※2025年7月19日、玲於奈の一人称を「わたし」から「ワタシ」に変更しました。これで一人称の差別化ができると思います。
※2026年9月22日、誤字脱字などあったので、修正しました。
「ごめんなさい」
さすがに玲於奈に頭をさげた。
しかし、反応はなかった。
顔をあげると、すさまじい形相でにらんでいる玲於奈がいた。
「それで済むと思ってるわけ?」
いつもより声は一オクターブ低かった。
「じゃあ、今日は玲於奈のところに行って夕食でも作るよ」
すぐに思いついたつぐないはそれぐらいしかなかった。
「ならまあいいか」
「え?」
断られるとばかり考えていた私の口から抜けた声が出てくる。
「今日、夕食を作ってくれるって言ったじゃん」
玲於奈は顔をずいと私に近づける。
「まさか、嘘でも――」
「いやいや、喜んで夕食を作らせていただきます」
「……よしっ」
私の言葉に玲於奈は白い歯を見せた。
「でも、逃げ出さないようにこれから一緒に行動してもらうから!」
私を指さしながら玲於奈が宣言する。
「はいはい」
そんな玲於奈の頭をいつの間にか撫でていた。
「なんで撫でてるのよ」
「いや、つい。長い間でできたくせ、というか」
「誰もいないところならいいけど」
私を見上げながら玲於奈が口を開く。
「さすがに人前ではしないでよ」
そう告げてから玲於奈は私の手を外す。
「それって、人前じゃなければ……」
最後まで言う前に、玲於奈は拳を握っていた。
※※※
言葉どおり、玲於奈は私と同じ講義では私の隣に座った。
講義に集中せず、私の方をずっと見ていたことが印象深かった。
「ふっふふーん」
帰り道で玲於奈は嬉しそうに鼻歌をかなでていた。
「ずいぶんと嬉しそうだね」
「そりゃあ嬉しいから」
前を歩いていた玲於奈がこちらをふりかえる。
「考えてみたら翼の料理って初めて食べるし」
「そうだっけ?」
「そう」
玲於奈の口調は確信をまとっていた。
「だって、ちゃんと覚えてるから」
「……なんか、玲於奈って私のこと、よく覚えているよね」
思わず口から本心がもれていた。
「何か問題でもあるわけ?」
玲於奈は自分の指を私の脇腹に刺しながら問いかける。
「問題なんて毛頭ございません」
「ならいいでしょ、別に」
誇らしげな表情を私に見せた。
「あ。食材ほとんど無いから帰りにスーパー寄ってかないと」
私のことを見ながら玲於奈がわざとらしく口を開いた。
「お財布はどちらが?」
わかりきっている回答を聞くために、私はたずねた。
「ん」
玲於奈は今度、私の顔を指さす。
「……まあいいけど」
涼子からもらったお小遣いはまだまだあるから、今回の夕食分を出すことはまるで問題ない。
「ふふっ」
玲於奈は笑顔を浮かべ、また私の腕に抱きついてきた。
※※※
スーパーでは黒毛和牛を要求されたり、高い海産物をカゴに入れられたりしたが、まあなんとかなった。
そのまま玲於奈のアパートに向かい、急いで夕食を作る。
「ふー」
その表情だけで、玲於奈が満足したことを理解できた。
「満足満足」
「そりゃあよかった」
「正直、想像以上に美味しかった」
「自炊はするようにしてるからなぁ」
自分のタイミングで自分の好きなものを食べることができるから、私は大学進学を機に自炊をし始めた。
「また食べさせてよ」
「いいよ。その代わり……」
「その代わり?」
「今日は泊めさせてくれない?」
「泊まっていくの?」
「いいでしょ。小さい頃は同じベッドで寝たことだってあるし」
「それは小さい頃だからでしょ。っていうかベッドひとつしかないし!」
玲於奈はすでに入浴を済ませ、パジャマ姿になっていた。
「いいよ。その辺で適当に寝るから」
私は部屋の隅を指さしながら言う。
「あ、そう、なんだ」
残念そうな面持ちを玲於奈は浮かべていた。
「いや、いいんだけどさ。襲ったりしないでよね?」
「いや、襲うよ?」
「え――?」
「襲うっていうか、抱くっていうか」
ゆっくりと玲於奈に近づく。
「私のオンナにするっていうか」
