※この作品はR-18です。

ケモミミ貴族令嬢にTS転生したら、ふたなりたちに玩具にされた   作:ぐらんぐらん

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14 もう堕ちないで済む

 発情期とはある日突然始まるものだ。

 風邪のように「これ発情期かな?」とはならない。起きてすぐに正気を失っていると分かる。

 

 しかし収まる時は風邪に似ている。

 風邪ならば体温が下がってきたり怠さが治ってきたり。

 それが発情期ならムラムラが収まってくるのだ。

 

「お……? おおお?」

 

 慢性的にあった体の奥底を焼く熱を感じない。

 試しに股間を触ってみても思ったより濡れない。

 昨晩のことを思い出してもひとりでに発情しない。

 

 指をもう少し深いところまで挿れる……思ったより興奮しない。

 

「おお……! お゛……っ♡」

 

 やりすぎて発情してしまった。アホである。

 収まりかけと言ってもまだ発情期だ。

 

 しかしディルドで深イキを一発キメれば収まった。確実に終わりが見えている。

 

「やっと……やっと……! やっと終わるーーーーー!!」

 

 永遠にも思えた1ヶ月の淫乱期がやっとこさ終わる。

 それはマフィの新たな門出を意味し、転生主人公らしく異世界でワクワクドキドキの新生活を始められるのだ。

 

 まぁ本人は今世の記憶もあるので目新しくもなんともない日々に戻るだけだが……

 

 

 

「お嬢様ー、今日もマゾイキズポズポしましょうねー」

「オラァッ!」

 

 マフィのソバット! ドミルアの腹に微ダメージ!

 

「いだぁッ!? なにすんですか!?」

「このボケ! バカ野郎! アホ! よくも今まで散々ヤッてくれたな!!」

「あだ、いだっ、まさか収まっ……」

「死ねよややぁぁぁ!!」

 

 ドミルアを撃退した! マフィはレベルが上がった!

 

「ククククク……はーっはっはっはっはっ! いよっしゃーーーーーーッ!!」

 

 

 

 その日の深夜、3人のメイドが部屋に押し掛けた。

 

 同じように撃退しようとしたが取り押さえられ、鼻先に2本のチンポを突きつけられ女の子専門タチ娼婦の指技をくらって陥落。

「発情期が完全に終わる前に味わい尽くしましょう」……もはや性欲処置の名目すら消し去ったぐっちょんぐっちょんのデロデロな夜が数日続き……

 

 最終日には「最後に思い出をください」とリアリスの泣き落としファックを受け入れ……

 結局最後まで膣が休まることはなかった。

 

 

 

□□□□□

 

 

 

ド ン ッ ! !

 

「よく耐えた、偉いぞマフィ!」

「へ、へへへ……」

 

 すっかり性欲も失せ、母ローラの執務室に呼ばれたマフィを待っていたのは賞賛。

 

 満足そうな親の顔を見るのは喜ばしいが、後ろめたすぎて目は合わせられない。

 

「ベッドをダメにしたと聞いた時はどうしたものかと思ったが、無事終えられたようでなによりだ。予定通り来月頭から学院に通え」

「学院……」

 

 そう、学院。

 

 異世界といえば学院、学院といえば異世界。

 万国……いや万世界共通の法則だ。

 どれだけ突飛で奇抜な環境であろうと、年頃である以上は放り込まれるのが学園や学院といったものだ。

 

「おいおいまたか、どうせ学生編が長引いて冗長になるんだろ?」と疑うのは無理もない。

 しかし隔離部屋という狭すぎる世界から解き放たれたマフィが平穏無事なスクールライフを過ごせるわけがない。

 

 この先も新キャラという名のまだ見ぬ竿役たちが待ち受けているのだ。2年制の学院生活でまともな学生をやれる暇など……

 

 

 

 新キャラといえば、これまで名前が登場するばかりでそれ以外の情報がほとんど出てこなかった婚約者がいた。

 

「そういえばマフィよ、アヤ様から手紙が来ているぞ」

「!? あ……アヤから……」

「発情期が終わったら会う約束をしていたそうだな」

 

 忘れていた。いや忘れようとしていた。

 アヤの名前を聞くだけでマフィには嫌な汗が流れる。

 

