※この作品はR-18です。

ケモミミ貴族令嬢にTS転生したら、ふたなりたちに玩具にされた   作:ぐらんぐらん

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80 堕とす側になった堕ちメス

 ジャスリンは今年も誰かしら手配したのだろう。

 彼女の発情期はアヤとちょうど被っている。

 入ってすぐ孕ませたのなら、今頃はもう発情期後のスーパー賢者タイムも終わっている。

 

 だから手を出されたし、精も出された。

 

 クラブルームは性臭に満ち、膣は精液に満ちている。

 

 もう胎児の形も出来上がりつつあり、子宮口は完全に閉じている。

 

 エロ漫画で中出し胎児ぶっかけなるものも存在するが、あれはまやかしだ。

 子宮口が開いたら中から羊水が出かねない。それはもう破水なんよ。

 だから外から精液が入り込むこともない。

 割とエロ漫画的ファンタジーな世界だがその辺はシビアだった。

 

 とはいえ子宮に注げないだけで膣内は白濁まみれだし腸内はミッチミチ。

 

 これ以上お腹が大きくなったら性行為すら憚られる。思い出作りのようなエッチだった。

 

 何気にジャスリンに抱かれるのも久々だ。

 最近は水着イベや短小上書きサンドイッチなどで赤毛の双子姉妹にお世話になりっぱなしだったし。

 

 玩具にされるセックスもいいが、こうして慣れた手つきと腰振りと共に甘い声で囁かれるセックスもまた最高。

 求められてるって感じがしてメンヘラ心が満たされるのだ。

 ……ん? もしかしてジャスリンがメンヘラ製造機なのか?

 いやいやまさか。

 少なくともマフィのは地だ。

 

「お腹重たいだろう? 運んであげよう」

 

 これも久々の空中散歩withお姫様抱っこ。

 

 編集に引き伸ばしを命じられた恋愛漫画ならここで不意に誰かが空を見上げ目撃してしまう展開もあるが、そんなことはない。

 

 妊娠時特有の慢性的な疲れ、そして狼巨根の相手をした疲れ。

 絶対に自分を落とさない腕への信頼。

 それらが相まって、マフィはうとうと目を閉じる。

 

「そうだ、伝えておこう。今度城から──」

 

 ジャスリンが何を言ったのか、夢の世界を泳ぐマフィには最後まで聞くことができなかった。

 

 

 

□□□□□

 

 

 

 懐妊からずいぶん時間が経った。

 マフィのお腹が目立ち始めるくらいにはずいぶんと。

 

 その間にアヤとまた性の営みをすることはなく、むしろ彼女はその手の話題を避けている。

 

 理性がぶっ飛んだ時には情けなく腰をヘコヘコさせる桜狐は、童貞卒業の思い出を強く刻まれても「えっちなことはいけないこと」という意識を捨てることはない。

 

 口には出さないけれど、デキた子供のことを「過ちで作ってしまった」とも思っている。

 もちろんマフィとの子は嬉しいし、他ならぬマフィが望んでいたことだから受け入れている。

 けど心のどこかで、自分の罪の証のように感じてもいるのだ。

 

 真面目すぎる故に深刻に捉えすぎる。

 

 月日と共に大きくなっていくマフィのお腹を見て、アヤは複雑な思いにさらされる。

 

 

 

「よいしょ……ありがと、アヤ」

「いいえ。私が感謝されることはなにも」

 

 不調に苛まれるマフィを見ているのも「自分のせいで……」と思わないでもない。

 

 つわりが出始めてから、アヤは必ずマフィを部屋まで送るようにしていた。

 

 クラブ活動があればクラブルームにまで行ったし、お互いに無い日は2人で下校。

 マフィの方が早く終わればキリーネヤたち(こっそりジャスリンも)などにサポートしてもらっている。

 

 それは孕ませた婚約者を大切にしている証左であり、周囲もそう思っている。

 罪滅ぼしにもならないけど……という思いを勝手に混じらせているのはアヤのみ。

 

