ふしぎふしだら ~少子高齢化にキレた神々の淫らな祟り~ 作:大中小太郎
――世界が子供を欲しがっている。
昼夜を問わず場所を問わず、男女の
人々は子作りを恥じなくなった。
それは尊く神聖な行いであり、むしろ汚らわしげに扱ってきたことがおかしい――とでも言うように、世間が『お盛ん』だ。
昨夜はお楽しみでしたねと
女学生が妊娠しても、周囲は驚きこそすれ肯定的に扱いサポートする。
男は求め、女は拒まず、場所を変え、相手を変える。
半ばタブーであるかのような話題だった『セックス』が、全面的に肯定されつつある。
夫婦や恋人はもちろん、それ以外のカジュアルな関係でも。
年の差があっても、浮気や不倫であっても、たまたま居合わせて興が乗っただけの仲でも――あるいは、パパ活と呼ばれるような売春行為であっても。
子作りだから偉い、セックスだから尊い、他人が口を挟むことじゃない。
世間はそのような、性に関する『自由』を蔓延させるようになっていた。
(……夏のうちに、童貞捨てておけばよかったかなぁ)
そのビックウェーブに乗り遅れたのが、丸末晴だった。
(もし……黒羽の告白を、断ってなかったら……)
幼馴染の志田黒羽。
夏休み前、驚いたことに自分に告白してきた女の子。
末晴の胸中に別の女性が居なければ、きっと付き合って、誰にでも自慢できただろう。
(今頃は、黒羽とたっぷりエッチして……)
愚かな妄想に囚われかけた末晴は、
そんな考えは止めよう。
自分は他に好きな子が――可知白草が居るからと、彼女の告白を断ったのだ。
肉欲だけで惜しむなど侮辱そのもの。
振ったなら振った側の義務として、断る理由となった自分の恋を見据えるべきだ。
(『告白祭』……)
末晴が通う穂積野高校の文化祭で催される、衆目の前で告白を行うというイベント。
それに
(よし、計画を立てよう!)
末晴は気持ちを新たにする。
なんだか世間はちょっとおかしいようだが、知ったことか。
いままで通りの自分を保ち、この情熱的でプラトニックな想いを成就させる。
肉体関係なんてのはその先にあるものだ。そうでなければならないのだ!
丸末晴は、
身近な女性たちもそうなのだと――なぜか思い込んでいた。
○
――思い返せば、失恋による自暴自棄だった。
もう過ぎ去った夏休みの話、もう取り返しの聞かない過去のこと。
――志田黒羽は、パパ活で処女を捨ててしまった。
「あああぁぁぁっ♡♡♡ だめだめっ♡ パパぁっ♡ イってるっ♡ もぉイキしゅぎてるからぁっ♡♡♡ あひっ♡ ふあぁぁぁぉぉぉっ♡♡♡」
「ああそうだろうなぁ。こんだけおまんこ
夏休みのあるとき――黒羽はベッドの上で、女の悦楽の最高潮にあった。
ホテルの一室、初老の太った男の前で、一糸まとわぬ姿を晒している。
男の剛直は黒羽の秘所に根元まで埋まり、腰を前後させるたびに、黒羽の胸が弾んだ。
珠の汗が浮いた白い肌は絶頂に震え、男の贅肉がそこに覆いかぶさる。
「おね、がいっ♡ あひぃっ♡ とんじゃうっ♡ んおっ♡ またっ♡ あっあっあっ♡ わたひぃっ♡ 意識ぃっ ひぎゅぅぅっ♡ どっか、イっちゃうのぉぉぉっ♡♡♡」
「いいぞ、安心してイキまくれっ! お前のスケベな体はなぁ、もうそのくらいでないと満足できないんだよっ!」
涙と涎に塗れた黒羽の顔は、エクスタシーの紅潮に耳まで染まっている。
男は黒羽の乳房を左右とも両手で掴むと、ピストンのリズムを変えて最奥部を小突く。
「ふおっ♡ おっ♡ おっおっおっおっ♡♡♡ おおおぉぉぉっっっ♡♡♡」
獣の雄叫びめいた、下品な喘ぎ声。
それが自分の口から出ていることすら、黒羽にはもう遠くの出来事に思えた。
