ケモミミ貴族令嬢にTS転生したら、ふたなりたちに玩具にされた 作:ぐらんぐらん
桜色の髪、若草色の瞳、無垢と春の擬人化。
幼い顔立ち、理を感じさせる視線。
その可憐さは留まることを知らない。
もし彼女がアイドルだったならファンクラブ会員No一桁になって、ライブでは最前列を取りグッズを買い占め個人集配を呼んでトラックいっぱいに家へ運び、喉が裂けるほどに応援するのだ。
握手して「もうこの手洗いません」という常套句がある、あれでは足りない。
その場で自分の手を切り落とし、ホルマリンに浸けて永久に保管するのだ。
家の一番目立つところに置いて日夜眺め、陶酔に身を委ねる。
ああ、この手が彼女に触れたんだ……と。
もし同じ学校に通う同級生なら、隣の席になったら授業も聞かず彼女の一挙手一投足を観察し、消しゴムを落とそうものなら床につく前にキャッチして渡す。
きっと風紀委員をやってるだろう。真面目な彼女らしい。
だらけてたら「コラッ、背筋を伸ばしなさいっ」と叱ってくれる……それを目当てに不良になっちゃいたい。
ただでさえ毎日その御姿を拝見でき、同じ空気を吸っているというのに勘違いする輩も出てくるだろう。その時は守護るんだ……
もしかしたら自分がその輩になってしまうかもしれない。
これは間違いなく彼女が悪い。彼女の発する引力の前には、自分のような小惑星など簡単に吸い込まれてしまう。そしてくっつき、熱を発し、ひとつの惑星になるのだ。
先輩でもいい。自分より小柄な先輩というのは今時珍しくない。
年上ロリから摂取できる栄養もある。
しかし似合うのは後輩だろう。
年下の彼女に叱られたい。
「私より年上なんですからしっかりしてください!」とプンプン怒る様を見たいし、「聞いてるんですか!」と詰め寄られたい。
カラオケに行ったらいつもより声量が小さくなって「が、合唱曲以外歌ったことないんです……!」と恥じらって、誰でも知ってるドラマ主題歌とかを蚊が鳴くような声で歌うのだろう。
茶化さずタンバリン係に徹しよう。
そしてクリスマスの夜、しんしんと降り始めた雪を眺めて空を見上げる彼女の「きれい……」を聞いて、気付かれないよう彼女をじっと見て「綺麗だね」と言いたい。
マフィにとってアヤ・ホウジョウとはそういう相手だ。
心の中の一護も「話が
別に久しぶりに会ったから一瞬のうちに存在しない記憶が溢れたわけではない。
常日頃から思ってることを幻視しただけだ。
およそ1年ぶりに会った彼女が走ってきて「マフィっ!」と抱き着いてくれば誰だって心の宇宙が幻を見せるに決まってる。
「アヤ……久しぶり。会いたかった」
「マフィ、マフィっ……! ああ、声だけじゃない……ようやく会えました」
感極まったのか、アヤは頬を涙で濡らしながら抱き締めるのをやめない。
美少女から流れる涙は美しい。美涙だ。
特にアヤのものならマフィ共和国での価値は一滴数千万……万病を治す神秘の甘露として崇拝の対象となり、ブラックマーケットに流れて血で血を洗う抗争にまで発展する……もう錬術薬なんてカスや。世界遺産登録待ったなし。
「マフィ?」
「あ……ごめん、ちょっと嬉しすぎて思考が飛んでた」
「ふふっ、なんですかそれ。まぁ私もはしたなくしちゃいましたけど……」
感動の再会への万感の思いを綴るには万では足りぬ。
しかし時間は自動的に流れてしまうので、マフィとアヤは手を繋いでお茶の席へ。
万の詩はまた別の機会に。そんな機会無いけど。
前に会った時も、ちょうど昼下がりのお茶会でだった。
ジャパニーズテイストな庭と東屋で出る緑茶。まるで去年の焼き直しのよう。
しかし去年と違う点もある。それはマフィのメンタル。
去年は酷かった。(14話参照)
処女を失い、3人のふたなりに玩具にされて、アヤを裏切ってしまった罪悪感とバレたらどうしようという不安で心が終わってた。
だが今は違う。爛れた学院生活はマフィの価値観と倫理観をバグらせた。
罪悪感が消えたわけではない。不安も抱いている。
しかしこうして腹に別の人の赤ちゃんがいても、笑顔でアヤと接することができている。
悲しいかな、人とは慣れるのだ。
起きたことは仕方ない。どう挽回していくかという考えにシフトするものだ。
メンタルを保つ心の防衛本能とも言えよう。
それがマフィにもあった。
「どれだけ汚れても最後にアヤの隣にいればいいや」という逆ラオウみたいなことを考えるようになってしまったのだ。
それ、アヤを都合の良いカレ扱いしてませんか? 信じてる彼女の気持ち考えたことありますか?