「え……ほ、本気?」
「本気本気」
私は服を脱ぐ。
「本気だから、こうなっているわけだし」
私はその気になっているものをゆらしてみせる。
「え!? それって……!? え! な、なんで!?」
今まで見たことないほどに玲於奈は困惑していた。
それもそうだ。
女友達に自分のオンナにすると言われたかと思えば、そいつの下半身にはあるはずのないものがあるのだから。
「これで玲於奈を私のオンナにするから」
一歩、玲於奈に近づく。
「いいでしょ?」
「いや! だって……し、したことない、し」
「じゃあ処女なんだ」
「それは、そ、そうだけど、でも……でもっ」
それは言い訳なのか、それとも言葉が出てこないのか。
明らかに狼狽している瞳は、間違いなく私を見つめていた。
それは、涼子を初めて抱いた時と同じ光景だった。
だから。
私は顔を近づけ、玲於奈の唇をうばう。
「……っ」
おそらくは五秒にも満たない時間だった。
「もしかしてファーストキス?」
「……もしかしなくても、そうだった」
私の言葉に玲於奈がすぐにうなずく。
その反応に私はもう一度キスをする。
「これでセカンドキスまで済んだ」
「……ばか」
途端に玲於奈の手のひらが私の視界を埋めてしまった。
「バカで結構」
言いながら私は玲於奈のパジャマに手を伸ばす。
「いい、よね」
「……うん」
玲於奈は再びうなずいた。
パジャマを脱がし始める。
思っていたよりもガーリーな下着で、普段とのギャップに私はますます興奮していた。
「電気消す?」
裸にした玲於奈をベッドに横にして、その上に重なる。
「いい」
玲於奈は首を左右にふる。
「翼のこと、見ていたいから」
小さい頃から玲於奈のことを知っているからこそ、小さい頃のまま印象などが上書きされていなかった。
だんだんと身長差が生まれてきた――そしてそれに比例するように胸部の数値の差も如実になっていった――ことが、印象にこびりついているのだろう。
「玲於奈」
口は自然と動いていた。
「うん」
「好きだよ」
「……うん、ワタシも」
「でも、あらかじめ言っておくことがあるんだ」
このタイミングで言うのは、卑怯だと理解していた。
「言っておきたいこと?」
「私には、自分のオンナがいるんだ」
でも。言わなければならないと思った。だから言った。
「オ、オンナ……?」
玲於奈の脳内はきっと疑問符だらけだろう。
「うん」
うなずいてから私は言葉を続ける。
「で、玲於奈にも私のオンナになってほしいんだ。いいでしょ」
我ながら酷いことを言っていることはわかっている。
要は玲於奈を愛人やら二号にすると宣言しているのだから。
でも。
――『あなたが望むことはおおよそ叶う』。
あの出来事のあのセリフを信じて、私は言わなくても問題なかったであろうが、あえて告げた。
いや、玲於奈で本当にそうなのか試した、と表現したほうが正しいかもしれない。
私のことを玲於奈が好きなのはわかりきっていたからだ。
「そ、それ……って」
玲於奈の困惑はますます深まっているようだ。
瞳が上下左右にせわしなく動いている。
「どう? 答えてくれないと困るんだけど」
腰を動かし、私のモノで玲於奈を刺激する。
「ふあ……」
ふれた途端、源泉からもれた液で私がコーティングされる。
「どう?」
「そ、それ……は……」
玲於奈の割れ目に私をはわせる。前戯というのもおこがましいほどのお粗末な行為。
しかし、経験のない玲於奈には充分すぎるほどの刺激なようだ。そうでなければ先ほどよりも液がもれていることの説明ができない。
「わ、わか、った」
長い沈黙のあと、玲於奈がつぶやく。
「なにがわかったの?」
再度、玲於奈を刺激する。
「っあ……な、なる――なるからっ」
「なる? 何になるの?」
自然と笑っていた。
「つ、翼の――」
「私の?」
「翼の……オンナになる、からっ」
言い終えるなり、私は玲於奈のナカに挿入する。
「んあっ!?」
意図しない挿入に、玲於奈の驚愕の声が私に届く。
「ああああっ」