「お茶、淹れますね」

 

 マフィの部屋には緑茶の葉っぱはもちろん、急須も夫婦湯呑も置いてある。

 洗面台に歯ブラシ2本みたいな同棲アトモスフィアを感じる……

 

 お茶を淹れている時はアヤも無心になれる。手を動かしてると~ってやつだ。

 

「お待たせしました」

「ううん、ありがと」

 

 グリーンティーを飲んでほっこりするのは記憶の薄いジャパニーズマンとしての性だろうか。

 

 きっと数年後に振り返るとしみじみとする数日後には忘れてるような他愛のない話をして、日が沈んで、アヤが部屋までご飯を持ってきてくれて、お風呂に入って、またお茶を飲んでほっこりする。

 

 あと何回かを数えることはできるけど、敢えて数えない「いつもの夜」。

 文字通りのいつもであれば、寝る時間になればアヤを見送ってマフィは床に就く。

 

 だが"いつも"でない日もある。

 

「アヤ、ベッドまで運んでくれる?」

「分かりました。肩と腰、失礼しますね」

 

 お姫様抱っこではなく、姿勢を支えるエスコートじみたもの。マフィより小さい非力ちゃんだから仕方ないね。

 それでもマフィには嬉しくて、たどり着いたベッドに倒れ込む。アヤの袖を引っ張りながら。

 

「わっ!?」

「へへ……」

「もう……えへへ」

 

 子供じみた笑顔を交換して、マフィの手が婚約者の頬に伸びる。

 

 桜色の髪は柔らかくて、シャンプーの匂いと相まって甘いものが漂ってくるみたい。きっとマフィも同じ匂い。

 紅潮はお風呂上りのせいだけではないだろう。

 

「ねぇ、アヤ……キスしていい?」

「キ……っ!? な、なんで確認するんですか……!」

「いきなりは嫌かなって」

「べ、別に嫌なわけありませんけど……」

「でも、近くなるの避けてるだろ」

 

 アヤの罪悪感から来る肉体的距離を、マフィはなんとなく感じていた。

 

 それは心を通わせた婚約者だからというのもあり、性の匂いに敏感なメス狐だからでもあり。

 

「手をつなぐのもキスするのも、なんかおっかなびっくりだし。発情期が終わってからそんな感じ」

「そ……そう、ですね……」

「俺にはその理由が分からないよ。だから教えて。アヤは俺を避けてる?」

 

 己の頬に添えられた手を、アヤは勢いよく握る。

 

「そんなわけでは! ただ、その……」

 

 こんな胸の内を明かして、マフィを困らせはしないだろうか。

 夜這いするほどに子供を望んでた彼女に否を突きつけることにならないか。

 口が動かなくなる。

 

 しかし、かつて2人で約束した。自分が何を思っているのか、常にちゃんと打ち明け合おうと。

 その時に恥ずかしかったり怖かったりしても、すれ違うよりずっといいから、と。

 

「その……」

 

 逡巡を経て少しずつ、しかし徐々に。コーヒーをドリップするように吐露する。

 

「私は──」

 

 発情期とはいえ性欲に駆られてしまったことを恥じ、マフィのお腹を大きくしてしまったことに罪悪感を感じている……

 だから手をつなぐのもキスも、分かって入るけどえっちなことに結びつきそうで怖い……

 

 そうした心を明かし、アヤは丸い眉を八の字にした。

 

「ごめんなさい……」

「……そっか。なんか、アヤらしいっちゃらしいな」

 

 それをマフィは微笑みで包む。

 

「だからずっとそんな調子だったのか……ごめんな、早くに訊かなくて」

「いいえっ、まぁその……私も隠してた形になるので、マフィが謝ることは……」

「じゃあアヤがえっちなことに慣れるようにしよっか♡」

「え?」

 

 え?