……と言われれば多分マフィは精神崩壊する。尋ねる者がいないのが救いか。
「はぁ……やっぱり本場は違うなぁ」
「そうですか? 同じ葉を送ってるはずですけど」
「淹れ方とか環境とかじゃない? こっちの方が美味しい」
実はアヤから緑茶の葉をちょくちょく学院まで送ってもらってる。
元日本人的に馴染み深い味なのでマフィ的には大喜び。
友達にも出したこともあり、メロリィは懐かしの味に涙を流して喜び、キリーネヤにも好評だった。
こうして和菓子風なお茶請けと一緒に飲むお茶は格別だ。
それに目の前にアヤがいるというのも美味しさの秘訣かも。
「どうです? 久しぶりのカンナは」
「都会だなぁって思った」
「都会……」
何がツボに入ったのか分からないが、アヤは口元を隠して肩を震わせる。
その仕草すら可愛い。年相応に朗らかな面が見える。可愛くないわけがない。
こうしてると自分の居場所が確固たるものに思えてくる。
アヤはずっと好意を向けてくれる。
かつては親友、今は婚約者。
好きの種類が変わっても、幼い頃から見てきた花の咲くような笑顔が自分だけに向けられていることに、マフィの胸がいっぱいになる。
ああ、この子と結婚できるんだ……
間違いなく人生で一番の幸運だ。
手放してなるものか。
自分にはその権利があるはずだ──マフィはアヤとの幸せを強く望む。
そもそも始まりは自分のせいじゃない。メイドの狼藉のせいだ。
あと妹、学院に入ったら先輩たち、ほら自分のせいじゃない。
確かに自分から求めたことも数えるくらいは……数えきれないくらいあったとしても、やはり言い訳できる。
開発や性欲のせいじゃなくて……環境が悪いんだよ。お前の貞操が食われたのはヤリチン共のせいだ!
「どうしました?」
「いや、なんでもっ、お菓子美味しいなって!」
とにかく今すべきことは、バレないこと。
隠し通すのだ。
アヤは何も知らず、すべて無かったことにして結婚するのが一番。
とんでもなく不義理で自分勝手なクソ女だぁ……
でもクソ女なりに考えた結果なのだ。
特にボロを出すこともなく話は弾み、2杯目のお茶を飲み終えた頃。
「歩きませんか?」とアヤが立ち上がり、マフィもそれに続く。
お茶を淹れてくれたり見守ったりしてくれていた使用人たちはついてこない。2人きりでの話のようだ。
ま、まさかバレてる?
……という心配は杞憂だった。
ホウジョウ自慢の枯山水風な庭園を横に見ながらしばらく歩いていると、アヤが突然抱き着いてきた。
「わっ!? え、ど、どうしたの?」
「いえ…………」
昨日も妹によく抱き着かれたから、抱き着かれる感触には慣れている。
自然と受け入れ、桜色の髪に指を通し、頭を撫でた。
「うう、自然にやらないでください」
「どうして?」
「余裕があって……なんか私だけ会いたくて仕方なかったみたいじゃないですか」
「そんなことないよ。俺も同じ気持ちだった」
「そう……ですね。マフィもすごくドキドキしてます」
そりゃ大好きで仕方ない美少女に抱き着かれればドキドキもしよう。
同じ行動とはいえ、妹にされるのとはわけが違う。
「ああ、マフィがここにいる……すっごく嬉しいです」
同じような台詞とはいえ、妹に言われるのとは略。
もうなんというか、清らかだ。
体目当ての下心ウーマンにはできない、純なる愛を感じる。
「急にごめんなさい。やっぱり声だけじゃ……」
それはマフィが抱いてる思い出もあった。
遠距離恋愛あるある。通話だけじゃ満足できない。
アヤもまだローティーン。思いが溢れることだってある。
マフィは撫でていた手を小さな桜狐の背に回し、ぎゅうと抱き締め返す。
遠くで見守っている使用人が微笑む気配があった。
「好きです、マフィ。好きで好きで堪らないんです」
通話の時など比にならないような好意をぶつけられ、マフィは泣きそうなほど嬉しくなる。
心をチクリとさす自罰の棘を無視しながら、体全体から伝わってくる好意に応えようと思い、意を決する。
「アヤ」
「はい──んっ……!」
呼び、上を向いた婚約者の唇目掛け、自らの唇を落とす。
「んんぅ……っ」
アヤは驚き、身を強張らせるも徐々に力を抜き、年上彼女に身を任せる。
