※この作品はR-18です。

山田リョウはタカりたい!   作:KKS

12 / 14
新宿ユートピア★

 いま新宿にいるので、迎えに来てもらえませんか。

 夕方までのバイトが終わり、なんとなしに開けたスマホのトークアプリ。妙にかしこまった文体で、山田ちゃんからの連絡が入っていることに気づいたのが、つい先ほど。

 あとは夜まで家でダラダラ過ごそうとしていたのに、秒速の方針転換で電車に飛び乗ってしまえるんだから、オレって意外と聖人君子なんじゃないかと思えてくる。いや、自分でそんなふうに偉ぶってる時点で、聖人もクソもないんですけどね。

 

「で、ターゲットはどこにいるのかな……っと」

 

 利用客でごった返す駅の構内を抜け、ひとまず地上へ退散。出てすぐのあたりで待っていると言っていたので、ぐるりと周囲を見渡してみる。

 

「おっ、いたいた」

 

 壁によりかかり、スマホの画面に視線を落としている、ミステリアスな雰囲気の少女。

 特段変わった動作をしているわけではないのに、なぜか絵になる。あの女(山田リョウ)は、そういう星のもとに生まれたのかもしれない。

 どこまで接近したら、気づいてもらえるのか。ちょっとしたゲームをしている感覚で、足音小さめに近づく。三メートル、二メートル。山田ちゃんの顔は、まだ画面を見つめているままだった。

 

「おーい、そこのきみ」

 

 普段とは違う感じで、声をかけてみる。

 聴こえてきたのは、小さな舌打ちだったのか。山田ちゃんの顔は、まだあがらない。

 

「そういうの、間に合ってるので。こう見えて私、彼氏持ちだし」

「そっかー。なら残念だけど、ほかあたりますねー」

「はい、お疲れ様でした。……それじゃいこっか、お兄さん。それなりに待ちくたびれた。とりあえず、ジュース奢って」

「んあ……? おっ、おう……?」

 

 まるで脈絡のないシフトチェンジだった。やり取りで発生した違和感のせいで、思考がまるで纏まらない。ある種の催眠状態に陥っていたおそれすらある。

 言われるがまま、オレは財布を開き、山田ちゃんの希望する飲み物を買わされていた。この間、わずか一分強。ぷしゅっ。プルタブを持ち上げたときの、小気味いい音がする。隣では、山田ちゃんが炭酸飲料の喉越しを堪能しているんだ。

 まさか、これは悪い夢。ぴとっ。冷たっ。頬にあてられた缶の冷たさが、現実を直視させてくれる。いや、せめてひと口分けてくれるとか、そういうやつじゃないんかい。

 

「私の発するオーラに惹かれて、有象無象が寄りついてくる場面を想像してた。なのに、ついにきた……と思ったらお兄さんだったから。せっかく考えた案を捨てるのも勿体ないから、一応使っておこうかなと」

「そこで見事なドヤ顔されても困るんですけど」

 

 飲み終えた缶を揺さぶりながら、山田ちゃんが言った。用済みとなった空虚な入れ物が、回収ボックスの中にカラカラ音を立てて消えていく。

 

「ま、いいや。それで、こうして迎えにきたわけなんだが、その心は」

「行きの電車賃と、ライブのチケット代。あと、ドリンク買ったら資金が尽きた。これはもう、救難信号を送るしかない、と悲痛な思いで」

「ふうん。念のために確認しておくけど、その手に持ってる袋は?」

「あっ、ほんとだ。こんなの、私いつから……」

 

 手提げ袋を指摘された山田ちゃんが、ぽつりと呟いた。声からは、濃厚な嘘の匂いがする。どうせ会場で考えなしに散財した結果、元々少なかった金が消滅しただけなのだろう。

 ようするに、これはいつものやつだった。

 

「そうだ。時間も時間だし、お腹空いてるよね。よし、今夜はお兄さんの好きなところに付き合おうじゃないか。肉でもラーメンでも、どんとくるがいい」

「はいストップ。金もほとんど持ってきてないし、今日はその手には乗りませーん」

「う、うぐぐっ……。かわいい彼女が、こんなにも空腹を訴えているのに。お、鬼め。優しかったお兄さんを、私に返せぇ……」

 

