ケモミミ貴族令嬢にTS転生したら、ふたなりたちに玩具にされた 作:ぐらんぐらん
あれからキリーネヤの態度はおかしなものだった。
マフィに対して分かりやすくビクビクしてるのだ。
翌日以降、朝一緒に登校しようとしても「先行くから!」と逃げ、お昼を一緒に食べようとしても「もう食べた!」と逃げ、放課後はそそくさ部活へ。
取り付く島もないとはこのことか。
「それさぁ、フツーに好きになっちゃったからじゃない?」
話を聞いた転生ピンクヒロインことメロリィの返しはバッサリ。
「相手はふたなりなんでしょ? だったら男と同じ、仲良くしてる女友達に友情以上のものを抱いちゃったやつよ。あんた見た目はバリかわだし」
「そうなのかなぁ?」
いわゆる金曜の昼。あと半日で休み! ウキウキな昼食タイム。
いつものごとくキリーネヤに逃げられたマフィは偶然見かけたピンク兎を誘った。
メロリィは二つ返事でオーケー。君ともだちいないの? いなさそう。
「キリーネヤってあの黒猫ちゃんでしょ? ツンケンしたのが惚れたらとことん沼る……恋愛モノとしてはありきたりよねー。だいたいデレ全開になるか拗らせるかの二択」
「そんな感じはしないんだけどな……」
事実、キリーネヤは別に恋などしていない。
まぁ恋や愛の定義なんて人それぞれだからそこに言及するつもりはないが、少なくとも本人に自覚は無い。
なら何か? 単に恥ずかしいから。
しかも他人から与えられる快楽を知ってしまった彼女は、マフィ=気持ちいいという意識を否応なしに刷り込まれてしまっている。
童貞にとって美少女の手コキとはそういうものだ。
つまりマフィは性の象徴になってしまった。
抜いてくれた女友達なんてそういう目で見ない方がどうかしている。
本人がここに居ないのでマフィもメロリィも憶測でしか語れないのが痛いところか。
「そういえば錬術薬はどうなったの? クラブ入ったんでしょ?」
「……それがさぁ」
かくかくしかじか──
「第四王女!? ふたりきり!? あんた婚約者大丈夫なの?」
「そういう反応になるよなぁ……」
どうやらヤリチン王女の噂は七位官令嬢という名の平民にも伝わっているようだ。
大丈夫かと問われれば全方位だいじょばない。明日なんかとうとう一線を越えるんだぞ。
頭が痛くなってくる。
そんなマフィの様子を見たからか、ピンク頭もいつものどこかウザい雰囲気をしまい本気心配モード。お前もしかしていい奴なのか……?
「ま、まぁ今んとこは手を出されてないし、ははは……」
物は言いようだ。
本当に今んとこだ。明日にはもう今んとこじゃなくなるだけで。
「襲われたら王族だろうがなんだろうが関係なく訴えた方がいいわよ!」
「うん……襲われないのが一番だけどね」
襲われます。
「でも殿下だってクラブ活動には真剣だから、目的には近付けそうなんだよ」
「よかったじゃない。私も港とか当たってみたけど、漁船はあっても交易船とかあんま無いし海外って概念が無いっぽいのよね~」
今週最後のチン道活動、キリーネヤは悶々としながらも練習に打ち込んでいた。
何度も描写してきたしそろそろチン道というものに慣れてきそうなものだが、ボトムレスな少女たちが肉棒をぶつけ合う光景に慣れてはいけない。
ちなみに実戦練習の他にはちょうどいい場所から棒が飛び出したサンドバッグ的な木人に打つ練習、チンで重りを持ち上げる練習、足腰を鍛えるための筋トレとチントレ……もうこれくらいにしておこう。
キリーネヤが行っているのはもっぱら実戦練習。
「っ、いいですね! 前より硬さが増していると思いますよ!」
相対する羊族のフェネネ曰く、最近の1年生黒猫は成長している。
まるで何かきっかけを掴みかけているような、蕾が花開く前のような。
「ですがまだまだ課題も多いですね。マネージャーとよく相談して己のチン道を見つけましょう」
「ありがとうございます……」
フェネネも驚いていたが、一番驚いてるのはキリーネヤ自身。
確かにチンの調子が良い……というか、勃起力が増している。
その理由は本人も薄々気付いている。
「(あの時のことを思い出すと……)」
背中越しに手コキしてもらった記憶、目を閉じれば鮮明に思い出せる衝撃的な経験がもたらしたのは先も述べた通り。
つまり思い出し勃起の力。
勃起力はチン道において体幹とも言うべき要点。これが強まればより硬くしなやかな強いチンを持てるということ。
変な競技のくせに妙に理屈っぽいな……
ともあれパワーアップしているなら良いことだ。大会に向けて力を付けるに越したことはない……
まぁ今日もフェネネには勝てず負けドピュかましているあたり、まだまだ先は長そう。
「キリーネヤさん、そんなことで大会の優勝など狙えるのかしら?」
床を拭いていると、うざったい縦ロールが近づいてきた。
「早く掃除してくださらない? 使いたいのですから」
「…………」
ちなみに同じ1年生である彼女にも勝てた試しはない。
どこかの狐に傷つけられたプライドをチントレで慰めてきた女だ。チン構えが違う。
「マフィさんもアホですわねぇ。何の因果か強くもない木端五位官家の女のマネージャーになってしまうなんて」
「っ……!」
「彼女にも恥をかかせる前に解放することをオススメしますわ」
「あなたには関係のないことよ」
「そういうカッコイイ台詞は私に勝ってからのたまうことね! オ~ッホッホッホ!」
オホホ笑いだ! 実在したんだ!