ただ唇をくっつけ合うだけのキス。
これまでマフィがされてきたディープなぶっちゅうとはまるで違う、おままごとのような幼稚な口づけ。
愛欲の貪りではなく、触れた箇所から愛情を交換する行為。
それがひどく心地よい。
アヤとの初めてのキスは、甘酸っぱい初恋のような、熟して実った果実のような、互いの愛おしさのみが支配するものになった。
これが『心が満たされる』というやつか。
時間が止まったみたいに、けど動いてるから止まってほしいなと願うように。
外なのに、遠くで使用人が見てるのに、2人だけの世界になる。
まるでファンタジー/恋愛みたいだ。
夢見たいな数秒も終わり、互いに口を離す。
アヤは困ったような、泣きそうな目をしていた。
「こ、こんなところで……!」
「嫌だった?」
「嫌じゃないですけど……! 心の準備というものがっ」
「俺も我慢できなかった……前にも言ったよな、アヤが俺のことを好きって思ってくれる以上に、俺がアヤを好きで好きでしかたないってこと」
「む……」
そんな言葉を吐かれ、アヤは唇を尖らせる。
愛情の強さ勝負で負ける気はない。マフィが自分を好きでいる強さより、自分がマフィを愛する気持ちの方が強いことを分からせたい。
だから背伸びをして、離れたマフィの顔を追い、今度はアヤの方からキスをした。
「っ!?」
「ん~~~……!」
舌を入れるという概念すらない、唇を押し付ける子供っぽいキス。
アヤの精一杯の反撃は、確かにマフィに覿面だった。
「あ、アヤ……」
「引き分けに、してあげます」
顔を真っ赤にし、ぷるぷると震えながらも微笑むアヤの可愛さは、もはや文字では表せなかった。
マフィの思考はぶっ飛んだ。
同じように顔を赤くし、今ここでメスとしてこの童貞ふたなり少女を食い散らかしたくなる衝動に駆られ……
「あらぁ~~? お邪魔しちゃった?」
「「きゃああああああああああぁぁぁぁ!!?」」
いつの間にか近くに立っていた女性に、気絶しそうなほど驚いた。
「ごめんなさいね~、わたしも2人の邪魔をするのは不本意なんだけど、それ以上は卒業後にね~」
「い、いえ……」
「お、おおお、お、お父様……! い、いつから……!」
「アヤがマフィちゃんにキスしたところから~」
彼女はアヤの父、現ホウジョウ家当主、コダマ・ホウジョウ。
父であることから言わずもがなふたなり。
「お、お久しぶり……です……お義父様……」
「久しぶり~! マフィちゃん背伸びたわねぇ~! それになんかシュッとしちゃって~!」
アヤと同じ桜色の髪を腰まで伸ばした、糸目の京風な美人。
狐族だけに、ちょっとつり目なキツネ顔と言えようか。
ちなみに名前とは裏腹にお胸は大玉である。
その口からは遠回しな嫌味が飛び出そうなものだが、少しおっとり色っぽい話し方のコダマは、裏表なくマフィを抱き締め頭を撫でる。
そこ、糸目ではんなりだからって裏切りそうとか思わない。
「お仕事早く終わらせてよかった~! マフィちゃんに会えた~!」
「ちょっとお父様! マフィが息できなくなっちゃいますから!」
美人の胸に顔を埋める……男なら口とチンコから垂涎モノの体験だろう。
アヤも将来こんなに大きくなるのだろうか。でも今は普通に小さいし、将来もBか、大きくてCカップに留まりそうだな……
とか思っていたマフィは、そのアヤによっておっぱいから解放される。
「もうっ、一応客人なのですからお父様も弁えてくださいっ」
「あら~? 客人に抱き着いてキスはいいのかしら~?」
「こっ、婚約者だからいいんですっ!」
やいのやいの。
このやりとりは入学したての時にも一度通話越しに聞いたことがある。
飄々とした父に、ガミガミと怒る娘。
モフテイル家ではまず見られない光景に、どこか胸がほっこりする。
「──コホン、それはそれとして~」
コダマはぴんと指を立ててお説教モードに。
「2人はまだ夫婦ではなく婚約状態。わたしも細かいことは言いたくないけど~、ウチはそういうの厳しいから若さ爆発でラブラブチュッチュは卒業してからね~」
パング族とはそういうところがある。
貞操と誠実さの重要度が他の氏族よりも高い。
たとえ婚約者同士であっても、婚前のあれこれは「はしたない」とされているのだ。