「近いうちにこちらに来るとあるが……ん? どうした震えているぞ」

「あ、あはは……アヤに会えるの嬉しくて……」

「相変わらず仲が良いようでなによりだ」

 

 発情期が始まるまで、アヤに対しては常に誠実だった。特に隠すこともなかった。

 だが今はもう隠し事だらけツギハギだらけ……

 

 マフィはもう決めている。「発情期中のことは全部隠す」と。

 墓まで持っていく所存だ。

 婚約を台無しにしたくない。なによりアヤと結婚できなくなるのは嫌だ──

 言えるわけがない──

 

 妹やメイドたちの「バレなきゃいいんです」「発情期だったんだから仕方ない」といった甘言は、マフィの浅ましい自己保身の心を固めてしまった。

 NTRモノの中盤で夫や彼氏に打ち明けられない女の気持ちが分かってしまった。

 

 

「あ、あのーお母様……こっちから出向くことってできます?」

「ん? できると思うが……」

「ならこっちが向こうの家に行くので! 二位官家にご足労をかけるわけには!」

 

 人間というのは罪悪感や後ろめたさを感じている時にはついつい余計な気遣いをしてしまうものだ。

 例えば待ち合わせに遅刻した時に相手の荷物を持とうとするような。

 悲しいかなマフィもその通りに行動している。

 

「まったく発情期が終わって早々忙しないな」

 

 ローラは笑いながらも向こう数日間のスケジュールにサッと目を通す。

 

 同じ王都に住む家同士だが、貴族同士のやり取りは面倒。婚約者同士の逢瀬ひとつでも電撃訪問というわけにはいかない。

 こちらは出かける準備が必要なように、向こうも出迎える準備が必要。予定との兼ね合いもある。

 

「ふむ、まぁ大丈夫だろう」

 

 といっても今回は仰々しい訪問ではない。今からホウジョウ家に先触れの手紙を出してから2~3日といったところだ。

 

「先触れはお前が書け」

「もちろんそのつもりです!」

 

 忌々しい発情期も終わり、ようやくアヤに会える。後ろめたさを差し引いても嬉しくないわけがない。

 マフィもその場でササッと一筆したため、傍にいたメイドに渡す。

 

「訪問までは休め。部屋にいるもよし、庭を散歩するもよし。街に出ることも許そう──ニンネ」

「はい。マフィお嬢様、入学までは引き続きこのニンネがお世話をさせていただきます」

「うん、よろしく」

 

 

 

□□□□□

 

 

 

 ホウジョウ家に行くまでの数日間、マフィは久しぶりに穏やかな時間を過ごした。

 

 発情期は終わったものの、またメイドや妹が襲ってこないとも限らない。

 なので隙を見せないよう対策したのだ。

 

 日中は極力家を出て庭や王都を散策。

 見慣れたはずの街が少し物珍しく感じる。前世の記憶が新しいせいだろう。

 そして道行く人々、行く先々で見るのはやはり女性のみ。この中の半分はふたなりなのだろうが、本当に男がいない。

 改めて女しかいない世界に、今さらドキドキした。

 

 夜も抜かりない。

 ローラの部屋で寝たいとお願いしたところ、快くOKしてくれたのだ。

「もうすぐ家を出てしまうから」と言われた時のローラの反応は……鬼の目にも涙と言っておこう。

 どこで聞きつけたのかリアリスも「私も一緒に!」と言ってきて、3人で寝ることになった。これで寝込みを襲われる心配は無し。

 

 マフィお嬢様の淫乱生活~屋敷編~ 完!

 

 ……とはいかないが、まずはホウジョウ家訪問だ。

 ぶっちゃけ穏やかだったのは体だけで、心中は死ぬ思いが続いている。

 バレてもないし責めたてられるわけでもないけれど、時間が進むにつれて処刑台に上がる気分だった。

 

 

 

□□□□□

 

 

 

 モフテイル家の文化は屋敷から食事まで西洋風。

 対してホウジョウ家は、前世で慣れ親しんだ和テイスト。

 門から屋敷に至るまでが和風な意匠で、衣服はジャパニーズっぽい着物。食事も箸で食べる。

 

 

 そんなホウジョウ家の屋敷に乗り付けたマフィはニンネの手を借りて馬車を降り、顔なじみの召使に頭を下げられる。

 

「マフィ・モフテイル様、お待ちしておりました。どうぞこちらです」

 

