「ふわあ……。おはようございます、主さま」
朝日が窓から差し込み、ベッドに横たわる2人の男女を照らす。デバイスであるライジングサンには本来、睡眠は必要なことではない。その代わりにこうして廣明と一緒に寝る場合は、スリープモードになって擬似的に睡眠状態をとっている。
サンは枕となっている廣明の左腕を愛しげに撫で、彼が安定した呼吸で寝息を立てていることを確認する。
「こっ、これは……」
廣明が寝返りを打とうとして、彼女の方に身体が動く。その際に、朝の生理現象で硬くなった男のモノが、サンのふとももを擦った。
昨夜の情事からそのまま布団に入ったということもあり、どちらも着用しているのは下着のみ。そのために、モノの硬さと熱さがはっきりと伝わっている。
「いま、楽にしてさしあげますね」
身体を彼の下半身のところまで移動させ、サンは鼓動の高鳴りを感じながら下着をずらした。つんと鼻につく匂いを発しながら、大きくなったペニスが姿を現す。
数時間前には自分の中を出入りしていたそれを目の前にし、サンは赤面する。じんと股間が熱を帯びていることで、彼女は改めて廣明に女として抱いてもらっていることを実感した。
「失礼いたします……」
まずは、ペニスの汚れを舌で丁寧に舐め取っていく。サンの小さな舌が裏筋やカリ首を通過すると、廣明の身体は寝ていても自然に反応をする。
「れろ……。ここも、きれいにしておかないといけませんね」
竿を片手で少し持ち上げ、敏感なタマのところにまでサンは舌を這わせていた。柔らかな部分なので傷つけないように慎重に舐める。シワの筋を1本ずつ伸ばすように、じっくりと奉仕は続いた。
「つぎは、わたしのお口で気持ちよくなってください」
挨拶をするように亀頭の先にくちづけると、サンは精一杯に口を開いて廣明のそれを咥内に含んだ。亀頭を温かな粘膜が包み込み、心地よさに廣明が声を漏らす。
それが面白くて、サンは口をもごもごと動かしてペニスの先を刺激する。咥内で、性器が脈打っているのをはっきりと感じられる。サンは続けて、口の動きと舌を連動させ始めた。
「ん……ちゅぱっ、ちゅ……」
明らかに強くなった快楽は、廣明の寝ている脳にまで到達する。夢と現実の境目がはっきりとしだして、彼はゆっくりと目を開けた。
股間を包む温かさに下半身に目をやる。そこには、愛情たっぷりに自身のモノを頬張る少女がいる。
「……サン、おはよ」
「おひゃようごひゃいまふ、ん、主さま」
ペニスを咥えながらサンが挨拶をしたため、また新しい快楽が与えられる。最後にようやく口を離した彼女の頭を、多少乱雑に廣明はかき撫でる。彼女はそれをうっとりとした表情で受け入れ、彼を満足させるべく行為を再開させた。
「物足りないところがありましたら、言ってくださいね」
我ながら、こういった行為をすることに板がついてきたと廣明は思う。これまでならば、サンに口で奉仕されようものならあまり保たずに射精してしまっていたはずだ。
それがいまではある程度の余裕を持って、少女の仕種に気を払うこともできる。
「サンのやりたいようにしてくれていい」
敏感になっている亀頭に意識を集中させると、くびれを往復する彼女のくちびる形までわかるようであった。
「じゅう……じゅるっ」
たっぷりと咥内に唾液を含ませて、サンは頭を上下させていく。時には頬の内側にペニスの先を擦りつけ、刺激にメリハリをつける。
「んぷっ、ふうっ……ちゅうう」
それによって分泌された廣明の我慢汁を、彼女は一滴も逃さないというように吸い上げていく。その恍惚とした姿に、廣明は背筋にぞくりとしたものを感じる。
行為を重ねるごとに少女の女である部分は開花していき、いやらしく彼の雄を求めている。
「はあっ、はあ……。主さまのこれ、大好きになってしまいそうです」
肥大して浮き出たペニスの血管を、サンの指がなぞっていく。その間も亀頭からはだらだらと汁が垂れ、少女の唾液と混じって怪しげに光っていた。
「かわいいよ、サン」
サンのスイッチの入ってしまった身体は、彼のささいな言葉にも反応してしまう。廣明の人さし指が、彼女のうなじをゆっくりと歩くように触れられる。そこから身体中に電流が走ったように感じ、サンは思わず達してしまいそうになる。
「ふうっ、ふぁ……。あむっ」
我慢できなくなって、彼女は雄々しくそそり立ったモノを口に入れる。舌を絡ませ、咥内でふくれあがった亀頭をたっぷりと味わう。そんなねっとりとした愛撫は、主のペニスから精液が放出されるまで続いたのであった――。
◇◆◇
海鳴の夕暮れ時。フェイト・テスタロッサは、ジュエルシードの探索に街まで足を運んでいた。多くの通行人の中でもその美しい金髪は目立ち、輝いている。
「あの人……」
その目に飛び込んできたのは、車椅子の女の子と楽しげに会話している少年。2人の姿は、まるで仲のよい兄妹のようにフェイトには見えていた。
(あの子はいない)
その隣には、ツインテールの少女はいない。そのことで自分がほっとしていることにフェイトは気づき、険しい面持ちとなる。
少年はフェイトが近くにいることを知らないまま、少女の車椅子を押して去っていく。その影を、フェイトは無意識に追っていた。