 泣いてすがりつく山田ちゃんの姿に、通行人が軽くざわめく。

 やめろ。やめるんだ。なにもやましい部分なんてないのに、視線が段々と痛くなってくるじゃないか。美少女の懇願を撥ねつけるオレの図。事情を知らない人間が見れば、どちらに感情が向くのかなど確定的に明らか。

 強烈な同調圧力の波が押し寄せる。まさか山田ちゃんめ、これを狙って……。

 

「うわ、なんか恥ず……」

 

 状況に気づいて、山田ちゃんが赤面する。

 さすがに、そんなわけないか。内心安堵しながら、オレは山田ちゃんを引きずるようにその場をあとにした。

 

♪

 

 近辺にある某デパート。いわゆるデパ地下エリアへと、オレたちは足を運んでいた。

 揚げ物。焼き鳥。色とりどりの弁当類。本気で腹を空かせているのか、山田ちゃんの意識がいたるところに向いている。ただし、どれも値段は安くない。かかりっぱなしの荒馬である山田ちゃんを制御しつつ、オレは狙い目を探す。

 

「はーい。ご試食、いかがですかー?」

 

 売り子をしているお姉さんの元気な声。

 ホットプレートの上で転がされたソーセージ。肉汁の焼ける匂いに引っ張られて、足が自然と動く。これだ、これこそが、オレたちの求めていたもの。

 

「お、おお……。タダ飯、さいこう……」

 

 爪楊枝に刺さった小さな肉片を見て、山田ちゃんが一言。

 事実であっても、あんまり本音を洩らすんじゃない。お姉さんの愛想笑いが、むしろ辛いわ。

 

「も、もうひとつ、恵んでいただいても……?」

 

 そろそろ、完全にそういう子だと思われかねない。未来の結束バンドの評判を守るためにも、オレにできる行動はただひとつ。

 

「うげっ……! ま、待って、お兄さん。ソーセージ。あのソーセージが、私に食べてくれと叫んでいる」

「連れがはしたなくてごめんなさい。次回は、きっと買いますので」

 

 ソーセージ売り場からひとまず撤退。恨めしそうに見てくる山田ちゃんは、正直ちょっとかわいかったりもする。

 小腹を満たすためとはいえ、食欲を刺激しすぎるものはよくないことをオレは学んだ。限度を超えた猛獣の手綱を、いつまで握っていられるかもわからない。

 それなら、と今度は乾き物の置いてあるエリアを視察することにした。

 チーズの試食をやっているのを見つける。例のごとく、山田ちゃんの行き足はバッチリだ。

 

「ほむ、むぐむぐ……。なるほど、なるほど」

 

 食べながら神妙な表情をつくって、もうひとつパクり。山田ちゃんの演技力に呑まれて、店員さんはなにも言えなくなっている。

 

「濃厚で芳醇。それでいて、複雑な旨味が口の中に拡がっていく。咀嚼するとねっとりとして、飲み込むときにちょっと喉にも絡みついて」

 

 なんだろう、この気持ち。オレはチーズの論評を聞いているだけのはずなのに、どうしてここまで不安になってしまうのか。

 まさかの三つ目を口に放り込み、山田ちゃんがまたしても難しい顔をする。ねちょねちょ。むぐむぐ。ごくん。そうして、最終的に導き出された答えは。

 

「この塩気、そして形容しがたい香り……。あっ、わかった」

 

 山田ちゃんがぽんと手をたたく。

 オレと店員さんは、揃って結論を待ち構えた。

 

「似てるのかも、お兄さんの味と。まごうことなき、大人の味覚。なるほど、なるほど……」

 

 顎を指で支えながら、山田ちゃんが何度も頷いている。

 オレの味。つまりは、それって。

 

「あ、あはは……。独特な表現をされますね、お客様」

 

 意味が伝わってしまったとしか思えない。ドン引き寸前の営業スマイルをさせてしまっていることが、かなり申し訳なくなってくるのだが。

 

「し、失礼しましたー!」

 

 すべての元凶の襟首を掴んで、全速力でデパ地下エリアを走り抜けた。外まで駆けに駆けて、見つけた公園でひと休み。もう二度と、こういう使い方はしないでおこう。オレの決心を横目に、山田ちゃんは物足りなさそうに指を咥えている。

