ケモミミ貴族令嬢にTS転生したら、ふたなりたちに玩具にされた 作:ぐらんぐらん
マフィはその日、夜ご飯を食べずに眠り続けた。
たった2時間弱の性行為。しかし性欲旺盛な犬メイド2人の手で10時間分はイキ散らした15歳の少女の体力は底をついていた。
当然のことながら夜には夕食を持ってきたニンネが部屋に入り……やはり怪しまれない。
マレットのような鼻の利く犬族にはバレてしまうかもしれないが、ニンネは羊。
メイドとしての能力の高さを無駄に活かした賢者タイムの2人によって、完璧に隠蔽されている。
マフィが起きたのは翌朝の夜明けと同時だった。
ちなみに、この世界で身を清めるといったら風呂である。
貴族や中流階級なら自宅に風呂があり、大衆浴場もにぎわっている。
当然、貴族令嬢であるマフィが何日も風呂に入らないわけにもいかないが……監禁状態ではどうしようもない。
よって神術の出番である。
ようやく獣人以外の異世界らしい要素が出てきたわけだ。
使うためには神力という力が必要で、分かりやすく言えば魔術と魔力だと思えばいい。
どうして魔ではなく神の名を冠しているかというと、それは神術は元々神様が起こす奇跡の御業だったからという背景がある。
神力自体は誰もが多少は持ってるもので、教育を受ければ簡単な神術も使えるようになる。
マフィの体を神術で毎日ある程度清めるのもニンネの仕事というわけだった。
しかし清められるのは「ある程度」。
せいぜいかろうじて外に出られるといったレベルでしかない。
ドロドロに犯され、気絶から爆睡した少女は起き抜けにこう思う。
「お風呂入りたい……」
「申し訳ありません。やはり部屋からお出しすることは……」
「えーっ!」
わざわざ朝食を運びに来るニンネを待って二度寝もしなかったマフィに告げられたのは、やはり悲しいお知らせ。
「発情期ですから……」
「今は収まってるって! もう3時間も起きてるけど1度も催してないぞ!」
「しかし……」
「ああもうっ、分かるよ! 誰とも接触させないための措置ってのはさ! 至れり尽くせりの囚人気分は甘んじるよ! でもお風呂入れないのはやだーっ!」
ぶっ濃い連続セックスの翌日だけあって、ムラムラもかなり収まって気分は晴れやか。
まるでおろしたてのパンツを穿いて迎える元旦の朝のようだ。
なのに体はどこか余韻を引きずっているし、神術だけでは微かに残る雌臭を消しきれない。
ならばどうするか? 風呂である。
風呂とは体だけではない、心も洗える日本人の魂の拠り所……カミガリ人であってもそうだ。
発情期で疲弊した魂を癒すには風呂なのだ。とマフィはふんすと力説する。
だがニンネの答えはNO。
しかも下手したら発情期が収まるまでずっと……
「俺の精神衛生を考えろ!」
「フンッ!」
「あぎっ!?」
ニンネの尻叩き! とても痛い!
「『私』」
「…………私の精神衛生も考えろ」
淑女として一人称を矯正させるために、「俺」と言ったら傍にいる者がすぐ尻を叩く。
……というのが母が決めた教育方針だということをマフィは思い出した。
「とにかくさ、耐えられないんだよ」
「ふむ……同じ女として、私もお嬢様の願いは叶えたいのですが……奥様に訊いてみますね」
「それ遠回しに『ダメだ』って言ってないか?」
「言うだけならタダ、と言っておきます」
ニンネは去り際、平常時と変わらぬ様子で朝食に手を付けるマフィを見て心の中で驚く。
「(しかし……発情期がこれほど収まるものなのでしょうか? とても信じられませんが……お嬢様の様子が何よりの証拠……これも奥様に伝えねば)」
ド ン ッ !