 

 い、今は恋人同士の砂糖まみれ甘々時間では……

 

 油断したな、マフィがアヤを搾りとる時間だ。

 甘くてとろけるような話は全年齢でもできる。だが短小チンポをぱっくり口に入れたフェラは全年齢じゃできねぇ。

 

 それに作品タイトルに反してマフィが有利を取れる唯一のふたなりがアヤなんだから今のうちにとっておかないと。

 

 

「ね、アヤ……♡」

 

 自らも近付き、同時にアヤの後頭部にも手を回し、互いの吐息が近付く。

 

「あっ、ン……んむ……マフィ……」

 

 そして重なる。

 最初は触れるだけ、しかしゆっくりとマフィの舌がアヤの中へと入ろうとする。

 

 アヤは最初だけ口を閉じたが、すぐに受け入れた。

 唇の全体が相手にくっつき、その中で舌を絡める……

 

 マフィがずっと夢見たものだ。

 

 惚れた子に何の気兼ねなくキスできるというのは、この上なく幸福だ。

 相手も同じだけ幸せだと信じて、そうじゃないならそうなるように。

 服に皺が出来ようとお構いなし。

 

 次第にアヤからも返ってくる。

 

 控えめに舌を絡み返してきて、腕もマフィを抱き締めて、求め始めていく。

 

 互いの息遣いがやけにうるさく聞こえる中、どちらともなく唇を離す。

 

「どう?」

「どう、って……」

「嫌だったり、いけないことって思った?」

「それは……」

 

 そんなわけがない。

 

 アヤだって愛しい人との接触が嫌になるはずがない。

 それにキスはまだ大丈夫。

 あくまで愛情表現だ。

 

「別に、嫌なんてことは……」

「じゃあ……こっちは?」

 

 甘々純愛ヒロインが急に娼婦の手つきになった。

 

 するりとスカートの中に手を滑り込ませ、体のラインをなぞるように這わせていく。

 

「っ! だ、だめ、そっちはっ」

「えっちなことだから?」

「そう、です……っ、だから触っちゃ……」

 

 太ももの外側から内側へ、そしてもっと奥へ。

 手探りで指を当てれば、そこにはちょこんと自己主張するかわいいモノが。

 

「(……これ、だよな? パンツの下にちょっと硬いのあるし、多分……うん、多分)」

 

 アヤのアヤを守る布が1枚。

 簡単に手を挟み入れることのできる脆弱な一線だ。

 

「マフィ、だめえっ……!」

「えー? でもアヤのここ、硬くなってるよー?♡ どうしてかなー?♡」

 

 どうやら赤毛姉妹からメスガキ仕草をラーニングしたらしい。

 ざーこざーこ♡ とでも言いそうな挑発的で蠱惑的な声音。アヤは初めて抱く感情に身震いする。

 

「ね、アヤぁ……♡」

「そ……その、あの……!」

「苦しいんじゃない? 前みたいにびゅびゅ~♡ って出したいよな♡」

 

 さわさわ、すりすり──

 

「ちが、あっ……っ、く……」

「えっちなことしよ?♡ いけないことしよ?♡」

 

 マフィにはノウハウがある。

 ふたなりのツボを押さえつつ、早くセックスさせたいと思わせる手管が。

 資質と経験、この2つを持ち合わせたビッチ狐の誘いに抗えるふたなりなどいない。

 三位官令嬢として手本となるべくしていたDESUWA豹族お嬢様だって耐えられなかった。

 

 感謝するぜ、アヤと結ばれたこれまでの全てに。

 

 

 

□□□□□

 

 

 

 アヤが「嫌だ」とひとつ言うだけでマフィは引き下がれてしまうので、このまま言葉だけでやり取りしても意味がない。

 

 あわあわしてる間に下だけでも脱がす。

 普段スカートに隠されたホウジョウ家次期当主のおみあしはすべすべもちもち。

 その間にある場所もまた、毛の一本も生えていないつるつるぺたぺた。

 