(イキ、しゅぎっ♡ ずっとっ♡ イって♡ イクの、天井、越えちゃってりゅうっ♡♡♡ イクよりしゅごいところにぃ♡♡♡ またぁ♡ 連れて、こられ、ちゃったぁ♡♡♡)
現実の自分は痴態を晒しているが、精神は逆に汚れない天界にあった。
あまりの快感で脳内麻薬が過剰分泌でもされたのか、麻薬のようなトリップを味わう。
(もう、いいっ♡ なにも、かもっ♡
常識も良識も、理性も知性も、どこかへ消えた。
ただこのセックスで悦楽を受け取ることに、黒羽の精神は純粋化される。
「ほぉら、出すぞぉ! お前の大好きな種付けの時間だぞぉ!」
ラストスパートに入った男の声が、黒羽の朦朧とする意識へかすかに届いた。
(あ――らめ――今日――危な――妊娠――子供――赤ちゃ――でき――)
散り散りになった思考力が
「あああぁぁぁっっっ♡ 来てっ♡ 出してぇっ♡ パパのぉ、中出しでぇ♡♡♡ イグのっ♡ 今日もいーっぱいイグのぉぉぉっっっ♡♡♡
この瞬間こそ悦楽の頂点なのだと知っている本能に、追い払われた。
「っぐ、おお!」
どぷぅ! と、黒羽の膣内に射精が起きる。
子宮に溶けた鉄の如く注ぎ込まれた白濁液は、黒羽の全身に極大の快感をもたらした。
「――――」
人格が消し飛び、人生が一変するような、極限の絶頂。
間違いない、自分はきっとこの瞬間のために、女として生まれたのだ――!
そんな確信を刻み付けられながら、黒羽の意識は、悦楽の海に沈んでいく。
体には、望む望まないに関わらず、女の悦びが刻まれている。
――新学期が始まった後も、ふと思い出すほどに。
○
「――ハル、復讐しよう」
自分を振った末晴にそう提案したのは、他ならぬ自分の復讐だった。
幼馴染の丸末晴は、同じクラスの可知白草に恋をしている。
しかし白草には恋人が居ると聞いて、今度は末晴が失恋者になった。
だから誘導した――自分の初恋をふいにした憎たらしい相手に、思い知らせてやろうと。
「これは初恋
すっかりその気になった末晴を可愛らしく思いながら、黒羽は考える。
本当に復讐されるのは――丸末晴である。
今後に起きる『告白祭』を巡る出来事は、自分の初恋を砕いた末晴への、志田黒羽による復讐計画である。
『告白祭』で、末晴に、自分へ告白させる。
それを綺麗さっぱり、痛快に振ってやることで、振られた自分と同じ痛みを味わわせる。
毒こそあれど、甘酸っぱい青春の
――それで済むはずだった物語に、異物が混入される。
「あ……」
末晴に復讐を決意させた後の夜、黒羽の携帯に、メッセージが届いた。
「ちょっと出かけてくるね」
「あれ? お姉ちゃん制服? どこ行くの?」
「学校、忘れ物しちゃった」
何食わぬ顔で妹たちに伝えて、黒羽は家を出た。
「はぁ……はぁ……っ」
行かねばならない、急がなければならない、『彼』の呼び出しに応じなければならない。
でないと――
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
そうなれば黒羽の青春は破滅する。
級友に、家族に、末晴に知られれば、その関係が壊れてしまう。
ひいては、それらを守るために――
「はっ♡ はっ♡ はぁっ♡ はあっ♡」
今日も自分は――
「よう、志田。ちゃんとすぐ来たじゃないか。偉いぞ」
「……
自分を呼び出した
○
黒羽を呼び出したのは、穂積野高校の教頭だった。
禿げた頭と白髪に、でっぷりと太った体型という、初老の男性である。
一般生徒にとって身近な教員ではないが、愛嬌のある性格だと認識されていた。
少なくとも――女子生徒を夜の学校に呼び出して、空き部屋に連れ込んでいるなどという噂は、立っていない。
「んあっ♡ ちょっ、と……先生……んんっ♡」