 ねちょ、れろれろ、ぬぷっ……。唾液の音が、こっちまで聞こえてくる。いや、咥えているというか、これは。

 

「はふ……。こうなったら、お兄さんの食べさせて。栄養満点の発酵食品、たくさん出せるんでしょ」

 

 耳穴をくすぐる吐息が、脳天を直撃する。

 これでスイッチが入ってしまうのだから、オレもたいがいどうしようもない人間だ。周囲を確認してから、死角になりそうな生け垣に山田ちゃんを隠す。そして……。

 

「鮮度抜群のソーセージ、いただきます。はむっ、んあっ、んっ、んんっ、ぷあっ……。ね、これって試食になるのかな。それとも、マジ食い?」

「は、ははっ……。気持ちいいから、どっちでもいいや」

「うん、知ってる。お兄さんが、私のお口大好きってことも」

 

 唾液をふんだんに絡ませてからの、強烈な亀頭吸引。はじめから、ブレーキを踏むつもりなんてさらさらない。熱のこもった山田ちゃんのご奉仕に、心のアクセルは全開になっていた。

 

「うむっ、んっ、ふはっ、あっ……。先、ぷにぷにですごい気持ちよさそう。癖になるお汁も、こんなに」

「あっ、ああ……。山田ちゃんのフェラ、たまんねえ。舌もやわらかくて、さいっこ……」

「はあっ、は、んっ……。頭撫でられても、別に嬉しくないし。子供じゃないからしてるんでしょ、こんな、ン……」

 

 粘液まみれになった竿を持ち上げて、山田ちゃんが舌を這わせる。もはや気にしていないのか、鼻先からおでこまで、我慢汁でべっとべとだ。

 降りかかる吐息が熱い。繋がっているわけでもないのに、山田ちゃん興奮が直に伝わってくるようだった。きゅっと窄めた唇。性器に見立てたそこに、張り詰めた亀頭を挿入する。

 にゅぷぷ、にゅぷ、にゅろぉ……。

 唇の感触。そして、待ち受ける舌のクッション。喉奥までゆっくりと突くと、山田ちゃんの嗚咽が聞こえた。もう、互いに余裕がなくなってきている。繋がって、汚して、あとは気持ちよくなるだけ。最低な隠れ遊びは、最高の快楽をもたらす。そういうことを知ってしまっているから、もうとまれない。

 

「あー……。この口マンコ、やっば……。精液、腰の奥から昇ってくる。ごめん山田ちゃん。とりあえず、一発出させて」

「むふっ、ふぅ……。じゅぷ、じゅぷじゅぷ……。んっ、あんっ、んっ……♡」

 

 共同作業による快楽強化。ぷりぷりの唇で亀頭をしごき、舌の触手に全体を絡め取られる。

 じっと見つめてくる二つの瞳。射精のタイミングを伺っているのか、表情になかなかの真剣さがあるのがおかしかった。

 

「もっ、お……。出るから、山田ちゃん」

 

 情けないくらい腰を突き出し、射精の態勢に移行。敏感な裏筋を舌先でえぐられると、すぐに限界が訪れた。

 

「吸い付き、すっご……。ザーメン、根こそぎ持ってかれる」

 

 快楽による痺れが、チンポ全体に襲いかかる。

 ほとんどを出し尽くし、薄い残り汁だけの状態になっても、山田ちゃんは離してくれない。それに、射精したばかりで敏感になっているせいで、今度は腰が砕けそうだ。

 

「ふ……。やっぱり、お兄さんの濃厚さにはチーズも勝てない」

 

 くちゅ、ぐちゅっ。ねちょねちょ。出したての新鮮な精液を、山田ちゃんが口内でかき混ぜている。どうやら、しばらく飲み込むつもりはないらしい。精液の粘り気に邪魔されて、さすがに言葉が聞きづらくなっていた。

 エロさ満点な光景を見ているだけでも、萎みかけていたチンポの根本から気合が入る。まだまだぶちまけたいと、硬度を回復させてしまう。

 

「デパートに出店して、一儲けしてみるのもありかも。んむっ……。けどそれだと、お兄さんのを独占できなくなるのか。んー……。悩ましい」

 

 謎の苦悩を抱える山田ちゃんの唇に、再び亀頭を触れさせる。

 ずるりと侵入させると、生暖かい口腔の刺激に迎え入れられた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。