ケモミミ貴族令嬢にTS転生したら、ふたなりたちに玩具にされた 作:ぐらんぐらん
キリーネヤは練習もせず道場の隅っこで体育座り。
周囲からは「マネージャー寝取られてご愁傷様……」というなんともいえない視線。
ブリュンヒルデが戻ってきたのは下校時刻になってから。マフィの姿はない。
「あいつなら休憩室で寝てるぞ」
ヤリ捨ててさっさと帰る先輩を尻目に、黒猫は慌てて休憩室に駆け込んだ。
「っ……マフィ……!」
そこには予想した通りの惨状……
神術で綺麗にしたのだろうけど、セックスの残り香は確実に残っているし、眠りこける全裸のマフィの様子はどう見ても事後。
くぽくぽ開く女性器が目に飛び込んできて、キリーネヤは思わず勃起し……全力で心頭滅却。友達をそんな目で見たりしない!
とりあえず服を着せて、おんぶして地上へ。
「ん……?」
城を出たところでマフィが目覚めた。
「あれ、キリーネヤ?」
「マフィ……ごめんなさい……」
「あー……そっか、気絶してたのか……はぁぁ……」
キリーネヤの心中はドドドシリアス。
自分が勝負に乗ったせいでマフィが先輩に襲われてしまった。彼女には婚約者もいるのに……
冗談抜きに人生で一番罪悪感と後悔を抱いている。
まぁ、当のマフィは「またやっちまった……」くらいにしか思っていないのだが。
ほとんどレイプみたいなものだったというのに、満足してしまっている。
最初こそ苦しかったが、最後の方はただただ強烈な快楽しか覚えていない。
思い出すだけで子宮を潰される感覚が蘇るようだ。
「(うう……)」
さすがにアレともう一度ヤリたいかと言われると、素直に首は縦に振れない。強すぎる刺激は毒でしかないと本能が分かっている。
記憶を思い出してから──15歳になってからこんなことばかりだ。
次第に「この国は性に少し奔放なのかも?」とさえ思い始めている。自分や周りではなく、もう環境がそういう感じなんだと。
発情期なんてものがある世界だ。アンニャ曰く風俗業界は常に繁盛してるらしいし。
王族や一位官令嬢はセフレやら肉オナホやら飼ってるし。
だから自分がこうなるのは仕方のないことだと、自己嫌悪に陥らないための防衛暗示じみた都合のいい解釈が心の片隅に生まれる。
チャリン……カルマ値が貯まる音がした。
「ありがと、おぶってくれてたんだな」
「…………」
無言。もしくは口を開いたところで謝罪の言葉しか出てこない。
残念ながらキリーネヤはマフィほど頭のネジが緩んでいない。今おんぶしているのだって申し訳なさからで、そんなケチな労働で少しでも罪滅ぼしをしようとしている自分にまた嫌悪感。
ネガティブがスパイラル。
そんなトボトボ下校に背後から近づいてくる足音。
その正体は振り返る前に自分から声をかける。
「マフィ! ちょっと聞いてよ悪役令嬢見つけたのよ──なんでおんぶ?」
ピンク頭の兎族、メロリィである。
彼女がキリーネヤを追い越して回り込む頃には、ウキウキ顔はびっくり顔へ。
「って、めっっちゃ可愛い子に背負ってもらってるじゃない! もう百合百合してるの?」
「ちげーよ! 友達だ!」
「マフィ、このうるさい女は何?」
ピンク髪のヒロインとは色々と図々しい。黒猫が眉間にしわを作るのも仕方ない。
「こいつはメロリィ。同じ一年生で……友達?」
「なんで疑問形なのよ。友達に定義求める陰キャ思考なわけ?」
「変なのと仲がいいのね」
なおキリーネヤもじゅうぶん『変なの』に当てはまるのだが……本人は自覚した上で言ってるようだ。
「この子はキリーネヤって言って……そろそろ降ろしてくれていいぞ?」
「……分かった」
かくかくしかじか。
寮の部屋が隣であるクラスメイトと、偶然出会った1ヶ月先輩の同級生を紹介し、今後一生の友になる3人が初めて集う。
まさかこの3人があんなことになるなんて……
「にしてもすっごい美人で綺麗な黒髪……あなたも悪役令嬢ポイント高いわね」