近代ではさすがに『他より厳しい』で済んでいるが、昔は婚約者同士を合わせず隔離するなどの変な風習もあったという。
「ヤるなら隠れてね~」
まぁコダマ自身もそこまで子供を締め付けたくないので、ほどほどの注意で済む。
真面目なアヤは見られた恥ずかしさと自分の気持ちを御しきれなかったはしたなさに「うう……」と顔を赤らめ俯く。
「(誰にも見られなきゃいい……)」
最後の手段として婚前交渉を狙うマフィは、来年の学院でどうやってアヤと隠れて致すかを考えていた。
お茶会も終わり、客人がホウジョウ邸から帰って夜になる。
一日の予定をすべて終えたアヤは、寝床に就いて今日の思い出を嚙みしめる。
「マフィ……ふふっ、えへへ……」
愛しの婚約者にようやく会えた。
抱き着いて、あまつさえキスまでしてしまった。
人生初のキスは、今まで経験したことのないくらい幸福で甘いものだった。
アヤもふたなり。ファーストキスの夜くらい眠れない健康優良児。
「やっぱり、学院じゃキスとか普通なのかな……」
ホウジョウ家──パング族が厳しいという自覚はある。でもアヤにとってはそれが普通。
他の神の眷属はそういうところでも違うと聞く。
チュラント族なんかは一夫多妻が当たり前だし、マフィの家と同じシュガー……現王朝のクルネイル家などは王夫婦から王女に至るまで色々とアレな噂が絶えない。
様々な氏族が一堂に会するのが学院という孤島の空間。
帰ってきたマフィがまるで別人のように色っぽくなってたことも、学院の空気に慣れたからなのか。
「なんか変わったね」と訊けなかったのは、自分の知らないマフィを掘り下げる勇気までは湧かなかったから。
少なくとも入学前に会った時には、あんなに『女』を前面に出していなかった。
清楚・貞淑を絵に描いたようなアヤが自分から抱き着いてしまったのは、思いが溢れたのもあるけど、その色香に吸い寄せられたのもあるだろう。
「でも、マフィはマフィだった……」
でも根っこの部分は同じ、幼い頃から知るあの狐少女のままだった。
多分、あの変化は成長なのだろう。
そう思えば納得できる。
昔は男みたいだった幼馴染が成長し女らしさが増して、さらにそいつが婚約者……つくづくマフィはエロ漫画みたいな奴だ。
悲しいかな純愛かと思いきやNTRだった炎上必至の漫画だけど。
純愛パートしか知らないアヤは抱き着いた時の感触と匂いを思い出し、布団の中で縮こまる。
「うう……なんか、変……」
その股間では可愛らしい娘がぴょこんとしてたのだが、精通もまだでオナニーすら知らないアヤは悶々と眠れない夜を過ごすのだった。
マフィも帰ってからアヤのことを思い出し、久しぶりに幸福感の中で眠ることができた。
やっぱりアヤだ。アヤしか勝たん。
今だけはお腹に他人の子がいることも忘れられる。
他人の子を妊娠中に婚約者とラブラブするとか相当グロいとか言うな。
その後もしばらくは実家でゆったり過ごし、前世の記憶が戻ってからちょうど1年が経った。
そう、本来なら発情期が来る月がやってきたのだ。
しかしマフィはいつもと変わらず。発情のはの字も感じさせない。
不審に思ったローラがそれを尋ねると、マフィはあらかじめ用意していた嘘を吐く。
「実は新しい錬術薬を試していて、発情期を抑える薬なんです。まだ治験段階らしいから表には出せないので、この話は内密に」
錬術薬の世界なんて門外漢にとってはちんぷんかんぷん。
安全性も強調すれば、簡単に騙すことができた。
マフィ……悪くなったね……
前に錬術薬の天才であるリンリン・ブライドが「いつか発情期や生理を抑える薬を作りたい」と言っていた。
その『いつか』がいつなのか分からないだけで、完全な嘘じゃないかもしれないかもしれない。
嘘を吐くのは心が痛んだが、妊娠がバレるよりはマシである。
すべてを丸く収めるため、輝かしいアヤとの結婚のため、マフィは悪にもビッチにもなるのだ。
なので熱っぽい視線で見てきたメイドや妹のアタックも躱すことができた。今回こそ本当にエロ無し!
まぁたまにリアリスのチンポをしゃぶることくらいはしたけど……
発情期分、休みが実質倍になった。