そして続けて歓喜の声が届いた。
涼子と同じようで違う内側。
初めての出来事に驚きつつも、懸命に私に刺激を与えてくる。それもどこかたどたどしく、それが何故だか嬉しかった。
「気持ちいいよ」
玲於奈にささやく。
「や、やめ……っ」
腰を動かす。
「んあっ」
玲於奈から声がもれる。
自分が玲於奈にそうさせていることが、こんな玲於奈を見ることができるのは私だけなことが。
自然とたかぶっていた私は玲於奈の最奥を目指す。
「ああ、ああっ」
玲於奈の背中がベッドから離れた。
挿入してからすでに何度か達しているのだろう。
ただ、私にはまだ刺激が足りなかった。
「さわるね」
許可を得るためではなく、ただ伝えるために口を開いた。
そして手を玲於奈の胸にうずめる。
そのサイズは涼子に勝るとも劣らないもので、先端は興奮で存在を主張していた。
だから口にふくむ。
「んあっ、な、なに……をお!?」
もしこの先から母乳が出るのならいくらでも飲みたかった。
「んぐっ」
せっかくなので唇もふさいでしまう。
「んっんっ」
玲於奈のナカを堪能しながら、そこ以外にも刺激を与える。敏感に玲於奈が反応してくれて嬉しかった。
涼子の時と玲於奈の時、決定的に違うのは私の経験の差だ。
ある程度慣れていたため、すぐさま『暴発』することは避けられた。
汗もうっすらとかいていた。だからなめることにした。
「ちょ、な、にを」
こんな状況でも玲於奈はツッコんでくれた。
「ふふ」
それが嬉しくて、思わず笑ってしまう。
水の音、肉と肉とがぶつかる音。
性交をしていることを私は五感で楽しむ。
「じゃ、そろそろ出すね」
いくら慣れているからといっても、いつまでも耐えられるはずがない。
長いストロークでできるだけ刺激を受けられるように身体を動かす。
「だ、すっ?」
「うん」
玲於奈にほほえみながら告げる。
「射精して、玲於奈を私のオンナにするから」
最奥にふれるのと同時に、私は玲於奈のナカに熱を注ぎ込んだ。
「ふあ――っ!」
玲於奈のシャウトが部屋に響く。
ふたり目の誕生に、私は涼子の時以上の興奮を覚えていた。
※※※
「えーと、つまり。ワタシはもう翼のオンナってこと?」
「そうそう」
玲於奈が目を覚まして……つまりは日付が変わってから、私たちは会話をした。
「私の言うことに従うようになってるよ」
お互いに汗やら何やらにまみれていたため、入浴をすることになったが、ふたりで湯船に入っても問題ないサイズなのには驚いた。
「本当?」
私が後ろで玲於奈を前に座らせて、ふたりして湯船につかっている。
「玲於奈に嘘をつく必要あると思う?」
「……ないかも」
私の方に顔を向けながら玲於奈がささやく。
「まあ。とりあえずいつもはこれまでと同じように過ごせばいいよ。何かあれば命令するから」
「命令……」
反芻するかのように玲於奈が言葉を繰り返した。
「何か問題でも?」
「違う。翼に命令してもらえるってのが、嬉しいなって思って」
玲於奈は後頭部を私に預けてきた。
「これまでそんなふうに思ったことないのに……今は翼にどんな命令をしてもらえるんだろうって期待しちゃってる」
「そっか。じゃあ」
「じゃあ?」
玲於奈の声は嬉しそうだった。
「今日は一日講義がないので……一日セックスをします」
両手で玲於奈の胸をもみながら命令をしてみる。
「はいっ」
私の言葉に玲於奈は満面の笑みを見せてくれた。
「ふふ、もう悦んでくれてる」
私のモノがふれたようで、玲於奈から歓喜の声色が届く。
「そういえば、お風呂でセックスはまだしたことなかったな」
「本当? 初めてのオンナになれて嬉しい」
玲於奈は身体を浮かす。
私は玲於奈の身体を固定させながら丁度いい場所に身体を動かす。
「じゃ、入れるね」
「うん」
今度は伝えてから玲於奈のナカに入る。
「ふう、う……」
湯船とは違う熱が、私にまとわりつく。
そこはまだ私のことに少し驚いているようだった。
だから今日一日をかけて、そこを私専用にするのが目的だった。