「何を言っているの?」
「そのツンツンした感じも! あーでも私はもうこれぞ悪役令嬢って奴を見つけちゃったのよねー」
彼女の言う悪役令嬢とは、図書室で調べ物をしようとした時に遭遇した生徒らしい。
なんでも扇子で口元を隠し、「平民に字が読めるの?」と取り巻きたちと一緒にメロリィを嘲笑したとか。
なお笑われた本人は感動のあまり「ありがとうございます!」と言って困惑させたらしい。
「思い出すだけで感動するわぁ……あの立派な金髪縦ロール! 豹族の悪役令嬢!」
「イリーゼじゃねーか!」
「なに、知り合いなの?」
「ウチらのクラスメイトだよ」
「まぁ! 世界って狭いのね! じゃマフィ、そいつと戦う時にはよろしく!」
「なにがだよ。どう戦うんだよ」
姦しいピンク兎とも一緒に夕食をとり、風呂にも入ったマフィはようやく自室で一息……つく間もない。
初めて部屋に友達を入れたという人生実績を解除。
お相手はキリーネヤ。彼女の顔はやはり明るくない。
「今日のこと……改めてごめんなさい。私が負けたせいで……」
「ああ、うん、まぁ……いいよ。過ぎたことだし、そもそも私がこっそり後をつけたのが悪いんだし」
「……これは認識を間違えないために訊くんだけど……ブリュンヒルデ先輩に、その、抱かれた……のよね?」
「う……うん」
「それは、その、う……性行為、よね?」
「…………うん」
「っ………………!」
明かすマフィも恥ずかしければ、聞いているキリーネヤも恥ずかしい。
別に詳しく何をされたとかは言っていない。女2人に足を開かされて正常位からの対面座位でゴム無しセックス……それを事細かに言うメンタルはマフィにはない。
それでも知っている相手同士がセックスをしたという事実を突きつけられて、黒猫は尻尾をピーンと立ててしまう。
BSSとかNTRとか関係なく、知り合いの異性のそういう話はとにかく何かクるものがあるのだ。
キリーネヤは童貞だ。しかもこの歳に婚約者すらいない。
だから童貞らしく妄想もしてしまうわけで……前の方の尻尾まで元気になってしまい、必死に両脚で挟んで隠す。
「あ……来てくれたのに何もしないってのはダメだよな」
「えっ!!?」
「お茶淹れるよ。ちょっと待ってて」
「あ、う、うん」
てっきりエロいもてなしかと思った彼女は童貞云々よりもむっつりかもしれない。
まぁこんな話の流れで変な台詞を口走るマフィもマフィなのだが。
「(くっ、全然収まらない……)」
ついさっき敗北を喫してピクリともしなかったチンは、時間を経て再び勃とうとしている。
今のところは半分くらい。その気になれば一気に上を向かせることもできるが……信用して招いてくれた友達の前でそんな真似したくない。
が……この部屋はあまりにも女の子に満ちている。
「(人の部屋の匂い……マフィの匂い……)」
人の家に行った時あるある、ウチと違う匂い。
それすらもエロに結びついてしまう。キリーネヤはどうして人間は呼吸する生き物なのだろうと悟りを開きそうになった。
「(そういう目で見ない! そういう目で見ない!!)」
無心。ひたすらに無心。
神術の修行と同じ、己の精神を研ぎ澄ませるのだ。
「おまたせー」
「わひゃあっ!?」
無理だった。
元々キリーネヤはあまり心が強くないのだ。
「どうぞ。お菓子は無いけどな」
「……い、いただきます」
目の前にカップを置くマフィの横顔を見る。めちゃくちゃ可愛い。
意識すると唇とか艶っぽく見える。お風呂上りだからしっとりしてるし。
恋とかではない。そういう感情は抱いていないが……こんな可愛い子が一糸まとわぬ姿を、さっきバッチリ見てしまった。
小ぶりな乳房に可愛らしい乳首、毛の1本も生えていないツルツルな股、そしてあの先輩のモノを受け入れた女性器……
「あっつぅっ!」