「(久々に見たけどやっぱ小さいなぁ)」

 

 前に彼女のソレを見たのは妊娠した時、つまり数ヶ月ぶり。

 

 ぴょこん──という効果音が似合いそうな、肌の色と同じ白の皮かむり突起。

 

 これまでマフィが相手にしてきた竿たちとは比べるまでもなく小さい。指のような弱チンポ。

 格付けならとっくに消えてる。

 

 でもいくら 映す価値なし の雑魚チンだとしても、アヤのモノなのだ。

 

 NTRモノでは寝取られた女が彼氏や旦那の短小を見てイライラしたり嫌悪感を示したりするタイプもあるが、マフィはそういうのではない。

 

 最初の時こそ驚きはしたものの、短小だからこそマフィが有利をとれる。

 

「あー……むっ」

「ひっ!? ま、マフィだめっ! 汚いですからっ」

「きは(た)なくないよ♡」

 

 小指みたいなソレは、たとえ全部口に含んだとしても口内を圧迫することはない。

 舌を動かせば竿全体がねぶれて、アヤがシーツをぎゅっと掴む。

 

「まふぃっ……く、あっ……! だめ、やめてぇ……っ♡」

「じゅるるっ♡♡ じゅぷっじゅぷっ♡♡」

 

 アヤは腰から引っこ抜かれそうな快楽に頭がおかしくなりそうになる。

 

 舌先で皮をむいて亀頭を露出させた時などは、隣の部屋に聞こえそうなほど大きな声をあげ、同時に大きく震え……

 

 

 ぴゅっ♡ ぴゅる、ぴゅ……♡♡

 

 

「(? 急に柔らかく…………ああ、出た……んだよな?)」

 

 捕まえた腕の中でガクガクと震えた腰、跳ねたちんちん、そして生臭い風味の水っぽい液体。

 発情期の時よりも少ないが、多分射精。

 

 早すぎる……だが仕方のないこと。

 

 いつもヤリチンデカチンの竿役たちを相手にしてきたマフィが同じノリでやったらこうなる。

 ラスボス戦のステータス持った勇者が最初のスライムと戦うようなもの。

 レベル1のアヤチンポなんて「こうげき」コマンドで一発なのだ。

 

「んー……んくっ……はあっ♡ どうだった?」

「ぜぇっ……ぜぇっ……ど、どうって……」

「気持ちよかった?」

 

 問いに答えはない。アヤはぷいと横を向いて荒い息を整えようと努力している。

 

「(やっぱ1回で限界かぁ……)」

 

 一方マフィは内心で少しだけがっかり。

 

 いつもの相手なら一発射精したくらいで萎えることはなく、むしろ準備運動は終わりだと言わんばかりに上を向いている。

 

 サレふたなりのモノはすっかり下を向き、ただでさえ小さいサイズがもっとしぼんでいる。

 これでは本番すらできないだろう。

 

「射精できてえらいえらーい♡」

 

 まいっか。マフィは切り替える。

 本当はアヤともっと体の奥の奥までつながりたいけど、それはまた今度でいい。

 時間はたっぷりあるのだ。

 

 アヤの反応を見るに、平時でもマフィを拒むことはない。

 なら性行為をいけないことだという固定観念をぶっ壊すことは可能。

 

 それが彼女の中にある、抱かなくていい罪悪感や自罰感を消すことにもつながる。ポジティブに生きようよ。

 

「まふぃ……」

「よしよーし♡」

「んぅ…………ん!? なっ、なんで脱いで……っ」

「ほーらアヤの好きなおっぱいー♡」

 

 アヤに好きと言った覚えはないけれど、まぁ好きだろう。

 

「ごほうびおっぱい♡ ちゅーちゅーしていいからな♡」

 

 並ぶように寝そべって、ちょうどアヤの口に自身の胸が来るように位置を整える。

 

 おっぱいを嫌いな者などいない。

 国境も種族氏族の違いもなく、君も、僕も、神すらも、

 全人類はおっぱいが好きだ。

 