夜の教室、黒羽は背後から教頭に抱き寄せられ、無遠慮に胸へ手を這わされる。
小柄に比して大ぶりの膨らみを作る制服に、野太い五指が
「おいおい、ノーブラで来いって言ったじゃないか」
制服越しにブラの感触を得た教頭は、罰するように深く指を沈めた。
「くあぁぁっ♡」
びくんっ! と震え上がる黒羽の細身。
引き寄せられるように教頭の胸板へ背中と後頭部を預け、両手は教頭の腕を掴む。
「そん、なのっ――できるわけ、ないっ――あぁんっ♡」
男の手指に苦悶めいた顔はしているが――心から
体は身をよじるものの、教頭から遠ざかろうとはしていない。
教頭の袖を掴む指も、振り払うというより、しがみ付いて体を支えるようである。
「だいたい……もう、終わりにするって……言った、のにぃ……っ♡」
「ああ、先生もそのつもりだったんだがなぁ。学校ですれ違う度に、志田が思わせぶりな目で見てくるもんだから、てっきり体が恋しくなったのかと」
教頭は黒羽の耳に息を吹きかけながら、ねちっこい声で指摘した。
指先は服とブラ越しに乳首あたりを擦り、黒羽はもどかしそうに首を傾ける。
「そんなん、じゃ……ふあっ♡ 先生こそっ、んっ♡ あんなに、見てきて――あふぁ♡ 誰かに、気付かれたら……んんんっ♡」
言葉の合間合間に混じる嬌声。
どんなに
快感を知り、敏感になってしまった女の反応だった。
「なぁに、いまどきパパ活なんて誰でもやってるさ。俺たち教師が見逃してなかったら、この学校の女子なんて半分は退学になってるぞ」
「んっ♡ ふぅぅっ♡ くぅぅっ♡」
大きく円を描くように左右の乳房を揉みまわされ、黒羽は身を引き絞りながら嬌声を噛み殺す。
制服のスカートの中では内股が擦りあわされ、
「だから志田も――俺の『囮捜査』に引っかかっちゃったんだよなぁ?」
「っっっ♡」
教頭の指摘を受けると同時に、黒羽は軽く達してしまった。
それが呼び水になったように――あの日の過ちが思い返される。
○
夏休み前――黒羽は、幼馴染の末晴に告白して断られた。
その頃には、世間の変化は表れ始めていた。
例えば、こんなことが
『Hなことをすると、ご利益がある』
何をトチ狂ったことをと思ったが、どうにも本当らしい。
曰く、持病が治った。
曰く、相手の仕事が上手く行くようになった。
曰く、交通事故に巻き込まれたけど間一髪で無事だった。
賢明な人間なら感じるだろう――開運アイテムの売り文句か? と。
しかし、ある前提条件を知ると、話は変わってくる。
――最近、
曰く、突然の病で。
曰く、仕事の失敗で首が回らなくなって。
曰く、交通事故で、それも普通なら助かるようなもので。
全国の死者数をカウントする立場の人間は、「呪いか?」と冷や汗を掻いた。
明らかに、偶然では説明できないくらい、日本全国で不幸が相次いでいるのだという。
殺人などの人為よりも、運の良し悪しに左右されるところで、異常な増加が見られる。
――まるで、
そんな認識が広まるくらい、人々の心に恐れを生んでいた。
だから――『ご利益』なのだ。
『パパ活なんて、バイトみたいなもんでしょ?』
『今日び誰でもやってるって』
『別にエッチなことしなきゃいけないってもんでもないし』
『人生なにがあるか分かんないし、お金だけでも溜めておかないと』
どこかで耳にした、パパ活をしているらしい女子たちの会話が、失恋中の心に響く。
要は、傷心から抜け出すための『何か』が欲しかったのだ。
「意外と……いい出会いも、あるのかな」
――きっかけは、失恋による自暴自棄。
丸末晴が黒羽の告白を断ったときから、運命の歯車は狂い始めていた。
○
黒羽は教頭の車に乗せられ、学校からホテルに連れ込まれていた。
「金、ここに置いておくぞ」