勝手に思い出してしまう頭を冷やすためにお茶を飲んでリフレッシュしようとし、自分が猫舌なのを忘れていた。
「だ、大丈夫か?」
「ええ……平気…………それで、あなたに色々と話しておきたいのだけれど……いい?」
「いいよ。夜遅くならなければ」
寮の部屋は個人用のワンルームだが、こうして誰かと談笑するための家具くらいはある。
丸テーブルと椅子が2つ。つまり向かいの相手にテーブルの下は見えない。
キリーネヤは話してるうちに鎮まるだろうと、見えないのをいいことにテントを張ることにした。
「まず、あなたが先輩に抱かれたことはあそこにいた全員が知っていることだけれど……外に漏れることはないわ」
「え、そうなの?」
「チン道の関係者には秘密を守らせる神術がかけられるの。あの地下道場をはじめ、そういう場所以外では話そうとしても口が動かないし、絵や文字にも残せない」
つまりキリーネヤがクラブ活動の内容を訊かれても「言えない」の一点張りだったのは、物理的な意味もあったわけだ。
マフィはひとまず安心。これで変に広まることもない。
「あと……その、マネージャーについてなんだけど」
「うん」
「多分、これからもそうなる……っていうか……そうしないといけない、っていうか……」
歯切れの悪いキリーネヤが言うには、あの場でマネージャーだと宣言してしまったので最低でも1年は本当にマネージャー業をやってほしいんだとか。
「これは名前だけ貸してくれればいい。もちろん断ってもいいのよ。ただ……」
「いいよ」
「えっ、いいの?」
「元々は私が首を突っ込んだんだ。あの時キリーネヤがマネージャーだって言ってくれなかったらどうなってたか分かんないし、乗りかかった船だと思うさ」
「…………ありがとう」
「で、マネージャーって何するの?」
マネージャーという言葉から想像するのは、よくある部活のやつ。
練習で疲れたところにタオルとスポドリを持ってきてくれるアレ。
社会人的に言うなら管理運営職。
そのどれとも違った。
「一応、認識を合わせるために説明するとね……」
チン道においてのマネージャーが行う管理、つまりマネジメントするのは……選手のチンだ。
勃起がものを言う競技において、選手のチン管理は重要。
その人の特性を見て、どこが弱点なのか~どれくらい前に射精すれば試合でベストな勃起具合になるとか~……色々と管理。それがチン道におけるマネージャーの主な仕事である。
基本的に選手ひとりひとりに専属でつく。
大抵は伴侶──未婚なら恋人や婚約者がマネージャーになるのが、チン道に携わる家の習わし。
婚約者のいないキリーネヤはマネージャー無しで今までやってきたようだ。
「え……」
「だから、本当に名前だけ。別に私の性処理しろとか試合前に勃たせろとか一切言わない!」
「あ、ああ、あはは……うん、名前だけね。名前だけだぞ」
さすがのマフィも絶句&ドン引きだったが、終始悲痛そうな美少女の前では安請け合いが捗った。
これがヒロインパワーか……ヒロインではないのだが。
形だけのマネージャー業のために、週に1度は道場に来てキリーネヤの管理をしてるフリをしてほしいとのこと。
まぁそれくらいなら問題ないだろう。爛れた関係でもないし、他のクラブメンバーに見られても秘密は守られる。
それに週1なら錬術薬研究会とも両立できそうだ。改めてOKする。
「あ、でもあの先輩にまた会うのかぁ」
「大丈夫。今度は挑発に乗らないから……絶対」
「そういえば意外だったなぁ。キリーネヤって挑発も受け流すタイプに見えたから」
「…………家のことになると、ね……」
まだ熱いのか、キリーネヤはあまりお茶に口をつけていない。
カップが置き、冷ますことにしたようだ。
「マネージャになるんだし……あなたには、話しておいた方がいいのかもしれない……聞いてくれる?」
おっと自分語りパートか? それとも1話丸々使った過去語りが始まるのか?