 アヤもそうだ。

 下手に発情期の記憶があるだけに、日常の中で服の下の裸体を──おっぱいを幻視した回数はこの数ヶ月でも両手以上の数にのぼる。

 

 逆らえない。おっぱいには。

 

 ましてこんな空気で、互いに半裸で、何をしてもいい婚約者が笑顔で差し出してくるのだから。

 

「…………ちゅ」

「んっ♡ よしよーし♡」

 

 何人もの竿役に揉まれまくったマフィぱいは柔らかく、一度触れてしまえば離れられない。枕にして寝たい。

 

「(ぎゃわいい~~!)」

 

 マフィ本人はキュンキュンが止まらない。

 

 真面目で素直で、たまに小うるさくて、ガキんちょの頃から見てきた婚約者。

 そんな彼女が今、赤ちゃんみたいに胸に吸い付いてる。

 

 恋心と感慨深さと母性とが綯い交ぜになる感覚。心が今までにない動き方をしてる。

 

「いいこいいこ♡」

 

 経産婦狐の手がアヤの頭を撫でた。

 

 もう一方の手は……母性では動いていないようだ。

 

「ぷはっ、ま、マフィ!?」

「いいからいいから♡ おっぱい吸ってて」

 

 淫欲で動く手が一度出して萎えたソレを包み、ぐにぐにと指を動かす。

 

 やわらかちんちんを弄られて、アヤはおっぱいで塞がった口の中で声を漏らした。

 

「アヤのチンポ、また元気になれるかなー?♡♡」

「んっ、っ♡ ふぁ……♡」

「あれ? ちょっと硬くなってきた?」

 

 むせかえるほど甘いフェロモン、それに幼馴染おっぱいと娼婦の手つきが組み合わさればさもありなん。

 ふにゃ雑魚チンポも血が集まれば硬くなる。

 

「このままもっかい出しちゃおっか♡」

 

 ちゅこちゅこ♡ ぐりぐり♡──

 

 びくびくっ♡♡ ぴゅ、ぴゅっ♡♡

 

 アヤのミニマムチンポは手コキにも及ばない指での弄くりで簡単に果てた。

 早すぎる……2回目なのに早すぎる……

 

 しかもまた薄い。さらに薄い。量も少ない。

 

 それでも一応精液なので、独特の匂いはしっかり届く。

 

「あ、出た? …………出せたねー♡ えらいね♡ 気持ちよかったね♡」

「う、うううぅぅぅ……♡」

「いっぱい出して疲れちゃったね♡ 今日はこのまま寝ようね♡♡」

 

 神術で精液を掃除し、桜色の頭を胸に抱いたまま、狐耳にキスをする。

 一日の終わりだったこともあり、慣れない射精をしたせいでアヤはすぐに寝息を立て始める。

 マフィも彼女の髪の匂いに包まれながら目を閉じた。

 

 

 

 そうした夜が何度も繰り返され、アヤは次第に絆されていく。

 

 真面目な子が肉欲に素直になっていく、まさしく快楽堕ち。

 

 性的なことに対して「いけないこと」から「気持ちいいこと」へと印象と考えを塗り潰され、徐々に溺れていく。

 卒業間近にはマフィの体を求めるようにもなった。

 

 ふたりきりの夜、恥ずかしそうに服の裾を引っ張って上目遣いで見つめるのが合図だ。

 

 もちろんセックスはできないのでフェラや手コキに終始するのだが、快楽1年生であるアヤにとってはそれだけでも夢のようだった。

 

 

 

□□□□□

 

 

 

 そして季節は巡る。

 

 始まりがあれば終わりもあるように、入学があれば卒業もある。

 マフィも17歳を間近に控え、一足先に人生の節目を迎えるのだ。

 

 といっても卒業式になにかドラマがあるわけでもない。

 