教頭はホテルの机に万札を数枚置く。
現役女子高生を『買う』のに足りるのか足りないのか、黒羽には分からない。
「……お金は、もういいです」
そもそも欲しいわけではない黒羽は、頬を紅潮させながら教頭に訴える。
「その代わり……本当に、もう……これで最後にしてください……っ」
「んー、なんだ? 先生とのセックスはそんなに嫌だったのか?」
分かっていて聞いてくる教頭に、黒羽は顔の赤みを増して目を背ける。
「そんなわけないよなぁ?」
夏休みの間、自分が彼にどれほど痴態を
「最初は嫌がってたけど、なんだかんだ言ってホテルの部屋までついてきたよなぁ?」
「っ」
教頭の言葉を聞いた黒羽の脳裏に、そのときの記憶が蘇る。
ザザッ――と、思考をジャックするように。
「あ、あれはっ! 先生が、バラすって……脅した、から」
そう――気の迷いでパパ活をしてしまった最初の日、現れたのは同じ学校の教頭だった。
囮捜査などと言っていたが、半分は買うつもりで来たのだろう。
好みの女子ならその件で脅して、気に入らないなら処分する。
そんな男に、黒羽は弱みを晒してしまったのだ。
「あんな……無理矢理……っ!」
「よく言う。処女とは思えないくらいの乱れっぷりだったじゃないか」
「っっっ」
黒羽の身が竦む。
あの日の体験――こともあろうに、こんな初老のデブ親父に純血を奪われてしまったときの、自分の醜態を。
『あああぁぁぁっっっ♡ だめぇぇっ♡ 先生っ♡ もう止めてっ♡ もうイカせないでぇぇぇっ♡ 死んじゃうっ♡ 死んじゃうからぁっ♡♡♡』
知らなかった。知らなかったのだ。
昨今、なにかおかしいと言われる、女たちの性欲の昂ぶり。
それが、自分の身にも起きていたなんて。
『ははっ、安心しろっ! そのうちこれじゃないと満足できなくなるからなっ! 先生とヤった女子はみんなそうだっ!』
暴力に等しいレベルの快感に、黒羽の心身は打ちのめされ、この男が満足するまで絶頂の嵐に狂わされ続けたのだ。
「はぁっ、はぁっ。はぁ……っ♡」
「お? 体が思い出してるな? そうだぞ志田、口でどれだけ否定したって、お前の体はもう覚えちゃってるんだよ――先生に百回以上はイかされた、あの夏をな」
頭ではなく子宮が、記憶を体へフラッシュバックさせた。
『先生っ♡ イクっ♡ 私イキましゅっ♡ またっ♡ すごいのっ♡ あああぁぁぁっ♡』
『よしよし、ちゃんと言えて偉いぞ。ほら、ご褒美だっ』
『んあああらめらめっ♡ 乳首とお豆いっしょにしちゃダメぇっ♡ 飛んじゃうっ♡ 意識また飛んじゃうからぁぁぁっ♡♡♡』
パパ活の件を脅迫材料に、黒羽は夏休み中何度も、この教頭の慰み者になった。
その度に金は払われたので、合意ということにされるのだろう。
でも実際は、黒羽による体を用いての口止めだった。
黒羽が告発すれば、生徒を買春した教頭もただでは済まない。
だが、黒羽の青春も終わる。
教頭に体を売った女であることが――末晴にバレてしまう。
たとえ自分を振った男でも、初恋の相手にそう思われることだけは、嫌だった。
「はふっ♡ はぁっ♡ あ、はぁ……っ♡」
「認めろよ。志田は、いや女ってのはそういうもんなんだよ。セックスは気持ちよくて、男に抱かれたくて、中出しされて孕みたがる生き物なんだよ。最近やっと人がそのことを自覚し始めたってだけなんだ。それが、これからの『普通』なんだよ」
両腕を抱いて震える黒羽に、教頭は邪悪な笑みで語りかける。
実際、世の中はそのように変化していた。
黒羽以外にも、快楽と実益を兼ねてパパ活をしている女子高生なんて、ごまんといる。
いまや世間もそれを肯定し、取り締まらないどころか、子供ができても支援するという。