「分かってる……大会で証明してみせるわ」
「ま、せいぜい頑張ることですわ」
嫌なライバル、圧倒的強者な先輩、そしてヒロインマネージャー……なんだ、スポーツモノとしての土台はもうあったんだ。
別にスポーツモノではないけれど。
そしてやってきてしまった。週末が。
来てほしくないものは早くやってくるものだ。何かの締め切り、提出日、学生社会人問わずぶち当たるあれこれ。
マフィにとって今日はそういう日。
いっそ今日だけ行方をくらませて週明け何食わぬ顔で「ごめんなさ~い」しようか……そんなことをすれば確実に今よりまずい状況になるのが分かり切っているのもまたカナシ。
やけに早起きしてしまい、朝ご飯を食べてしばらく暇を持て余していた。
そういえば週末空けとけと言われただけで他の指示は無かった。まさか部屋に突撃してくる気か?
……と思っていたら、凸ってきたのはジャスリン本人ではなく、黄緑色の淡い鳥。伝言神術だっけか。
閉めていた部屋の窓をすり抜けて入ってきたそれはマフィの肩にとまると音声を発する。
『ミルバー通りの本屋に来て』
本当に簡潔だった。逆に言えばこれくらいのメッセージしか送れない。
まぁ電話も無い世界で実際の鳥も使わずやりとりできるのは凄いことだ。
マフィはひとり城下町を歩き、地図を見ながら言われた通りの場所へとやってきた。
休日の街は生徒たちで溢れている。
島に閉じ込められた彼女らの受け皿となる様々な店は毎週大変だ。学院側のスタッフに加え、人手が足りない店では小銭稼ぎや実家に仕送りしたいという生徒がバイトもしてたりする。
ミルバー通りとは、大通りから外れた場所。
倉庫区画と隣接しているため訪れる人間は少ない。ゼロではないが他と比べると格段に静か。
王女の言った本屋は確かにあった。
中に入ってみると、まるで古本屋みたいな独特な紙の匂い。
「(難しいのばかりだ)」
パッと見ただけでも明らかに頭のいい人以外お断りみたいな品揃え。
各学問についての専門書……総じて分厚い。
「マフィ、おはよう」
ジャスリンはしっかり先に来ていた。
王族を待たせるなんて! マフィの中のマナー講師が警鐘を鳴らす。開口一番謝るべきか……
「あれ、殿下……ですよね?」
「うん。どうかな、似合うかい?」
「一瞬人違いかと思いました」
そこにいたのは金髪碧眼のイケメンだった。
「もしかして色を変える薬の?」
「そうだよ。人は誰かを判別する時に色を重視するものだからね。キミも混乱しただろうし」
確かに『遊び人ジャスリン殿下』は灰色の狼族で通っている。
普段から接する者でもなければこのブロンド狼が殿下本人だと瞬時に見抜くのは難しい。
ましてここは多種多様な髪色がいるファンタジー世界、イヌ科の人は変装しやすいのだろう。
「ボクと一緒に歩いてたって噂になったらキミも困るだろうしね」
そういう気遣いは一丁前だった。
「すみません、遅くなって」
「いいんだよ。今日も可愛いね」
「あんまそういうの言わないでください……」
たとえ元男であっても、いまだにイケメン女の口説き文句はドキドキする。
むしろ男だったからこそお姫様扱いへの耐性が無いのかもしれない。
「今度デートする時は一緒に服を買おう。制服のキミも素敵だけど、ボクの選んだ服を着てほしいな」
休日とは生徒たちが私服で街に出られる貴重な日。
女しかいないこの国にはオシャレ好きも多く、外には様々な服が歩いている。
もちろん今のマフィみたいに制服で出歩いてもいい。
「デートって……そういう関係じゃないですよね」
「良い素材を着飾らせたいという欲求は万人共通だと思うけど?」
「結構です、来年アヤとするので。というか変装してるとはいえ殿下と往来を歩くのは……」