 王子が悪役令嬢に婚約破棄を叩きつけて主人公令嬢が玉の輿ハッピーエンドすることもない。

 

 なんならダンスパーティーもない。

 ちょっとした立食パーティーめいたものがあるだけだ。

 

 あれだけ擦ったホグワーツ要素も、原作からして卒業式の描写がないのだからパクれな……参考にできない。

 

 式は2年生のみで行われるのでアヤが参加することもないし、ここでのマフィはお腹が目立つだけの一生徒だ。

 

 

 まぁ、クラスメイトとの挨拶や会話までないわけではなかった。

 

 例えばこっそり物陰に呼び出したイリーゼなんかとも話した。

 

「なんですの? こんなところに…………あっ! きょ、今日はさすがにシませんわよ!」

「シないって……いや、なんかさ、迷惑かけたなーって思って、色々」

「迷惑って…………別に」

「あとお礼。世話にもなったからさ。去年の夏、助けてくれてありがとう。それからも色々と、まぁ……」

 

「も、もういいですわ!」豹は顔を赤くして遮った。

 

 イリーゼにとって、そういう時間以外のマフィはただのクラスメイト。

 クラスメイトとしてお別れして島を出るべきだ。

 

 だが彼女にも思うところがないわけではなかった。

 

 マフィとの体の関係は2年生になってもズルズル続いていたし、狐がせがんでくるのをいいことに快楽を貪ってもいた。

 向こうもよがるもんだから、彼女は自分のものなのだとチラッと思わなかったわけでもない。

 

 学院の誰かを婚約者候補に選ぶより、狐ヒップに腰を打ち付ける方に夢中になっていた。

 おかげで恋人も婚約者もいない。

 

 だからこの言葉も今まで言えなかったのだが……

 

「……遅くなってしまったけれど、ご懐妊おめでとうございます。お幸せに」

「う、うん……」

「これでも私たちの間には何もなし。いいえ、最初からこんな関係はなかった……でしょう?」

「ああ……そうだな……ありがとう、ターカビーシャ三位官令嬢」

「……イリーゼでいいわ。同窓でしょう、私たちは」

 

 イリーゼは三位官令嬢。

 妻を迎えて血を残すのは貴族の義務。

 

 学生時代の記憶だけが彼女のすべてではない。月日が経って、マフィとのあれこれも記憶の隅に押し込められる。

 

 マフィのところにターカビーシャ家から結婚式の招待状が届くのは、そう遠くない未来だ。

 

 

 

 そして卒業式にあるのは、友との別れ。

 キリーネヤとメロリィ……この2人が友達だったからこそ、マフィの今があると言っても過言ではない。

 

「卒業しちゃったな」

「そうね」

「なんかあっという間だった気がするわ」

 

 お互い入学して間もない頃からの付き合いだ。

 たった2年間。人生という長い年月から見れば一瞬のような期間。

 

 それだけでも互いが互いを唯一無二と思えるのは、長さよりも密度ということなのだろう。

 

 別に今生の……というわけではないし近いうちに結婚式にも招待するけれど、毎日顔を合わせていた彼女たちとこれからは会う回数も減ると思うと感傷に浸りたくもなる。

 

 メロリィがヒロインみたいな笑顔を向ける。

「つらいことも大変なこともあったけど……でも楽しかったわ。2人がいたから楽しかった」

 

 キリーネヤが寂しそうな、しかし同意する笑顔を向ける。

「…………」

 

 マフィが歯を見せニカッと笑う。

「そうだな……楽しかった……心からそう思う」

 

 ガシィッ!

 3人が円陣を組むように肩を抱き合った。

 

 ちなみにこの中の誰もジョジョを読んだことはない。




あけましておめでとうございます
2025年中に完結と言ったな、あれは嘘だ

済まぬ

これにて完結です……と言いたいところですが、終ったのは学生編で本編はまだ続きます

済まぬ

後日談、あるいはもうちっとだけ続くんじゃの気分で人妻編を読んでください
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