「――見返してやりたいんだろう? お前をフった男を」
「っ!」
黒羽は目を見開く。
この教頭には色んなことを知られてしまったが、末晴のことを話した覚えはない。
もしかすると、教室での話題を耳聡く聞きつけて、黒羽の『計画』を読んだのか。
「後悔させてやれよ。こんなエロくて可愛い幼なじみに手を出さなかったなんて、って。協力してやるよ。先生がお前を、もっとエロい女に教育してやる」
「や、やめ……」
滅茶苦茶な理屈ではあるが、黒羽の胸中にある
自分の初恋を砕いた末晴に、思い知らせてやりたい。
そういう熱情で色々と計画を立てていたのは黒羽だ。
ただ、それは自分なりの方法でやるもので、断じてこんな男に抱かれる口実では――
「それとも――俺からそのガキに話を付けてやろうか?」
最初から言えばよかった最大の脅し文句を、教頭が口にする。
「っっっ!! ダメっ! それはっ」
この男が、末晴に、全てをバラす。
自分と彼の間に起きた痴情の限りを語って聞かせ、末晴の心を折る。
それは、黒羽がしたがっていた『復讐』とは違うものだ。
末晴の心を砕いてやりたいという点では同じでも、違うのだ。
「……分かった、から」
やがて黒羽は、屈辱感を顔に
腕を交差させて上へ引き抜けば、華奢に見合わぬサイズの乳房を覆うピンク色のブラが、教頭の前に晒される。
今日も――欲しくもないお金を受け取ることになりそうだ。
○
「んっ♡ あっ♡ ふあぁっ♡」
黒羽の乳房に、教頭の手が乗る。
肩紐をずらされたブラから黒羽の半球がまろび出て、肥満気味な太い指が無遠慮に掴む。
「敏感じゃないか。久しぶりだからか? ん?」
「くあっ♡ ち、が……あぅっ♡ んっ♡ くぅぅっ♡」
淫らさを指摘された黒羽は、必死に声を噛み殺す。
教頭は片腕を黒羽の背に回して肩を掴み、後ろに下がることを許さない。
(気持ちいいっ♡ やっぱり、この人の指ぃ♡ 私の体、覚えちゃってる♡ どれだけイかされてきたか覚えてるっ♡♡♡ 触られるだけで、無条件に感じさせられちゃってるっ♡♡♡)
悔しくて口にはできないが、片手で片胸を揉まれただけで、全身にスイッチが入る。
五指のひとつひとつから電流の如し快感が走り、脳まで届くと足のつま先にまで反射していき、子宮が疼いて秘所が湿った。
まるで飼い主と再会した犬のように、体が『主人』の愛撫に歓喜している。
「最初の頃より胸が大きくなったなぁ。揉んでやった
「んんっ♡ そん、なの……関係、ない。んああっ♡♡♡」
乳首に指を踊らされただけで、黒羽の全身が軽い
「こんなんで軽イキしておいてなにを強がってる! ちょっとしなかっただけで元の体に戻れたとでも思ってるのか?」
「ひうっ♡ やめっ♡ 待っ、んあぁぁぁっ♡」
「イクと敏感になるのも相変わらずじゃないか。黒羽の体はなぁ、もう男無しじゃ生きられないくらい、女の悦びを知ってるんだよっ!」
「あっあっあっ♡ やっ♡ 抓っちゃ、だめっ♡ あっあっあぁぁぁっっっ♡」
乳首を軽く
一度目から五分も経たずに、一度目よりも大きく。
「はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡」
気がつけば黒羽は、教頭の腕に体重を預け、胸板にしなだれかかっていた。
「せん、せぇ……っ♡」
見上げて、呼びかける。
黒羽の中でそれは、慈悲を懇願するだけの行為だった。
相手の目には、濡れた瞳で続きを催促をしているようにしか見えないと分かっていても、黒羽の中ではそうだった。
結果的に『おねだり』となっても構わないという自分の本性を、どこかで自覚しながら。
「おいおい、呼び方が違うだろう」