「そっか。今は大人しくフラれておこうか」
今は? いやいや永劫にデートする日なんて来ないだろう。
そう言おうとして、マフィはジャスリンが何冊かの分厚い本を持っていることに気付いた。
「それ、やっぱり錬術薬の本ですか?」
「キミへのプレゼントさ。待ってて」
ジャスリンは素早くカウンターまで行き、店員と少し会話してからすぐ戻ってきた。
「いま買ったのは錬術薬に触れるうえで最低限カバーしてもらいたい部分が書いてあってね。キミの部屋に送ってもらうよう頼んだから、このまま出ようか」
まさかの配送サービス付き。至れり尽くせりかよ、さすが貴族学院。
ともあれ重い本を持ち歩かなくていいのは素直にありがたい。
「あの、どこ行くんです?」
「ボクの部屋」
やっぱりそうなるのか……遅かれ早かれだ。錬術薬に望みをかけセフレ宣言した時から覚悟は決まって……決まって……
なんと言えばいいのだろうか。言葉では承諾したが現実感のないこの感覚は。
マフィはふわふわとした心持ちのまま、ジャスリンに手を引かれ店を出て──
「キミといるのに他人の視線に邪魔されたくはないな……『透明な石畳、風の廊、靴底を支えよ』」
空中へと歩き出した。
「え……はあぁぁぁっ!?」
「あはは、空を歩くのは初めて?」
「いや、ちょ、ええっ!?」
さすがファンタジー世界。なんでもありだ。
というかこっちの方が注目を集めるんじゃないのか。
「さ、キミも歩いてみて。足を出せば踏めるし、歩けば移動できる」
「うううう……」
「怖がらないで……そうそう、上手だ」
おいおいやめろやめろやめろ。
空を歩きながらそれ言っていいのは動く城に住んでる魔法使いだけだ。
忘れた頃に金ロー要素を出すんじゃない。せめてポッターにしておけって。
いや何度も擦ってるせいで麻痺してるけどポッターもやめとけ。
ジャスリンとの空中散歩は楽しかった。悔しいが。
高所恐怖症じゃなくてよかったと心から思う。
彼女がずっと手を握って支えていたのもあるのかもしれない。
「ようこそボクの部屋……いや、家へ」
「家というか……」
空から連れてこられたのは、どう見ても屋敷。
庭付き2階建てで、2世帯は住めそうなほど大きい。
メイドも何人かいる。生徒の自主性を育てる寮生活はどこへ……
「王族はやっぱり特別待遇でね……まぁボクの場合、護衛や監視の意味もあるけど」
ここでのメイドは奇しくもチン道と同じような秘密厳守の神術をかけられている。
彼女たちが「○○が殿下に連れ込まれてた」と口にすることはない。ある意味安心……
2階のジャスリンの寝室、そこには椅子とテーブル、そしてお茶が用意されていた。
「せっかくの機会だ。言っただろう、味気ないのは嫌だとね。ボクはキミを知りたいんだよ」
灰色に戻った彼女が取り出したのはひとつの小瓶。
中には薄紫色の液体。ラベンダーかな?
「前にも見せたね。これは体を柔らかくする錬術薬だ。それに体を頑丈にするのも混ぜてある。味がイマイチだからお茶に混ぜて飲んでほしい」
「なんで今なんです?」
「ボクのモノでは下手に未熟な体相手だと傷つけてしまうからね。それを使ってボクのが入るようにする」
「んなッ──」
マフィは息をのんだ。
とても入らないと思っていたあの巨根が、薬を飲めば可能だという。
口ぶりからしてずっと前から実証済み。だからセフレなんて飼えるわけだ。
「(アレが、入る……)」
想像するだけで腰やら腹やらに震えが訪れる。
恐怖3割、期待7割といったところ。
これから挑むのは未知の体験なのだ。
渡された瓶をまじまじと見て、蓋を開ける。
お茶や薬の前に生唾を呑むことに。
「(痛いのは嫌だし、仕方ない、よな?)」
もう躊躇いは大して残っていなかった。
誤字報告ありがとうございます