手短にしてほしい。いつもならそろそろ今回も終わるのに、ジャンプ漫画よろしく単行本一巻分の量を今からやるのは勘弁。
え? そんなに長くない? なら大丈夫か。
ロマネフ五位官家は、キリーネヤにとって良い実家とは言えない。
古くからチン道に携わる家。そして現代の当主──キリーネヤの父親は、チン道の決闘で今の伴侶を得たのだ。
そう、ロマネフ夫人もまたふたなりであり、決闘に負け、賭けていた子宮を差し出すというオールドスタイルを地で行く結婚だったのだ。
夫婦仲は悪くない。屈服しメス堕ちした夫人は、今では妻であり母として振舞っている。
よくある「私は愛されてない」「望まれた子供じゃない」というものをキリーネヤは感じていないが……2人の姉はそうでもないようだ。
キリーネヤは三女として生まれた。本来なら後継者でもなんでもないはずで、大人になったら就職するかどこかに婿入りするかという気楽なボンボンのはずだった。
しかし彼女は人並外れた神力を持っていた。
ロマネフ家が神術に特別優れた家というわけではない。突然変異というやつだ。
ただ、その多すぎる神力を扱いきれず、幼い頃から神術は苦手である。
それだけならよかった。だが彼女が家の中で目立ってしまった理由はもうひとつ。
全員ふたなりである姉妹の中で、もっとも大きなチンを持っていたのだ。
両親は「三女だけど後継者にしちゃおうかな~」と考え、家人と姉らは猛反対。
さすがに次期当主に選ばれることはなかった。
そのせいか、キリーネヤは幼い頃から姉たちにいじめられていた。
ある時は普通に言葉や暴力で、ある時はチン道の修行と称して。
「桁外れの神力を持ってるのに満足に神術も使えない」
「長いくせに弱っちいチン」
期待外れ、宝の持ち腐れ……嫉妬心の裏返しから姉たちは口々に罵り、キリーネヤは落伍者の烙印を押される。
父親は子供にあまり関心のない人間。貴族らしいと言えばらしい。後継者でもない子供のあれこれに口出しはしてこない。
母だけが唯一「お前は天才だ。きっと大成する」と言ってくれたが……姉に否定され続けた心を癒すほどではなかった。
キリーネヤはトラウマとコンプレックスを抱えたまま、今に至るのだ。
話を聞いたマフィは「おおう……」としか言えない。
人様の過酷な家庭事情と、姉たちからのDV……まさかこんなシリアスな話になるなんて……
でもそんな話をしてくれたということは、少なからず信頼してくれているのだろう。そう思うと少し嬉しくもあり。
「だから私は、学院で結果を残す……あいつら絶対見返して、ボケ姉2人とも後悔させてやる……!」
まぁ、そう思えるだけマシなのかもしれない。反骨心を捨てず、プライドが残っているのだから。
しかも見返すとまで言える。それだけでも心はじゅうぶん強い。
彼女の言う結果とやらが、チン道。
「年に一度、大会があるの……そこで優勝する」
この学院は国中の貴族が集まっている。
チン道のU17的な大会も学院で行うらしい。時期は今から半年後くらい。
スポーツモノにありがちなやつだな! 全国とか甲子園とかインターハイとかそういうの。
そこで優勝を狙うということは、全国優勝を狙うことに等しい。でけぇ夢だ。
「できるの?」
「……やる。強くなる。もし今年ダメでも、来年必ず」
なお、それを狙うには自信も実力も足りない。
それでもやると言ったキリーネヤの心意気に、マフィは胸を打たれた。
「すごいな……尊敬するよ。私だったらそんなに強くあれないと思う」
「私も別に強いわけじゃ……」
「でも強くなろうとしてる。それがすごいって思う。来年なんて言わず今年優勝するぞ! 私もマネージャーとしてできることはなんでもするから! 協力させてくれ!」
思わず手をとった。黒猫に「ひゃわああっ!?」と驚かれ、さすがに「ごめん!?」と手を引く。
テーブルの下のテントはせっかくシリアスな話で鎮まっていたのに、再び元気になってさっきより高くなっている。
……ということをマフィは知らない。
「まままま、マネージャーとして!?」
「あ、そうだった……じゃあ普通に、できることを!」
「そ、そうよね? マフィ婚約者いるものね?」
「いきなり手握ってごめんね」と申し訳なさそうに笑う狐を見て、キリーネヤはムラムラを通り越してイライラしてきた。
そろそろ我慢できなくなってしまいそうだったので上に反るチンを両脚で挟み、冷めたお茶を一気飲みして席を立つ。
歩幅は限りなく狭い。ほとんど膝だけ曲げて歩いている。
その異常に気付けない辺り、マフィは危機感が足りない。
「それじゃ、また明日ね」
「うん。また明日ねキリーネヤ」
慌てて出ていこうとしていた黒猫の足がぴたりと止まり、赤らめた顔がバレないよう振り返らないまま小声で……
「キリ、でいい」
「キリ?」
「お母様からは、そう呼ばれてる……あなたも、それでいい」
「そっか。じゃあこれからよろしくな、キリ!」
色々あったけど、愛称で呼べる友達が出来たのはきっと良いことなのだろう。
扉を閉めたマフィはどっと疲れが蘇るのを感じ、すぐさま寝た。
一方キリーネヤの方は眠れない。悶々とした夜を過ごすはめに。
恋愛感情は抱いていない。しかし劣情は催している。
友達をそんな目で見ちゃいけないのに! と思いながらもビンビンになる娘……アンビバレントは知性ある生き物の
■TIPS キリーネヤの性格
殴られたら殴り返す