そんな黒羽の『本性』を受け取った上で、教頭は逆に手を止めた。
「っ、はぁ……はぁ……っ♡」
教頭が何を言わせたいのかは分かっていた。
黒羽の中の、恋する少女としての一面が、それを躊躇わせる。
(だめ……言ったら、また……夏休みのときと、同じ……止めるって、決めたのに……)
そんな黒羽のまともな部分に、それ以外の部分が囁く。
――仕方ないじゃない。
――末晴にバラすぞって脅されてるじゃない。
「…………」
なんだかんだ言って気持ちいいし。
これが初めてってわけじゃないんだし気持ちいいし。
お金だってもらっちゃってるし気持ちいいし私以外の子もやってることだし気持ちいいし実は先生のことそんなに嫌いじゃないし気持ちいいから大人の女になるためのステップアップっていうかおっぱい揉まれたいセックスくらい何度でもおちんぽ欲しい末晴にはバレなきゃ大丈夫イキたい断ったら乱暴されるかもしれないからイキたいイキたい私は被害者で早く早くまたあの夏みたいに滅茶苦茶にイキまくって全部忘れちゃえば――
「どうした? 黒羽」
「あ――」
『志田』ではなく『黒羽』と、名前で呼ばれた。
カチッ――と、黒羽の中で、何かが切り替わった。
本能の訴えに理性が白旗を振った瞬間に、押さえ込んでいた自分が動き出す。
まるで人格が入れ替わったように、黒羽は表情を蕩けさせ、甘く媚びた声音で――
「――パパぁ♡♡♡」
自分を最高に気持ちよくしてくれる男を、合言葉のようにそう呼んだ。
○
街を見れば、連れ立って歩く男女が多い。
ただのカップルと同じくらい、不自然に年の差がある男女が多い。
恥ずかしげもなく腕を組み、熱っぽい視線を交わす姿からは、否応なく肉体関係の気配を感じさせられる。
ホテル街になると、肩に腕を回された女性どころか、尻に手を這わされて歩く女学生すら見当たる。見当たらないのは、嫌がっている様子だけだ。
世間は変化している。
全体的に男女の性欲が増し、セックスと妊娠は肯定的に捉えられている。
今夜もホテルは盛況だ。
黒羽と教頭も、そんな利用客の一組に過ぎない。
あえて言うなら――『常連』だった。
「んっ、あああぁぁぁっん♡♡♡」
ずぷぅ! と、教頭の巨根が黒羽の膣内へ簡単に滑り込む。
乙女ではないどころか、この肉棒に合わせて変わってしまったことが分かる挿入だ。
(あ――これ――パパのっ♡ おちんぽっ♡ 久し、ぶりぃ♡♡♡)
黒羽自身も、専用のプラグを差し込まれたかのようにスイッチが入ってしまった。
頭と体が、夏を思い出す。
教頭をパパと呼ぶようになり、女の悦楽に
「はは、なんだ。口ではなんて言っても入れてやったら元通りだなぁ。俺のを
「はひっ♡ あっ♡ はひゅっ♡」
教頭に貫かれた黒羽は、ベッドの上で仰向けのカエルめいた姿勢のまま、小刻みに絶頂を繰り返している。
挿入されただけだというのに、まるで激しいセックスが終わった後のようだ。
「ほら、覚えてるかぁ? お前を百回以上イかせてやったパパのおちんぽだぞぉ?」
「んっ、おおぉぉっ♡♡♡」
教頭が腰を進めつつ、肉棒をぐいっと上げて子宮を押し上げる。
すると黒羽は背筋を反らし、胸を震わせながら品の無い
「ぱ、ぱ――パパぁ♡ 覚えて、りゅっ♡ わたしの、からだぁ♡ やっぱり、覚えちゃってるぅ♡ パパのこれぇ♡ 気持ちいい♡ 入ってるだけでイっちゃうくらい気持ちいい♡」
メスとして陥落していることを隠さない言葉が、黒羽の口から出る。
目は好色に輝き、
「動い、てぇっ♡ いつもみたいにぃ♡ 黒羽の中でぇ♡ いっぱい気持ちよくなってぇ♡ 気持ちよくしてぇっ♡」
普通の女が夫にすら見せないような、悦楽に脳を溶かされたメスの顔だった。
「おう、いいぞぉ! 久々に黒羽のイキ狂いっぷりを見せてもらうからなぁ!」
