※この作品はR-18です。

山田リョウはタカりたい!   作:KKS

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敗者の朝焼け★

 怠惰な休日の朝七時。いつもの癖で目覚めても、たっぷり二度寝を決め込める幸せな時間帯だ。鳴りもしない枕元のアラームを、手が華麗に空振りする。

 手のひらの着地した先。やわらかくて、あたたかだった。ついでに、ちょっと湿り気を感じたりもする。

 

「ふべっ。む、むぐぐ……」

 

 すぐ隣から苦悶の声が聴こえたのは、たぶん気のせいだろう。そもそも、強い眠気のせいでまともに思考が働かない。

 今日のオレは無敵。そう。なにをすることもなく、腐った死体のように一日をベッドで過ごす。いいじゃないか。外界の騒がしさを遠ざける、素敵なサムシング。

 

「あっ、やばっ……。これ、ほんとに死ねるかも……」

 

 夢現の脳内に、他人の声がついに鮮明に響き渡る。

 ああ、だめだ。はあ……、まじ無理。地縛霊になって呪ってやるー。

 おい、やめろ。せっかく二度寝の体勢になったっていうのに、あんまりバリエーション豊かに煽ってくるな。どうにか夢の中への逃走を試みたものの、一旦オンの方向に傾いたスイッチが惰眠を貪らせてくれなかった。

 うずくまったまま、特大のため息を吐く。起床に舵を切った五感が、いい匂いをもれなく感じているのが腹立たしかった。

 隣で寝ている誰かさんの口を、自分の手のひらが思いっきり塞いでいる。妙に生温かい感触があったのは、ずっと吐息があたっていたせいだ。ゆっくりとどけながら、眼を擦る。

 ジト目の女の幽霊、ではどうやらなさそうだ。

 

「えーっと、どちらさん?」

 

 われながら、白々しい口調である。頬をかく仕草など、結構堂に入っているのではなかろうか。

 

「ふうん。私、本気で泣いちゃうけど、それでもいいんだ? ううむ……。悲しくなった勢いで、警察駆け込むってのもありかも。ふっ……。そうなったら、お兄さんの人生はいきなり終了のお知らせ。未成年部屋に連れ込んで好き放題してるってバレたら、きっとサイレン鳴らして大勢飛んでくる」

「おおう……。憐れなオレに、差し入れくらいはしてくれよな、山田ちゃん。あっ、できれば雑草の詰め合わせだけはご勘弁を」

「えっ……。いろいろ面倒くさくなってきたから、いまのはやっぱ全部なし。いい感じの朝ご飯買ってきてくれたら、お兄さんの粗相は許す」

 

 いい感じってなんですか、いい感じって。

 ジト目の誰かさん。もとい山田リョウが、生身の枕を求めて右腕を掴まえてくる。このかわいさは反則だろう。中性的で表面上はクールな山田ちゃんが、ぽふっと腕枕に甘えてくる。この状態で誰が朝飯なんて買いに行けるものか。

 

「わっ。また、大きくなってる。夜、あれだけシてあげたのに。もしかして、あれって夢だった?」

「ン……。確認してみるか、ゴミ箱。一発で、あれが現実だったって理解できると思うけど」

「えっ、キモっ……。朝っぱらから現役JKに言うことじゃないでしょ、それ」

 

 確かにドン引きされるのもやむ無しの発言だ。

 ベッドの脇にある小さなゴミ箱。横目で盗み見ると、ティッシュでできた小山の上に、カラフルな色のなにかが積み上げられていた。

 そういえば、昨夜の時点でゴムの在庫を切らしていたことを思い出す。部屋に引きこもって優雅な休日を過ごしたいのはやまやまだが、必需品がなくては快適な性活もままならない。

 

「買い物いきたいんだけど、どうしよっかなあ」

「変なモノ押し付けるの禁止。いいから、もうちょっとだけ寝る。ほら、お兄さんも深呼吸して」

「すーはー、すーはー。やっ……、このくらいじゃどうにも。現役JKから漂う香りにやられて、ほら」

 

 適当に着ていたジャージの中から、バッキバキになってしまった愚息を取り出す。山田ちゃんの顔が近い。熱も、香りもすぐそばにある。そんなこんなで、我慢することなんてはじめから無理なのでした。

 

「ちっ……。しょうがないから、手、してあげる。そうそう。この前、狙ってた中古のアルバム見つけたんだけど」

「んあっ……? 油断も隙もないな、このハイエナめ。追加で引き出したいならさ、愛情見せてよ、愛情」

 

 全身をだらんとさせたまま、山田ちゃんが手コキを開始する。

 逆手で竿を握って、亀頭を巻き込むような上下運動。雑に扱われているのだが、ぶっちゃけかなり気持ちよかった。朝勃ちチンコを、アンニュイなクール系美少女に扱かせている。

 この優越感といったら、たまらない。

 

「んっ……。だったら、お兄さんの好きなところでも挙げてみよっか。えーとっ……。あっ、そうだ……。うーん、ううん……。いや、これもやっぱり違うか……」

 

 急に思案顔になり、山田ちゃんがあーでもないこーでもない、と呟きはじめる。

 自分からお題を選んだくせに、さっぱり答えがでてこないのはどうしてなんでしょうか。それでも手コキはしっかり続いていて、刺激によってこぼれた我慢汁が、ほどよく絡んで気持ちよさが倍増していた。

 にちゅにちゅ、ぬちゅり。ぬこっ、ぬこっ、にゅるるっ。

 山田リョウというハイエナは、焦らしながらも確実に男の弱点を狙ってくるのだ。リロードはとっくに済んでいる。亀頭をなぶられて腰が動く。興奮に任せてキスをしたいところなのに、うまく躱されている感じがした。

 

「んっ、うむむ……。んー、ふむふむ。ああ、そうだっ。……見た目まあまあチャラいのに、安易にタバコとか吸ったりしないとこ?」

「なっ、嘘でしょ? とんでもなく長いこと思案して、出てくる答えがそれなの? しかも、律儀に疑問符までついちゃってるし」

「あっ、もうひとつ忘れてた。ふっ、ほら」

 

 二本の指が輪っかとなり、腫れた亀頭を責め立てる。

 も、もう無理。精液のぼってきて、これ以上我慢できそうにない。どこでもいいから、欲望をぶちまけたい。その一心で、オレは腰を突き出した。

 声が洩れる。朝一番の新鮮なミルクが、やわらかな手に包まれて搾り出された。

 

「ダラダラ先延ばしせずに、すぐイッてくれるとこ。ねっ、気持ちいい? おちんちん、満足そうにふるえてる」

「はあっ、はあっ……。あ、朝採れJKの手コキ、なんて破壊力……」

「ナカ、そんなに好きなんだ、お兄さん。射精できるなら袖の内側でもいいって、相当な変態。ぷっ、ふふっ……。ごめんね、ここじゃ妊娠なんて絶対ムリ」

 

 山田リョウの悪魔的なささやき声。快楽に歪む視界。ちりちりと、火花が散っているようですらあった。

 今日も今日とて、オレたちは元気に爛れた朝を過ごしている。

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