 何度も訪れたことのある屋敷だ。こうした逢瀬でアヤと会う場所は決まっている。

 案内されて赴くのは立派な和風庭園の中にある東屋。

 

 そこにはお茶の席とともに、ひとりの少女が待っていた。

 

「アヤ!」

「っ!」

 

 庭園に植えられた桜の花と同じ色の髪が揺れる。

 

 

 アヤ・ホウジョウ……ホウジョウ家嫡子にして、マフィの婚約者。

 

 例に漏れず、髪色と同じモフモフの狐耳と尻尾を持っている。

 ホウジョウ家もモフテイル家と同じく狐の獣人なのだ。

 正確に同じではないのだが……キタキツネとアカキツネくらいの差でしかないだろう。

 

 歳は14。マフィのひとつ下。

 にもかかわらず、とても利発そうに見える。リアリスといい、次期当主というのは早熟でないと務まらないのか。

 

 パッチリ開かれた若草色の瞳には喜色が溢れており、歓迎を伝えてくる。

 彼女はすぐに立ち上がってマフィの元へと駆け寄った。

 

「マフィ! あ……コホン、訪問ありがとうございます」

「変にかしこまらなくていいのに」

「私も来年には15ですから。15といえばパング族では成人です」

 

 まるで巫女のような白い上着と赤い袴に身を包んだ少女は、本人の言うような大人にはとても見えない。

 なにせ背はマフィと同じくらいだし、どう見ても「レディですから」と背伸びする女の子だ。

 

「マフィこそ、15になったのですから話し方を変えてもいいんじゃないですか?」

「あはは……頑張るよ」

 

 彼女を一言で言い表すなら『真面目』だろう。

 他人に対しても厳しいが、なにより自分に一番厳しい。

 

 誰に対しても敬語で、色々と小うるさい。それは面倒見の良さの表れでもある。

 確定申告がギリギリになった時ガミガミ言いながらも手伝ってくれるタイプだ。

 もっと成長したらバリキャリっぽくなるのだろうか。今の可愛らしい姿からは想像できない。

 

 

 

 2人の出会いは幼い頃。

 その前にひとつ世界観を説明しよう。

 

 この国には様々な獣人がいる。

 元々この獣人たちは、この地に集まった神々の上級眷属だった。

 よって主神の違う者たちは、その神の名を借りることで自分たちを種族や氏族のようにカテゴライズしたのだ。

 

 モフテイル家の主神の名は「シュガー」。

 名前の法則は『名・家名・神様の名前』。これはどの種族も同じ、この国の共通ルール。

 マフィの正式なフルネームは「マフィ・モフテイル・シュガー」となる。

 

 そしてホウジョウ家の主神は「パング」。

 

 よって今回の婚約はシュガー族とパング族というふたつの神の上級眷属の間に結ばれたもの。

 

 

 さて、歴史の授業でもないのだからこのくらいでいいだろう。

 

 2人の出会いは、派閥を越えた交流会でのことだ。

「主神は違うけど同じ狐同士仲良くしよう」と、狐獣人が集まる会。

 

 そこでたまたま席が近くなり、歳も近かったので言葉を交わして、仲良くなって……

 会の趣旨通りに派閥や家を越えた親友となった。

 これが馴れ初め。

 

 成長するにつれてマフィはあんな感じに、アヤはしっかり者に育っていく。

 

 そしてマフィがモフテイル家の後継者であることを辞め、大人たちは「ちょうどいいから」とアヤの婚約者に据えた。

 

 マフィは元々アヤを好いていたからすんなり納得したが、アヤは「次期当主の座を捨てるなんて!」と驚いたし、今まで親友だった相手と結婚することになりドギマギ。

 そのせいかここ3年の彼女の態度はなんというか、初々しい。

 

「と、とりあえず座ってください。お茶を飲みましょう」

「うん。それじゃあ失礼するよ」

 

 今回の席は茶室のように畳に座って……ではなく、椅子とテーブルのあるスタイルのようだ。

 カップに注がれるのは若葉を使った緑茶。それでいてお茶請けは和菓子的なのではなく、3段のティースタンドにケーキやらクッキーやらが並んでいる。モフテイルの文化に合わせてきたのだろう気遣いが垣間見えた。

 

 

 久々に会うからか少し緊張気味なアヤの姿は、お菓子よりも甘々。

 