教頭は豪快に腰をグラインドさせはじめた。
大きく腰を引いて突き上げる、ロングアッパーのような前後運動が、黒羽の膣壁を
「んおっ♡ あはぁっ♡ ああいいっ♡ きたぁっ♡ パパぁっ♡ あああぁぁぁこれこれっ♡ これなのぉっ♡ パパのおっきなのがごりごりぃってしてるのぉ♡♡♡ 好きっ♡ 私やっぱりこれ好きぃっ♡♡♡」
彼との関係を絶とうとしていたことなど、もう忘れてしまった。
「よしよし、やっと素直になったな。さっきまでは――」
「やだっ♡ あんっ♡ だめっ♡ んあっ♡ 忘れてっ♡ あふっ♡ さっきまでの、なしっ♡ パパとエッチするのっ♡ んあああっ♡ やめるなんてぇっ♡ あっあっあっ♡ やぁ♡ やなのぉっ♡ 止めないっ♡ こんな気持ちいいの止めたくないっ♡♡♡
カリにGスポットを掻かれ、亀頭が前後するたび膣道が拡大と縮小を繰り返し、腹の中で子宮をバウンドさせられる。
それらひとつひとつが稲妻のような快感を生み、交響曲のように脳内で重なれば、
「パパぁ♡ おっぱい♡ おっぱいもぉ♡ 触って♡ 好きに触っていいからぁ♡」
「ああ、すまんすまん。おまんこに夢中で忘れてたわ。ほら、こうだろっ!」
「んあああぃぃぃっ♡ おっぱいと一緒ぉ♡ イクイクすぐイっちゃうぅぅぅ♡♡♡」
自分の体が、餌を待たされていた犬のように、彼のペニスを貪って歓喜している。
陰部を貫く男根も、乳房に食い込む五指も、性感で味わう極上の肉だ。
ああ、女はなんて幸せな生き物なのだろう。
ただセックスするだけで、こんなにも
「はっ、相変わらず、いくらイっても止まらない女だなっ! イってる間も腰をガクガクさせながらおちんぽ扱きやがってっ!」
「らってっ♡ らってぇ♡ あはぁんっ♡ 気持ちいいっ、だもんっ♡ んあっ♡ あおっ♡ おおっ♡ パパの、がぁ♡ あひっ♡ 私の体ぁっ♡ ああイクっ♡ こんなにぃ♡ イグッ♡ エッチにぃ♡ イクいきゅいぎゅぅぅぅ♡♡♡ しちゃったんだからぁ♡♡♡」
連続絶頂の最中にありながら、黒羽は自ら腰を踊らせ続けた。
オーガズムの多重奏により、肉体を限界まで打ち震えさせながら、決してセックスを止めない。上下左右の感覚を失いながら、溺れるように手を掻いて、愛しいパパを探す。
「ほら、ここだ。こっちこい」
「あはぁ♡ パパぁ♡ パパぁっ♡♡♡」
教頭の腕に抱き上げられ、対面座位の姿勢に。
黒羽は幼子のように『パパ』へ抱きつき、首に手を回して体を支える。
「パパっ♡ ごめんなしゃいっ♡ パパのこと嫌いみたいなこと言ってごめんなしゃいっ♡ 違うのぉ♡ パパのエッチしゅきっ♡ パパのおちんぽ大好きなのぉっ♡
黒羽は言葉でこそ泣いて懇願しているが、顔にあるのは歓喜だった。
教頭の手に乳房を弄ばれながら、下半身だけ別の生き物になったように前後へ振り、中の肉棒をシェイクしている。
「お金なんてっ♡ もういいのっ♡ パパがっ♡ 可愛がってくれるのがぁ♡ 一番っ♡ んんんあああぁぁぁっっっ♡♡♡ きてりゅぅぅぅっ♡ おっきくてながーくイクぅぅぅ♡」
発作を起こしたように
「よーしよし、よく言ったな。そうだろうっ、黒羽みたいな
動けなくなった黒羽の代わりに、今度は教頭が腰を突き上げる。
「おっおっおっおっおっおっおっおっおっおっおっおっ♡♡♡」
上下へ揺らされる度にコツコツと子宮を叩かれ、黒羽はアシカの如く喘ぎ続ける。
「いいんだぞっ! 女ってのはそういうものなんだっ! いまはそれが普通なんだっ!
相性のいい男を嗅ぎ分けて、プライドなんか捨てておちんぽ懇願していいんだぞっ!
下品なアヘ顔で獣みたいに喘いでっ、イキまくって妊娠するのが一番幸せなんだっ!