「これは、敵を知るためなんだ」
誰に問われるでもなく、彼女は1人ごちる。アルフがいたのならばすぐさま止めるものであったが、あいにく現在は別行動である。同じ言葉を何度も繰り返すフェイトは奇異な視線を向けられるものの、2人に離されないようついていく。
時折店の前で立ち止まり、あれやこれやと少年と少女は笑顔でしゃべっている。兄妹どころかそれより先の関係なのではないかと勘繰れるほどの2人に、フェイトは心の中に1つの感情が湧き出しそうになるのをなんとか抑えつける。
結局、その尾行では大した成果を得られなかった。車椅子の少女の家に到着するまでの道中、2人の親しげなところを見せつけられるばかりで、フェイトは虚しくなるだけであった。
「帰ろう」
そう思い、来た道をフェイトは引き返していく。ビルが立ち並ぶ景色は妙に無機質に感じられて、彼女の心を苛んでいく。
そんな感傷すら無視するように、転移魔法と同時に周囲に結界が張り巡らされる。フェイトはデバイスに呼びかけ、バリアジャケットを装着した。
「バルディッシュ」
手に持っている戦斧型のバルディッシュをサイズフォームにして、転移魔法から現れた若い見た目の男と対峙する。
男の装いには、どこか既視感を覚えるものが彼女にはあった。アーマー、外套、それにベルト。どれも、あの少年のものに酷似している。違うところを挙げれば、外套が白色なのと、バックル部分の宝玉がバルディッシュのように金に発光しているところである。
そしてもう1つ。その左腕には大仰な篭手がはめられておらず、代わりに右足の脛の辺りを取り巻くように装甲が取り付けられていた。
「なかなか腕の立ちそうな魔導師だな」
フェイトは答えず、姿勢を低くしていつでも行動できるようにしている。男の怜悧な目つきは、それだけで充分警戒する理由になっていた。
あの少年を陽とするならば、さしずめ異様なオーラを持つこの男は陰の存在。フェイトは、シルエットが似ている人間どうしがここまで別な雰囲気を出せてしまうのかと関心したくなった。
「ロストロギア、なかなか面白そうなものではあるが……」
抑揚の少ない声で、男はジュエルシードのことを口にした。動揺を隠せない少女に、男が近寄っていく。
「フェイト!」
結界内に侵入した者の声によって、フェイトは我にかえる。フェイトが振り返るとそこには、あの少年がいた。
「ライジングサンのマスターか」
「お前が、シャイニングルナの……」
廣明はフェイトの前面に立ち、男の顔をじっと見る。フェイトの赤い目には、自分を守ってくれているようなその背中が、大きくはっきりと映っていた。
「姉さま、わたしの声が聞こえますか!」
ライジングサンがそう語りかけるものの、反応は返ってこない。すると男はその様子を鼻で笑い、ベルトの宝玉を指でとんと叩く。
「この状態のこいつになにを言おうが無駄だ。欲しければ、力で奪え」
男の右足に魔力が集中していく。装甲が輝き、魔法陣が現れる。男はそのまま地面を踏み鳴らすと、衝撃波を発生させた。
廣明は外套の中にフェイトを入れ、衝撃波を防ぐ。
「待て、って今更遅いよな」
すでに男は、消え去ったあとであった。廣明はちっ、と舌打ちをして、包んだままになっているフェイトを解放する。
焦点の定まらない彼女の顔の前で、廣明が手を2、3度振る。するとフェイトは一瞬身体を硬直させ、すぐに彼から距離をとった。これまで冷静そのものな少女しか見てこなかった廣明に、その様はいたく新鮮に感じられた。
この騒動に駆けつけたアルフが来たこともあり、彼女はいつものペースを取り戻す。去り際に、フェイトは一言だけ残していった。
「この借り、いつか返します」
「フェイト、あいつになにかされたのかい!」
少女の言葉に、獣状態のアルフは牙を剥いて廣明を威嚇する。フェイトがそれ以上なにも言わずに帰還していくと、慌ててアルフも続いていった。
廣明がため息をもらしてバリアジャケットを解除すると、ほどなくして結界は崩れていく。
「お兄、ちゃん。はあっ、なにがあったの?」
少し遅れて到着したなのはは、急いで来たためか息が上がっている。
なにが起こったのか廣明がかいつまんで説明すると、彼女はフェイトに会えなかったことに肩を落とす。
「大丈夫さ。きっとあの子とはわかりあえる、おれはそんな気がしたよ」
「うん、ありがとう。サンちゃんも元気だしてね?」
なのはは気落ちしてしまっているサンを気遣う。だいたいわかっていたことでも、いざ目の前にしてみるとやはりショックは大きいものであった。だが、いつまでも落胆しているわけにいかないことはサンもよくわかっている。
「なのはさん……。主さま、わたし頑張ります!」
「おう、その意気だ」
2人の少女の頭を一緒になで、廣明はそのやわらかな髪を愛しげに触れる。厄介ごとは増えたようなものではあるが、行くべき道をしっかりと見据えることができる。
(あの野郎をぶん殴って、それで……)
相手が力をもって奪えというのならば、それに乗ろうではないか。少年の内側では、闘志の火が種火から炎へと移り変わりつつあった。