「(あ~~可愛いなぁ)」

 

 ベタ惚れだ。男としても女としても「こんな可愛い子が結婚相手なんて最高だなぁ」と思っている。

 

 まず顔が可愛いし、麻呂眉とも言うべき丸っこい眉が可愛い。

 色々とぺったんこなところも少女然としていて可愛い。

 そして、そんな少女が次期当主としてあろうと頑張っているところが実に可愛い。

 総評、可愛い。

 

 ……同時に、こんな可愛い子を裏切っていると思うと胸が締め付けられる。

 真面目に生きているアヤがとてつもなく眩しく見える。それに比べて今の自分はどうだ。

 よくこんな状況でお茶などしばけるな。

 

「大丈夫ですか? 顔色が悪いですけど……」

「う、うん……昨日は寝られなくて。でもアヤに会えて元気が出たよ」

「もう、マフィってば……私もマフィに会えて嬉しいです」

 

 不真面目なマフィと真面目なアヤ……怒られることも多かった。

 それでも仲違いせずにいられるのは、相思相愛だから。そして「気持ちや考えはちゃんと言葉で伝えよう」と決めていたからだ。

 親友からしっかり婚約者になれたのも、互いに「恋愛として好き」という気持ちを言葉にできたから。

 

 本来ならば貴族同士が本音で語り合うというのはあまり無い。腹の内を隠すのもまた貴族としての振る舞いだ。

「そんなこと気にせず腹を割っていこうよ」と提案したのはマフィの方だったか。

 

「発情期、お疲れ様です。大変でした……?」

「え゛……あー……うん、大丈夫……だったよ……」

「っ、すみません。デリカシーの無い質問でした」

「あ……いや……いいよ、大丈夫。うん……アヤも来年にはこうなるぞ」

「少し怖いですね……」

「本当に辛いから……耐えられなかったらそういう道具を使うといいよ」

「そ、そういう……!?」

 

 その手の話題になると顔を真っ赤にする。そこもまた可愛い。

 歯切れの悪いマフィはそれを堪能しながらも話を切り替えるべく話題デッキを切っていく。

 

 

 

□□□□□

 

 

 

 他愛のない雑談の時間は心地よく、すぐに過ぎ去っていく。

 何もかも忘れてずっとこうしていたい……現実逃避にうってつけ。

 

「そろそろ時間ですね」

 

 しかし時間とは無情である。太陽は昇って沈むもの。楽しいひと時もお開きになってしまう。

 

「そうだな……」

「今日は会えてよかったです。とても楽しい時間でした」

「おれ……私も楽しかったよ」

「ふふっ、まだ『俺』って言うの直ってないんですね。話の途中にも何度か出てましたよ」

「えっそうだった?」

 

「でも」──アヤはニッコリと笑い、この日一番の可愛いをぶつけてくる。

 

「私は『俺』の方が、マフィらしくて好きですよ」

 

 マフィの胸にキュンダメージ!

 

「結婚までには直しましょうね。公の場で出てしまったらまずいですから」

「うん……頑張るよ」

「……2人の時には『俺』でも構いませんからね。えへへ」

 

 マフィの胸にキュンダメージ!

 

 男としての心に芽生える「守護らねば」という意思……なお自分の貞操を守れていない。

 

 

 

 アヤは門まで見送りに来て、マフィも馬車の窓から手を振って帰路に就いた。

 

 発情期にあったアレコレは結局隠したまま。会った時間は至福のものだったが、反動のように罪悪感が押し寄せる。

 

「早く結婚したい……」

「お嬢様は本当にアヤ様がお好きなのですね」

 

 微笑むニンネは知らない。

 結婚したいという言葉の意味が、「早くアヤと結ばれて全部なかったことにして忘れたい」という意味だと。

 

 

 なお、今でこそまともな思考をしているマフィだが、そのうち罪悪感を背徳感に変えるようになる。

 

 ほのぼの純愛日常モノという幻想など今さらあろうはずもない。この物語はマフィが快楽に負け、可愛い婚約者を裏切って寝取られビッチに堕ちていくインモラルな話なのだ。




■TIPS マフィとアヤの学年

ひとつ年下のアヤはマフィより1年遅れて入学する
マフィは卒業後すぐにホウジョウ家に入る予定なので、アヤは在学中に結婚することになる
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