女を産む動物とでも思っているかのような暴言に、黒羽は――
「はひゅっ♡ おおおぉぉぉ♡ あいぃぃぃ♡ パパぁ♡ ふおっ♡ おおっ♡ しゅるっ♡ おひゅうっ♡ するするぅ♡ んおっ♡ おおっ♡ 妊娠っ♡ あああぁぁぁっっっ♡ パパのぉ♡ 赤ちゃんっ♡ ほしっ♡ ほひっ♡ あ゛――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ♡♡♡」
体裁を捨てて本能だけで動く、一匹のメスとなっていた。
「ほーら、トリップしてないでお願いしろっ! パパのお精子くださいって言うんだ!」
パン! と、教頭の手が浮いて、黒羽のヒップを叩く。
「はひぃんっ♡ くだ、しゃいっ♡ パパぁ♡ わたひ、にぃっ♡ あひっ♡ おあ゙っ♡ パパのぉ♡ お゙っ ♡ おせーしっ♡ あちゅいのっ♡ いっぱい♡ びゅーって♡ あああぁぁぁあ゙あ゙あ゙っっっ♡♡♡ びゅーって出してぇぇぇっっっ♡♡♡」
終わらない絶頂の
いまの黒羽にとっては、目の前の彼が射精してくれる瞬間こそが、目指す全てだった。
「いい子だっ! ほら出すぞぉ!!」
教頭は黒羽の腰を掴んで引き落とし、自分の腰を浮かせると、歯を食いしばる。
肥満体が痙攣、限界まで張り詰めたペニスの鈴口から、精液が噴出した。
「あ゙ッ――」
黒羽の目が見開かれる。
子宮内でマグマのように噴火した白濁液が、子宮内を埋め尽くす。
「あ゙――あ゙――あ゙――あ゙――あ゙――っ――っ――っ ♡ ♡ ♡ 」
喉を駆らすような、極限の喘ぎ声。
膣内で火山が噴火して、雷雲のような噴煙が全身に行き渡り脳内に炸裂する。
(出――て――る ぅ ♡ ♡ ♡ 受――精――してる ぅ ぅ ぅ っ ♡ ♡ ♡ )
感じ取れるはずのない出来事を、黒羽は認識していた。
その瞬間、まるで
天国なんて生ぬるい、極楽浄土なんて言葉じゃ足りない。
人間の想像を越えた、本物の神の祝福は、五感どころか第六感までオーバーフローさせ、黒羽を悦楽の極地へ導いた。
「か――は――ぁ――ぁぁぁ♡♡♡」
現実の肉体は、糸が切れた人形のようにベッドへ倒れ、ガクガクと痙攣していた。
「ふぃ~。相変わらず、クスリでも決めたような顔でイキ続けるなぁ」
教頭が自分を見下ろして邪悪に笑う声も、聞こえてはいなかった。
○
橋の子――という話が、最近ある。
女たちの間で、いつの間にか都市伝説のように聞かれるようになったものだ。
曰く、誰かとセックスして中出しされると、たまに見える光景。
自分はどこか神聖な橋の前に立っていて、お腹から子供の魂がどこかへ旅立つ。
そんな光景を幻視した女たちは、一様にこう感じるのだそうだ。
あれは自分が妊娠するはずだった子。
しかし自分は、神様に『より多くの子を残せ』という使命を与えられている。
だから、お腹を大きくして十月十日もかける手間を、省いてもらっているのだ。
神様にお預けした我が子は、どこか然るべき場所で生まれるので心配いらない。
受精はするけど、妊婦にはならない。
あの極限の悦楽は着床の瞬間にしか得られないけど、『橋の子』として捧げれば何度でも味わうことができる。
堕胎などでは決してない、されどそのメリットだけは享受できる。
だから――今日も私たちは、安心して雌性の本能を満たせるのだ。
それが女の常識となるまで、そう時間は掛からないことだろう。
○
夜が深まる頃――ホテルの利用客が、チェックアウトし始める。
帰りが遅くなると家族に怪しまれるような者から順に、
「えへへ♡ パパぁ? 次はいつにする? 明日? 私、いつでもいいからね?」
黒羽は教頭の腕を抱いて、べったりと体を押し当てながら、次の機会を求めていた。
全身からあふれ出る、オスに付き従うメスの風情。
彼に体を
意識して見回せば、同じような顔をしている女など、どこにでもいる。
「そうだなぁ、今度は学校でしてみるか?」
「えっ? いいのぉ? すごい……私それ、一度パパとしてみたかったの♡」
刺激的な提案に喜色を浮かべる黒羽は、その体験を想像して、股を濡らしかけていた。
ホテルを出て、教頭の車で送ってもらう間も、交わす言葉はそのことばかり。
――初恋の幼なじみに復讐する計画を思い出したのは、ずっと後のことだった。
ご一読いただきありがとうございました。
順番が前後する挿入投稿となり恐縮ですが、
ヘンテコダンスで有名な『おさまけ』の話でした。
語脱字の報告をしてくださっている方々、いつもありがとうございます。
なるべくルビを振るようにして、見落としが少なくなるようにしてまいります。