──という文字が背後に見えそうなオーラ。
風が吹いているわけでもない屋内なのに真っ白な髪がなびいている……堂々とした立ち居振る舞い。
マフィとは鼻の形状以外あまり似ていない。
白い毛にはメッシュのように黒が混じり、アイスブルーの瞳はその色とは真逆に炎が灯っているようにも見える。
虎……その中でもホワイトタイガーを連想させる虎族。まさに女傑。
モフテイル三位官家夫人、ローラ・モフテイル。
「なんでお母様がここに来るんだよ!」
「お嬢様の様子を話したら、直接見たいと……」
まさか忙しい彼女がわざわざ時間を割いて会いに来るとは……
ヒソヒソとニンネに詰め寄るマフィを見る母の眼光は鋭い。
ゴゴゴゴゴ……と聞こえてきそうである。
マフィの知る人間の中で、一番厳しいのが母ローラだ。
家中の一切を取り仕切り、さらに頼りない夫の様々なサポートまで行うスーパーお母さん。
いたずらが発覚しようものなら「馬鹿者がぁぁぁぁッ!!」と尻が赤くなるまで叩いてくる。そのせいでマフィは若干ヒップ周りが太い。
いつもは粗暴な口ぶりのマフィも、母の前では敬語になってしまうのだ。
「マフィよ」
「ひっ……! あ、あはは……お母様、お久しぶり? です」
「隔離する前に会ったばかりだろう。まだ先週のことだぞ」
しかし厳しいだけでないことを、狐耳の間にポンと置かれた手が思い出させる。
「発情期は辛かろう。よく耐えているな」
「え…………う、うん」
「お前の体は母にとっても、家にとっても大事な体なんだ。もうしばらく耐えてくれ」
「ん゛ん゛」
「ん? どうした」
「いえ! なんでも!」
大事な体はもうとっくに穢されている……なんて言えるはずがない。
「なんかお前、声掠れてないか?」
「い゛!? あ、昨日ちょっと激しく……その……」
「……ああ、そうか。なに、恥ずかしがることはない。自慰で叫んでしまうのはもう仕方ないことだ」
「ははは……」
「それにしても驚いた。発情期とは四六時中交尾と繁殖のことを考えてしまうものだ。なのにお前はいつも通りじゃないか。まるでもう孕み終わってるかのようだ」
「え゛……」
「自然にこうなるとは考えにくい……まさかとは思うが誰かと交尾──」
「ありえません! だってニンネ以外部屋に入ってないし! 処女はアヤにあげるって決めてるし! あれです、すっごい気持ちいいところ見つけて、なんなら見ます!?」
「い、いや……そこまで言うなら別に……なんかすまん」
やけくそじみた娘に、母はたじろいだ。
母にとっては娘を気遣ったり心配したりという心持ちだが、マフィにとっては尋問だ。必死にもなる。
ただでさえ怖いローラに、もしもメイドたちとのあれこれがバレたら……
『キッッサマァァァァァ!!!!!!!』
怒髪天を衝く母に八つ裂きにされる光景が目に浮かぶようだ。
「どうした? 顔が青いぞ。汗もかいてる」
「なん、なんでもないです……はははは……」
もうボロを出す前にさっさと本題に入ってしまおう。マフィは不自然ながら風呂のことを切り出す。
「ダメだ……と言いたいが、そこまで普通だとな……それにお前がしおらしく頼んでくるのを断るのもな」
「えっ! じゃあいいんですか!?」
「だが浴室でも、とはいくまい……お前ニンネに迫ったらしいな。ということは陰茎の有無に関わらず誰にでも発情するということだ。浴室でお前は裸、世話係は薄着……耐えられるか?」
マフィは反論できない。母の言うことはもっともだ。
ぶっちゃけ今も意識するとまた再発してしまいそうだからニンネのことは視界から外している。
「じ、自分で洗う……」
「できるのか?」
思わず「ひとりでできるもんっ」と言いそうになった口を閉じ、娘は頷く。
「泡タオルで体拭いて、浴槽に入れればそれでいいし」
「髪はどうする。ひとりでは洗えまい」
「頑張れば……いっそ切ってくれても」
「嫁入り前の女が髪を切りたいだとぉ……?」
「ひっ! なんでもありません! 髪は…………頑張ります!」
ローラは悩む。
発情期中にここまで冷静になって風呂に入りたいとねだる……少なくともローラが知る中での前例はない。
自分でさえ結婚するまでは風呂のことなど忘れ一日中自慰に勤しみ、世話メイドすら押し倒した身だ。食事も言われなければとらない、それが発情期だ。
一昨日まで同じような様子だと報告を受けた娘が、今はあっけらかんとしている。
これが結婚して子作りをした後だったり、妊娠目的でないゴム有りセックスをした翌日というのなら話は分かる。
しかし幼馴染の婚約者を好いている娘が既に誰かとヤッてしまったとは思いたくないし、娘に向ける信頼を疑いたくもない。
そこまで収まっているのなら……と揺らいでしまう。
「おねがいお母様! それに風呂に入れば気分もすっきりして、もっと収まると思うから!」
「うーむ…………分かった。今から入るなら浴室までの道は人払いさせよう。ニンネ」
「はい。廊下まではお嬢様とご一緒いたします」
マフィはぱぁっと顔を明るくさせる。
娘の幼少期を思い出した母は、眩しくて目を逸らした。
「ありがと! お母様大好きっ!」
「調子に乗るなっ」
「いでっ……」
「まだ許可したわけではない。これはテストだ。もし何かあれば、今後部屋からは出さんからな」
短い滞在だったが三位官家夫人は多忙だ。
後のことはニンネに任せ、ローラは仕事へと戻っていった。
「本当におひとりで?」
「お母様の言う通り、誰かがいたら再発するかもだからな」
「しかし、洗えますか?」
「大丈夫大丈夫、風呂なんていつも自分で……じゃなかった。いつもみんながやってくれるの見てたから」
まるで住人がいないかのような屋敷の廊下。
前世を思い出してから初めて見た部屋以外の光景。
やはり異世界に来た、と実感する洋風な館の廊下のいたるところにマフィは目を輝かせる。
「──あら? お姉様?」
「えっ?」
可憐な声。
マフィは呆気にとられ、ニンネは「しまった」と内心で叫ぶ。
このルートに近付かないよう周知させたのは使用人のみ。
まさかもうひとりの令嬢が供も付けずにひとりで歩いているとは思わなかった。
「り、リア……」
マフィの声音にはさっきまでの元気がない。
相手は2歳下──今年13歳になる妹、リアリス・モフテイル。
父親の色を受け継いだ姉とは違い、母親譲りの白。
「…………」
「…………」
狐姉妹は互いに目を逸らす。
片方は罪悪感やら居たたまれなさから。
片方は苛立ちから舌打ち混じりに。
■TIPS シリアス展開
シリアスっぽくなってもこの物語は全体的に頭が悪いので早々にエロに帰結する