親族の繋がりと、蔓延する未婚主義! 子宝を司る神の一人として、もはや捨て置けぬ!」
座敷で車座になっているのは、同じように子宝を司る神々だ。
「然り! 然り!」
「どげんかせんといかん!」
神話の大御所から土着信仰の田舎者まで、心はひとつであった。
「して、いかにする? ただ問題を
「無論! 我らの神通力をもって、男女の契りを結ばせればよい!」
ざわめく神々。
芦原の国に暮らす人の子らに、力技で子を成させようという意見に、賛否が分かれる。
「実はこれに先立って、村をひとつ選び、人の子らを刺激して夫婦を作らせてみた。結果は上々、些事を気にせずまぐわっておったわ。まあ、少々行き過ぎて親族と交わる男女も出てしまったがな、はっはっは」
「笑い事ではなかろう」
「左様、人には人の事情があるのじゃ。ただ産んで増えればいいというものではない」
神々なりに、人間の都合を汲み取ってやらねばならないと、議論は進む。
「――面白い話をしておるのぅ」
と、招かれざる客が、会議に現れた。
「黄泉津大神……っ!?」
神々の一人が、戦慄の声でその名を呼んだ。
黒い着物姿の美しい女神である。
しかし全身から香気のように漂う死の気配は、彼女が冥府の住人であることを物語る。
黄泉津大神、またの名をイザナミノミコト。
火の神を産んだことが元で
「なにをおののいておる。妾とて子宝の神徳で知られた神であるぞ? この神生みを差し置いてなにが少子高齢化対策か。高齢者世代の資産移転なら妾の出番であろう」
ちゃんと調べてる……っ! と戦慄する神々である。
しかも割と恐ろしいことを言っているが、なにせ格の高い神様なので、追い出せる神はこの場に居ない。
「要は人の子が結ばれるよう発破をかけてやればよいのだろう?」
にたりと笑った女神は、邪気を振りまきながらこう宣言した。
「例えば――子を成さない者、子を成せない者を、片っ端からくびり殺してやるというのはどうじゃ?」
殺意の高すぎる少子化対策だった。
しかも提案なのは文言だけであり、目と声音は決定事項だと告げている。
「お、お待ちを……っ!」
「待たぬ。元夫がそう言ったように、日に千と五百の産屋を建てるがよい」
死ぬより多く増えれば問題ないと、神様らしく豪快なことを言い残して、女神は去っていった。
残されたのは、呆然もしくは悲嘆している神々である。
「……やるしかあるまい」
誰かが呟き、神々を鼓舞するように声を張る。
「あの女神は実行に移す! 口にした条件が本当なら、処女童貞はもちろん単なる独身や子宝に恵まれぬ夫婦に至るまで、草をむしるように黄泉路行きだ! かくなる上は、多少強引な手段を用いてでも! 人の子らをその『対象外』とする他にない!」
単純に子作りをしていない者、不妊などで授からない者、それらを殺すと、黄泉の神は言ったのだ。
であれば、その条件に該当する人間を、
「もはや俗世の事情など後回し! 各々方のご神徳をもってして、一人でも多くの人間を救うのだ!」
黄泉の神によるジェノサイド宣言によって、子宝の神々は一致団結した。
これより、少子高齢化を憂いた神々による『たたり』が、人の世に蔓延する。
お久しぶりです、または初めまして。大中小太郎です。
長いこと筆を置いておりましたが投稿を再開、リハビリがてら二次創作してまいります。